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鋼の心番外編:第2幕:(シンデレラ) - (2007/10/05 (金) 01:34:02) のソース
**鋼の心:番外編 ~Eisen Herz~ *武装劇団 ***演目その2。 **シンデレラ。 配役 シンデレラ :フェータ 魔法使い :アイゼン 継母 :マヤア 義姉 :セタ 王子 :レライナ ナレーション:デルタ1 むかしむかし、ある国にシンデレラと言う美しい娘がおりました。 シンデレラとは灰被りと言う意味です。 自分の娘につける名前じゃありませんよね、親は何を考えているのでしょう? もっとも死んでしまっているので、問いただす訳にも行きません。 おまけに、再婚相手の継母がこれまた極悪人で、シンデレラの義姉となる娘と共に、いつも彼女をいぢめているのでした。 継母(マヤア)「おーほっほっほっ。シンデレラ、掃除と洗濯と炊事をしっかりするのよ」 義姉(セタ)「さ、サボっちゃダメだ…」 シンデレラ(フェータ)(私、アイゼンさんが継母だと思ってました…) 継母(マヤア)「ついでに繕い物と、床のワックス掛けと巻き割りもやって置くのよ」 義姉(セタ)「…あぅ、大変そうだね。少し手伝おうか?」 セタさん、お芝居ですから大丈夫です。 義姉(セタ)「そ、そうなんだ…」 シンデレラ(フェータ)「…うぅ、お義母様、お義姉さま。私一人でこんなにたくさん出来ません」 継母(マヤア)「何を言うの、シンデレラ。私達はこれからお城のパーティに行くの。面倒な事は全部貴女がやるのよ!?」 シンデレラ(フェータ)「わ、私もお城のパーティに出たいです。王子様もいらっしゃるのでしょう?」 継母(マヤア)「ダメよ、シンデレラ。貴女にはお城に着て行くような綺麗なドレスなんか無いじゃない? そんなみすぼらしい格好でお城に行くつもり?」 義姉(セタ)「…ね、ねぇ。マヤアちゃん。…可哀想だよ、つれってってあげようよ」 継母(マヤア)(にゃー、コレはお芝居だからイイの。セタちゃんもシンデレラをいぢめて、いぢめて) 義姉(セタ)「あぅ、い、いぢめるの…?」 そういうお話ですから…。 義姉(セタ)「わかった」 ちゅどーん!! 義姉の吠莱壱式の一撃が炸裂し、シンデレラを天高く吹き飛ばしました。…って、セタさん、それダメぇ!! 義姉(セタ)「え? ダメだった?」 継母(マヤア)「ちょっとシンデレラ、しっかりしなさい。掃除ぐらいはして貰わないと困るのよ!?(フェーちゃん、しっかり!?)」 シンデレラ(フェータ)「だ、大丈夫です…、お義母様。…そ、掃除ぐらいは何とか出来ますわ………」 継母(マヤア)「そ、そう。それは良かったわ。それじゃあ、しっかりやって置くのよ!? さあ、私達はお城のパーティへ行くわよ?」 義姉(セタ)「あ、あぅぅ。ゴメンネ、シンデレラぁ」 シンデレラ(フェータ)「だ、大丈夫ですから。行ってらっしゃいませ、お義母様。お義姉さま…」 こうしてシンデレラは一人さびしくお留守番です。 シンデレラ(フェータ)「あーあ、私もお城のパーティに出たいな…。でも綺麗なドレスも持っていないし、馬車が無くちゃお城には入れないわ………」 魔法使い(アイゼン)「願いを言え、さすればそれを叶えよう…」 悲しみに暮れるシンデレラの前に、突如として魔法使いが現れました。 何の脈絡もありませんが気にしてはいけません。これはファンタジーです。 シンデレラ(フェータ)「あ、貴女が魔法使いさんですか(よりにもよってアイゼンさんですか)!?」 