老松先生への質問会(2008年11月13日)のまとめ及びミーティング(2008年11月15日)のまとめ
文責:谷口陽介

Ⅰ.【明晰夢】
老松先生の専門ではないそうだが、先生が知っている範囲で教えていただいたことをノートにとった。
※明晰夢の基本的な概要についてはwikiるなりググるなりして下さい
※暗黙にされている前提など、色々細かいところを疑問に思うかもしれませんね。

明晰夢・・
最初から、指定した夢を見ようとする方法ではなく、あくまで何らかの夢を見た上でその中で動けるもの。個人差はあれど、ある程度思うとおりに行動出来る人はいる。(昔のシャーマンなど)
しかし、結局は思ったとおりに動けない場合もある。治療目的でやるわけだが、夢の部分でその場その場では思ったとおりになることはあっても、全体的には結局うまく行かないことが多い。自分の予期しない反応が夢のなかで返って来たりするため。

夢というもの・・
夢というものは、現実の刺激からも影響を受けているが、そのような意識的なものだけでなく、もう一方で無意識からも影響を受けている。

明晰夢のコントロールの仕組み・・
夢には自我と意識が関与している。
例えば自我の弱い人は、夢の内容が支離滅裂なものになってストーリーにならない。(つまりふつうの強さの自我をもつ人の場合は何らかのストーリー性があるということ)
自我と意識を関与させて、夢を操作することはできる。しかし、そのためには訓練が必要。
また、夢の中での自分の行動はコントロールできるが、夢全体の動きはコントロールできない。
夢全体は言わば無意識が生み出した「自分の内にある社会」であり、その全体の流れを意図的に操作することは出来ない。
あくまで与えられたフィールドの中で、プレイヤーとしての行動がある程度自由になる、と言った感じらしい。

明晰夢はトレーニングをしないと難しい。



Ⅱ.【夢の意義】

「いい」夢をコントロールで見られるか・・
本当の意味で深い感動を得られるような夢は、コントロールしないほうが結局は出会いやすい。
訓練してコントロールすることで、夢の中で行動を少し変えられる程度では、「手近な意味での心地よさ」しか得られない。

※ここで、夢に対する認識の違いをわたしは感じた。先生の立場は夢を非常に尊重している立場であり、機械を使って快適な夢を見ようとするような立場は夢を軽く扱っているのだ、という意図をわたしは感じた。

夢についての考え方・・
「夢見工房」で提示されている、良い夢を見る条件に「心配事を整理しておく」とあった。しかしそもそも心配事が整理できないから出てくるのが夢というものだ。
病気にかかったときに自己に生まれる免疫の働きと同じように、夢というものは現実から影響を受けた心が自己治癒するための薬の働きをすると考えられる。もちろん、働きが強すぎると逆に悪影響を及ぼす。

治療の際の方向性の違うふたつのアプローチ・・
①夢の対症療法
たとえば、不安を感じたときに、抗不安薬を出すようなやり方が対症療法的なやり方。一時的に治っても、再発しやすい。

②夢の根治療法
不安の根源そのものを治すやり方。
治療の際は、①と②をそれぞれの人に使い分ける。

①は、あっさり治したい場合。表面的なところで治すに留まり、夢自体が心地良いものになるわけではない。夢のポジティブなものだけ取り上げて、アクティブイマジネーションのようなことはしない。1~2ヶ月で治す。
②の場合は「神話的関心も必要」であり、時間がかかり大変。何年単位の治療になる。
※「神話的関心」とは恐らく、個人の心の一番深い所にあるとされる「普遍的無意識」にまで関わっていくための姿勢のようなものだとわたしは思います。



