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ライドオン204X:4-1 - (2012/08/11 (土) 07:01:56) のソース
***正直手加減とかしてる余裕ない ――バトルフィールド『廃墟』 俺はビルに囲まれた路地裏で戦っていた 正面に敵、左右に廃ビル、後方に壁 どう贔屓目にみても、好ましくないこの状況 そんな中相手ジルリバース型の繰り出す剣を、剣のみを駆使していなす (マスター、その調子です!) 常に受けに回るこちらの守備的な剣さばき ようやく追い詰めた敵を倒しきれない苛立ちが、相手の剣閃に表れている 当然、意思のある神姫しかり人間しかり、剣一本でこうも軽々と捌かれては苛立ちもつのるだろう はたして相手はかなり強引な突きを繰り出してきた 流して、足を払う (フルチャージ…っと) 無防備な相手に向かって左手に持っていたLC5レーザーライフルを放つ この至近距離だ、よく狙う必要もない ギリギリで身を捻った相手はどうにかライフルの直撃を避けた かまうことなく後方へ跳躍、バーニアを同時に起動 さらに両手の武器を格納、LC3レーザーライフルを右手に展開 左手に展開した手榴弾を飛び出してきた路地に投げつけ、近隣の建物に向かって両手に持ち直したランチャーをぶっ放す 「――――!」 崩壊した廃ビルの瓦礫が雨あられと路地に向かって落ちていく 下で何かわめいてる気がするがよく聞こえない とどめとばかりにシュラムRGランチャーを展開 視界に表示されるロックオンサイト。RAでの脱出はされていないようだ それを確認した俺はグレネードを乱射。反動はフィーアの制御するバーニアが吸収していく 響き渡る轟音、吹き飛ぶ瓦礫、立ち昇る砂煙 あまりの衝撃にさらに周りの建物が崩れてゆく それでも 俺は ジャッジが 下るまで 撃つのを やめない 『winner,フィーア&奏一』 弾倉が空になるまで撃ち尽したところで、ジャッジステムが勝者の名前を読み上げた ---- 一勝負終えたマスターが橙堂さんと話しています 「いやぁ相変わらず容赦ないわねぇ…」 「勝負に容赦も何もないですよ。全力で行かなきゃ相手に失礼ですし」 「それもそうね。そういやさっきのラストで普通に飛んでたけど、その前に一発リアに貰ってなかった?」 先ほどの戦いは空を飛ぶアーンヴァル対地上を走るジルリバーズ 空中対地上での射撃戦の末、見事なライディングテクニックをみせたジルリバーズ型がアーンヴァル型を撃墜 路地に追い込みあとは仕上げを、という流れではありました 「あのライフルなら、わざとくらいましたからほとんどダメージ無しです」 「ははーん、釣りだったわけね。あの路地に追い込まれたように見えたのも全部」 「えぇ」 序盤の射撃戦であらかじめ条件にあった場所を私がレーダーの情報から算出し、偶然を装ってそこに誘い込む あとはご覧の通りというわけです と、軽く戦闘を振り返ったところでマスターは何か気になっていたのか、橙堂さんに尋ねました 「………………」 「あの、彼はいったい…?」 橙堂さんの横には、妙な顔で固まっている青年が立っていました 見たところ10代前半でしょうか。こげ茶色のシャツにベージュのズボンと柔らかい印象の服装 黒い髪は邪魔にならない程度に切りそろえられています 肩に乗っているあの神姫は…エストリル型でしょうか 「あぁ私の知り合い。おーい、呆けてないで帰っておいでー」 「………はっ、すいません先生。あまりに鮮やかなバトルだったので、つい」 「そんなことより自己紹介。紳士なら名前ぐらい名乗りなさいな」 橙堂さんに促され、青年はこちらを向いて会釈をしました と、それに合わせて彼の神姫も会釈 「城野原大地(キノハラダイチ)、大学1年です。