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2006/03/31

『ユストゥス・メーザーの世界』 著:坂井榮八郎

2004 刀水書房 248P

日本初・メーザー論の単著。

もっとも、メーザー論といっても、著者独自のメーザー論はほとんど載っておらず、

紹介に終わっている感がなきにしもあらずですが、この場合仕方ないことですね。

まだまだ深く掘り下げるのはこれから、これは準備段階、そんな感じがします。

そもそも専門論文を探しても五指程度のものなので、メーザーに興味ある者にとっては非常にありがたい一冊。

近いうちにメーザーの訳書が出されるそうです。

メーザーって一体誰よ、っていう人が多いかと思いますが、

18世紀ドイツにおいて、ハーマン、ヘルダーと並ぶ偉人ではないかと。

少なくとも、経済学・法学・史学で後々に多大な影響を与えている人物です。

(それぞれリスト、マルサス、サヴィニー、ランケ他多数に影響を与えている、と云えば分かりやすいでしょうか)

内容は、最初に小伝、続いて解題と訳文、最後に講演文になります。

推奨度

★★★★★

大見出し

ユストゥス・メーザー小伝

悲劇アルミニウス 『オスナブリュック史』序文 ドイツの言語と文学について

ゲーテとメーザー 日本におけるメーザー研究

 

2006/03/30

『ルネサンス』 著:ピーター・バーク 訳:亀長洋子

2005 岩波書店 111P

ヨーロッパ史入門シリーズ。

ルネサンス入門としてはまず読んでおいて損はない一冊。

ルネサンスとは何か、どういうものだったのか、いつまで続いていたのか、終わりなんて来たのか、

そういった疑問に応えるためにバークが簡易な文体で著した一冊。

ただ、人名がずらずらと恐ろしいほどに出てきますが、読者が知っていること前提で話が進むので、

全く知らない人にはキツイかもしれません。

しかし骨となる部分は人名など全然関係無いので、細部を気にしなければ普通に読み通せます。

訳者が云っているとおり、イタリアに留まらず、

しかもポーランドなども周縁として扱わずにヨーロッパ全体をメインとして考えているあたり、

バークの美味さがあります。

「ある運動がいつ終焉したかをいうのはつねに難しいし、

さらに非常に多くの地域や芸術が関わるとなると二重に難しい。

この場合、「終わり」という言い方ははっきりしすぎた、また決定的すぎる言葉である。

もっとよい語は「拡散」であろう。

ここで重要なことは、明確な目的をもった少数の人々の運動として始まったものが、

普及するにつれて徐々にその統一性を失ってしまい、その結果、誰もしくは何がそれに属するのかを決めるのが、

時代がたつにつれてだんだん難しくなってくるということである」

推奨度

★★★★★

大見出し

ルネサンスと神話 イタリア─復興と革新 外国におけるルネサンス─もしくはイタリアの使用 ルネサンスの拡散

 

2006/03/29

『規範と価値判断』 著:M・リーデル 訳:宮内陽子

1983 御茶の水書房 160P

日本ではヘーゲル論で有名なヘーゲル学徒ですが弁証法を使わない稀有な人。

全体的に、非常に分析哲学的な手法を取り入れていて、基礎的な命題論理を知らないと話になりません。

後半に載っている対談の部分は比較的平易で読みやすい上に、彼の哲学的立場を明快にしているので、

そちらから先に読むといいかもしれません。

彼がハイデガーとブロッホを最高に評価しているというのは、興味深い。

「イデオロギーは全体についての概念的根本前提を明言しますが、そのとき、それが用いた概念の釈明をしません。

イデオロギーとともに導入された限界づけの基準は、

とうぜん真理と仮象の避けがたい区別を手引きにしながらさらに精密にされ、

歴史的、伝統的な哲学的思考そのものに適用されるべきでしょう。

概念の解明なしには哲学はともすればイデオロギー病にかかります」

推奨度

★★★★

大見出し

倫理学の基礎部門としての行為理論 道徳規範と法規範 規範倫理学か意思疎通倫理学か 規範・価値・価値解釈

科学・イデオロギー・実践哲学

 

