お好み焼き編02

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幼「はい、和君の。   ……美味しくなさそ」 俺用に、普通の焼きそばとは別に野菜を入れないミニ焼きそばを作ってくれた。 俺「美味そうじゃんか」 幼「和君用に作ると色が地味で美味しくなさそう」 俺「そうかな。俺は慣れてるから気にならないけどね。   そういえば、俺が子供の頃は弁当が結構困ったって言ってたな。   ウインナーやら唐揚げやら、全体的に茶色っぽくて暗いから」 幼「そうでしょ」 俺「うめー、焼きそばはこれが一番美味いな。紙芝居屋の焼きそばを思い出すよ。   ちょうどこんな感じの、そばと青のりだけの焼きそばでさ。そっくり。   30円だったかな、50円だったかな。子供のお小遣いで買える値段だから普通の焼きそば屋の容器にドサッと入れるような量じゃないんだよね。   二枚のソースせんべいの間に焼きそばを挟んでそれが容器の代わり。まあハンバーガーやサンドイッチみたいな発想だね。   せんべいごと食べるんだけど、美味いんだ。そもそもソースせんべいがソースと合うわけだからソース焼きそばとソースせんべいも相性は良いんだよね」 娘「なんかその焼きそばが美味しそうに見えてきた」 幼「騙されちゃダメ」 俺「そういや、みおに水飴半分取られたことあるよね」 幼「気のせいでしょ」 俺「……まあ、今は逆にみおの蜂蜜を吸ってるから良いか」 幼「こらこら」  ◇ 俺「それ食べないの?」 幼「和君食べて。お腹いっぱい」 俺「おう」 娘「二人共きれいに食べてる……私の皿超汚いんだけど」 俺「ははは」 幼「和君がきれいに食べるのって意外だよね」 娘「親厳しいの?」 俺「いや、全然。ゲームしながら食べたり漫画読みながら食べたり。   これはなんつーか、ちょっと食べ方で人に言われてね」 幼「女の子でしょ」 俺「まあそうだな。   好きな子に言われたんだよね、こうやったらご飯粒残らないよって」 幼「やはり女か」 娘「でも偉くない?」 俺「たまたま好きな子と隣になってさ。   給食の当番の時、白衣を丸めて詰めてたら『あー、だめだよ。ちゃんとこうやって畳むの。ねっ!』って畳んでくれてさ。   それで、また畳ませるのは悪いからと思ってそれからは仕方なく畳むようにしたんだよ。   そんで、席が隣だと給食の時正面になるだろ。次は食べ方を教えてくれるわけだよ。でも俺は好き嫌い多いから、いつもオカズはあんまり食べない。   だから、まずはご飯の食べ方ってことでご飯つぶが茶碗に残らない食べ方を教えてもらって。   その頃俺は海苔を手も使って巻いてたから、次はそれを箸だけで巻く練習してって感じでだんだんと」  ◇ 娘「でもそれで身に付くのすごいじゃん」 俺「いや、身に付かなかったことも多いんだけどね。服脱ぎ散らかすし。   ご飯だけは自然に最後の一粒まで食べるようになったね」 娘「その人とはどうなったの?」 俺「振られちゃったよ」 娘「えー、思わせ振りなのに」 俺「男とも結構話す方だったからね。委員長タイプ?」 娘「委員長タイプが好きなの?」 俺「うーん、世話焼きタイプが結構好きなんだよね。モテないから女の子が話しかけてくれるだけで嬉しくなっちゃって。   これだめでしょ、あれこうしなさい、みたいな。   だから幼なじみキャラとか委員長キャラとか」 娘「あ、みおさん委員長キャラっぽい」 俺「こいつとは幼なじみなんだよ」 娘「リアルで!?」 俺「リアルで」 娘「えー、じゃあピッタシカンカンじゃん」 俺「今の子もピッタシカンカンって言うんだ……」  ◇ 娘「私も幼なじみいるけど誰とも仲良くない」 俺「まあそれが普通だわな」 娘「え、まさか小さい頃に結婚の約束とかしたり?」 俺「あー、したした」 娘「マジですか!?」 俺「現実です」 幼「あの頃は我ながらどうかしてた」 娘「すごーい……」 俺「でも、みおの妹とも結婚の約束してたんだけどね」 娘「ひでえ」 幼「婚約詐欺だよね」 娘「婚約詐欺」 俺「頑張って償います」 娘「これは相当頑張らないとダメだね」 幼「死ぬ気で働いてもらう」 娘「スパルタだ」 俺「みおはツンデレなとこあるから、外ではこう言っても家では優しいんだよ」 娘「そんな感じするする」 幼「そんなことないけど」 あ、メールだ。 