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ライドオン204X:3-3 - (2011/10/14 (金) 20:03:22) のソース
***説明書はきちんと最後まで読みましょう 「いやぁ、こんなところにすごい子がいたものねぇ」 「先生、勝ってその台詞は嫌味にしか聞こえませんにゃ~」 「確かに」 「そうですね」 「うぁ、3対1!?せめてなみこは味方しなさいよ!」 バトル後、ゲーセン内の休憩スペース 俺とフィーアは、橙堂赤子とその神姫(なみこと言うらしい)に話を聞きにいっていた 先ほどのバトルで、どうしてもラストが腑に落ちなかったためである 「それで、一つ聞きたいんですが」 「何かな奏一君?」 「ラストで見せたあのマオチャオ型の動き、いったいアレはなんだったんですか?」 ライフルが直撃しても平気な顔をして、挙句あの機動力 一瞬違法改造を疑ったが、それなら最初にジャッジシステムが動くはず 考えても埒が明かないので直接聞きにきたのだ 橙堂さんは少々キョトンとした顔をすると、すぐに何か納得のいった顔をした 「あぁ、もしかしてレールアクションのことかしら?」 「…レールアクション?」 「そ、公式から頒布されてるバーチャルバトル専用のプログラム。 マニュアルに書いてあるわよ?」 「………マスター、説明書、ちゃんと最後まで目を通しましたか?」 通してない。最初のライド前に軽く見た限りだったかもしれない 「まぁ見てのとおり、神姫の性能限界を超えて動けるプログラムね。 発動させると相手の射撃武器に対して自動的に威力軽減のバリアが張られ、 その後ジャミングと同時に高速移動ができる」 なるほど。だからライフルを喰らっても平気で、あっさりと死角に回りこまれたのか 橙堂さんは椅子から立ち上がり、 飲み終わったらしき缶コーヒーを見事なフォームでゴミ箱に向かって投げた カランと金属同士がぶつかる音が聞こえる 橙堂さんはこちらに向き直って続けた 「って聞くと便利に聞こえるけど、使用回数とかに制限はあるし、 Rail Actionの名の通り一定のレールの上をなぞる動きしかできないのがネックってとこね」 と、そこで橙堂さんはまたもこちらを覗き込むように、というか覗き込んできた 顔が少々近いですってば 「それより奏一君、ライド始めてどれくらい?」 「えっと、3週間と少し。もうすぐ1ヶ月ってところです」 「3週間であの動き…ねぇ。 トレーニング筐体って精神と時の部屋仕様にでもなってるのかしら…」 「…あったらうれしい仕様ですね」 「お、分かる?」 「えぇ分かりますとも」 どちらともなく固い握手 「そっちのマスター、先生と同類ですかにゃ」 「同類…かどうかは分かりませんが、精神と時の部屋という単語には聞き覚えがあります」 傍らのフィーアが不思議そうな顔をしながらなみこと話している 「そういえば、フィーアちゃんとはもうどれくらいの付き合いになるの?」 「かれこれ………10年近くですかね」 「え、今いくつ?」 「20ですけど」 「ってことは何?10年前っていったら神姫が出てきたばっかりの頃よね?」 「はい、小学生の頃からの付き合いになります」 2031年、神姫は人類の新たなパートナーとして誕生した 当時人付き合いの下手だった俺に親が買ってきたのがフィーアだ 「神姫がバトルを始める前からの付き合い、か。 3週間やそこら特訓すればほとんど息も合うわけよね」 腕を組み、したり顔で頷いていた橙堂さんだが、ふと動きが止まる 視線の先にはなみこと談笑しているフィーア 「…どうしました?」 「フィーアちゃん、アーンヴァルのMk.2型よね…?」 あぁ、やはりそこか アーンヴァルMk.2型はその名の通りアーンヴァル型のバージョンアップ版だ それなのに10年近く一緒にいるというのは確かにおかしい 「いろいろあって、武装や素体部分のほとんどがMk.2型になっているんです」 「ふーん」 俺のいろいろあったという言葉に何かを感じたのか、 橙堂さんはそれ以上深くは聞いてこなかった 大人の余裕、というやつだろうか 「まぁいろいろあったのね」 そう言うと橙堂さんはふところからPDAを取り出した 「あたしね、他所にいたんだけど、 仕事の都合でしばらくこの辺で動くことになったのよ」 俺はなんとなく察して自分のPDAを取り出す 「ここで会ったのも何かの縁ってことで――」 「番号交換――ですか」 「話が早くて助かるわ」 お互いのPDAに電話番号とメールアドレスを登録したのであった [[トップへ戻る>ライドオン204X]]