魔法使い(アイゼン)「その通り。願いを言うと叶います」 シンデレラ(フェータ)「…帰ってください」 シンデレラさん、それじゃお話になりませんって!! シンデレラ(フェータ)「…そ、それじゃあ(物凄く不安ですけど)お城のパーティに出たいので、綺麗なドレスと馬車を出してください」 魔法使い(アイゼン)「ふっ…。願うだけで望みが叶うとでも思っているんですか?」 シンデレラ(フェータ)「願いを言うと叶う、って言ったじゃないですか!?」 魔法使い(アイゼン)「まずはどんな願いでも口にしてみる事から始めましょう」 シンデレラ(フェータ)「…一体どうしろと!?」 魔法使い(アイゼン)「…等価交換です。貴女は願いをかなえる為に、ネズミ2匹、ネコ1匹、それから隣の家の畑のカボチャを持ってくるのです」 シンデレラ(フェータ)「…最後のは完全にドロボウじゃないですか?」 魔法使い(アイゼン)「…苦労せずに叶う願いなどありません。努力をせずに結果を出した人など居ないのですよ!?」 シンデレラ(フェータ)「う゛っ。凄くマトモな事を…」 魔法使い(アイゼン)「(まあ、努力が全部報われる訳でも無いのですけど…)」 シンデレラ(フェータ)「…? 何か言いました?」 魔法使い(アイゼン)「いえ、特には。…それではシンデレラ。今言ったものを持ってくるのですよ」 シンデレラ(フェータ)「………わかりました。一応やってみます…」 こうしてシンデレラは材料探しに出かけました。 魔法使い(アイゼン)「さて、シンデレラがネコとネズミを探している間に観客の皆様には私のマジックショーを見せましょう」 あの、魔法使いさん、一体何を? 魔法使い(アイゼン)「何の変哲も無いこのシルクハット。ご注目下さい」 はい、確かに只のシルクハットですね。 魔法使い(アイゼン)「ここに魔法をかけます。『マジカルカルカレシウボノウホマ』!!」 よりによってその呪文ですか? マジカルハット君は知らない人の方が多いと思いますよ? 魔法使い(アイゼン)「たまに、ゲンジ通信あげだまと混同している人を見ます。要注意」 …如何でもいい話はさて置き、呪文の結果はどうなったんですか? 魔法使い(アイゼン)「ああ、そうそう。シルクハットから…」 ごくり。 魔法使い(アイゼン)「ネコとネズミがセットで出てきます」 それ、舞台用の小道具じゃないですか!! フェータさんが探しに行った奴ですよ!? 持って来ちゃたんですか!? 魔法使い(アイゼン)「…魔法使い、万能?」 フェータさん。ネズミとネコこっち。こっちにあります!! だっだっだっだっだっだ。 シンデレラ(フェータ)「………はぁ、はぁ、はぁ………。………あっ、アイゼンさん…。私がどれだけ探したと思っているんですか?」 魔法使い(アイゼン)「私は魔法使い。アイゼンさんではない」 シンデレラ(フェータ)「うぅ、分かりました!! とにかくコレで用意は出来ました。魔法をかけてください!!」 魔法使い(アイゼン)「まだ」 シンデレラ(フェータ)「え?」 魔法使い(アイゼン)「カボチャ。…盗(と)って来て」 シンデレラ(フェータ)「だから、それは窃盗罪…」 魔法使い(アイゼン)「努力が叶える貴女の夢。…お城でエンジョイ素敵なパーティと、見知らぬ他人の畑のカボチャ、どっちが大切?」 シンデレラ(フェータ)「倫理観が一番大切です!!」 魔法使い(アイゼン)「では譲ってもらってきなさい」 シンデレラ(フェータ)「うう、わかりました…」 こうしてシンデレラは隣の家に行きました。 