日常編47

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スーパーに二人で行った帰り道のこと。 俺「あいつ、一人で平気なのかな」 男の子が一人でフラフラ歩いているのを見つけた。 幼「お母さんがあそこにいるでしょ」 俺「あれお母さんなの?」 幼「目を光らせてるじゃん」 俺「俺には分からんがな」 幼「顔も似てるじゃん」 その子はしばらくは大人しく花屋の花を眺めたりマックの前のポケモンの絵を眺めたりしていたが、横断歩道の方へトテトテと歩きだした。 親「かず!」 母親が大声で子供を呼び注意すると、とたんに立ち止まって慌てて引き返した。 急に大人しくなって母親の横を歩くようになる子供。 幼「あの子もかずなんだ」 俺「へえ、ちゃんと止まるんだ」 幼「当たり前でしょ」 俺「そういうもんか」 幼「そりゃそうよ」 俺「今度はずいぶん母親にくっついてるな」 幼「手を繋ぎたいけどまだ怒ってるかなーって思ってるね」 俺「そうなの?   怒られたばかりなのにこわくないの?」 幼「和君は子供の気持ちが分かってないね」 俺「そうかなあ……」  ◇ 俺「あいつ、何歳くらいだったんだろ」 幼「三歳か四歳じゃない?」 俺「えっ、三歳であんな歩けんの?」 幼「あんたなんも知らないのね」 俺「いつ頃に歩くのかとか喋るのかとか全く知らん」 幼「そんなんで子育て出来るの?」 俺「どうだろね」 幼「どうだろねじゃないだろ」 俺「不安はあるよね」 幼「まあね」 俺「……」 幼「……」 俺「でも、みおって結構子供のこと分かるんだね。女っぽいね」 幼「ぽいってなんだよ」 俺「いや、母性的みたいな意味でさ」 幼「ふん」 俺「なにそれ、その怒り方かわいい」 幼「かわいくないです」 俺「かわいいのに」  ◇ それからしばらくしたある日。 俺「ふふ」 幼「携帯見ながらニヤニヤするなよ」 俺「いや、  『上野駅前でやってる募金ってちゃんと伝わってるか分からないから募金したことない。ちょろまかしても分からない』   って感じの書き込みがあってさ。  『あの募金箱ならちょろまかしてこっそり俺の病気の妹の治療費にしてるよ』   ってその後書いた奴がいて、俺明日から募金するわって」 幼「あはは」 俺「俺もあの募金はいつも無視してるな。知らない人と話したくないし」 幼「そんな理由かよ」 俺「昔、あれとは違うけどパチンコ屋の換金所の前で募金お願いしてる奴がいて頭良いなと思った」 幼「それなんか気まずいな」 俺「遊んでる奴らはな。   俺は必死でやってるから『なんでスロットで頑張って稼いだ金をやらにゃならんのだ』ってふんぞりかえって並んでたけど」 幼「あはは、それ挙動不審だから」 俺「こんなんでずっと並んでた」 オーバーにふんぞりかえってみせる。 幼「バカでしょ、あははは」  ◇ 俺「上野駅って募金とか署名とかしょっちゅういるけど、今だとネットメインで募集した方が早そう」 幼「うん」 俺「なんか難病の子供がいる親が数千万とか集めてるじゃん」 幼「知ってる知ってる」 俺「あれすごく無駄だよね」 幼「そう?」 俺「だってさ、よくミルクがこれだけ買えるとかあるじゃん。   たった百円で恵まれない国の子供のためのワクチンがいくつ買えるとか注射器が何本とかさ」 幼「うん」 俺「一億集まれば何人救えるんだって話でしょ。   俺も日本人好きだけど、外人百人助けるより日本人一人助けようってのはさすがに気持ち悪いよ」 幼「でも自分の子供がそうなったらなんとしても助けたいっての分かるよ」 俺「親はまあ分からなくもなるけど手助けする側がよく分からん」 幼「自分にも子供がいるから気持ちが分かるとかでしょ」 俺「それにしたってなあ」 幼「もう良いよこの話」 俺「はは、たしかに」  ◇ 俺「お風呂まだ入らないの?」 幼「先に入って良いよ」 俺「いっしょに入らないの?」 幼「いい」 生理はまだのはずだがどうしたのだろう。 俺「なんか忙しいの?」 幼「ううん」 俺「どうしたの?」 幼「……」 俺「何か怒ってるの?」 