好きになるまで

[08/11/29-12/13書き込み]

大学受験失敗、高校卒業してから勉強も仕事もせず、ずっと無職。
ある日、幼なじみの母親に仕事を紹介してもらう。しばらくして、もしかして幼なじみが頼んでくれたんじゃないかと考える。
意識すると不思議なもので、ずっと会っていなくても平気だったのにとたんに気になり始める。

 ◇

それからしばらく経って、俳優志望の職場の社長の息子が、金持ち同士で結婚することになった。
社長は「俺は資金援助はしない。夢を諦められないなら仕事をしながら俳優の勉強をしろ」と言って、俺達と一緒に仕事をすることになった。
だが、息子は二日で相手の親に泣きを入れて辞めてしまい、結局相手の両親が資金援助をすることになった。
そして後日その話になると、幼なじみがすごい剣幕で怒った。

「そんなんだから俳優になれないんだ!」

ダメ人間の俺には息子の『金があるならわざわざ働きたくない』って気持ちはよくわかったから、そこまで怒るなんてと驚いた。そして戸惑ってる俺に言った。

「あんたはよく頑張ってるよね」

嬉しかった。こいつの笑顔のために頑張りたいと思った。俺はどんどん幼なじみが好きになった。

 ◇

そしてある日。
幼なじみの母親に、気分転換にと遊ぶお金を貰い、幼なじみと二人で遊ぶことになり、カラオケ屋に入った。

 ◇

こいつ、俺とカラオケなんて嫌じゃないのかな…しかも俺歌ってないのに…。

幼「これ貸してね」

脱ぎ捨ててあった俺の上着を奪って体にかける幼なじみ。

俺「寒いの?」
幼「いや、なんか隣からエッチな視線を感じたもんで」
俺「あ、バレてた?」
幼「本当に見てたのかよ」

笑いながら軽く小突いてくる幼なじみ。ずっと会ってなかったのにすぐにこんな風に冗談言い合えるのが不思議だ。
そういや、誰かと遊ぶのも久しぶりだな。女の子の匂いも忘れてた。三次元もまだ捨てたもんじゃないな。

 ◇

幼「さ、そろそろ何か歌ってみませんか社長」
俺「あーほらな。絶対に歌ってよって言い出すから嫌なんだよ。
  最初に俺は歌わないって言ったろ。だからカラオケは嫌だったんだよ」
幼「良いじゃん、歌ったらおごってあげるから」
俺「俺は歌うのこわいんだよ」
幼「えー?」
俺「俺はな、音楽の授業好きだったんだけどな、
  中学の授業で『君は声は大きくてすごく良いけどもう少し音程を気を付けようね』って先生に言われてからこわいんだよ」
幼「それぐらいなら私も言われたことあるって」
俺「音程ってのが俺にはよくわかんねんだよ」
幼「じゃあいっしょに歌うからさ」
俺「ここ五年ぐらいの曲殆ど知らねえよ」
幼「いつも何か聴いてるじゃん」
俺「あれはお叱りボイス聴いてるんだよ」
幼「オシカリボ・椅子?」
俺「お芝居みたいなやつかな。子供の頃桃太郎とか一寸法師とかカセットテープで聴いたろ」
幼「小説みたいなやつか。今度貸してよ」
俺「お前がいつも言ってるようなことが聴けるだけだぞ」
幼「世界が平和になりますようにみたいな?」
俺「お前がそんなこと言ってるの聞いたことねーぞ」

 ◇

幼「ねー、歌お、歌お」
俺「まだいうか」
幼「何なら歌える?」
俺「最近のは『跪いて足をお嘗め』と『ぼくの漫画の主人公』」
幼「知らない」
俺「ミスチルとスピッツならベストアルバム持ってるから分かることは分かる」
幼「じゃあ好きなので良いからいっしょに歌お」
俺「笑うなよ…」
幼「笑わない笑わない」

 ◇

幼「うははwww」
俺「笑ってるじゃねえか!少しは我慢しろ!」

 ◇

俺「はあ…」
幼「どうする?延長する?」
俺「延長されたら死ぬ…」
幼「じゃあ最後に一人で何か歌ってみましょー」
俺「いやそれは無理だわ」
幼「大丈夫だわ」
俺「無理だって」
幼「大丈夫だって。ほらこれ飲めば平気。はいはい、あーん…」
俺「うわ、酒やめ…んぐ、んぐ…(間接キスだ…)」
幼「良い飲みっぷりっすね社長っ!さあどうぞっ!」
俺「くそっ、もう二度と歌わないからな!」

