2011 > 03 > 13編

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[3月13日] 俺「お腹すいたー」 幼「まだガス使えないのかなあ、愛情たっぷりの味噌汁作りたいのに」 俺「ガス点けてみりゃ良いじゃん」 ボッ! 幼「あっ、点いた!   あれ消えちゃった」 すぐに消える。 もう一度チャレンジするが今度は全く点かない。 幼「昨日もこんな感じだったの。一瞬点くんだけどすぐ消えて」 俺「これ漏れてる分のガスで点いたんじゃねーの?   元栓落ちてるだけでもう復帰出来るんじゃないのか。元栓どこにあんだ」 幼「外」 二人で元栓を見に行く。 ガシャコンとフタを外す。 俺「んー……」 幼「ひゃあ、何か赤いの光った!」 俺「はあ?」 幼「そこそこ……ほらあ!   もうやだあ……」 俺「ランプ点いただけじゃねーか」 幼「なんで点くんだよー、驚かすなよー……」 俺「これ点滅してるってことは異常がないってことだろうから復帰して良いってことじゃね?   その説明書みたいの外せよ」 幼「どうやって外すの?   取れない」 モタモタしてるので横から覗きこむ。 俺「んー……やっぱり復帰して良いみたいだな。   まず、キャップを外して……」 キュッキュッ……。 幼「ちょっ、ちょっ、待って」 俺「なんだよ」 読みながらキャップを外そうとすると、みおに止められる。 幼「こわいじゃない!   そんな無造作にやんないでよ」 俺「全然こわくねーよ、書いてある通りにすりゃ良いだけだろ」 幼「わっ、あっあっ、危ないよ」 俺「お前、俺を信用しとらんな」 やって良いかみおにいちいち聞いてたらたまらん。構わずにフタを外してボタンを長押しする。 俺「……ゆっくりボタンから手を離して、えーっと……?   ……ランプが点いたら、これが点滅するまで三分ほど待つ……と。   お前が騒いでる間にもう終わったわ。ここで三分待ってろ役立たず」 幼「和くんすごーい」 何もすごくない。 わけがわからない。  ◇ 三分後、みおが戻ってくる。 幼「和くんいてくれて良かったー」 俺「お前マジで三分待ってたのか!?」 幼「えっ。待ってたよ?」 みおがきょとんとした顔で返事をする。 俺「バッカだなお前。寒いのに素直に外で待ってるかな。   三分した頃に見に行けば良いんだよあんなの」 幼「やー、泣きそうだったからさ。えへへ……」 俺「なんで?」 幼「和くんがいてくれてほんと良かったなって」 俺「なんだそりゃ」 幼「だって一人だったらこんなのこわくてこわくて」 本当にこわかったのだろう、丸三日くらいおびえていた。 俺「ガスやってみ?」 みおが試すと、火がしっかり出た。 幼「おおー」 俺「こういうのって管理人とかに復帰して良いか確認取らなくて良いんだよな?」 幼「ちょっ!?   今さら言わないでよ!」 俺「まあ大丈夫だろ。東京のガスがずっと止まってたらニュースでやってるよ。管理人月曜まで来ないのに待ってらんないし。   それより腹減った。ふあーあ……ふにゅにゅ」 適当に答えてあくびをするとみおがあきれる。 幼「あんたよくそんなのんきでいられるわね。ぐーぐー寝てるし」 俺「お前がうるさいから初日は五時まで寝られなかったけどな」 書き込みをした12日の4時、みおも起きていた。 テレビの電源を入れっぱなしで、速報の効果音が鳴ったらいちいちしがみつき、俺が少し動いたら地震がきたのかとびくびくされた。 みおにその気がなくても、不安そうな顔をしてしがみつかれたらムラムラする。でも、みおは余震が心配で裸になりたくない。おかげで俺まで寝られなかったわけだ。 ……口で三回してくれましたけどね。  ◇ 俺「みおが心配し過ぎなんだよ。みんなに電話しちゃってさ」 幼「あんたがおかしいのっ!   普通無事か確認するでしょ」 俺「ほとんど無事だろこのへんは。何をそんなに心配するのかわからん。   みおだけはすごく心配したけどみおからは電話きたし」 桃は同じ職場。みお、親、たま、カツミから電話やメール有り。他に誰も友達いないので心配のしようがなかった。 むしろどこに住んでるかさっぱり知らないネット関係の友達の方が心配だったし、心配してるだろうと思って顔見せ更新を急いだ。 こんなこと書いたら引かれるかもしれないが、俺にとってネットの友達は普通の知り合いなんかよりはるかにでかい存在なのだ。 なにしろ、ネットではざっと百人は心配してメールや書き込みをしてくれた。本気で心配してくれてると思ったし、熱い友情を感じた。 どうしてみんなここまで心配してくれるのだろうと不思議になるくらいだった。 ……これを書きながら一応確認のために携帯の電話帳を見ていたら、ふとヨーダのことを思い出した。あんなのもいたな、すっかり忘れていた。一週間で一度も思い出さないとは。 みおに「ヨーダって今どこに住んでるんだろうな」と聞いたら、みおも忘れていたようで「あっ、ヨーダ地震大丈夫だったのかな?」と返ってきた。 ……みんなに一つ断っておくが、幼なじみなんて普通は大人になったらただの知り合いみたいなもんだ。 だから俺らが薄情なわけじゃないので、勘違いしないように。特にみおは薄情なんてありえない。真逆と言っても良い。みおが薄情だと思われたら心苦しい。 幼「私の心配してたの?   超落ち着いてたじゃん」 俺「あの時のお前より動揺するのは難しいだろ」 幼「じゃあちょっとは心配してたんだ」 俺「俺は死んでも良いからみお生きててくれって思ってたな。胸が苦しかった」 『死にたくない』という感情より『みおが死んだら嫌だ』という感情の方がはるかにでかかった。今でも不思議な感覚だ。 幼「そんなこと考えんなよ」 俺「だってみおに比べたら俺なんてどうでも良いって思ったし」 幼「ダメだろバカ。そういうこと考えると本当になるっていうじゃん。   和くんがいなくなったら私生きていけないんだから」 俺「その瞬間ついそう思ってたってだけだよ、地震直後のみおから電話ある前。   ごめんね」 幼「ま、まあ私だって同じこと思ったからひとのこと言えないけどさ」 俺「同じこと?」 幼「なんでもない」  ◇ 幼「やーっとお風呂に入れる!」 俺「お風呂入りたがってたもんな」 幼「余震起きたら教えてね」 俺「いっしょに入っちゃダメなの?」 幼「お前がテレビの前に居ないとゆっくり出来ないだろ。   大体、汚いからダメよ。アカがたくさん出る」 俺「気にしないんだけどな」 幼「私が気にするの!」  ◇ 幼「お待たせ」 みおがお風呂から出ました。 俺「俺はお風呂入った方が良いのかな?」 幼「入らないの?」 俺「別に俺は入らなくても良いや。みおが一人にされるのこわいなら入らないし、お前くせーよってんなら入るし」 幼「入るとさっぱりするよ」 俺「じゃあ入るか」  ◇ 幼「和!   緊急速報だよ!   出た方が良いかも!」 お風呂に入って五分も経たずにみおが慌ててドアを開けてそう言う。 俺「別にこっちあんま揺れてないじゃん」 まだ出たくない。 幼「うー、でもこわいよぉ……」 俺「だからみおがこわいなら入らないって言ったのに。もうお前、また風呂入っちゃえよ」 幼「そうする」 俺「えっマジで!?」 幼「一人じゃこわくてゆっくり入れなかったし。いっしょに入った方がマシだわ」 なんという二度手間。  ◇ でもやっぱりこわいのか、お風呂に携帯を持ち込んで携帯でテレビを観るみお。 