2006/03/28

『近代国家の覚醒』 著:エストライヒ 訳:阪口修平/千葉徳夫/山内進

1993 創文社 156P

エストライヒの論文三本立て。

後二つのものは非常に専門的ですが、最初のリプシウス論は是非とも読んで欲しいと思う一本です。

ボダンに並び(あるいは彼を越え)グロティウスの師でもある、近世の新ストア主義金字塔でもある彼が、

こんなに名前を知られていないというのは泣くに泣けないほど。

思いきり端的にいってしまえば、マキアヴェッリに徳をくっつけタテマエを覆い被せた感じです。

「リプシウスは、ローマ・ストア哲学を新たに捉え直し、その世界観を基礎として、

常備軍やその他の軍事力に体現された恒常的暴力(vis)を無条件に肯定するように人間の心理的、

精神的態様を転換させた。

近代的権力国家の担い手としての君主政、官僚制、軍隊は、

とりわけローマ・ストア的な徳・義務論の精神を受け入れ、

それらが言わば戦う教会(ecclesia militans)を形成したのである」

推奨度

★★★★

大見出し

近代的権力国家の理論家ユストゥス・リプシウス ドイツにおける身分制と国家形成 ポリツァイと政治的叡知

 

2006/03/27

『マンガ量子論入門』 著:J.P.マッケボイ 絵:オスカー・サラーティ 訳:治部眞里

2000 講談社ブルーバックス 187P

マンガといっても勿論コマ割りがしっかりしていて、というものではなくて、

大量の挿絵があってセリフがちょこちょこ出ていて、というもの。

絵自体は面白いのですが、思いっきり凝縮していて要約的になっているので、

かえって入門としては分かりにくくなっているかもしれません。

丁寧な説明は無いです、重要なエッセンスだけ抜き出し的な感じ。

しかも量子論の前史が大半であり、量子論そのものの紹介は必定薄くなっています。

そこが難点ですが、単純に手にとりやすいというのはやっぱりありますね。

推奨度

★★★★

 

2006/03/26

『はじめてのインド哲学』 著:立川武蔵

1992 講談社現代新書 225P

Lily Bellさんが気軽にくれたもの、ありがとうございました。

西田読んでいる今なら何かつながるところがあるかな、と思って読んでいましたが、

そんなに深い解説というわけでもないので特に繋がらず。

まあ当たり前ですね、はじめての、と謳っていて、

この深く立ち入らない解説でも初学者にとってはチンプンカンプンなインド哲学を、

いきなりごちゃごちゃ深々と語り出したら誰でも本を閉じてしまうことでしょう。

というわけで、解説は深くはないけれどそもそもインド哲学自体が深すぎるので、

それこそ入門には最適といった趣ですよ。

推奨度

★★★★

大見出し

自己と宇宙の同一性を求めて 汝はそれである─ヴェーダとウパニシャッドの世界 仏教誕生─ブッダからアビダルマへ

バラモン哲学の成立 大乗仏教の興隆 バラモン哲学の展開─ヴェーダーンタ哲学 タントリズム(密教)の出現 世界の聖化の歴史

 

2006/03/25

『英単語この意味を知ればこわくない』 著:栗原優

2000 講談社現代新書 204P

約90の単語の意外な意味を紹介。

中にはこんなのフツーに知ってるよ、というものもあれば、本気で驚くものまで。

coachってバスという意味があるんですって!

そりゃ色んな意味ありますよね、簡単な単語ほど色んな意味があって訳しづらかったりするものです。

複雑ならば、それだけ限定的。

複雑なはずの単語を色んな意味で使う人がいるから哲学が難解になったりするんですけれどね!

推奨度

★★★★

大見出し

airからcrossまで darkからgreenまで handからplanまで reformからyellowまで

 

2006/03/24

『変容する近代東アジアの国際秩序』 著:茂木敏夫

1997 山川出版社 90P

世界史リブレット。

いわゆる西洋中心主義の近代的国際秩序からしたら、中華秩序は野蛮で無秩序なものと見られがち。

ですが、中華秩序はこれはこれできっちり上手い具合に良く行く制度だったのですね。

だからこそ徳川日本も日本型華夷秩序というものをつくろうと苦心したわけで……それはさておき。

その中でも、特にめぼしい指摘は、アヘン戦争の影響について。

アヘン戦争後の条約が中国の近代国際政治参加を促した、と解釈されがちですが、本当は違う、と著者は主張。

「上国である中国のほうがゆずることによって、あえて不利な立場に立つのはむしろ大国としての当然の配慮だった。

「不平等」な規定が、かえって中国の階層的世界観を正当化し、補強する作用をはたす結果となったわけである。

つまり、これらの条約によって、中国は、自らがこれまでとは異なる世界秩序に組み込まれたとも、

他国と対等の国際秩序に組み込まれたとも理解することはなかった」

同感です、その通りでしょう。

だから現在でもよくおかしなことを言い出し(ry

推奨度

★★★★

大見出し

中華世界の現在 東アジアの伝統的国際秩序 東アジアにおける近代世界の登場 中華世界による近代世界の包摂

中華世界の「近代」的再編 中華世界の崩壊と新時代

 

