2007/06/29

『世界一コンパクトな民法入門』 著:尾崎哲夫

2006 ダイヤモンド社 159P

副題が長すぎて書けなかったのでこちらに。

「ケースから読み解く「権利者保護と取引の安全」の考え方」

世界一コンパクトというだけあって、薄いですが、内容は十分。

総則というより、物権的といいましょうか。

家族関係についてはあまり記述がありません。

推奨度

★★★★

 

2007/06/27

『ルソー』 編:桑原武夫

1962 岩波新書 189P

少々ルソー賛美が過ぎるかもしれませんが、一般入門ならこれくらい褒めても。

少なくとも、ルソーに対して何となく敬遠してしまいがちな私が、

ルソーを読んでみようという気にさせられるくらいには面白い一冊。

60年代に出た本なんて古臭い!とか思いがちですが、そんなこともなく、文体は現代風で、

かつ専門くささが薄く、読みやすいです。

引用が多く、方法論的にはいわゆるスキナー的な感じですが、もちろんスキナー以前のものなわけで、

別段日本ではスキナー的研究法が目新しいものでもなかったという、一つの証左となるでしょう。

推奨度

★★★★

見出し

不平等とのたたかい 直接民主主義 人間の教育 理性と感情 自然のよろこび 孤独者の意味

ルソーの時代と生涯 世界への浸透

 

2007/06/25

『空と海』 著:アラン・コルバン 訳:小倉孝誠

2007 藤原書店 200P

感性の歴史家さん最新訳の講演集。

この人のやっていることは、まことに魅力的なのですが、

一つでも真似しようと思ったらその途端に死亡フラグ発生。

この本では、タイトルや見出しの通り、天候関係の感性を論じていきます。

著者はフランス人なわけで、フランス史が中心ですが、

最後のインタビューが、アラン・コルバン入門にも、アナール入門にもなるかと思います。

推奨度

★★★★

見出し

天候に対する感性の歴史のために 海辺の欲望の出現 水の歴史に関する考察 身体と風景の構築

心性史から感性の歴史へ(インタビュー)

 

2007/06/24

『経済の常識が面白いほどわかる本』 著:小巻泰之/打田委千弘

2007 中経出版 158P

知りたいことがすぐわかるシリーズ。

見開き、右半分で解説、左半分で図解というレイアウト。

経済学の常識というより、日本経済の常識、という趣向です。

推奨度

★★★★

 

2007/06/23

『そのおもしろ日本語ネイティブが無理矢理!?英語に訳します』

著:ディビッド・セイン+エートゥーゼット

2007 技術評論社 174P

笑えるほど面白いネタはそれほど無いですが、全体的にほほーこの単語でこの使い方を、

よく感心させられてしまいます。

まあ一番面白かったのは、コレなんですけれどね。

著者の中にとっしーがいるぞ。

「Murders are nothing special in Los Angels.

(殺人事件はロスでは日常茶飯事だ)」

推奨度

★★★★★

 

2007/06/22

『政治家にダマされないための経済学』 著:土屋彰久

2007 自由国民社 197P

自由国民社はまったくレフトなやつだぜッ……!

と思わず言いたくなるくらい。

しかし左右関係無しに、重要なことは、いかに説得力があるか、ということでしょう。

実際私が考えていることとほとんど一致した内容になっていましたので、

個人的には説得力が非常に強いものでした。

しかしまあこういう表題の本は明らかにイデオロギーが前面に出ていますので、

合わない人は通常以上に合わないのでしょう。

ただ合わないなら合わないなりに、こういうところがおかしい、と問題が明瞭になることかと思いますので、

結局のところ強くオススメします。

とりあえずこの著作に完全に従えば為政者には常に反対していた方が良さそうですが。

推奨度

★★★★★

 

2007/06/21

『見るだけですっきりわかる日本史』 著:後藤武士

2007 宝島社 126P

とはいえまあ本当に政治史の流れですが、中学日本史復習程度なら最適、

あるいは高校日本史でも良い副読本になるのでは。

その名の通り、文字より図絵の方が多いので、文字なんか読んでたまるかという人でも、

流れが掴める仕組みになっていると思います。

いや多少は読まないと無理。

推奨度

★★★★

 

2007/06/20

『スキャンダルと公共圏』 著:ジョン・ブルーア 編:近藤和彦

2006 山川出版社 187P

最近知りました、山川レクチャーズシリーズ、

ハーバーマスを主に取り扱った公共概念に関する講演、上品と悪徳に関する講演、

そしてスキャンダルを扱った講演と、三つの講演集。

単純に読み物として一番面白いのは最後のスキャンダルモノでしょう。

時代は18世紀の主にイングランドで、まあいつの時代もアホはアホだなあというてんやわんやが覗けます。

それもさることながら、マスメディアの誕生と公/私概念について、良い参考文献になることでしょう。

推奨度

★★★★

 

