日常編21

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[09/04/24書き込み] 朝目覚めると、心配そうな幼なじみの顔があった。 俺「はあ、はあ……」 幼「夢……?」 俺「ああ……」 幼「大丈夫?」 俺「ちょっと待ってくれ」 幼「あ、ごめん。ゆっくり思い出して良いよ」 俺「いや、内容は覚えてるんだ。珍しくはっきり。   抱きしめて落ち着かせてくれ」 幼「……」 俺「……ふう。汗くさ……」 幼「……」 俺「えっとな」 幼「うん」 俺「全身がフルーツの……リンゴとかにスポッと被せてある白いクッションあるじゃん。   みかんや味付けゆでたまごが入ってるのにも近い。あんな風になってて俺の中身が見れるんだ。   中身と言っても、骨や皮はなくて血が見えるだけなんだけどな。全身網タイツみたいな」 幼「こわ」  ◇ 俺「スパイダーマンの赤い部分に似たようなもんだな。あれで網の中がペットボトルみたいになってて網から外にはこぼれないんだんだ。血がちゃぷんちゃぷんとさ。   コーラのビンに網がかかってるみたいなイメージだ。ほとんど満タンだな。それで色がもっと鮮やかだった。   血ってこんなきれいじゃないだろってくらい。なんだろな、ちょっと浮かんで来ないけど。   リンゴの皮の色に似てる。またリンゴ出しちゃったけどリンゴは別に関係ないぞ」 幼「分かってるって」 俺「さっきも言ったけど、歩くとちゃぷちゃぷ音はするけど不思議と網目からは血が漏れなくて……まあ血ともちょっと違うんだけど。   だからその時は別にこわくなかったんだ。むしろ安心感さえあった。   だけどすぐ膝んとこをなんかで傷つけてさ、プチって破けるんだ。   そしたらそこから血が溢れ出すわけ」  ◇ 幼「やばいじゃん」 俺「そう、俺もやばいと思ってもうパニックになって。しかもすごく痛くてさ。いや、夢だから痛みとかないんだけど、痛いような気がするんだよ血が出てるから。   痛みと焦りと驚きで変な動きとかしちゃうわけよ。漫画の『あわわ、あわわ』ってのみたいな。   その動きでまたプチプチ破けていって一気に量が増える。   さらに驚いたせいか血で滑ったせいか、すっ転んでさ。その衝撃でもうブチッとやっちゃって完全にウト。   後は手足でべちゃべちゃ鳴らして這いずる回るだけで立ち上がることも出来ず、なすすべもない」 幼「それで、どうしたの?」 俺「死んだよ」 幼「死ぬなよ!」 俺「夢だよ」 幼「夢でも!」  ◇ 俺「まあ、最後の方は動けなくなったせいかあまり恐怖はなかったんだよ。   ただ、お前を残して死ぬのが気がかりで。たくさん泣かせちゃうかな、ごめんな……って思った。何もしてあげられなかったなあって」 幼「そんなことないよ」 俺「もし俺が今何かで事故にあったりしたら、最期の時はやっぱりお前のこと考えるんだろうな」 幼「やめてよそんなこと言うの。   和君がいなくなったら私、やだからね」 俺「なんか前にも聞いたなそれ。   ……まあ、最期にお前のこと考えたのは嘘なんだけどな。   本当は『アイスの実』の黒いコーヒー牛乳味のだけのを楽しみに残しておかずに、死ぬんだったらあれもいっしょに全部食べちゃえば良かったと後悔した」 幼「……このっ!」 俺「イテッ!」  ◇ 幼「アイス食べてやる!」 俺「あ、やめてよ」 幼「バカが勝手に死ぬから悪い」 俺「アイスがなくなったら、今後死ぬ夢見た時にお前のことを心配しながら死んじゃうじゃないか」 幼「お前なんか私を心配して生き返れば良いんだ」 俺「意味が分からない」 幼「いただきまーす。あむ……」 俺「返せ!」 幼「んっ!   んんー……」 俺「……うまい」 幼「取られた。ケチ」 俺「もごもご……ごめん」 幼「もう死なない?」 俺「いや、歯磨きする前にキスしちゃってごめん」 幼「そっちかよ」 俺「だって嫌われたらやだし」 幼「アイス取ったから嫌い」 俺「代わりに愛をあげるから」 幼「そんなの要らね」 俺「ほしいくせに」 幼「あげたいくせに」 両『ふふっ』

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