幼「おーっす、バカ野郎」
俺「出迎えご苦労」
幼「えらそーに」
俺「偉いんだ、社会人なんだぞ」
幼「みんな働いてるの!」
俺「働いたら負けなのに?」
幼「貧乏人は既に負けてるから頑張って働くの!
働かなくて良いのは金持ちだけ」
俺「その発想はなかったわ」
幼「金がないと死ぬだろうが」
俺「女はシビアだな…」
幼「み、ん、な!
大人はみんなシビアなの!
ボケっとしてるのはおまえらだけ!」
俺「はは。
…コンビニ寄って良い?」
幼「近所なんだから変なもの買わないでよ?」
俺「ATM使うんだ」
◇
幼「五万もどうするの?」
俺「ああ、おばあちゃんにな」
幼「おばあちゃんどうかしたの?」
俺「そういうわけじゃないんだけとさ。
おばあちゃんの話って、どのぐらいしたっけ」
幼「占いが嫌いとか」
俺「ああ。…俺は子供の時に一時期おばあちゃんちで暮らして、結構おばあちゃんっ子でさ。
それで夏におばあちゃんちにこっそり五万円置いていったら喜んで電話くれたんだ。んで正月は帰れなかったからまた送ろうと」
幼「えっ、そんなの覚えてないよ?」
俺「多分幼稚園前だろ。俺も母親の顔を忘れてたらしいからな」
幼「そんな長かったの?」
俺「半年か一年ぐらいほったらかしにされたんじゃなかったかな」
幼「その間、お母さん何してたの?」
俺「またなにかしらしでかしてたんだろ。なんせ、お父さんに最初に給料預けられた時に普通に生活して二日で使ってしまってこりゃ怒られるって実家に逃げてたらしいからな」
幼「ええー…それまでどんな生活してたの?」
俺「ヤクザと麻雀とかしてたらしいぜ。ギャンブラーっての?」
幼「うへえ…怒ったらこわいのかな」
俺「…どうかな」
◇
幼「なんでそんなにお金あるの?」
俺「え、別に普通だろ」
幼「おばあちゃんに五万・五万、んで漫画も一度に五千円とか買うじゃん。こんなに貯まらなくない?」
俺「まあ煙草も吸わないし酒飲むわけでもないし、風俗も行かないしな」
幼「風俗行ったことないの?」
俺「一万あればネトゲで千時間は遊べると思うともったいない。高すぎる。」
幼「カードゲームには何万も使ってるだろ。いくらもらってるの?」
俺「二十一万だな」
幼「やっぱおかしくね?」俺「普段牛丼とかだからな」
幼「いやいや家にピザの箱たくさんあるじゃん」
◇
幼「お前ドラクエのエンピツもすげー持ってたじゃん」
俺「勉強が好きだからな」
幼「削ってなかったでしょうが」
俺「使うんならあんなぼったくりのじゃなく普通の鉛筆買うわ」
幼「図書カードとかも使わないもんね」
俺「あれは五百円の絵なんだ。飾ってあるわけだ。使うんじゃなく見るものなのさ」
幼「もったいな…」
俺「使わないのがもったいないと感じる奴はコレクターにはなれん。
使うのがもったいないと感じる奴こそ資質がある」
幼「なんか自分がすごいみたいな顔してるけど、逆だからね?
騙されてるからね?」
俺「それでもあいつなら…あいつならなんとかしてくれる…俺はあいつを信じる!」
幼「別にそんな世界を守る系の話はしてないから」
◇
俺「ふう…ただいま」
幼「今日は何を持ってきたわけ?
