日常編79

休日。

幼「ねー、なんかポケモンが二回鳴いたんだけど？」
俺「はあ？」

ポケットモンスターエメラルドというゲームをやっていたみおが意味の分からないことを言い出した。
内心、何言ってんだこいつと思いながら画面を見てみる。

俺「二回鳴いたんじゃなくて色違いじゃねーか」
幼「色違い？」
俺「１／８１９２で出る、普通と色が違うポケモンだよ」
幼「マジ！？
　　すごくない！？」
俺「まあ捕まえとけば？」
幼「ど、ど、ど、どうやって削る！？」

慌てまくるみお。

俺「別に削らなくて良いだろ。ケチらず満タンのままボール投げろよ」
幼「あ、そっか」
俺「……」
幼「やったー！」

捕まえた。

幼「名前どうしよ」
俺「デフォで良いだろ」
幼「ダメだよ！」
俺「なんでそいつだけ名前付けんだよ。
　　つーかそいつ使う気なの？」
幼「当たり前でしょ、超レアじゃん」
俺「……」

正直みおが適当に育てるのはもったいないので俺がもらいたかったのだが、
はしゃぎ具合がかわいかったので見守ることにした。

幼「名前カズで良いや」
俺「えーっ！？」

　◇

幼「カズくんよえー、一撃でやられた」
俺「メンバーから外せよ」

　◇

幼「カズくんの技、マジ使えない」
俺「外せよ」

　◇

幼「カズくん進化して気持ち悪さが増した」
俺「だから外せって」

　◇

幼「カズくんが悪い意味で殿堂入りした」
俺「どっかに晒されたみたいな言い方すんなよ」

　◇

幼「今何時ー？」
俺「九時くらいだろ」
幼「九時！？」
俺「知らんけど」
幼「ホントだ……一日中ゲームしちゃった。
　　お前も黙ってないで晩飯食いたいとか言えよ！」
俺「だって言ったら買い物行かないとダメだろ。ゲーム良いとこなんだもん」
幼「買い物行くぞ！
　　また水が売り切れちゃう」
俺「えー、良いとこなのに」
幼「お前の良いとこは三時間くらい続くからな」
俺「中学時代にＦＦ７やってた時は八時間くらい良いとこが続いたと思う」
幼「どんなだよ」
俺「セフィロスを追跡するあたりだな。雪の崖みたいなとこ進むのを今でもなんとなく覚えてるよ。
　　バハムート改のマテリアが手に入るあたりでさ、ドラクエ３で言うとネクロゴンドからバラモス城のあたりなんだよ」
幼「まあ分かるけど」
俺「もう話が終わりそうなのにやっとディスク２になったばかりで、いつ最後のディスクになるんだろうかと思ってたんだよ。
　　でも気が付いたら一日でディスク２が終わってたんだよな」
幼「のめり込み過ぎだろ。
　　でもやばい、私もこいつみたいになってる」
俺「お前は朝ごはんもお昼ごはんも作ってんだから全然平気だろ。
　　マンガも一冊読んでるしバランス良い」
幼「お前の感覚で話すな」

　◇

幼「今度ＦＦ７やろうかな。あれストーリーどんなんだっけ」

化粧をしながら俺に聞く。

俺「俺、ＦＦの７と８と９と１０と１０−２と１２はストーリーよく分からん」
幼「最近の全部じゃねーか！」
俺「特に７から９はなぜか発売日に休日やらが絡んでて、発売日の朝にファミマとかに受け取り行って全速力でクリアしたりしてたからさっぱり分からん。
　　このストラップが８の予約のやつ、このぬいぐるみが９の予約のやつだな」

ストラップとぬいぐるみを見せる。

幼「９って何度もクリアしたんじゃなかった？」
俺「つーか７も８も二回はクリアしたと思う」
幼「それでも分かんないのかよ！」
俺「ストーリーあんま興味ないし」
幼「どうでも良いよね」
俺「実にどうでも良い。父親なんて初見でムービー飛ばす」
幼「それ次に何をしたら良いか分からなくならない？」
俺「パソコンで攻略サイト見るんだろう」
幼「パソコン出来るんだ」
俺「お父さんはブログもサイトもやってるしモバゲーもグリーもmixiもツイッターもやってんだぞ」
幼「マジすか！？」
俺「うん」
幼「見たい見たい。教えて」
俺「シラネーヨ」
幼「知らないの！？」
俺「聞いたことない」
幼「聞けよ！」
俺「あんま興味ない」
幼「なんでだよ」
俺「お父さんって女の子じゃないんだもん」
幼「父親が女の子だったらこわいわ！」

　◇

俺「ハマると『ブログの友達にパスタの美味しいお店教えてもらっちゃったよ。知りたい？』
　　とか『お父さんも巷で話題のツイッター始めましたよ。ツイッターって知ってる？』
　　とか言い出して俺とお母さんにウザがられる」
幼「ちょっ、お父さんかわいそうじゃん。聞いてあげなよ」
俺「ＲＰＧのストーリー並にどうでも良い」
幼「ひどい」
俺「突然『おっ、でかい魚が釣れましたよ』とか言われても意味わからん」
幼「構ってやれよ」
俺「じゃあお前、俺が突然『おっ、でかい魚が釣れましたよ』とか言ったらどうする？」
幼「スルーする」
俺「そうだろ。つまりそういうことだ」
幼「説明が雑っ！」
俺「めんどかった」