日常編31


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幼「きゃあ!」

突然の悲鳴。
何事かと見ると、台所のみおが持つフライパンから火柱が上がっている。

幼「どっ、どうしよ」
俺「慌てるな。水はかけるなよ」

着てるシャツを脱いでフライパンにバサッと被せた。
念のためさらに座布団を乗せてぐりぐりする。

俺「……ふむ」
幼「もう平気?」
俺「再燃するかもしれないから一応濡れタオル用意しといて。俺見とくから」
幼「わ、分かった」

 ◇

幼「濡らしてきた」
俺「おう。じゃあ取ってみるから」
幼「うん」
俺「……」
幼「……」
俺「消えてるね」
幼「はあ、こわかった」
俺「どこもやけどしてない?」
幼「大丈夫」
俺「そっか」
幼「びっくりしたあ」
俺「落ち着きたかったら俺の胸に飛び込んでも良いんだぜ?」
幼「バカ」
俺「あははは」
幼「なんでそんな落ち着いてるの?
  なんか悔しいんだけど」
俺「いや、昔似たようなことがあってね。
  お母さんが火柱にぎゃあぎゃあ慌てて、お父さんがバサッとやったわけよ。
  その時に結構簡単そうに消してたんだ。
  それがなかったらみおを置いて逃げてたかもよ?」
幼「ひっどー」
俺「ははっ、まあ逃げはしないと思うけどね。スラリンのぬいぐるみを置いていけないし」
幼「私は!?」
俺「みおの犠牲は無駄にしないよ」
幼「勝手に殺すな!」

 ◇

俺「お父さんが火を消すとこを見てて良かったよ」
幼「だね」
俺「まあお父さんの消し方が正しいのか分からんが」
幼「おいおい……でもすぐ消えたんでしょ?」
俺「そうだね。お父さんは『何をそんなに慌てることがある。お母さんの声の方がよっぽどびっくりする』とか不機嫌そうに言いながら何事もなかったかのように新聞を読みに戻ったんだけど、
  お母さんは『たまたまお父さんが居てくれて良かった』って言ってたよ。
  俺はぼけっとしてただけだし、お父さんが居なかったら実際やばかったかも」
幼「お母さん助けてあげなよ」
俺「だってなあ。当時はどうすれば消えるか知らないしさ」
幼「ひどい奴……」

 ◇

俺「あんなのパニクるって。
  お父さんが落ち着き過ぎなんだよ」
幼「それはあるかも」
俺「お父さんにはその時特に何も言わなかったけど、
  家族が慌ててる時に冷静に行動出来るのが一家の主って感じでなんかすごく格好良かった」
幼「うんうん」
俺「だから俺もさっき冷静なフリしてみた」
幼「フリだけか!」
俺「フリに決まってるだろ。手の汗すごいよ」
幼「うわっ触るな!」
俺「大体、あれだよ。俺は火ってちょっと苦手なんだ。
  俺は理科の実験で『何か起きても騒がず冷静に先生を呼ぶように』と先生に言われてるのに十秒後に火が少しボッてなっただけで女よりうわうわ騒いで先生に怒られるような奴だぞ」
幼「それ目に浮かぶわ」
俺「だけど、みおを守らなくちゃと思ったから。
  俺が慌てたらみおだってつられちゃうから冷静ぶったんだよ」
幼「うん、冷静に見えた」
俺「俺、格好良かった?」
幼「それを聞かなければ格好良いのに」
俺「じゃあ聞かない」
幼「もう遅いわ!」

 ◇

そして数時間後……。

幼「格好良かったよ」
俺「なんて?」
幼「さ、さっき」
俺「……えっ、なんで今?」
幼「うっ、うるさいバカ!喜ぶかと思ったんだよ!」
俺「みおはかわいいなあ」
幼「うるさいうるさい!もう寝る!」
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