MLに流したワードの単なるこぴぺです。

あと太田さんのpdfが「中間発表のネタ」という目的にとてもいいと思います。。
仕事人ですね。。お疲れ様でした。

以下コピペ

『夢がもたらすもの』について

2008年10月6日(月) ドリームチーム 谷口

【夢のもつ作用および、それをもとにした夢分析についてまとめてみました。】

本文はユング派の臨床心理学者である河合隼雄の考えに基づいてまとめてある。
河合隼雄の『人の心はどこまでわかるか』(2006年、講談社+α新書)及び『コンプレックス』(2005年、岩波新書)の内容を要約してみた。

Ⅰ夢の持つ作用
夢・・ 普段、自我によって意識的に深いところに抑圧されていたものが、自我の抑制が弱まる睡眠時に表出してきてできるもの。
     夢を分析することで、本人が自分でも気づいていないような、心理面での深いところにある問題点を見つけられる可能性がある。

 夢をみるひと、みないひと
  夢について、そもそも何の興味も持たないひともいるだろう。
河合隼雄は『人の心はどこまで分かるか』で以下のような質問をされている。

「エリートのサラリーマンなど現実世界で外向的に忙しく働いている人たちの多くが、夢分析の場でも、ほとんど夢を見ないか、見てもとても現実的な単純な夢しか見ないようですが、これはどのような心の働きなのでしょうか。」(202)

   河合隼雄は、このように答えている。
   外交的な人も夢は見るけども、いちいち内容を気にしたり覚えたりしていられないだけだと思われる。彼らは日常生活をこなすためには夢のことなどあれこれ気にしていられないだけだ。
人間には内側を見るほうが好きな人と、外を見るのが好きな人とがいるようである。前者は夢で考えて、後者は現実の中で考えるのではないか。

   つまりわれわれのチームは、前者の立場に立って夢について考察するわけである。そもそも夢に意味があるのか、という議論はわざわざしないでよいということになるのではないだろうか。

Ⅱ個別的な事例

 夢のもつ作用を活かし、夢の分析をすることで、現実での精神活動に何らかの支障をきたしている患者のたすけになる側面がある。臨床心理士として患者に接してきた河合隼雄が、患者の見たという夢を分析することでその精神活動の不具合を解消する手助けをしてきた例がいくつも本に載っていた。その一部分をここで紹介したい。

 夢の分析が効果的だったケース(『コンプレックス』より)
患者について
40を超えた男性。真面目で努力家で、勤めた企業でついに社長の片腕になるに至った。仕事は面白いし、社長の信頼も厚いし、毎日やりがいを感じていた。しかしあるとき急に仕事に熱意を持てなくなり、体はだるくなり、「心因性抑うつ病」にまでなってしまった。

夢の内容
患者が出社すると、以前会社の金を横領して退職した新人の部下が出社していた。不思議に思い、患者は「君はもうここの社員ではない。帰れ」と言うが、なぜか社長は「彼は優秀だからそのまま雇う」と言い、患者はあっけにとられた。

 夢の分析
  患者は、自分は盗みなど不正を働いたことはなく、絶対的に悪いことだと思っている。社長も同じで堅い人間なのに、夢の中では、不正を働いた社員を再雇用したのは納得できないと思っていたようだ。
  しかし分析を進めると、この横領を働いた社員こそが、患者のコンプレックス(Ⅲを参照)が表出したものだったのだ。ここは、社長から何かを奪うことは悪いことではなく、むしろ社長は是認していると考えることが出来る。つまり、患者は社長から独立して自分で会社を経営したいと思っていたことが分かった。

 患者の事情
この患者は、40過ぎになるまで社長の元で忠実に仕事をしてきたが、その生き方を変えて、自分が長となって生きたいという意志が最近になって芽生え始めた。その気持ちに自分で気づいてはいたが、それに伴う危険への怖れや社長に反抗する罪悪感などの抵抗があって、実現する気になれない。そのせいで「抑うつ病」になっていたことがわかった。

 ※抑うつ病の詳しい説明は割愛。(というよりわたしがよくわかってません) 
 ※個別のケースは他にも色々あると思われる。

逆に、夢の分析があまり期待できないケース
  自我が弱いために深い夢を見る患者の場合
※河合隼雄は、ユングの考える心理構造をもとに考察している。
夢のイメージは、まず①表層的な自我(意識)に関するものが見える。
それよりも深くなっていくと②個人的無意識の内容がイメージにあらわれてくる。
   さらに深く分析していくと③普遍的無意識の内容が見えてくる。このイメージは神話的で、感情体験もつよい。

夢のイメージは、順番に少しずつ深く探っていくことが大事だが、そのような経過を経ずにいきなり深いところのイメージが現実に影響を及ぼすようになると注意が必要。
自我が弱く、③が①にいきなりつながって出てくるような患者は、現実と夢の区別が曖昧になる危険があるので、自我を鍛えさせながら夢を分析するようにしないといけない。

患者が子供の場合
   子供は夢と外的現実がごちゃまぜになることがあるので注意が必要。

「子供の夢は非常に分かりやすいものですが、それはまだ自我が確立していないからに過ぎません。そこをこちらが勘違いし、深いものが出てきたと思って喜んだりすると、子供は、夢のことを言っていたら相手は喜ぶだろうというふうになってきて、ますます現実と混乱するようになってしまいます。」(『人の心はどこまでわかるか』170頁)


Ⅲ参考までに(『コンプレックス』より要約。)

コンプレックス・・「通常の意識活動を妨害する」ような、「何らかの感情によって結合されている心的内容の集まり」(13)

コンプレックスに対するフロイトとユングの考え方の違い
フロイトにとってはコンプレックスは自我にとって受け入れられず抑圧されたものであり、コンプレックスの表出は何らかの意味で病的なものとみられ勝ちであった。(65)
   ユングはコンプレックスの表出はマイナスの面もあることを認めた上で、そこに人格の発展の可能性として、目的論的な見方を導入した。(65)

③の普遍的無意識について
あまり突き詰めすぎると原理(アニマ、集合的無意識など)の話になり、だいぶディープな内容になっていってしまうだろう。考察しないほうが良いかもしれない。
最終更新:2008年10月06日 11:56