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第10話 「night-10」 - (2011/10/01 (土) 22:06:02) のソース
**第2部 「ミッドナイトブルー」 第10話 「night-10」 巨大な航空母艦型MMSのツラギの姿がはっきりと眼前に写る。 ツラギは左舷に備え付けてある大小さまざまな火砲でシュヴァル目掛けて対空射撃を開始する。甲板にいる砲台型や悪魔型もライフルや大砲で攻撃を行う。 急降下するシュヴァルの周りで砲弾が炸裂し、機関砲弾が装甲を貫く、シュヴァルは満身創痍になりながらも最後の駄目押しで、リアパーツの2門の素粒子砲を放った。 シュヴァル「うおおおおお!!」 ビッシュウウウン!! 青白い光がまっすぐにツラギの後部のスクリュー、舵部分に命中する。 ズズウウン・・・ 一瞬、グラリとツラギの巨体がひるむが、さして目に見えるようなダメージは食らっていない。 金川「ツラギ!損傷報告」 ツラギのマスターである金川がマイクを掴んで確認を取る。 ツラギ「左舷後方に命中!第2舵が破損、被害は軽微」 ナターリャ「ふん、バカめ・・・その程度で空母型神姫が沈むものか!」 ドンドンドンドン!! ツラギの艦橋ブロックに搭載されている連装機関砲が放った機関砲弾がシュヴァルのエンジンを貫いた。 シュヴァル「ぐっあ・・・エ、エンジンが!」 ボウウン!! 真っ黒な煙を吐いて、シュヴァルの体がバランスを崩してツラギの甲板に突っ込む。ツラギの甲板に叩きつけられるように不時着するシュヴァル。 シュヴァル「ぐああああ!!」 不時着のショックでシュヴァルの装甲がバラバラに砕け散り、脚部があらぬ方向に曲がる。 ツラギ「敵機!甲板に落着!」 悪魔型のニパラが強化アームでシュヴァルの頭部を鷲掴みにし、頭部に砲口を突きつける砲台型のルーシ。 ニパラ「ひゃはははっは!!捕まえたぜェ!!」 ルーシ「よくも好き勝手散々暴れまくりやがって」 シュヴァル「う・・・・ぐ・・・」 ニパラ「頭部を握りつぶしてCSCを抉り出して砕いてやる」 ナターリャ「待て!!」 ナターリャが弱ったシュヴァルに近づくと、もったいぶった言い方であざ笑う。 ナターリャ「敵ながらたった一人で私の指揮する機動MMS艦隊にここまで立ち向かったのだ。ここは天晴れと賞賛すべきだろう」 シュヴァル「ぐ・・・・」 ニパラはぐいとシュヴァルの頭部を無理やりナターリャに向けさせる。 ニパラ「ナターリャ将軍、どうするつもりで?」 ルーシ「へっへへ、ネットで公開しましょうよー夜帝の装甲や武装をひん剥いて、二度とふざけたことが出来ないように辱しめてやるんだ」 戦闘爆撃機型のマレズが甲板に降りてシュヴァルに機関砲を向ける。 マレズ「ヒュー、こいつなんだかんだいってけっこう可愛い顔してんじゃねえか、へっへへ」 ナターリャ「よく頑張ったが、オマエのおおげさな伝説も今日までだ!!!何が夜帝だ!!ふざけるな・・・夜のステージなら最強?それも今日までだ!!いいか、ネットのみんなにこういうんだ『私は敗北主義者です。優秀なナターリャ将軍の指揮する機動MMS艦隊に敗れた惨めな敗北者です』とな!!」 ナターリャは興奮して唾を飛ばす。 ツラギは艦橋から惨めに羽交い絞めにされているシュヴァルを見てニヤニヤしている。 シュヴァルは顔をうなだれて、ひくひくと体を振るわせる。 マレズ「おいおい、どーしたァ?あまりに惨め過ぎて怯えてるのか?」 ニパラ「うひひひ、八つ裂きにしてバラバラに砕いてやるぜ」 ナターリャ「まずは許してくださいと喚いて、情けないサレンダー宣告をもらおうか!!私の負けですってな」 シュヴァルはぶつぶつと何かつぶやく シュヴァル「・・・か・・・め・・・」 ナターリャ「どうした、何か言いたいことがあるなら言ってみたまえ、最後だ。何を言ってもいいぞ」 ニパラがぐいっとシュヴァルの顎を掴んで顔を向けさせる。 シュヴァルの顔は硝煙で薄汚れていたが、目は爛々と黄金色に光り生気に満ち溢れていた。シュヴァルはニヤニヤと笑いながら口を開く。 シュヴァル「・・・チェスと将棋の違いって知っているか?」 マレズ「は?」 ニパラ「へ・・・なんだ?」 唐突にまったく意味の分からないことを言うシュヴァルに周りは下卑た笑いをやめる。 ルーシ「チェスと将棋の違いだとォ?」 ナターリャは真顔で答える。 ナターリャ「一般的にだが・・・大きな違いは、チェスは取った駒を使うことはできないが、将棋は取った駒を味方の駒として使うことが可能だが・・・それがどうした?」 シュヴァルはふっと顔を歪ませる。 シュヴァル「ナターリャ、あんたはチェスが得意なんだって?このゲームをチェスに見立てて、私を狩ったつもりになっているが、それは大きな間違いだ。負けたのはあんたの方だ」 ルーシ「てめえッ!!!何を分けわかんないこと言ってやがるんだ!!このヤロウ!!」 