こっちはエルメス」 「よろしくっしょ!」 「エルメス…」 マスターがぼそっと呟きました エルメス…どこかで聞き覚えがある気がします 「なんだったけな、確かモノローグ型神姫だったよな」 「………モトレーサー型?」 「そうそれ」 マスターと城野原さんの間に流れる沈黙 ですがそれは気まずさを孕んだものではなく、なんというか…言葉少なに何かを分かり合ったかのような… 「天波奏一だ、大学2年。よろしく。城野君と呼ばせてもらっていいかな」 「えぇ是非」 両者、固い握手 よくわかりませんが初対面で意気投合したみたいです 最近マスターの周りには妙に気が合う人が増えてる気がします いえ、別に悪くはないのですが…なんというか、うまく言えませんが妙な感じです 「さーて、自己紹介も終わったことだし、一勝負どうよ?」 「それは、俺と城野君で…ということですか?」 「そ。城野君まだ駆け出しなんだけど筋はいいわよ?」 今はより多くの経験が欲しい時期です ましてやまだ戦ったことのないタイプの相手となれば… 「よし、早速だけどやろうか」 「はい、よろしくお願いします!」 マスターが乗らないわけがありませんね ---- 慣れた手つきでヘッドギアを装着し、椅子に腰掛ける 聞きなれたカウントダウン、いつもの感覚 気がつけばそこは電脳空間 戦いの、場所――― ――バトルフィールド『市街地』 そこは先ほどの廃墟ステージの過去の姿 あちこち崩れていた建物はすべてかつての栄華を取り戻すステージ 道路の陥没や障害物もないため、地を走るエストリル型には好都合な場所だろう 俺たちはその中心地にある大きな広場に降り立った (フィーア、相手の武装は?) (銃剣として使えるライフル、ハンドガン、ナイフ、それとランチャーブラスターというタイプの武器ですね) (ランチャーブラスター?) 聞きなれない種類の武装に首をかしげる (新しく開発されたタイプの武装みたいですね。任意点から自在にビームを撃てるみたいです) (任意点?まさかビットも飛ばさずオールレンジ射撃ができるのか) (スペック上可能ですね。しかも一発の火力が普通のランチャーと比べても遜色がないみたいです。連射はきかないし口径も小さいみたいですけど) なんてこった。そんな武装まで出てきたのか (とりあえずは様子見しつつ遠距離戦かな) 『Get Ready?』 いつも通りのシステムボイス 作戦会議は終了だ 『3、2、1、GO!』 合図とともに地を蹴り、フィーアがブースターを点火 だいたいビル4階程度の空中に停滞し、同時に索敵開始 右手にはいつも通りLC5レーザーライフル (フィーア、位置は?) (―――距離720s、高速でこちらに接近中です。というか見えてますよねマスター?) (いや、最初のこのやり取りは外せなくてな) まずは飛ぶ、そして索敵。これがいわば水に入る前の準備運動のようなもの とにもかくにもこれをやらねば話にならないのである (まぁそうなんですけどね。ずっと続けてた動作ですから) さておき、エルメスと城野原君はメインストリートを真っ直ぐにこちらに向けて走ってくる その姿はフィーアの言うとおりレーダーに頼らずとも目視できた ジルリバーズ型と同じくアーマーが変形して組みあがるバイク、ウサギを模した特徴的なヘルメット どうあっても目立つだろう まぁ堂々と空を飛んでいるこちらも同じく目立つのだが (距離550s、そろそろいきますか?) (あぁ、まずは撃っていこう――!) LC5レーザーライフルを構え、撃つ だが散発的な射撃はいとも簡単にかわされていく (アルヴォ!) 左手に展開したアルヴォPDW11をフルオートで乱射 同時に右手のLC5レーザーライフルも弾幕に追加していく 緩急織り交ぜた2丁の銃による弾幕 バイクはこちらに突っ込んできている以上回避は難しいとみたが… (これもっ………駄目かっ!) 