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土下座そのなな - (2007/09/21 (金) 22:01:38) のソース
「皆さーん、ここ、どこだと思いますかー? 今日は私とマスターさんは、なんと『神姫センター』にお邪魔していまーす!」 「お約束ですね」 「お約束です」 「おっと、先に『誰に言っているんですか?』とツッコむべきでした、不手際申し訳ない」 「いえいえ、そこまでお手を煩わせたらこちらこそ申し訳ないです」 というわけで、本日はマスターさんの胸ポケットにお邪魔して、初めてのお出かけです。 当然、最大のポイントは『マスターさんと一緒』だと言うことは言うまでもありませんが、初めてのお出かけで嬉しいのもありますし、見るもの聞くもの全てが目新しいって言うのもあります。 もちろん、昨今のメディアの発達からすれば予備知識に関しては十分なのですが、そこはそれ、実際に生で見ると大違いといいますか。 さっきから周囲を見回しては何かを見つけて食い入るように見つめ、ドッグテイルがオーバーヒートしそうなほどにぶんぶん振り回されている私を見てマスターさんがニコニコしていらっしゃって、それに気付いて我に返り赤面してしまう、のくり返しなのです。 そんなこんなで辿りついた、武装神姫の専門店、神姫センター。初めてのお出かけの目的地としては順当でしょう。 かく言う私もここでご購入されたという、いわば故郷なだけにとってもドキドキです。 「といっても別に、購入店だからって何か思い出があるわけでもないんですけどね」 「割とドライですね犬子さん」 「それはもう、マスターさんと出会ってからが私の全てですから」 「意味深な台詞に聞こえますが、実はそのまんまですよね」 「そのまんまです」 さてさて、件の神姫センターですが、案内を確認するに1階が新製品や基本セットと言った目玉商品に、それから関連書籍と言った比較的ライトな層向けの商品、2階と3階がパーツの販売スペース、そして4階がバトルスペースとなっているようです。 そして1階でも(おそらく各階でも)、各所に設置されたモニターで4階のバトルのリアルタイム映像や、名勝負のリプレイなどが観戦可能になっております。 今も、かなりカスタムされたストラーフタイプが、マオチャオタイプを圧倒してる映像が流れています。現在の対戦風景のようですね。 マスターさんも足を止めて、その映像に目を向けました。 「あの黒いほうは……見たことがないタイプですね?」 「アレは悪魔型MMS『ストラーフ』ですね。天使型MMS『アーンヴァル』ともども第一弾で発売された武装神姫なのですが、第6弾まで発売されている現在でも武装性能・デザイン両面で人気が高く、再販時も瞬く間に売り切れ、現在は入手困難となっております。最近武装神姫の存在を知ったマスターさんには、なじみが薄いのも仕方ないかと」 「なるほど、根強い人気の武装神姫の基本形といったところですか。 ちなみに犬子さんは第何弾だったのですか?」 「第二弾です」 「犬子さんもわりと初期に発売されていたのですね」 「ええ、わりと」 「…………………………」 「…………………………」 「私たち第二弾の場合、第一弾の売れ行きを考慮して初回生産時から安定供給が図られましたから」 「僕は何も言ってませんよ?」 「…………………………」 「…………………………」 「コミック連載との連動企画で通信販売された第二弾のリペイントバージョンは、販売受付当日はサーバーがダウンするほどに注文が殺到し、その予定生産数を大幅に上回る注文数に販売形式を数量限定から受注生産へと切り替えられたりしているのですよ?」 「ですから僕は何も言ってませんから」 「…………………………」 「…………………………」 「さて、いつまでも通路で突っ立っていては他の方の邪魔になってしまいますね。まずはぐるっと見て回りましょう」 「ええ、行きましょう」 微妙に墓穴を掘ったような気がしないでもありませんでしたが、それはさておき深く突っ込まなかったマスターさんに感謝しつつ、私はマスターさんの胸ポケットの中で「おー」と拳を突き上げます。 『Winner:ローザリッタ! これにて12連勝中! さあ! 彼女の快進撃を止めるものは誰か?!』 そんな私たちの背後で、件のストラーフの勝利コールが高らかに鳴り響くのでした。 まずは、関連書籍コーナーです。 「現在、武装神姫関連の雑誌は定期刊行誌・ムックをあわせて80誌、書籍では1,400タイトルに及ぶと言われています」 「それが一所に集まっているだけに、壮観ですねぇ。