魔法使い(アイゼン)「さて、それでは空いた時間を使って、ハロウィンに付き物のジャックオーランタンの作り方などを実演してみたいと思います」 あの、魔法使いさん。 それってカボチャじゃないですか? 魔法使い(アイゼン)「ご明察。先程隣の家から頂いてきたのです」 ………オチは見えましたが、盗んだんですか? 魔法使い(アイゼン)「いいえ、『カボチャ一つ、確かに頂戴しました。フェータ』と置手紙などを残してみました」 「こぉの盗人が、性懲りも無くまた来やがったか!?」 バキューン。 バキューン。 フェ、フェータさ~ん。逃げてぇ~~~~~~っ!! ………。 シンデレラ(フェータ)「ぜぇ、はぁ…。ぜぇ、はぁ…」 魔法使い(アイゼン)「あ、おかえり。大丈夫?」 シンデレラ(フェータ)「分かりました。この企画、とにかく私を酷い目に合わせるのが目的なんですね?」 魔法使い(アイゼン)「可哀想に、恐怖がトラウマになってしまったのね。でも大丈夫。コレで準備は整いました」 シンデレラ(フェータ)「最初から整ってたじゃないですかぁ!!」 魔法使い(アイゼン)「それは違います!!」 魔法使いさん、一転して真面目な声でそう語ります。 魔法使い(アイゼン)「シンデレラ、貴女は『苦労する』という代価を支払ったのです。…これはディ〇ニーのご都合アニメじゃないんです。祈っているだけで願いは叶いません。…貴女は『苦労する』事で私の魔法を受ける資格を掴み取ったのです」 シンデレラ(フェータ)「…そ、そうだったんですか…。…私ったら、勘違いして酷い事を…」 魔法使い(アイゼン)「良いのです、シンデレラ。間違いは誰にでもあります。…さぁ、魔法をかけましょう!!」 シンデレラを言いくるめた魔法使いさんはそう言って魔法を唱え始めました。 魔法使い(アイゼン)「いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ あい! あい! はすたあ!」 寄りにも寄ってその呪文かよ!? 魔法使い(アイゼン)「大丈夫、効果抜群」 シンデレラ(フェータ)「どっちにしろダメです、そんな邪悪な呪文!!」 魔法使い(アイゼン)「善悪など人間のちっぽけな価値観の相違でしかない。偉大なる神々はそんな事は気にしない」 貴女はもう少し気にしてください。 とにかく、地面の魔方陣から煙と泡が立ち上り、そこから触手が一本………。 …って、こんなの打ち合わせに無いですよ!? 魔法使い(アイゼン)「アドリブ」 どういう原理ですか!? 魔法使い(アイゼン)「…根性?」 それで空間歪めて触手が出てくるんですか? 魔法使い(アイゼン)「神秘は奥深い」 言いたい事はそれだけですか!? 魔法使い(アイゼン)「大丈夫。コレを届けに来ただけ」 シンデレラ(フェータ)「…あぅ」 一応、聞きますけど。何ですかその小瓶? 魔法使い(アイゼン)「魔法の薬」 シンデレラ(フェータ)「魔法の薬?」 魔法使い(アイゼン)「コレを、ネズミとネコに飲ませる…」 言って魔法使いさんは、ネズミとネコに無理やり小瓶の中の薬を飲ませます…。 魔法使い(アイゼン)「すぐに効果が出る」 ネズミとネコは体からゴポゴポ泡など立てつつ、融解し、新たなる生物へと進化を遂げました。 魔法使い(アイゼン)「はい、馬と御者。あとはカボチャにこれをかけて…」 気持ち悪い光景なので、途中経過は省略しますが、とにかく御者つきの馬車の完成です。 魔法使い(アイゼン)「さあ、あとはシンデレラがコレを飲むだけ」 シンデレラ(フェータ)「嫌です(即答)」 あの、それでは劇になりません…。 