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黒の皇子――――――その呼称は彼の容姿からつけられたもので、不名誉な蔑称であった。


彼の容貌は、この国ではとくに目を引くのだった。
髪は艶やかな濡れ羽色で美しかったが、この国で黒は忌むべき色とされていた。
さらに、生母は美しかったが他種族の娘で、容貌もこの国のものとは少し異なっていた。
こういったことから、彼は皇子という身分ではあったが、孤独で辛い境遇に幼い頃から身を置いていた。


自然と自分の顔の造詣、髪の色…自分の持つすべてが憎いと思えてくるのは不思議なことではなかった。
だが、そんなときにはいつも、彼は思いだすようにしている。
今となっては、人生で一番誇らしく、輝かしいと思える、あのやり取りを。

彼女は綺麗だと言ったのだ。
この忌色を。

そして、触れてくれた。
貴重なものだというように、大事そうに彼の髪に。
母以外に、温かい情を持って触れたものなど、いなかった。

「」