先程のジルリバーズも見事なテクニックで回避してきたが、城野君とエルメスも同等の技術を持っているようだ 車体を転倒ギリギリまで倒したかと思えば、次の瞬間にはなんとまぁ車体が前輪を軸に360度回転したりなどなど 攻撃をかわし続けたエルメスは広場へと入ってくる そのまま円形の広場を左回りに周回するようにコースを取った (反撃来ますよ!) (またこの展開か…!) エルメスが左手に握ったEVFアサルトライフルBでの射撃で応戦してくる だがこちらの弾幕を掻い潜りながらの射撃は精密さに欠け、被弾には至らない 相手と同じく円を描くのではなく、あえて広場中央で攻撃をさけつつ弾幕をはる まぁ攻撃を避けつつだから、某艦長に怒られるレベルの弾幕なのだが しかしこの空中でのスラスターを使った回避運動は… (マスター酔ってませんか!?) (ある程度耐性はついたつもりだったが…な) そう、相手に的を絞らせないためにしているこの回避運動は全てフィーアに任せている いわゆるランダム回避運動というやつである 椅子に座った状態で前後上下左右かまわず揺さぶられるイメージをしていただきたい 嵐の海で乗る船の方がまだマシなのではないだろうか (気分が悪くなっても吐くようなことはないが…) (頑張ってくださいマスター、ファイトです!) 相手と同じく広場を左回りに飛ぶように回避していけばいいのだろうが… 狙い通りにことを運ぶにはこの位置からの射撃でなければいけない (早めに決めないとな…) 俺は右手のLC5レーザーライフルを撃つのをやめ、チャージを開始 弾幕が薄くなったぶん相手からの射撃の頻度が上がるが、全て回避していく そうして互いに決定打を与えられずに相手が広場を4周ほどした後――― (フィーア、まだか!) (―――出ました!カウント13でいきますよ!) 視界に表示される複数の軌跡とロックオンサイト、そしてカウントダウン いままでの相手の回避運動から導き出した詰め将棋 その手順が示される (カウント6から軌跡に沿ってアルヴォを!あとは―――) (皆まで言わずもがな!) カウント7、エルメスのライフル射撃を避ける カウント6、適当を装って放ったアルヴォPDW11はやはり難なく避けられる カウント5、さらに相手を追いかけるように射線を動かしていく カウント4、反撃のライフルを避け、定位置へ カウント3、別の軌跡に沿って射線を走らせる カウント2、右手でチャージを終えたLC5レーザーライフルを構える、同時にアルヴォPDW11の射線をクイッとずらす カウント1、軌道の変わった射線を無理な体制で避けたエルメスは狙い通りのコースを取り――― (カウント…) 「ゼロっ!」 LC5レーザーライフルから放たれたフルチャージショットは、吸い込まれるようにエルメスへ向かう! 「!!」 避ける術はない。バイクが次の動きに移るまでのタイムラグ。その一瞬に刺さる王手。 (取った!) だがその一手は 『パキャァン!』 思わぬところからの伏兵によって防がれた (なっ…バリア!?) (今ので砕けたみたいですが…バリアでしたね) 大きな誤算だった。いやそもそも相手の武装にバリアがはれるものがあっただろうか などと思ったのもつかの間。相手の手にはいつの間にやら見慣れぬ武器 (ランチャーブラスターきます!) 周りの空間からこちらにむかって一斉に伸びる光の帯、その数5本 幸い、一箇所を狙った攻撃のためなんとか回避には成功したが… (連射は出来ないんじゃなかったか!?) (一斉射は出来るみたいです!) (くっ…一旦引くぞ!) 相手に背を向け、一目散に飛び去る 逃がさんとばかりにエルメスが後を追ってきた [[第四話の2へ>ライドオン204X:4-2]] [[トップページへ>ライドオン204X]]