2007/06/19

『小林秀雄とウィトゲンシュタイン』 著:中村昇

2007 春風社 244P

専門用語をあまり使わずに、ウィトゲンシュタイン、デリダ、ベルクソン、アルトーなどを道具にして、

「言語を用いて言語外に近づこうとする小林秀雄」に言語を用いて近づこうとする試み。

著者いわく、さながらアキレスと亀の如し。

……というようなありきたりのことしか書けないです、いや面白い。

小林秀雄はどうにも好きになれない人のうちの一人なのですが、

この中村昇フィルターを通した小林秀雄というのはどういうわけか好感が持てるのです。

いつか出る『感想』論の助走ということなので、そちらにも期待。

推奨度

★★★★★

 

2007/06/18

『パニック都市 メトロポリティクスとテロリズム』 著:ポール・ヴィリリオ 訳:竹内孝宏

2007 平凡社 186P

うーむ分かりにくい。

この訳文でいいのだろうか、と思ってしまいますが。

ヴィリリオが後数十年後にどう評価されるか、それが老後の一つの楽しみか。

「感情民主主義」だけは、まだ以前の『アクシデント』との繋がりが見えやすいので、

とりあえずそれだけ読むというのも手。

推奨度

★★★

見出し

タブラ・ラサ 感情民主主義 戦争交通路 時間の事故 パニック都市 場所の黄昏

 

2007/06/17

『ガンダムで英語を身につける本』 著:ガンダムEnglish研究会

2007 宝島社 119P

元ネタを知らなければさっぱり楽しめないと思いますが、面白かったです。

特に第二章の、旅行会話編が最高でした。

入国のシーンで、ザクとグフが会話するのですが、

ザク「こちらバッグの中身は? 見たことないものなのですが」

グフ「ヒートロッドだ。ザクとは違うのだよザクとは!」

ザク「失礼しました」

シュールこの上ない!!

推奨度

★★★★★

 

2007/06/16

『自由主義に先立つ自由』 著:クェンティン・スキナー 訳:梅津順一

2001 聖学院大学出版会 181P

論文三つ。

訳文が読みにくいです。

うーん、いいのかこれは、というくらいに読んでいて頭がつっかえてしまいます。

結局新スコラな自由主義とは何だったのやら……リプシウス的?

最後の論文は、スキナーが自分の位置づけを少々自伝的に語っているので、

それだけは読みやすいです。

推奨度

★★★

 

2007/06/14

『マキアヴェッリ 自由の哲学者』 著:クェンティン・スキナー 訳:塚田富治

1991 未来社 176P

思想史にスキナー革命を起こしたとされている、スキナーの実践的一冊。

引用を多くしてとにかく思想家当人の思想をなるべくそのままに現代へ掘り起こすということが、第一目的。

思想家をあーだこーだ言って断罪するのはスキナーの趣味ではありません。

思想史家の役目は、こういう思想家がいたんだぜ、後はお前等煮るなり焼くなり好きに利用しなさい、

と呈示すること。

そんなスキナーのやり方がよく分かるでしょう。

日本人から見れば、それほど目新しいやり方でもないのですが。

いやこんなテキトーに省いたこと書いていたら怒られそうですけれど。

推奨度

★★★★

 

2007/06/13

『グリム童話をドイツ語で読む』 著:小塩節

1994 PHP研究所 186P

グリム童話の中から、白雪姫やヘンゼルなどを、部分的にとりあげて、その一部を訳しながら、

ドイツの歴史的文化的背景を説明しつつ、総合的にドイツ語も童話も楽しませようというのが著者の意図。

で、それは叶っていると思います。

グリム好きな人には、一般的なドイツ語入門よりドイツ語入門的かもしれません。

推奨度

★★★★

 

2007/06/12

『我、自衛隊を愛す、故に、憲法9条を守る 防衛省元幹部3人の志』 著:箕輪登ほか

2007 かもがわ出版 157P

かもがわ出版は憲法9条関連の書籍が多いなあ……そして大体9条改訂反対。

まあ、別に構いませんが、粗悪な改訂反対論はかえって逆効果なので自重した方がいいのですよね。

しかし本書は別。

これは単純にこういう考え方もあるのかと

、憲法問題について考える際の必読文献のひとつに数え上げても良いと思います。

部分的に美談に仕立て上げたり感情に訴えたり一方的に過ぎるという点もいくつかあることは確かですが、

しかしそれらを入れても説得力に富んだものです。

推奨度

★★★★★

 

2007/06/11

『改訂版 ドイツ語の入門』 著:藤本淳雄

1990 白水社 202P

書き方が教科書的なものではなく、大体見開き左に例文、右に文法解説というかたちで、一つの章、

それが62章あり、章ごとに文法事項をわけているというつくりになっています。

独学でのドイツ語入門はこれが相当使いやすいように思います。

とりあげている例文が諺が多かったり、教科書的旅行的でないのが良いです。

推奨度

★★★★

 