Ⅲ.【アクティブイマジネーション】
言わば瞑想の訓練。
夢をコントロールすると言うよりは、眠ったときに不快な夢を見ないように、自分のコンディションを整えておく訓練。
※アクティブイマジネーションの基本的な概要については、本を読んでください。
※「夜に意識が弱まって無意識に抑圧されたものが夢として出てきたときに、予め昼に意識のある状態でストレスのガス抜きやストレスのスムーズなやり場の確保をしておいて溜め込まないようにすることで、あまり不快さの無い無難な夢を見られるようにするための訓練」であるような印象を、わたしは受けました。
※あとで太田さんに「座禅と似てるね」と言われて、わたしもそうだと思いました。

前提:無意識の方に溜め込んだものが、意識の弱まっている睡眠時に、夢となって現れてくる。
↑これは重要です。

アクティブイマジネーションの効果・・
アクティブイマジネーションを始めると、夢の数は減っていく。また、夢の内容が可もなく不可もなくなる。
「無意識と意識のパイプを普段から広げておき」、ストレスのようなものを無意識の方に一方的に溜め込まずスムーズに流れるようにしておくことで、嫌なものが夢に流れてこなくなる。
「自分の中からわいてくるイメージを確保しておく場を作る」ことで、快のほうに行くかは別として、不快なものは夢に出てこなくなる。
絵を描いたり、箱庭を作ったりすることも効果的だが、アクティブイマジネーションが一番効果的。
早い人は2~3週間で効果が現れ始める。
五感ではなく第六感を使うのが得意な、「内向直観型」のひとが一番向いている。
※前提:人間のタイプは、「直観、感覚、思考、感情」のどれかを特に強く用い、それぞれに内向型と外向型があるという考え方に基づいていると思われる。(つまり、大雑把に分けて8タイプあることになる)
※『ユング心理学入門』を参照した。

われわれの姿勢に対する先生の意見・・
別に、心地よいことを夢の中でしなくても良いのではないか?昼間に心地よくなるように頑張ればよいではないか。昼は意識の支配下にある無意識を、夢を見てるときくらいは自由にさせてあげればいいのではないか?。
普段、外にある現実に対する適応ばかりわれわれは考えてしまいがち。だが、われわれの心の中で自律的に動いている内的社会は、より広い。そのなかで上手に内的適応をしよう(良い夢、都合の良い夢を見よう)としても、難しい。
夢の中をいいことだけにしようとするのは、現実の社会のなかをいいことだけにしようとするのと同じようなものではないか。
※前提:先生は、夢の世界を非常に尊重している立場。現実の外的世界と同じくらいの(それ以上の)重みを、心のなかの世界に見出だしていると思われる。

キリストについて考えるとき、父と子と精霊だけでなく、悪魔の存在も見ようとしないと全体像にならない。全体のバランスが大事。
心も一緒で、両面を見ていかないといけない。意識と無意識のバランスが大事であり、意識の側から一方的に、無意識の側を心地よいものだけにしようとする(お手軽に良い夢だけをみようとする)のはいかがなものか。あたかも、社長がイエスマンだけを自分の周りに置く会社のようになってしまうのではないか。

Ⅳ.【最後に】
「そもそも夢を重要視しない立場もある。しかし、治療の実績等を考慮すると、夢に何らかの無視できない重要性があることは確か。まあ、『こういう見方がありますよ』ということを分かっていただければよい。」というようなことを先生はおっしゃった。

これからすること・・
手法の確立。
①夢見工房の側から、実験の条件や手法をまとめる。
※太田さんはやってくれそうかなぁ。
②アクティブイマジネーションの側から、実験の条件や手法をまとめる。
※老松先生の本を読む必要があります。谷口以外にもう一人お願いしますよ
実験
①②をともに実験すると思います。
ドリームチームは強制参加ですよ
あと協力者も募る。

まとめるならこんな感じでしょうか。思ったよりずっと時間がかかってしまいました。すみません
荒田さんもメモとってらっしゃったので、補足あればお願いします。
太田さんの目からも補足お願いします。頼りにしてます。
最終更新:2008年11月17日 13:42
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