2006/03/24

『話し上手のひとこと英会話』 著:白田則子

2005 NOVA 207P

「ヨクデキマシタァッ!!」の駅前留学NOVAが出版、なだけあってか、読みやすい。

本来そんな読むものでもないのでしょうけれど、レイアウトもスッキリしていてデザイン良い感じ。

内容は本当にちょっとした一言のものです、あぁそうかこういう言い方があるのか、と納得納得の連続で、面白い。

あっという間に読み終えられます。

覚えなきゃしょうがないのでしょうけれど。

推奨度

★★★★

大見出し

思いやりの言葉をかけたい 感謝の言葉を添えたい 「すみません」と言いたい うれしい気持ちを伝えたい 気配りを示したい

 

2006/03/23

『理系のためのTOEIC学習法 正解率を上げる16の法則』 著:小坂貴志

2004 講談社ブルーバックス 154P

理系で研究職に就いている人しか活用できない学習法……。

対象限定されすぎ。

いや応用すれば、結構色んな分野でもできないことはないですけれど……、いや無理かな。

読む人が読めばきっと活用できるんでしょう。

私は特に、大体目新しいこともなく。

何かもっと数理的というか論理学的なことを期待していたのに。

推奨度

★★★

大見出し

理系は英語脳だ リーディングはじめの一歩 論文で文章の流れをつかめ 電子メールで文章読解 特殊で複雑な文章を読み解く

 

2006/03/22

『抽象絵画への招待』 著:大岡信

1985 岩波新書 186P

岩波新書の黄色って名著が多いですよね、そう思います。

岩波新書初のカラー刷らしく、力が入っています。

それでいて値段はお手頃なので、かなりオススメ。

著者は詩人ですが、いやだからこそというべきでしょうか、文は上手いし、

抽象芸術に対して的確なコメントと紹介をしていて、そうだそうだ、そうかそうか、と膝を叩いてしまう感じ。

推奨度

★★★★★

大見出し

芸術の意味 現代の抽象絵画 芸術と時代 回想的エピローグ

 

2006/03/21

『ギリシア哲学と現代─世界観のありかた』 著:藤沢令夫

1980 岩波新書 210P

藤沢さんの中で一番最初に読む本はどれがいいか、と云われたら、これをオススメします。

彼なりの思索で導き出した、現代の問題への答えが、ハッキリとではないですが、朧気に書かれています。

(論として朧気というのではなく、こんなの結論としては朧気にする他無い)

簡単に「こと」の哲学と断じて欲しくはない、と云っていますが、

そこまで深く突っ込んで語っているわけではないので、いわゆる「こと」の哲学とどれくらい違うのか、

というのはハッキリしていません。

ですが面白いです、それは確か。

京大出だからなのか、西田な匂いがぷんぷんしますが、西田の名が一度も出ていないのが不思議、

どうなんでしょうねこのあたり。

「要するに、解体しなければならないのは、虚構としての「物」であり、尊厳性を確保しなければならないのは、

天然自然の物とでも申しますか、つまり真の個体としての物であります。

後者すなわち真の個物とは、さまざまの性質なり属性なりのたんなる──つまり、何の根拠も必然性もない──

集合とけっして等価であるとは思われない」

推奨度

★★★★

大見出し

古代劇場をめぐる光景と現代の<状況>について 近代自然科学と、二元論的下絵の定着 いくつかの基本的問題点

歴史的=原理的遡源 哲学的世界観の方向性と諸条件 プラトンの哲学について アリストテレスの哲学と<エネルゲイア>の思想

 

2006/03/20

『東アジアの「近世」』 著:岸本美緒

1998 山川出版社 82P

世界史リブレット。

見出しの通り、銀、生糸人参、火器、煙草といった物品を中心に、東アジアの交流を見ていくというもの。

もちろん中心は中国であり、日本もちょこちょこと出てくる感じです、銀発掘とか。

東南アジアはそれほど深く絡んできませんね。

推奨度

★★★★

大見出し

「近世」の意味 貨幣への欲望─銀 南と北の花形商品─生糸と人参 戦争と技術交流─火器 新しい作物─煙草と甘薯

 

2006/03/19

『ビザンツ帝国史』 著:ポール・ルメルル 訳:西村六郎

2003 白水社文庫クセジュ 171P

文庫クセジュにしてはかなり読みやすい!

