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エピローグ 未来(あした) - (2009/09/19 (土) 21:21:08) のソース
*エピローグ 未来(あした) 「結局あの事件はなんだったんだろうな」 研究所の休憩室でヤクトがつぶやいた。 あれから数週間の時が過ぎた。零リベリオンと名付けられた事件は影を潜め、人々の関心は零リベリオンから別の方に向いていった。神姫たちも元の生活に戻り、まるで事件など存在しなかったかのような日常に戻っていった。 「零の正体も解らないままでしたし。この事件以降、音沙汰なしですし」 アスティが答える。無理もない、依然としてこの事件の謎が解明されていないのだから。 「本当にこれで解決したのかどうか解らないんじゃなあ」 そこへ和多が入ってきた。左肩にはカウベルが乗っている。 「マスター、零について解ったかい?」 待ちかねていたヤクトが和多に質問をした。 「ああ、ある程度は解った」 和多はノートパソコンを開き、今までの事件データと零についてのデータをみんなに見せた。 「しかし驚いたよ、零を調べていたら、あれが本物じゃないことが解ったんだから」 和多の説明によると、以前現れた零の正体は、零仮面をつけられたウェスペリオタイプの神姫であった。あの零は仮面によって操られていたのである。 「ということは、まだ零が存在してるのか?そうだとしたら…」 「いや、この事件が公になってしまった以上、相手も迂闊に手出しすることはできないだろう。もっとも、これに対するセキュリティプログラムを開発中だから、同じサイバーテロが発生しても以前のようにはならないだろう」 ほっとする一同。しかしアスティだけは心配の色を隠しきれなかった。 「もし、それが破られることがあったとしたら、どうしますか?」 「そのときは、また君たちに手伝ってもらうことになるかもしれないな。とはいっても、今までのような戦闘パターンじゃだめだろうけど」 じっとヤクトのほうを見る和多。とたんにヤクトの顔が赤くなった。 「な、何が言いたいんだよ…」 「つまり、もっと練習や試合をして強くなれ、ということだ」 今度は好村と全快したリオーネが休憩室に入ってきた。 「まあ、そういえるかな…、って、お前、何だよこの色は?!」 ヤクトはリオーネが装着しているアーマーとボディの色が変わっていることに気づいた。 「まあ…、詳しく言うと、模様替えということかな。さっきの戦闘でリオーネは大きなダメージを受けたから、一部新しいパーツと交換したんだ」 リオーネのカラーチェンジの理由を好村が説明する。少し照れくさそうに、リオーネからも説明した。 「いくらバーチャルとはいえ、あそこまでダメージを受けると本体もただではすまなかった。だから最新の素体に交換したんだ、CSC中枢とヘッド以外のすべてをな」 「みんなも解ってると思うけど、神姫は頭部にある小型AIと胸部にあるCSCというマインドプログラムが同調して初めて起動する。だから、今の性格のまま新素体を移し変えるのは困難だった。ひとつ間違えたら今までのデータが消えてしまうところだったからね」 続いて好村が説明した。それほどリオーネのダメージは大きかったらしい。 「そうか、お前が無事ならそれでよかった」 ライバルの無事に素直に喜ぶヤクト。しかし、隣にいるアスティがなぜか笑いをこらえていた。 「え、そうでしたか、この前、リオーネの手術のときに『死ぬんじゃねえ、約束しただろ』って、涙を流して叫んでだ…」 その瞬間、アスティの口をヤクトが手で押さえた。 「ばにじまずの、ぼんどのごどばのび」 「言いたいこといいやがって、おめえは黙ってろ!!」 必死でアスティの口を押さえるヤクトを見て、リオーネの顔から笑いが生まれた。 「はははははっ、お前ら、必死すぎだな」 どうやら手術のせいでリオーネの性格に変化が生まれたらしい。いや、それだけではなさそうだが。 「なるほど、頑固一徹のリオーネにもこのような感情が生まれるとは」 「これでヤクトたちともいい付き合いができそうですね」 好村、和多両オーナーもその様子を見て喜んでいた。 「おいおい、笑ってねえでマスター達からも言ってくれよ!こいつのおしゃべりは底知れねえんだからよ!!」 「だがら、ぼうばなじまぜんがら、でをばなじでぇ―――――!!」 焦るヤクト。苦しむアスティ。そしてそれを見てさらに笑うリオーネたち。こうして、この事件は無事幕を閉じた。 「めでたしめでたし♪」 「めでたしじゃねえ―――っ!!」 *『ネット世界の侵略者』 これにて [[戻る>おまかせ♪ホーリーベル]]