さくなな丘 脚本第一稿


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●この物語の登場人物

  • 黒野
23歳で童貞
そのことに少しは危機を感じている。
無職。 
かなりの甘党である。
音楽があまり好きじゃない。


  • マイコ
キャバクラで働く女性。
23歳くらい。
桜ヶ丘に登って富士山を見に行くのが好き。
東京に引っ越そうとしている。


  • ニック
自称トムクルーズに似ている外国人。
風俗に対して豊富な知識を持っており、特にデリバリーヘルスを愛用している。
彼女は五人いる。







●物語

○シーン 道
黒野とマイコ、二人が路上で話している。
黒野「え、なんて言ったの?」
マイコ「だから好きなんだよね。」
黒野「え?」
とまどって動揺を隠せず、とりあえずタバコを吸う黒野
マイコ「いやだから好きって言ってるじゃん」
黒野「だってマイコ、お前キャバ嬢だろ?キャバ嬢の好きは、お前あれだろう、なあ、さすがに」
黒野歩き出す。
マイコ「ねえ、黒野って音楽何好き?」
黒野「俺、音楽あんま好きじゃないんだよね」
マイコ「え、まじで。あたしは好きだよ」
黒野「だって中学校の音楽の授業とかつまんないじゃん」
タバコを路上に捨てて、火をを足で消す黒野。
黒野がマイコより先を歩いている。
マイコが捨てたタバコを拾って、前にいる黒野を追いかける。
マイコ「だめじゃん、捨てたら。」
黒野「あ、ごめん。」
マイコ「明日さ、桜ヶ丘に登って富士山見に行こうよ。」
黒野「桜ヶ丘、この前行ったばっかだよね」
マイコ「また行きたいの」
黒野「ああ」
マイコ「あと言っておくけど、あたしキャバクラやめたからね。」

●タイトルクレジット:さくらな丘
丘の上から町を俯瞰する映像

○シーン 路上
車の前でタバコを吸ってる黒野とニック
黒野の語り「次の日二時間待っても、マイコは来なかった。」
黒野「おそいな」
ニック「ほんとにおそい」
紙コップのコーヒーを飲んでいるニック。黒野は大量のスティック砂糖をコーヒーに入れている。
黒野の語り「もしも俺が童貞じゃなかったとしたら、コーヒーに砂糖をこんなにたくさん入れないのかもしれない」
アメリカ人のニックが黒野が砂糖を入れているのを見て、
ニック「コーヒーはブラックだね」
黒野うなずく
黒野の語り「だけど、23で童貞っていうことは、世界的にみたら案外普通なんじゃないか、なぜかニックを見たらそう思った。」
黒野が質問する。
黒野「あのさ、ニック。」
ニック「ん、なに?」
黒野「童貞って日本語わかる?」
ニック「どうてい?わからない」
黒野「童貞って、チェリーボーイ。」
ニック「ああ、チェリーボーイ」
黒野「俺さチェリーボーイなんだよね。」
ニックすごい驚いた顔をする。
ニック「それすごいださいことだよ。っていうか、きもいよ。俺は彼女五人いるよ」
黒野ショックを受ける。
黒野「・・・五人ってすごいな。」
タバコに火をつける
ニック「じゃあ風俗でもいこうか」
黒野「風俗とかめんどくせえよ」
ニック「あっちに安い店あるよ」
黒野「絶対いかねえ」

○シーン 車の中
車の中にニックと黒野がいる。ニックが運転席、黒野が助手席。
マイコがやってくる
マイコ「ごめん遅くなって。」
ニック「マイコなにしてた」
マイコ「いやあなんかね、いつも指名くれてた人がね、お店やめるって言ったら、最後に一回会いたいって言って」
黒野「ああ、そうなんだ」
マイコ「で、これくれたの」
マイコは札束の入った封筒を取り出した。
ニックに手渡す。
ニック「すごい量の福沢諭吉」
黒野が覗き込む。
黒野「うわ、これすげえじゃん」
ニック「返さなくていいの?」
黒野「そうだよ、マイコそれ返さなくていいのかよ?」
マイコ「うん、ほんとに要らないって言ったんだけど、どうしても受け取ってほしいって言うからさ。」
ニック「じゃあいいか」
黒野「俺今日は帰るわ」
マイコ「なんで?桜ヶ丘行くって言ったじゃん」
ニック「どうしたの」
黒野「用事思い出した。」
マイコ「用事ってなに?黒野バイトも何もしてないじゃん。」
黒野車の外に出る。
マイコも追いかけて外に出る。
車の中からだと二人は何を喋っているかわからない。
マイコ、黒野に札束の封筒を渡す。
が、黒野はそれを受け取ろうとしない。
黒野はどこかへ行ってしまう。
マイコ車の中へ戻ってくる。
ニック「どうだった」
マイコ「いや、黒野ってよくわかんないね」
ニック「黒野どこいった」
マイコ「わかんない」
ニック「黒野とマイコ付き合ってる?」
マイコ「付き合ってないよ、付き合ってない」
ニック「そっか」
マイコため息をつく