革新的にすら思えてしまいます、やはり訳者の腕だったのか……。

ビザンツ史は弱いです、ほとんど知りません、もっと強化せねば、と思います。

一般的にも、もっと脚光を浴びて欲しいところですし。

文化史的にはとても面白いのですけれどねー。

それにしても、エペイロス専制君主国だとか、トレビソンド帝国だとか、

このあたり、まだまだ知らない国がいっぱいあるもんですね……。

単にラテン帝国と一括りにするのは大間違いというわけですか。

推奨度

★★★★

大見出し

コンスタンチヌス─キリスト教の東洋風君主政治 コンスタンチヌスからユスチニアヌスまで─異端者および蛮族との戦い(337~518)

ユスチニアヌスの世紀(518~610) ヘラクレイオス王朝とローマ帝国の終焉(610~717)

イサウリア王朝とアモリア王朝─聖像破壊(717~867) ≪マケドニア≫王朝と帝国の全盛(867~1081)

ビザンツと十字軍、コムネノス家とアンゲロス家、ラテン諸国とニカイアのギリシア帝国(1081~1261)

パライオロゴス家とビザンチン帝国の失墜(1261~1453)

 

2006/03/18

『異端審問』 著:渡邊昌美

1996 講談社現代新書 218P

著者が後書きにも書いているとおり、重いです、テーマがテーマだけに。

まぁ、魔女狩りと異端審問は違いますよ、と。

ジャンヌは魔女狩りでなく異端審問(この本には特に言及無かったですが)

南フランスとスペインがやっぱりほとんど。

スペインは19世紀に入ってからでも一度やってるというのだから驚き。

それにしても不謹慎ながら面白い。

言い訳っぷりがとんでもなく上手かったり、色んな審問官がいたり。

あぁ、何だかんだで同じ人間なんだなぁ、と……。

推奨度

★★★★

大見出し

薪と硫黄の匂─異端審問とは何か 剣と火と異端者─異端審問の誕生まで 異端審問創設の頃 異端審問の制度化

審問官ベルナール・ギー 裁かれる者たち スペインの火刑台

 

2006/03/17

『百年戦争』 著:フィリップ・コンタミーヌ 訳:坂巻昭二

2003 白水社文庫クセジュ 161P

相変わらず読みにくいです、文庫クセジュ。

事実の羅列が多くて、なかなか頭に入ってこなく大変です。

専門の人にとっては格好の参考書になりますが、一般読者にはお勧めできません。

ただ、一章の起源と結びの結果のところは、優れてまとまっていますので、そこは自信を持ってオススメ。

国民概念が一般にも下りてきている、という指摘は、なかなかに新鮮ではないでしょうか。

推奨度

★★★★

大見出し

起源 エドワード三世の成功(1338~60) 戦争の再開と再征服(1360~89) 長期休戦の期間(1389~1411)

ランカスター家の企て(1422~35) 戦闘の終結(1435~1453) 百年戦争の性格とその結果

 

2006/03/14

『東南アジアの建国神話』 著:弘末雅士

2003 山川出版社 90P

世界史リブレット。

色んな国で色んな似たような建国神話があるものですね。

竹取の話がそのまま建国神話だったり。

もしかすると日本の建国神話も竹取になっていた可能性もなきにしもあらずというわけですか。

歴史的な内容は薄いのですが、港市の内と外の構造など、色々と興味深いです。

推奨度

★★★★

大見出し

自然・国家・人類 港市国家の建国神話 港市と世界秩序 地域世界の形成 近代における自然・国家・人類

 