幼「別に」 俺「ごめんね」 幼「怒ってないって」 俺「じゃあいっしょに入りたい」 幼「……」 俺「先に入って待ってるから、良かったら来てね」 幼「……」  ◇ 体を洗って浴槽に入った頃、みおが来た。 俺「お風呂気持ち良いよ」 幼「うん」 俺「……」 幼「……」 みおが体を洗い始める。 俺「……」 幼「あのさ」 俺「ん?」 幼「和君、自分の子供がちょっと変だったらどう思う?」 俺「俺に似てブサイクだったらってこと?」 幼「違うでしょ!」 俺「うあ、ごめんなさいっ!」 幼「もう……ふふ」 良かった、少し笑った。 俺「ちょっと変って何?」 幼「色々だけど、体がちゃんとなってなかったりとか、病気だったりとか、目が見えないとか」 俺「ああ、障害者みたいな?」 幼「うん」 俺「正直な話、めんどくせえなって思う」  ◇ 幼「正直に言ったねえ」 俺「だってさ、耳が聴こえないとか分かって全く気にしない人ってほとんどいないだろ。   なんか『五体不満足』の作者の母親が子供のことを知らされた時は  『なかなか子供を見せてくれないから死んじゃったのかと思ったから生きてて良かった』   って感じだったと思うけどさ、それびっくりしたからその部分だけまだ覚えてるもん」 幼「へー」 ちなみに、かなり前に一度読んだだけなので内容はたしかか分かりません。 俺「普通びっくりしない?   足がないんだよ?」 幼「びっくりする」 俺「その時に、育てるのめんどくさそうだなって思うでしょ大体の人は」 幼「それは思う」 俺「だよね」 幼「育てたいと思うと思う?」 俺「子供が産まれてみなきゃ分からないなあ。   レベルにもよるしさ」 幼「そうだよね」 俺「普通の赤ちゃんでさえ育児ノイローゼになったりするんだから、さらに手間がかかるなんて想像出来ないし」 幼「だね」 俺「みおはへっちゃら?」 幼「そんなことないよ」 俺「……」 幼「そんなことないけど、和君がいっしょ……くしゅん」 俺「ふふ、とりあえずお風呂に入りなよ。いつまで体を洗ってんのさ」  ◇ 幼「あったかい……」 俺「うん」 幼「和君さ、子供ほしい?」 俺「みおがほしいならほしいよ」 幼「私がほしくないって言ったら?」 俺「そしたら別に子供いなくても平気」 幼「どっちでも良いんだ」 俺「いや、どっちでも良いってんじゃなくてさ。   64とプレステどっちにしようか迷ったからみおはどっち買うか聞いてみよって感じ」 幼「同じじゃん」 俺「違う違う、もうどっちが良いかは決めてるんだけど優柔不断なんだよ。   みおに最後の一押しをしてほしいの」 幼「どっちに一押し?」 俺「子供ほしいほうに」 幼「本当?」 俺「不安はあるけどね。   でも、この前の時に怒られてしょげてる子供見たらやっぱりほしいなって改めて思ったよ」 幼「男の子でも良い?」 俺「男だったらインドア派が良いな。子供のサッカーの試合とか見に行きたくないし」 幼「あはは」 俺「……俺、花屋でサボテン買ってあっさり枯らしたことあるんだけど大丈夫かな」 幼「私が全部やらされるんだろうな……」 俺「頑張ってね」 幼「そこは『俺もできるだけ手伝うから』とかでしょ」 俺「俺もできるだけ手伝うから」 幼「遅い」  ◇ [事後] 俺「みお……キス……」 幼「ん……和君の甘えんぼ」 俺「だって、みおさっきすごく怒っちゃったかと思って」 幼「和君ってあの時の子供といっしょだよね」 俺「じゃあ子供が出来たら友達になれるかもな」 幼「友達になってどうすんだ」 俺「俺はお父さんと友達だけどな」 幼「お父さんはこわくないと」 俺「うちみたいに母親がこわければ平気だよ」 幼「えー、私?」 俺「絶対お前が怒った方がこわいよ。いけるいける」 幼「それどういう意味よ」 俺「あ、いや、違う違う」 幼「ふん」 俺「その怒り方はかわいいんだよな」 幼「みょうなものを気に入るなバカ」 俺「バカバカ言ってくれてる内は安心」 幼「このバカすぐ調子に乗るんだから」 俺「大好き」 幼「うるさいバカ」

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