2007/06/10

『やさしく話すドイツ語 ひとくち旅行会話』 著:宮内敬太郎

1981 第三書房 122P

こちらも一般的によくある旅行会話集。

しかしドイツ語は英語にくらべて圧倒的に数が少ないので貴重です。

余白が多くて読みやすい。

推奨度

★★★★

 

2007/06/09

『はじめての行政法』 著:石川敏行ほか

2007 有斐閣アルマ 241P

この手の書籍では最大級の知名度を誇る有斐閣さんのアルマシリーズですが、

行政法は今年四月が初版。

いきなり行政法なんて無い、と。

行政法という形式は無いということなのですね。

てっきりあるかと思ってましたよ……

共著で章ごとに執筆者が違うため、読みやすさの差が激しいです。

最後の章、権利利益の救済方法については、相当理解できませんでした。

推奨度

★★★★

 

2007/06/08

『はじめての民法総則 第6版』 著:尾崎哲夫

2007 自由国民社 168P

3日でわかる法律入門シリーズ。

このシリーズはとことん分かりやすいですね。

正直門外漢にとって神のように思えますよ。

歴史学の部門でも専門的なところの入門書を増やしたらどうかと思ってしまいます。

3日でわかる三十年戦争とか。

3日でわかる17世紀の全般的危機とか。

推奨度

★★★★★

 

2007/06/07

『250語でできるやさしいドイツ語会話 改訂版』 著:小塩節

1996 白水社 204P

まったくよくあるタイプの旅行会話集。

しかし自分のドイツ語能力に足りないのはこういう一般会話だと最近よく痛感しています。

編に専門用語や学術用語ばかり覚えてしまっている人は、

こういう旅行会話で頭を慣らすのも乙なものですよ。

推奨度

★★★★

 

2007/06/06

『日本経済の基本 第3版』 著:小峰隆夫

2006 日経文庫ビジュアル 166P

経済学、というよりタイトルの通り日本経済の入門。

この前に読んだ下記の一冊が分かり易すぎたため、

私の頭ではこれを読んでも難しく思えてしまいましたよ。

かなり新しいところまで話題を採り入れて書かれているので、

日本経済がどんなもんなのかというサワリは分かるようになるかと。

推奨度

★★★★

 

2007/06/05

『美しい経済学』 編著:小樽商科大学高大連携チーム

2005 日本経済評論社 166P

15歳からの大学入門シリーズ。

対話編+講義で話が進んでいきます。

高校生向けに書かれたものの中でも、特に分かりやすく面白い内容に仕上がっていることかと。

少なくとも、一番最初に経済学入門をすすめるなら、今のところコレ、と言えるだけあります。

具体例が豊富で理論が納得しやすい。

推奨度

★★★★★

 

2007/06/04

『新版 ドイツ語基本単語と公式』 著:有田潤

2001 三修社 230P

最初100ページくらい、例文無しの単語帳です。

その後からが本編。

いわゆる重要構文というものが20種に分けて解説されていきます。

旧版が1976年のもので、そのまま使うと古いものもあるとのこと。

そこのところでは但し書きがあります。

例文が、よくあるようなテンプレ日常語だけでなく、

色々多種多様なものになっているので非常に勉強になりました。

中級者必読。

推奨度

★★★★

 

2007/06/03

『こんなときドイツ語でどう言うか 改装新版』 著:H・マイヤー/古賀允洋

1988 評論社 188P

場面別にこういうときにはこう言えばいい、という風にいくつかの文が紹介されているのですが、

一昔前の本だけあって、最近のように文法解説はあまりなく、というのではなく、

結構ガッチリと解説されていて役立ちます。

英語ほどの変化は無いはずですので、古臭いということはないはず……

推奨度

★★★★

 

2007/06/02

『図解雑学 六法 第二版』 著:三木邦裕/豊田啓盟

2007 ナツメ社 228P

第一版には目を通しましたが、変わっているところがあまりよくわかりませんでした。

法改正に合わせて部分部分で内容が変わっているのでしょうが、うーむ、あまり覚えていないということか……

共謀共同正犯論で、共謀も罪に問えると書いてあったところは、ん?と思いましたが、

判例でそうなんでしょうかね。

推奨度

★★★★

 

2007/06/01

『ふれあいのドイツ語』 著:上田浩二

1992 白水社 141P

一通り一年間くらいでドイツ語の基礎文法を習った後で、

その文法を生かして会話しようという内容。

主眼はふれあい、コミュニケーションです。

つまり、大学でいえば二年次程度。

ところで白水社にはもっとドイツ語の本を出して欲しい。

推奨度

★★★★

最終更新:2007年08月20日 23:48