シンデレラ(フェータ)「それじゃあデルタさんが飲みますか? 私、主役代わっても良いですよ?」 では魔法使いさん、他の方法などを…。 魔法使い(アイゼン)「仕方ない、ステッキを振って呪文を唱えます『チンカラホイ』!!」 シンデレラ(フェータ)「また微妙な呪文を…」 魔法使い(アイゼン)「完成」 あ、いつの間にやらシンデレラは綺麗なドレス姿に早替りしています。 本当にどうやったんでしょう? 魔法使い(アイゼン)「魔法」 ああそうですか。 最初からそれをやれ、と言いたい所ですが、もうどうでもイイのでさっさと話を進めましょう。 こうしてシンデレラは馬車でお城に着きました。 シンデレラ(フェータ)「えらく端折りましたね…」 気にしないで下さい。 王子(レライナ)「…ようこそ、美しいお姫様。私と踊ってはいただけませんか?」 シンデレラ(フェータ)「は、はい喜んで」 ようやく話の流れがマトモになりました。 こうしてシンデレラは楽しいひと時をすごします。 しかし、無常にも時刻は12時、鐘が鳴り響きます。 魔法使いの魔法は12時になると解けてしまうのです。 シンデレラ(フェータ)「ああ、大変。もう帰らなくては…!!」 王子(レライナ)「ああ、待ってくれ美しい人!!」 シンデレラ(フェータ)「さようなら、王子様。とても楽しかったです…!!」 そう言ってシンデレラは駆け出します。 王子(レライナ)「逃すものか!! ここを去りたければ私の屍を越えて逝けっ!!」 魔法使い(アイゼン)「はいシンデレラ。刀」 こうしてシンデレラと王子様の決闘が始まりました。 シンデレラ(フェータ)「てぇいっ!!」 ところがどっこい、シンデレラは無敵でした。 超音速の抜刀が炸裂!! 敢え無く王子はその凶刃に倒れたのです。 魔法使い(アイゼン)「シンデレラ。トドメのライダーキック!!」 シンデレラ(フェータ)「はいっ!! とりゃー!!」 王子(レライナ)「ぶはぁ!?」 こうしてシンデレラのライダーキックが炸裂!! ガラスの靴の片方を王子様の顔面にめり込ませたまま、シンデレラは逃走したのでした。 翌日、王子様暗殺の犯人を捜しに兵隊達が家にやってきましたが、もちろんシンデレラは隠れてやり過ごしました。 こうして事件は迷宮入りしたのです…。 …ってこれじゃあ、シンデレラは只の暗殺者じゃないですか。 そもそも、魔法使いの出番はとっくに終わりです!! 魔法使い(アイゼン)「神秘は奥深い…」 そのセリフを言えば済むと思ってませんか!? 魔法使い(アイゼン)「では、意外な事実を…」 …? 魔法使い(アイゼン)「実は私、悪い悪魔。王子の命が目的でした」 ………(呆然)。 魔法使い(アイゼン)「だって、ほら。…私、悪魔型ですし…」 …コレの何処がシンデレラだ~っ!! **幕 [[鋼の心 ~Eisen Herz~]]へ戻る ---- ***舞台裏 フェータ「アイゼンさん。どうするんですこの顛末!!」 アイゼン「大丈夫。シンデレラは諸説ふんぷんで正確な伝承は誰にも分からない」 フェータ「そういう問題ではなく」 アイゼン「一説に寄れば、中国にも同様の伝承があるとか…」 フェータ「…もういいです」 アイゼン「うむ」 祐一「如何でも良いが、幼稚園の隣のカボチャ畑の人にはちゃんと謝りに行けよ?」 アイゼン「…だって」 フェータ「アイゼンさんが、です」 ---- シンデレラは本名ではなく、俗称、あだ名だったようです。 では本名はと言うと…。 何処にも記載されていません。 きっと無い(未設定)んでしょう。哀れなものです。 と真面目に解説してみましたALCです。