これだけあると、何から手を出せばいいのか」 「武装神姫の知識を深めるならば、現在販売中の武装神姫たちを網羅し、バトルデータも充実、さらには限定コスチュームであるナースセットもついてくる[[『武装神姫マスターズブック』>http://www.konamistyle.jp/ecitem/item40748.html]] が初心者向けの手引書としてよろしいかと」 「ほほう」 「エンターテイメント作品ならば、7体の武装神姫とそのマスターとの交流を描いた小説[[『武装神姫 Always together』>http://www.konamistyle.jp/ecitem/item40768.html]]がネットで高評価を受けております」 「なるほどなるほど。販促義務ご苦労様です」 「いえいえ、お耳汚しを」 往来で、しかもマスターさんの胸ポケットに間借りしている身分としては、座礼が出来ないのが悔やまれます。 「ちなみにその小説だと、犬子さんの……ええと、ハウリンタイプでしたっけ? その武装神姫は活躍しているのですか?」 「いいえ、この小説におけるハウリンタイプへの言及は、同型機であるマオチャオタイプのレストアに際し、ハウリンタイプのパーツを流用した、との記述があるのみだそうです」 「……そうですか」 「そうです」 「…………………………」 「…………………………」 「ちなみに他に関しては、『ヒロインの兄が所持していた』という伝聞形式や、店頭に展示されていたという描写も含めるなら、第6弾までの全ての武装神姫の登場が確認されているとの事です」 「……そうですか」 「そうです」 「…………………………」 「…………………………」 「次にいきましょう」 「そういましょう」 泣いてなどいませんよ? 武装神姫には涙を流す機能は搭載されていませんから。 「うーん、こちらもまた色々ありますねぇ犬子さん」 「目移りしちゃいますよねマスターさん」 「……申し訳ない、目移りするほど違いがわかりません」 「……こちらこそ、話題の振り方を間違って申し訳ありません」 と、いうわけで、現在はウエポンパーツコーナーを見て回っています。 取り回しやすそうな短剣、炎を吹き上げる大剣、重厚な機関銃、神姫には長大なノーマルサイズのフォークとナイフ、ミサイルの詰め合わせ、なぜかモアイ像などなど……様々な武器が所狭しと陳列されております。 「こういったものも、いずれ買い求めるべきなのでしょうかね?」 「世間一般の評価では、基本セットだけでバトルに臨んでも遠からず行き詰ってしまい、上を目指すならばこういった装備を揃える必要があるとか」 「そういうものなのですか」 「そういうものらしいです。ですが、初めからバトル志向ならばいざ知らず、まだバトルを未体験で、どれほどバトルに力を注ぐか未知数な私たちは、慌てて買い求める必要もないかと」 「当分は、基本セットだけで十分と?」 「そうです。当面は基本セットを活用し、まずは自らのバトルスタイルの方向性を見極めることが先決かと存じます。幸いハウリンタイプの基本セットには、近距離から遠距離まで一通りの武装が揃っていますしね」 「実際に戦ってみて、要不要を見極めてからでも遅くないというわけですね、なるほど」 「ええ、それが妥当かと。マスターさん本来の武装神姫の活用目的を考えれば、バトルとは無縁になる可能性もありますし」 そこまで言って、私はいたずらっぽくウィンクなどを一つして見たりします。 「買い控えをお勧めするのは、販促義務には反するのですけどね」 「よろしいのですか、販促義務は?」 私の言葉に、マスターさんもくすりと笑って聞かれました。ですから私も、わずかに胸を張って応えるのです。 「ええ、こう見えても私も成長しているのです。初期プログラムに縛られず、『マスターさんにとって本当に必要なものは何か?』を自己判断できるようになってきているのですよ」 「『男子三日会わざれば刮目して見よ』、ですね。 いや、毎日顔をあわせてますし、男子でもないですし、そもそも武装神姫なんですけどね」 「マスターさん、そこまで丁寧に自己完結されると、ツッコミどころに困ります」 「や、これは申し訳ない……しかし、先ほどの関連書籍コーナーでは、販促義務が炸裂していましたよね?」 「そのあたりは、値段と必要度の兼ね合いの上と言いますか……ありていに言って『本の一冊や二冊、武装パーツに比べればものすごく安いですし』と言う表現が妥当なところかと」 「ぶっちゃけましたね」 「ぶっちゃけました」 こんな他愛ないやり取りをしているだけですっかり機嫌が直ってドッグテイルがぱたぱた動き続ける自分は、安上がりで幸せな武装神姫だと思うのです。 [[<そのろく>>土下座そのろく]] [[<そのはち>>土下座そのはち]] [[<目次>>犬子さんの土下座ライフ。]] ----