ニック「俺トムクルーズに似てないかな?」
マイコ苦笑い

○シーン ビルの屋上
翌日、黒野が一人でビルの屋上にいる
ここで飛び降りるみたいに柵を越えようとするが、途中でやめる。
富士山は、天気が悪くて見えない。


○シーン ニックの家
黒野玄関から、靴を脱いでニックの部屋にあがるところ
黒野「このまえ、マイコと桜ヶ丘行ったの?」
ニック「桜ヶ丘に行ったけど、結局富士山見えなかったね」
黒野、ニックの隣に座る
ニック「じゃあ、デリヘル呼ぼうか」
黒野「なんでだよ」
ニック「いずれにしても童貞はやく卒業したほうがいい」
ニックが電話をかける。
ニック「トムクルーズですけど、いや、トムクルーズです。はい。ケイティホームズみたいな子がいいんですけど、お願いします。」
ニック電話をしまう。
黒野「ケイティとか誰だよ。めっちゃお前の好みじゃん。そんなんで来るのかよ?」
ニック「くるよ、何回も呼んだことある」
黒野「高いんじゃないの」
ニック「高い。でも金は持ってるから」
黒野「ああ、そっか。ていうかマイコなんでキャバクラやめたの?」
ニック「東京に引っ越すって言ってた。」
黒野「引っ越すの?まじで」
ニック「そうだ、黒野に渡しといてって。マイコからプレゼントがある。」
ニックがポケットから鍵を取り出して、黒野に渡す。
黒野「なにこの鍵?」
ニック「コインロッカーのだって」
黒野「マイコいつ引っ越すって言ってた?」
ニック「今日」
黒野「今日?」
ニック「今日だよ」
黒野「まじで?」
ニック「まじだよ」
〔すこしの間〕
黒野「デリヘルって何分くらいで来る?」
ニック「30分くらいじゃないか」
ピンポーン、と鳴る。
二人が玄関の方を同時に見る

○シーン 駅のコインロッカー
黒野が歩いている後姿。
語り「マイコがこの町から引っ越すのは寂しい、でもいなくなった後で儚いもんだったとか、大事にしとけばよかったとか、そう思いたくないだけだった。」
黒野、コインロッカーまで行く。
ポケットから鍵を取り出して鍵を開ける。
中には、CDウォークマンが入っている。
黒野はCDが入ってるのを確認してから、イヤホンを付けてみる。
語り「意外だった。ロッカーを開けたら手紙とかもっと違うものが入っている気がしていた」
黒野、CDの再生ボタンを押す。
【音楽】が流れ始める。
黒野、そこから歩き出す。

○シーン
ニックの家
ニックがベッドの上で、裸のままうつぶせに寝転がっている


○シーン
ブランコのある広い公園
マイコが、砂場にかばんを投げて、ベンチに座る
涙を抑えるようにして、手で顔を覆っている

○シーン
町中
黒野がウォークマンを聴きながら、どこかへ向かって歩いている。
黒野がウォークマンをはずす。
【音楽】が止まる
黒野が携帯電話を取り出して、電話をかける。

○シーン
二人が電話している
黒野「もしもし」
マイコ「もしもし、どこにいるの?」
黒野「わかんない、」
●暗転
黒野「ここって一体どこなんだろう」
マイコ「あたし、引っ越すのやめちゃった。いまから桜ヶ丘に富士山見に行こうよ。」
黒野「あのさ、これ誰の曲なの?」
●エンドロール
【音楽】再開

○シーン
ニックの家
ニックがうつ伏せから仰向けになる。
天井を見上げながら悔しそうに言う。
ニック「もうなんだよ、チェンジできないとか聞いてないよ。」
テーブルの上に置いてある札束の入った封筒から一万円札が一枚だけ飛び出している。
【終わり】