第二十話 死亡への旗

「さて、さっき言ってたここの主の面でも拝みに行ってくるわ」
「待て、その言い方だとまるで一人で行くように聞こえるんだが」
「あぁ、うん。一人で行ってくる」
「一人でって…無茶言うな!それじゃあ死にに行くようなもんだぜ!?」
「無茶言ってるのはどっちだよ…その様子じゃついてこれそうにないだろ」

先ほどまでの恐怖と安堵からか、魔理沙の足は地面にへたりこんで動けるとは思えない

「でも…でもここでまたお前が…」
「大丈夫大丈夫、死にはしないよ。多分。」
「…分かった、これ持って行ってくれ」

魔理沙の手から金属が宙へと投げられる

「八卦炉…いいのか?」
「絶対に死なないで返すこと!分かったか!?」
「…了解、すぐ帰ってくるよ」
「じゃあ魔理沙は私が預かっておくわね」
「あぁ、頼んだ」

預かるという名目で何をしでかすのだろうか、まぁ一人帰らせるよりはましか…
さて、住人の責任は主の責任。しっかり落とし前付けてもらおうじゃないか

「というわけでメイドさん、案内頼むよ」
「…咲夜でいいわ」
「おっと、こりゃ失礼…それじゃあ咲夜さん、改めて案内頼む」


長い廊下をひたすらに進む
それにしてもこの館の広さは何なんだ…廊下でさえ戦場になるほど広い
そして何より長い、外観からは想像できないくらいに廊下が広がっているように思う


「さて、ここがお嬢様の部屋よ、決して無礼はしないように…言っても無駄でしょうけど」
「分かってるじゃないか、そもそも客人に対する礼儀が無いのはそっちだぜ?」
「だから貴方は客人じゃないの…お嬢様、例の外来人を連れてまいりました」

咲夜がコツコツと扉を叩く、その音に続いて聞こえてくる声

「分かったわ、入れなさい」

少女の声…?

「ほら、入りなさい」

咲夜に促されて部屋へ入る
凄い広さだ…これほどまで広いと本当に室内なのかと疑わしくなってくる
そしてその部屋の奥、小さな人影が

「貴方が例の外来人?パチェに勝ったそうじゃないの」
「そもそも戦う気なんて端から無かったんだけどな、手荒い歓迎感謝するよ」
「あら、中々口が回るようじゃない。そういうの嫌いじゃないわよ?」
「そりゃどうも。で、あんたの名前をまだ聞いてなかったが?」
「人に名前を聞く時は自分から名乗るものよ?私は…いえ、名乗る必要は無いわね」
「あん?」
「これから殺す相手に名前を名乗る必要は無いもの」

そう言った彼女は背中に付いた悪魔のような羽で宙へと浮く
そしてこちらへ向けてにこりと微笑んだ
勿論、好意のある笑いで無いことは明白であったが

「そうかい、俺の流儀には反するな」
「流儀?」
「倒す相手には必ず名前を名乗るってことさ、ちなみに俺の名前はプロト・ガービッジだ」
「それはつまり私を倒すってこと?」
「ま、解釈はそっちに任せるぜ」
「中々ジョークが好きなようね、すぐにそんなこと言えないようになるんでしょうけど」
「はは、冗談きついぜ全く!」

言い終わる前に彼女に向かって飛びあがり、殴りかかるが目前でかわされた
続いて、左の拳でボディブローを狙う。だがこれも避けられる
三度目の正直、とばかりに蹴りを狙うもこれもまた不発
この立て続けに外れる攻撃に戸惑いながら距離をあける

「攻撃が当たらない…?」
「どうしたの?まだ私に触れてすらいないじゃない」
「うるせぇ、今からやるんだよ今から」

鞄に手を回し、剣を取り出す
それは向こうの世界でずっと共に戦ってきた相棒達とも呼べるものであった

「久々にお前らの力を借りるぜ…」

体が白く光り、赤い稲妻が体表を走る

「あら、中々綺麗じゃない」
「そうか綺麗か、じゃあ目を離すなよ?」

次の瞬間、彼女の目の前に紅の閃光が姿を現す

「瞬間移動!?」
「流石にこれなら…!!」

だが、剣は空しく宙を斬る

「何でだ…?何で当たらない!?」
「貴方、私の能力知らないんでしょう?」
「能力…まさかどっかで聞いた運命を操るとかじゃないだろうな」
「その通り、さっきからあなたの運命をいじって当たらないようにしてるの」
「なん…だと…?」
「でもこちらからの攻撃は当たるのよ、ほら」

身を翻したかと思うと一瞬でこちらへと近づいていた
そして、頭に強烈な踵落としが落とされる


























東方って能力に差がありすぎない?
最終更新:2010年09月25日 00:57
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。