 ◇

俺「♪あーなたはーいーまどこでーなーにをしてまっすっかー」
幼「なぜ音痴は難しい曲を選ぶのか…それは永遠の謎…」

 ◇

俺「♪孤ー独とー絶ー望に胸ーを…けっらっれー心がー壊れそうにーなる…どー」
幼「なぜ泣く!?こわい?止める?」
俺「ふひひ、泣いてねーよ。歌唱テクニックだ、素人め」
幼「意味わかんねーよ」
俺「あれだ、オブラートだ」
幼「ビブラートだろ。包んでどうすんだよ」

 ◇

俺「♪もう一度 あの頃に戻ろう 今度はきっと大丈夫
  いつもそばで笑っていよう あなたのすぐそばで」

 ◇

幼「今日はごめんね」
俺「いや、良いって。
  楽しかったよ」
幼「仕事頑張ってね。
  ゆっくり休んでね」
俺「ああ」
幼「あ、電車来たよ」

まだ別れたくねえ…もっと話がしてえ…こいつといっしょにいたい…。

俺「…あのさ」
幼「ん?」
俺「あの…」
幼「どした?」
俺「いや…」

だめだ…何も言えねえ…。

幼「電車行っちゃうよ?もう少し話する?」

話はしたいけど…顔見てるだけでまた泣いちゃいそうだ…これ以上心配させたくねえ…今日は笑って別れるんだ…。

俺「…へへ、なんでもねーよ。じゃあな」
幼「なんだあww?酔ってるのかww?」
俺「また…な」
幼「うん」

プシュー ガタン…ゴトン…

やっぱり…自分は昔と変わらない…弱虫のままだ…。
どうせ…俺なんて告白してもな…。
さあ携帯でW2Chでも…あれ…メールだ…。

 ◇

幼【今日は本当にごめんね
  今度お詫びするから】

俺【だからもう気にするなって、昔はいつも俺を平気で泣かしてたじゃんか
  お前に無茶やらさせられるのは慣れてんだよ、ケラケラ笑ってろよ】

幼【それじゃ私がひどいやつみたいじゃんか(´・ω・`)】

俺【お前に笑われてた方が安心すんだよ】

幼【あんた変態じゃないの?】

俺【なっなぜわかった(・・;)】

幼【三つ子の魂百まで】

俺【昔何かしたっけ?】

幼【私のパンツかぶってましたよ】

俺【あれはちげーよ
  間違えたんだよ】

幼【そうは見えませんでしたけどね(-_-)】

 ◇

その夜、メールは深夜まで続いた。
再会しても相変わらず強気でわがままな彼女だったが、たまにこっちが心配になるほど反省する時もあり…。
俺は振り回されながらも日に日に幼なじみに惹かれていった。
そして、告白してもどうせ振られるという気持ちも、とにかく俺の想いを知ってほしいという気持ちに変化してきていた。
もし振られても友達でいられるであろうという根拠のない自信がついてきたのだ。
そしてある日のこと…。

 ◇

また幼なじみスレか…。
どうせ腹筋か釣り…うわ、>>1が告白に行ったのにヘタレて出戻りして叩かれてやがる。釣りじゃないなこりゃ。
立てた人以外にも色んな幼なじみ好きが集まってるみたいだな。
ふむふむ…。
この人は幼なじみと上手くいってるんだな。
この人は振られちゃったみたいだ。
この人は幼なじみが不良になっちゃったのかな。
そうか、みんな苦労してるな…。
ちょっと書き込んでみよ…。

 ◇

394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:50:19.84 ID:UfNPF5MbO
353
俺の幼なじみも親が離婚して離ればなれになったんだけどさ、10年ぶりぐらいに会ってまた仲良くなったんだ。
その人のお母さんが客商売の仕事紹介してくれて。ずっと引きこもってたから初めての仕事だったんだ。
この前、誕生日に仕事先に遊びにきてくれてさ。「おっ、かっこいいじゃん。似合ってる似合ってる…」なんて笑って。
それみて、俺の思い上がりかもしれないけど、あれっこいつが母親に頼んでくれたのかなって思ったらなんか胸が熱くなって。
告白するつもりなんだ。

(スレを立てることになるとは思っていなかったので10年ぶりぐらいと適当に書いてあるがもっと長い。)

以下、告白編に続く。

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最終更新:2009年02月12日 21:24
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