2006/03/13

『絵解き中世のヨーロッパ』 著:フランソワ・イシェ 訳:蔵持不三也

2003 原書房 259P

図版が多くて紙質も良く、すぐれた良著、値段ははりますが。

政治史についてはサッパリ触れていませんが、それ以外の、

いわゆるアナールがやっているような領域のところはかなりの部分で網羅できています。

まず頭の中にヴィジュアルを置けるかどうか、これが重要なので、

何はともあれこういった視覚的史料を多く見ることはイイです。

中世って?という人に真っ先にお勧めしたくなる入門書。

推奨度

★★★★★

見出し

図像制作者たち 歴史と記憶の間 修道士(女)の独占 祈る人々 神への奉仕と人間の救済 修道院の重要性 人々に奉仕する教会

精神を枠づけ、教義を守る 戦う人々 初めに戦争ありき 騎士になる─修業と加入式 騎士道の理想 十字軍─軍事的派遣 働く人々

耕作者たち 都市の労働者たち 象徴的な場 森林─渇望の場 都市─社会的関係の新たな形態 基本単位としての村落

城─個人的権力の場 修道院─祈りと労働の場 司教座聖堂─霊的・物質的象徴 中世の大いなる恐怖 飢饉─特定の者たちの災禍

戦争─避けられない厄介者 ペスト─神に遣わされた疫病

 

2006/03/12

『知性改善論 改版』 著:スピノザ 訳:畠中尚志

1968 岩波文庫 120P

スピノザ未完の遺稿。

解説で言っていますが『エチカ』前に読むのが確かにイイですね。

やっぱり途中で終わってしまっているので肩すかし感が強いですが、仕方ない……、残念無念。

「もし事物がそれ自体で存在しているなら、あるいは世に言う自己原因(causa sui)であるなら、

それは全くその本質のみによって理解されなければならないし、

これに反してもし事物がそれ自体で存在せず、存在のために原因を要するなら、

それはその最も近い原因によって理解されなければならないのである。

 なぜなら、実際のところ、結果を認識するということは、

原因についてのより完全な認識を得ることにほかならないからである。

 だから我々は、事物の探求にたずさわる限り、決して抽象的概念から結論を下してはならない。

 そして単に知性の中にのみあるものを、実在するものと混同することのないよう十二分に用心しなければならない。

 むしろ最上の結論は、或る特殊的肯定的本質(essentia particularis affirmativa)から、

すなわち、事実且つ正当な定義から引き出されるべきであろう。

 (中略)

 それ故に何ごとかを発見するための正しい道は、

或る与えられた定義からもろもろの思想を形成してゆくことにある」

推奨度

★★★★

 

2006/03/11

『コーラ プラトンの場』 著:ジャック・デリダ 訳:守中高明

2004 未來社 116P

ポイエーシス叢書。

相変わらず意味不明なデリダさん。

ホント意味分からない。

「コーラ」は面白そう(面白いと断言できないっ)ですが、藤沢令夫さんなどはどう云っていたっけな……。

推奨度

★★★

 

2006/03/10

『ソクラテス以前以後』 著:F.M.コーンフォード 訳:山田道夫

1995 岩波文庫 155P

20世紀前半における古代ギリシア哲学研究の重鎮コーンフォードさん。

手堅くまとまっていますが、少々ソクラテス以前が弱いかなと。

まぁ無難に王道直球なソクラテス解釈・プラトン解釈・アリストテレス解釈だと思います。

ソクラテスとプラトンの差異、ここの強調が一番なされているところですね。

推奨度

★★★★

大見出し

ソクラテス以前のイオニア自然学 ソクラテス プラトン アリストテレス

 

2006/03/09

『哲学と世界』 著:カール・ヤスパース 訳:草薙正夫/斎藤武雄/重田英世/細尾登

1968 理想社 200P

論文集。

ヤスパースいいわぁ、と思える名著。

もう紹介はこの引用だけでいい。

「およそ哲学という名称を荷負っているものが、哲学そのものと混同されてはならない。

 人間が思惟のはたらきによって自分の存在について自覚する限り、哲学は到るところに存在する。

 哲学は哲学という名で呼ばれなくても、到るところに存在しているのだ。

 というのは、思惟する人間は同時にまた哲学しているからである。

 ただそれが真であるかあるいは誤りであるか、皮相であるかあるいは深遠であるか、

息の短いものであるかあるいは忍耐強く根深いものであるかなどという相違があるだけである。

 一個の世界が存在する限り、規範というものが認められる限り、評価が行われる限り、常に哲学は存在する」

推奨度

★★★★★

大見出し

現代における哲学の課題 哲学の学びについて 教育的計画の限界について カントの「永遠平和のために」 世界創造の思想

不死性(霊魂の不滅) 非キリスト教的諸宗教と西洋 医師の理念 医師と患者

 