幼【余計なこと言うな】 なんで優しいって言ったのに怒るんだこの方は。  ◇ 俺「頼み過ぎたかと思ったけど大丈夫そうだな」 幼「お前食べ過ぎ」 俺「ガーリックライス嬉しかったなあ」 娘「まだ言ってる」 幼「ふふっ」 俺「ここに彼氏呼んだことないんだよね?」 娘「ないー。なんか男の店員と少し話しただけで機嫌悪くなりそう」 俺「彼氏そんな感じなんだ」 娘「うーん……」 俺「痴漢防止のためとは言え、わざわざこっちの駅まで毎朝来るのは心配性な雰囲気するもんね」 幼「お前は絶対しないよな」 俺「俺なら自分の駅のコンビニで待ち合わせするな」 娘「ちょっと気合い入り過ぎです」 俺「自分が来たくて来てるくせに何故か寝不足だとか言って不機嫌だったりすんだよな」 娘「そうそう!   えっ、見たことあるの!?」 俺「なんとなく『来てやってるのに遅れやがって』みたいなタイプかなと思って」 娘「それだわ!   頼んでねっつの」 俺「ははは、ガラ悪い言い方」  ◇ 娘「なんで彼氏すぐ怒るんだろ」 俺「男の方が精神年齢低いくせに、彼女の前じゃかっこつけようとするからね。   まあ余裕がないんだよ。俺も昔はそうだったもん」 娘「女張り倒したり?」 俺はカサブランカダンディか。 俺「そんなんはないけどね。   地下鉄出たとこで雨降ってて、ビニール傘開こうとしたら引っついててスムーズに開けられなくておろおろしてたら激怒されて泣いちゃったり」 娘「弱っ。しかも傘ぐらいで激怒とか鬼じゃん」 俺「いや、きっと俺がイライラさせてたんだよ」 娘「えー?   なんかしたの?」 俺「ポケモンのケンタロスが期日までに捕まえられなかったから」 娘「ケンタロスってなんだよ」 俺「強いんだ。俺はスターミーの方が好きだったけど」 幼「なんかスターミーって聞いたことあるな……」 俺「ポケモンのカードで持ってた気がするからそれじゃね?」 幼「それかな」 娘「ポケモンもやるの?」 俺「あんまりやりこんでないけどね。友達が昔から大好きなんだ」 幼「女?」 俺「いや、男だよ」 幼「男なら良いや」 俺「女だったらまずいの?」 幼「女だったら激怒」 俺「危なかった」  ◇ [店の外] 俺「じゃあね」 娘「待って!   これ次来たら使って」 鉄板焼一つ無料券だ。はしっこにドリンクサービスカードが付いてる。 俺「これお前書いたの?」 娘「分かる?」 アホっぽい字だ。 俺「んー……たこ焼きはダメなわけ?」 娘「たこ焼きはダメ」 俺「そっか」 幼「これみんな貰えるの?」 娘「ううん。だからナイショでお願いします」 幼「了解」 俺「ガーリックライスって鉄板焼?」 娘「ガーリックライスはダメでしょ。知らないけど」 幼「メニューにないんだから」 俺「こういうの貰うと、得だからまた行かなきゃって感じになるな」 幼「ドリンクも無料ならかなり安くなるよね」 娘「あ、そっちのカードは二人同時に使えるんで」 俺「ふむふむ」 幼「でもこれ、お好み焼き頼まなきゃダメってことだよね?   たこ焼きと鉄板焼とか、そういうのはダメなんでしょ?」 娘「あーそうしないと半ライスと鉄板焼だけ頼んで食べちゃう人とかいるんで」 俺「お肉とライスとかで食えるしね」 幼「お前とかやりそう」 俺「失礼な。俺はお肉とガーリックライスで食べるぞ」 幼「もうガーリックライスは良いから」 娘「あはは、二人仲良いー」  ◇ [家] 俺「ふう……みおのご飯が一番だけど、たまには外で食べるのも良いな」 幼「私が楽できるしね!」 俺「あ……みおに楽させようと思ったのに、それ忘れて全部みおに作らせちゃった」 幼「バーカ」 俺「ごめん」 幼「良いよ別に」 俺「そっか」 幼「あ、やっぱ肩揉んで」 俺「うん」 幼「んー……ふふっ下手くそ、くすぐったい」 俺「変な声出すなよ」 幼「だって和君が……」 俺「声かわいい」 幼「普通の声じゃん、変態」 俺「こちょこちょ」 幼「あはは、止めてよ。後で、後で……」 俺「後で?」 幼「和君がエッチしたいなら、後でね」 俺「したい」 幼「じゃあ今はとりあえずマッサージ頑張って」 俺「性感マッサージでも良いの?」 幼「ダメです」

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