俺「そこまでして入りたいかな」 幼「え?   和くんもお風呂好きでしょ?」 俺「好きだけど、お前のは違うじゃん。   俺は風邪の時にどうしてもお風呂に入りたいとは思わないし、お風呂が使えなくても銭湯に行こうとは思わない。   みおはカラダをキレイにしたいってのが目的の一つとしてあるでしょ?   俺それないもん。むしろカラダを洗うのは面倒くさい。俺って眠いとお風呂入らないで寝ちゃうでしょ?   不潔だとみおに嫌われるから洗っておかなきゃなって感じでついでに洗うだけで、目的はお風呂でマンガ読んだりしながらゆっくりすることだもん。   さっきのみお、とりあえず第一目的のカラダを洗うことは出来たから良いやって感じで出てきたわけでしょ?」 幼「和くんは昔から湯船に長くいるタイプだよね」 俺「いや、お母さんと入ってた子供の頃は百数えるのすごく嫌だったぞ」 幼「えーそうだっけ?」 俺「ほら、熱いから。一人で入れるようになってからは冷まし放題だから、そこからお風呂が好きになったんだよ。   みおの家でみおとお風呂入ってた時もすぐに出たでしょ?   あれはちょっと恥ずかしいからってのもあるけど」 幼「でも私、水足してあげてた記憶あるよ?」 俺「俺知らないぞ」 幼「熱いから出るって言うから、じゃあダーリンのために冷ましてあげるって言って」 俺「……いやー覚えてないや。みおの家では長風呂してたんだっけ?」 幼「それは覚えてないけど、怒られた気がする。   お母さん達麻雀してて子供の後で入ったから、お湯ぬるくなってるわバシャバシャはしゃいで減らしまくってるわで。   だから次からはバレないようにお風呂を出る前にお湯を足してたと思う」 俺「ずる賢いな」 幼「あ!   お風呂でよくキスしたよね?」 俺「そうなのか?」 幼「お風呂なら密室だから無理矢理ちゅーしても私がお母さんに怒られないから無理矢理ちゅーしまくりだった」 俺「ずる賢いな」 幼「最終的に嫌がる和くんがかわいかったなー」 ひでえ。ひでえけどうらやましい。  ◇ 俺「そのへん全然覚えてないや」 幼「私も急に思い出した」 俺「まだ思い出すことってあるんだな」 幼「熱い風呂が嫌いってので、ああそういえばなんかあったなって思い出したの」 俺「俺はこの前、みおがプチトマトをすすめてきてたのを思い出したよ」 幼「なにそれ」 俺「プチトマト美味しいから食べてみなよ、みたいな。ご飯食べててさ」 幼「偉いな私」 俺「みお、みおのお母さんに怒られてたよ」 幼「えっ、なんで!?」 俺「みおやめなさい和くんが嫌がってるでしょうが!……って」 幼「今の似てた」 俺「そう」 幼「早口なのがそっくりだった」 俺「そういえば怒る時に早口な気がするね」 幼「どうしてこんなことするの畳めって言ったでしょ!」 みおがお母さんの真似をする。 俺「あはは」 しばらく昔話に花が咲く。 俺「なんでプチトマト食えないならヘタやるから食えって発想になるんだよ。   いじめだよな」 幼「バカそれはいじめじゃなくて私の愛情だろ」 俺「歪みねえな」 幼「ぶーっ」 冷えた緑茶を飲みかけてたみおが吹いた。 幼「おまっ、ふざっ、けほっけほっ……」 俺「何に吹いたんだよ」 幼「ふー……けほっけほっ……はー楽しい。   大変な時にこんな笑ってて良いのかしら」 俺「被害がなかった人達は笑うのが仕事だよ」 幼「そうかもね」 俺「知らんけど」 幼「適当かよ」 俺「でも俺はみおが元気だと嬉しいな。こわがってるのもすごくかわいいけど」 幼「ばーか。じゃあ元気にさせてみろよ」 俺「頑張る」

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