2006/03/07

『現代政治学の名著』 編:佐々木毅

1989 中公新書 220P

色んな人が書いているので、やはり書き手によって当たりはずれがありますね。

もっとも、どれだけ興味を引かれるか、にも左右されるのでしょうけれど。

個人的に一番引かれたのが、ダールのポリアーキーという概念。

「君主政が単一(mono-)の支配者(-archy)の体制としてmonarchy、

寡頭政が少数(oligo-)の支配者(-archy)の体制としてoligarchyと呼ばれるのと同じように、

ポリアーキーとは、多数(poly-)が支配する(-arhy)体制という意味である」

リップマンも面白かったです。

推奨度

★★★★

大見出し

杉田敦/ウォーラス『政治における人間性』

牧野雅彦/ウェーバー『職業としての政治』

氏家伸一/ミヘルス『政党の社会学』

杉田敦/リップマン『世論』

飯尾潤/メリアム『政治権力:その構造と技術』

飯田文隆/ラスウェル『権力と人間』

足立幸男/ハイエク『隷従への道』

千葉眞/アーレント『人間の条件』

遠藤誠治/モーゲンソー『国際政治:権力と平和』

宮下大志/ダール『ポリアーキー』

大河原伸夫/ローウィ『自由主義の終焉』

飯島昇藏/ロールズ『正義論』

星野智/ハーバーマス『後期資本主義における正統化の諸問題』

都築勉/丸山眞男『現代政治の思想と行動』

西尾隆/辻清明『日本官僚制の研究』

 

2006/03/06

『謎の古代都市アレクサンドリア』 著:野町啓

2000 講談社現代新書 205P

こういう本が新書に入っているので、迂闊に「新書くらいなら云々かんぬん」できないものです。

どういった種のものかは、このタイトルだけじゃ理解できませんね、思想史の外縁といったところでしょうか。

古代思想、特に少し外れたところをよく知っていればすんなり読めるのですが、

プラトンやアリストテレスなどの表向きのところしか知らない、もしくは予備知識無しの場合、

手にとるのはよした方が無難かと。

史料が全然無いためか、アレクサンドリアという都市の生活感なんてまるで見えず、

混沌としたシンクレティズム全開の思想の混濁っぷりがよく窺えます。

片脚突っ込んでみたい人には、オススメになるのかもしれません。

推奨度

★★★★

大見出し

メセナの時代 国際学術都市アレクサンドリア 大図書館をめぐる学者文人たち 古代アレクサンドリアの学風

哲学都市アレクサンドリア─ユダヤ人フィロンとその周辺

 

2006/03/05

『現代における理性と反理性』 著:カール・ヤスパース 訳:橋本文夫

1974 理想社 128P

ヤスパースの云う「理性」って、かなり一般的な「理性」理解とは異なっていると思うのですが、どうなんでしょう。

ヤスパース自身によれば、東洋の「空」が「理性」にあたるとのこと。

普通、理性といえば、彼の云うようにサッパリ曖昧な理解に留まっていて、

例えば「合理的であること」なんて自己言及で終わってしまうものです。

ううむ、難しいところです。

「理性は存立を保障されたものでなく、動いている」

「理性は恣意とは反対である」

「理性は傲慢とは反対である」

「理性は視野を狭める激情の陶酔とは反対である」

「理性は統一を求める意志である」

推奨度

★★★★

大見出し

科学性の要求 理性 理性の戦い

 

2006/03/04

『武蔵と五輪書』 著:津本陽

2002 講談社 246P

『五輪書』は座右の書の一つです。

訳文+解説+原文、という構成になっていて、岩波文庫を買うより擬古文が読めない人はお買い得かもしれません。

が、解説としては不満不足はあります。

まぁ訳は良いので、解説読み飛ばしていけば何らの問題もなく。

現代武道にとらわれすぎていると、武蔵の精神に触れられないと思います。

推奨度

★★★★★

大見出し

地 水 火 風 空 原文

 

2006/03/02

『藝術とは何か』 著:福田恆存

1977 中公文庫 150P

何と言ったらいいのか微妙なところですが、一口に言えば、これは自己批判の一冊ですね。

いや違うよ、と云われればそれまでですが。

韜晦といえば韜晦でしょう、自分も巻き込んで串刺しにしている感じ。

ニーチェがソクラテスを想う時の気持ちってこんな感じなのかなぁ、というのが私の感慨。

推奨度

★★★★

見出し

呪術について 呪術の現代的考察 演戯ということ 演戯精神の衰退 選民の芸術 弁証の芸術 意匠の芸術 視覚の優位

カタルシスということ ふたたびカタルシスについて 芸術とは何か