日常編108

俺「なあ、茶にゲーム貸したことある？」
桃「ないけど何？」
俺「いや、あいつには貸さない方が良いかもしれん」
桃「えっどうしたの？」
俺「どうしてそんな話になったのかもう忘れたけど、貸してほしいって言うからマリオカートＤＳ貸したんだよ。そんでしばらく貸しててさ。二週間くらい？　分からんけど」
桃「うん」
俺「戻ってきたらセーブ消してるくせに全然やってねえの」
桜「えー！？　ひどくない？」
俺「しかも下手だから追加コース出てないとかそういうんじゃないんだよ。タイムアタックはエイトクロスが一回やってあっただけでミッションはノータッチだから何も練習とかしてないわけ。
　　パッケージごと貸したから説明書あんだよ？　だから操作方法分からんかったってパターンもなし。ちょっと遊んでみるだけだったらセーブ消さないでほしかったよ」
桜「それひどいよ。私言ってあげようか」
俺「いや良いよ。悪気ないんだろうし。セーブデータがそんなすごいもんだと思ってないんでしょ。
　　もし文句言って仮にすごい勢いで謝ってきても意味がないというか。やっぱりもうゲーム貸すのは心配だから貸さないし、それなら言っても状況何も変わらないよ。
　　単純に、彼には大事なゲームは貸さない方が良いって言いたかっただけ。あと愚痴かな。俺性格悪いから」
桜「でもドラクエくらいやったことあるでしょ。勝手にセーブ消したらマズイことくらい私だって分かるよ。
　　なんでそんなこと出来るんだろ」
俺「それでも、ドラクエ５のセーブは貴重だけどマリオワールドやマリオカートのセーブはどうでも良いみたいな人もいるし。
　　男は結構、対戦で負けそうになったら本体ぶっ壊すとか多いから」
桃「なにそれこわい」
桜「嘘でしょ？」
俺「いや、男はすぐぶっ壊しちゃうんだよ。難易度高いゲームだと死にまくるとマンションの窓から本体ぶん投げて壊してさ。
　　特にＤＳとかＰＳＰは気軽に投げられるから、２ちゃんでもよく愚痴ってる奴いるよ。『このクソゲーのせいで本体ぶっ壊れたわ、死ねカス』みたいな」
桜「えー乱暴な人苦手」
俺「乱暴する時は俺みたいに上かつ上でするべきだよね」
桜「うえかつうえって何？」
俺「ベッドの上かつ同意の上」
桃「下ネタじゃねーか。しかもなんかちょっとかっこいい表現だから困る」
桜「あはは。大喜利みたいだね」

　◇

家。

幼「なんかセーブ消されちゃったんだって？」
俺「君ら仲良いなあ、もう伝わってるのか」
幼「へこんでるかもって言ってた」
俺「まあ俺がバカだったよ。まさかちょっと遊ぶだけのために消すとは思わなんだ。
　　相手が女の子ならあれこれ妄想も出来るんだけどね」
幼「普通に考えると何も言わずに消すって考えにくいけど、わざとじゃないんだよね？」
俺「俺も色々考えたんだけど、嫌がらせで消した可能性も薄そうなんだよね」
幼「じゃあ本当に悪気なしなんだ」
俺「確かめる方法もあるけどね」
幼「どうやって？」
俺「俺のテトリスＤＳとかインベーダーとか、素人目にはさほどセーブデータが貴重じゃなさそうなゲームを桃の物ってことにして桃から茶にオススメしてもらう。
　　興味なくても女にグイグイプッシュされたらとりあえずやってみるだろ？
　　そっちのセーブデータも勝手に消したら悪気なし。セーブデータを消して良いか聞いたり、セーブデータを消さずにかなり遊んだら悪気ありかムッツリだね。
　　自分から貸してくれと頼んだマリオカートは全然やらないけど女に頼まれたゲームはたくさんやるとか妙だろ。少なくともムッツリ野郎だろ」
幼「それ面白くない？　試してみれば良いじゃん」
俺「単純にドッキリ的な好奇心というか興味あるよな。
　　でも桃にそんなこと頼んだら俺が性格悪いってバレちゃうんだよな」
幼「それバレてるから」

　◇

俺「桃の時は本体ごと盗まれても怒らなかったのに男だとセーブ消しただけで怒るってのはなあ、なんかすごい性格悪いと思われない？」
幼「故意に消すのと盗まれるのじゃ全然違うじゃん。悪気ないじゃん」
俺「いや、セーブ消しちゃったのは悪気なかったかもしれないけど盗まれるのは持ち歩かなかった人の責任って考え方も出来るじゃん。
　　茶だって、ゲームを強盗に盗まれたから責任持って新しくマリオカートＤＳを買ってくれた良い奴で親友ポジションになるって可能性もエロゲ的に考えるとあるわけだよ？
　　桃に『完全に自己責任である私が怒られなかったのは下心があるから。あいつもしょせんクズだったか』とか思われたら嫌だなあ」
幼「思わねーよ！」
俺「大丈夫かなあ。数少ない友達だから嫌われたくないなあ」
幼「大丈夫だっての！」
俺「いやまあそれはどうでも良いか」
幼「なんでだよ！」
俺「今重要なことはファイアーエムブレムの発売日が近いことだ。
　　マリオカートを発売日までに最低限片付けておかないと積みゲーになって同時進行になる」
幼「どうすればクリアなんだっけ？」
俺「エンディングは簡単に見れるけど、グランプリとミッションを全部三ツ星クリアにしておきたい」
幼「それすぐ出来るの？」
俺「下手だからかなりかかる」
幼「ヤバいじゃん」
俺「うん。タイミングが悪いよホント。ゲームない時だったらちょうど良いのに」
幼「どうするの？」
俺「まあ間に合いそうにないが仕方ない。ただ発売日までの余裕がなくなったからあいつらがこのまま放置の形になるな」
幼「あいつら？」