日常編29

その日の晩飯はカレーだった。
以前仕事から帰ったらカレーが腐っていたので、腐らないように冷凍しておいたものだ。

幼「美味しくない」
俺「じゃがいもがぼそぼそになってるな」
幼「美味しくない……」
俺「あはは、分かったって」
幼「美味しくないー!」


解凍に失敗したのかルーが粒々になり味がかなり落ちてしまった。

俺「まあじゃがいもは変なんなってるけど肉食えるぜ」
幼「無理して食べなくて良いよ?」
俺「全然大丈夫。お前食べないなら肉くれ」
幼「うん」

 ◇

俺「どうした?」
幼「なんでもない」
俺「泣くなよ。そんなに食べられるの嫌なら食べないよ」
幼「ううん、食べて良いよ」
俺「食べて良いのな?
  別に嫌がらせに食べてるわけじゃないから嫌なら言えよ?」
幼「違うの、嬉しくて……」
俺「そっか」
幼「ごめんね。明日は絶対美味しいの作るから」
俺「気にするなよ。こういうこともあるって」

正直、たまには失敗してくれた方がかわいいくらいだ。

幼「うん……」
俺「そうだ、俺がみおのご飯作ろうか?
  みおこれ食べられないんだろ?」
幼「良いよ……」
俺「食べなくて平気?」
幼「後で自分で作る。たくさん料理の練習しなきゃ、へへ」
俺「疲れてない?」
幼「元気だよ」
俺「なら良いけど」
幼「和君が食べてくれたから元気」
俺「単純だなあ」
幼「明日何食べたい?」
俺「またポテトグラタン食べたいな」
幼「ポテトグラタンね。それだけで良いの?」
俺「うん」
幼「よし、頑張る」
俺「楽しみにしてるよ」
幼「あーなんかポテトグラタン想像したらお腹空いた」
俺「やっぱ俺が何か作るよ」
幼「じゃあいっしょに作ろ」

 ◇

俺の練習も兼ねてオムライスを作ることにした。
みおのはチキンライス入り、俺のはバターライス入りだ。

俺「うわ、返らない」
幼「バカ、貸して」
俺「やっぱりみおは上手いなあ」
幼「オムライスくらいはね」
俺「オムライスって簡単なの?」
幼「簡単でしょ」
俺「卵料理って簡単なの多くて便利だな」
幼「和君が食べられるしね」
俺「新幹線の味付けゆで卵が美味いんだよなあ。
  駅弁って野菜が多くてあんまり食べられないから、おばあちゃんちに行く時にいつも食べててさ」
幼「別にコンビニで売ってるじゃん」
俺「普段はなあ……なんか微妙に高いし」
幼「でも美味しいよね」
俺「白身が良いよね」
幼「うんうん」
俺「まあ俺はやっぱり『君』が一番好きだけどね」
幼「一番ってゆーか黄身と白身しかないじゃん」

伝わらなかった。

 ◇

俺「オムライス初めて食べたけど美味いな」
幼「初めて!?」
俺「うちは洋食少ないんだよね。ムニエルも食べたことなかったし」
幼「ムニエルは分かるけどオムライスはびっくり」
俺「俺チキンライスが好きじゃないから外で注文することもないしさ」
幼「そういやお前、初めての店では何頼むの?」
俺「それなんだよね。
  カレーはたまにタマネギがこれでもかって程入ってたりするでしょ。
  うどんやそばもネギがすごい時がある。エビフライはタルタルが最初からかけられてる場合がある。
  ステーキは下にタマネギ敷き詰められてるしハンバーグもコロッケもタマネギやニンジンが細かく刻まれてない危険がある。
  よってトンカツになる。トンカツなら肉と衣以外の要素皆無だから安心」
幼「なるほど」
俺「ただ、キャベツを食わないからもったいないんだよな」
幼「絶対キャベツ付いてるもんね」
俺「トンカツもステーキみたいにポテトとトウモロコシなら良いのに」
幼「ポテトとかは鉄板じゃないと」
俺「ステーキは下か上にタマネギさえなければほぼ全部食べられるんだがな。
  たまに付け合わせがニンジンだけど」
幼「ニンジン甘いよ?」
俺「俺本当は甘いの嫌いなんだ」
幼「そっか。ケーキ買ってあるんだけど和君は食べられないね、残念」
俺「食べる食べる!」

 ◇

俺「チーズケーキか」
幼「モンブランなかったの。チーズケーキ大丈夫でしょ?」
俺「ああ、流れ的に甘いケーキだと思ってただけだよ。
  チーズケーキはボロボロ崩れないから好きだ」
幼「和君ケーキは食べるの下手だよね」
俺「ケーキのフォーク細すぎない?」
幼「言えてる」
俺「ケーキのフォークって男には持ちにくいと思う」
幼「そんな違うの?
  うわ、大きい」

みおが俺と自分の手のひらを合わせて驚く。

幼「あれー?
  あれー?」
俺「どう合わせても同じだろ」
幼「こんな大きかったっけ」
俺「気付けよ」
幼「いや、前より大きくない?」
俺「そんなわけあるか」
幼「お前、もっと小さくなって良いぞ。気に入らないから」
俺「無茶言うなよ」

 ◇

幼「カレーどうしてあんなになっちゃったんだろ。今度チヒロに聞いてみよ」
俺「お前、あの子に聞いてるの!?」

例の幼なじみカップルの子だ。

幼「チヒロ詳しいんだもん」
俺「いや、でもなんつーかさ、年下に聞くの恥ずかしくないの?」
幼「助け合わなきゃ」
俺「一方的に助けられてるんじゃないのか」
幼「そんなことないよ、デート何着て行ったら良いかとか相談されるし」
俺「やっぱりあるんだそういう相談」
幼「まあね」
俺「とりあえずニーソだよね」
幼「勝手に鉄板にするな」
俺「幼なじみなら結構裸足見てるだろうから裸足よりニーソの方が良いと思うよ」
幼「なんで裸足とニーソの二択なんだよ」

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最終更新:2009年08月30日 12:31
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