ルーシはライフルの銃底でシュヴァルの柔らかいお腹を殴りつける。 シュヴァル「がはっ」 ズン・・・ズズン・・・ 上空で低い爆発音が鳴り、甲板が徐々に赤く明るくなってくる。 ナターリャ「・・・・・」 ナターリャはあることに気がつき、ゆっくりと真上を見上げる。 シュヴァルとの戦闘で被弾し操舵不能に陥っていた重巡洋戦艦型MMSの「マキシマ」がゆっくりと炎に包まれ小規模な爆発を繰り返しながら一直線に自分たちがいる空母型のツラギに降下してくる。 野木「姿勢安定装置を作動しろ!」 マキシマ「スタビライザー全損!!こ、高度が維持できません!だ、ダメです!!堕ちます!!」 遠くから重巡洋戦艦型のヴィクトリアがチカチカと発光信号を送ってツラギに退避命令を出している。 ヴィクトリア「至急、進路変更サレタシ、両艦は衝突ス」 金川が発光信号を見てツラギに指示を出す。 金川「ツラギ、至急進路変更だ!!おもかじ!」 ツラギ「あう・・ああ・・・か、舵が聞きません!!さきほどの攻撃で舵がァ!!」 ツラギはパクパクと口を開けて恐怖に引きつった顔を晒す。 シュヴァル「あんたの駒、使わせてもらった。所詮あんたは駒を駒としか見てなかったんだ」 ナターリャ「!!」 ナターリャは目を見開き、落下してくるマキシマの燃え盛る巨体を凝視する。 ニパラ「あ・・・うあああ・・」 ルーシ「ひ、ひいい!!何をしているんだ!舵を切れ!!」 マレズ「ぶつかるぞ!」 燃え盛るマキシマは必死で発光信号を発する。 マキシマ「我、操舵不能、我、操舵不能」 シュヴァル「このゲームはおまえの負けだ。ナターリャ。武装神姫の戦いはチェスほど単純じゃない」 シュヴァルがフッと笑う。 ツラギ「そ、総員退艦ッーーー」 ヴイイイイーンヴィイイーーーーン・・・ サイレンを鳴らすツラギ。 マレズ「うわあああああ!!」 ルーシ「に、逃げろ!!!」 ニパラ「ぎゃあああああああああああ!!」 恐怖で叫び声を上げながら逃げようとする甲板にいる神姫たち。 ナターリャはシュヴァルに向かってパチパチと拍手をする。 ナターリャ「ハラショー!!!すばらしい!!これは私の負けだな、さすがは夜帝だ・・・私の得意分野であるチェスにも勝利した。完璧だ・・・君のような武装神姫と一緒に滅ぶことが出来るとはうれしいよ」 シュヴァルはちらりと燃え盛るマキシマを見てつぶやく。 シュヴァル「あんたは逃げないのかい」 ナターリャ「間に合うものか・・・」 ゴオゴゴゴオオオ・・・ 燃え盛る巨大なマキシマの船体は突き刺さるようにツラギの甲板に墜落し、ツラギの格納庫にまで突き刺さり、内部の燃料や弾薬庫に火が引火し、強烈な大爆発を起す。 *グッワッツワアアアアアアアアアアアアアアアアアーーン!!! 真っ赤な炎で出来た巨大なキノコ雲がツラギから立ち上り、強烈な爆風を引き起こす。 □将校型MMS 「ナターリャ」 SSSランク「演算」 撃破 □航空母艦型MMS「ツラギ」 SSランク 二つ名「アタックキャリア」 撃破 □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 撃破 □悪魔型MMS 「ニパラ」 Sランク 撃破 □戦闘爆撃機型MMS 「マレズ」 Sランク 撃破 □砲台型MMS 「ルーシ」Aランク 撃破 □夜間重戦闘機型「シュヴァル」 SSSランク 二つ名 「夜帝」 撃破 撃破のテロップが筐体に流れる。 呆然と大爆発を眺める、戦闘機型のアオイとツクヨミ。 アオイ「おい、俺たちの帰るところがなくなったぞ」 ツクヨミ「俺に言うなよアオイ」 重巡洋戦艦型のヴィクトリアがマスターの野木に報告する。 ヴィクトリア「マキシマ、ツラギと衝突し爆沈す、ツラギにのっていた神姫の生存はなし、ナターリャ将軍は爆死しました」 野木「つまり、このゲームの勝敗は?」 ヴィクトリア「敵の夜帝、シュヴァルの撃破を確認、されどこちらの指揮官であるナターリャ将軍が戦死されたので、この勝負は引き分けです」 野木「引き分け?冗談じゃない。私たちの負けだ。こちらは17体もの神姫がいたが、生き残ったのはお前を含めて3体のみ・・・奴は1個機動MMS艦隊を潰滅しやがった」 夜神はスーツから煙草を取り出し、火をつけて深く煙草の煙を吸い込む。 筐体の周りは真っ暗で煙草の火だけが赤く燃えている。 夜神「・・・・」 夜神は煙草についた赤い炎の灯火を、じっと見つめる。 じわじわと赤い明かりを失っていく煙草の火・・・・ 煙草の火が消えるとあたりは濃いブルーの闇に包まれる。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>[[第11話 「night-11」]] 前に戻る>[[第9話 「night-9」]] [[トップページに戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2315.html]] u