カシャカシャ言ってたけど」
俺「AIBO」
幼「うわっ何これ」
俺「犬」
幼「ロボだろ」
俺「ロボ違う」
幼「これいくらしたの?」
俺「どうだったかな」
幼「金どうしたんだよ」
俺「まあ、お金のことも後で話すよ」
幼「それが話ってやつ?」
俺「関係あるかも」
幼「ふーん」
俺「…」
幼「早く自首した方が良いよ?」
俺「犯罪じゃないから!」
◇
幼「うわー手を振ってる、かわいい」
俺「だっこしてみ」
幼「大丈夫?」
俺「ほれ」
幼「わ…?」
俺「だっこするとだっこモードになって動かなくなる」
幼「すごーい!」
俺「すごいだろロボ」
幼「お前より頭良いな」
◇
俺「まずは成長をリセットさせなきゃ」
幼「どこ押すの?」
俺「このリモコンでやるんだよ」
幼「やらせて」
俺「その真ん中のボタン押してけば良いよ。
そしたらここに表示されるから」
幼「分かった」
【AIBOの右前脚の肉球を押してください】
AIBO【……かず……】
【AIBOの右後脚の肉球を押して下さい】
AIBO【かずー!】
幼「なんか悲痛だぞ」
俺「気のせい」
◇
AIBO【今まで育ててくれてありがとうッポ!】
AIBO【もっとおさんぽしたかったッポ…】
AIBO【おわかれに、ダンスをするッポ!】
幼「ねえ、かわいそうだからやめたいんだけど」
俺「もう無理じゃね?」
幼「電源切れば大丈夫じゃない?」
俺「こんなのさっさと押しちゃえよ」
ポチ
ウィーン…ウィーン…ウィウィーン…
AIBO【さようなら…】
ウィ…ウィーン…
俺「死んだ」
幼「死んでない!」
俺「お前が殺した」
幼「私押してないもん」
◇
幼「早くなおして」
俺「ポチっとな」
ポチ
【「はじめまちて」と言ってます】
幼「ど、ど、どうすれば良いの!?」
俺「頭をなでろ」
幼「よしよし」
【「うれし〜」と言ってます】
幼「わ、すご」
俺「ロボだからな」
幼「あれ、青くなってるよ?」
俺「まだなれてないからこわがってるんだよ」
幼「またよしよし?」
俺「いや、この肉球を押せば良いんだよ」
プチ
【「ぃや〜」と言ってます】
幼「嫌がってるじゃん!」
俺「あれ、後ろ足だったかな?」
プチ
【「びくびく…」と言ってます】
俺「ほら感じてる」
幼「こわがってびくびくしてんだよ!」
俺「こう見えて淫乱なんだよ」
幼「黙れ」
◇
【「ううう…」と言ってます】
幼「あ、よしよし」
【「ふぁ〜ん…」と言ってます】
【「わ〜いわい!」と言ってます】
幼「ほらー、今の見た?
手を上げたの」
俺「ふん、いちいちかまわないでもこのボール投げてやれば勝手に遊ぶんだよ」
コロコロ…コツン
【「こわかった…」と言ってます】
幼「お前もう触るな!」
俺「俺のなのに…」
◇
ちくしょう、ロボの分際で俺の女を独り占めしやがって。
こうなったらカメラ機能でパンチラ撮ってやる。
幼「オレンジは何?」
俺「正面に回って足をひらいてってこと」
幼「何してるの?」
俺「気にせずそのまま」
幼「見せてよリモコン」
俺「あ」
幼「…何コレ?」
俺「なんでもないよ」
幼「説明書出してみ」
俺「しゃ、写真が撮れるんだよ」
◇
俺「良いじゃん、ちゃんと撮れなかったんだし」
幼「どうしてすぐ撮ろうとするの?」
俺「だって盗撮したくて」
幼「普通に撮れよ」
俺「パンツ撮って良いの?」
幼「パンツはダメ」
俺「ブラなら良いの?」
幼「下着はダメ」
俺「顔は良い?」
幼「…かわいくないのは消してくれるなら良いよ」
俺「あの、入れてる時に撮っても良い?」
幼「ダメに決まってるでしょ!」
俺「入れてる時の顔、すごくかわいいのに」
幼「かわいくないもん」
最終更新:2013年04月12日 09:33