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DEATH MEAN



「ちょっとお前は止まっててくれ」
そう偽者が言った瞬間、俺の体は『ザ・ワールド』が発動したように硬直した。ただ違うのは、それが俺だけに影響している事だ。
「大丈夫ですか!?」
「睦月!?すごく硬くなってるよ!?」
「いったい…何をしましたか?」
3者3様の対応。視覚と聴覚しか感じ取れないので自身についてはよくわからないが、大変な事になっているらしい。因みに、楓さんが最後を言ったんだ。
「俺が……時を止めた…とでも言うべきかな?」
あくまでも馬鹿にした態度を崩さない偽者。ホントに嫌なやつだな。
「とりあえず…どうするつもりですか?」
一段と険しい顔で偽者に聞く楓さん。その体からは殺気が全開で放出されている。もしこれで俺の体が動かせていたならとっくのとうに逃げ出していただろう。
「とりあえず堀崎睦月には何もしない。まずお前らから殺させてもらう」
その言葉を言い終えるや否や、楓さんの姿が消えて偽者の背後に現れる。…楓さん?能力は火でしたよね?速過ぎやしませんか?
「楓さん。あなたじゃ俺には絶対勝てない。さっさと死んでくれ」
「それはこっちのセリフです。私があなたに負けることなどありえません」
そんな会話の中でも剣戟は続く。偽者の方はいつの間にか十字架を剣に変えていた。動きがまったく目に終えないし、俺自身そんな動きができるかも怪しい。
「ほら、チェックメイト。さようなら」
偽者が剣を振り下ろし、楓さんはそれを刀で受け止める。偽者の攻撃はそこでは終わらず、鬩ぎ合う自身の剣から閃光を発させた。この予想外の攻撃に対応できなかった楓さんは閃光に直撃。そして間髪いれずに楓さんに剣が突き刺さ―
















らなかった。
「偽者って言うのは、本人とは大きく違うものですね。これで僕にも心置きなく戦える理由ができました」
音咲が珍しくも真剣に言う。その言葉は紛れもなく偽者に向けられており、その言葉には殺気がこもっていた。
「織口さん。彼を守ってあげてください。偽者は僕と楓さんで処分しますので」
そう言って音咲は楓さんの隣に空間移動する。今、両者と偽者の距離は約一間。楓さんの居合いの射程範囲だ。
「やってこいよ?居合い、当たるんだろ?」
偽者は挑発をする。そんな挑発には、この二人は絶対に引っかからないだろう。もし乗っても策の上でだろう。
「飛天御剣流―飛龍閃!」
楓さんの…飛龍閃が偽者に撃たれる。飛天御剣流が使える事に驚いたが、今はそれどころではないだろう。
「当たらなかったらお前が軌道修正ってか?つまらねえ策だな」
腐っても偽者。頭の回転も俺レベルのようだ。という事は二人の能力も熟知しているし、その弱点も把握できているという事だ。これは…かなりまずい。今すぐにでも俺が加勢しなければやばい。でもSNNはおろか十字架すら使えない。先ほどから七恵が十字架に念じたりとか色々やっているが効果は出ず、今は法華経題目を唱えている。
「それがどうしたというのですか?手は読めても方向は読めませんよ?」
といって偽者の後ろ斜め上から刀を繰り出す音咲。これは絶対致命傷になるだろう。
「それが読めるからつまんねえんだよ。とりあえず、死んでくれ」
偽者は刀を凍らせて弾き飛ばし、音咲を凍らせ、楓さんを背後から氷槍で突き刺した。

それと同時に俺の制限が解ける。
今だと言わんばかりの速さで音咲に熱湯をぶち撒け、楓さんの傷を自身に移し変えた。かなり痛いが…二人が死ぬよりは全然マシだ。俺の傷なら水分調節でどうにか治せるからな。
「計画通り。こういうのか?」
仰向けに倒れている俺の遥か上空から剣を突き立てて落ちてくる偽者。ヤバイ。速すぎる。
マジでくたばる1秒前…1秒あるのか!?
「うおっ!」
マジで死を覚悟した俺の目にした光景は…偽者が何もない地面を突き刺している所だった。
「危なかったね…。しっかりしてよ?」
…七恵。助けるならもうちょっと早くしてくれよな?
って…あれ?
七恵がモノクロに…全部モノクロに見えるぞ?
とりあえず…偽者だ。
「お前ら…ホントに邪魔だな。いい加減邪魔すんのは止めてくれないかな?」
偽者が殺気を込めて言う。
でも誰も動じない。
今更こいつ一人の殺気に怯えちまうような臆病者は俺の仲間にはいないんだよ。
「あなたこそ止めてもらえませんか?僕達の仲間を傷つけると洒落では済ませませんよ?」
「そうです。私の有意義な生活を壊そうというのなら、全力で粛清させて頂きます。因みに言っておくと、あなたのような劣化品には私の有意義lifeに入る資格はありません」
「そうだよ!私の睦kッ…舌噛んだ…」
おい。七恵は今とてもやばい事を言おうとしてなかったか?
「さあ、かかってきたらどうです?」
楓さんが見たものを即死させそうな笑みで偽者に詰め寄る。俺だったら失禁してるかもしれないな。
「逃げるのはマナー違反ですよ?紳士らしく立ち向かいましょう」
音咲が後ろから偽者を取り押さえる。因みに、腕だけを偽者の近くに出している。
そして七恵が―
「七恵ビームッ!!!」
名前、変わったのな。
七恵ビームが偽者に直撃―
「調子に乗ってんじゃねえよカス共が!!!!!」

世界が変わった。
以前に俺がSNNバトルをやっていたときに使っていた、周囲を一気に凍らせるアレだ。そのアレを偽者が―
「威力は4倍増しくらいか?もし生きててもカップヌードルが出来上がる頃には死ぬだろうな」
音咲の手は空中に浮いたまま。楓さんは刀を振る動作のまま。七恵は七恵ビームを撃ったまま。みんな時が止まったように動かなくなった。俺が無事な理由は俺のSNNによるものだろう。
「さて、殺し合いだ。どこからでもこいよ」
俺は十字架をナイフに変える。ナイフくらいなら音咲に扱い方のイロハを教えてもらった事があるからな。
俺は合図無しで偽者に突進する。殺す覚悟なんてとっくにできてるからな。
「いきなりかよ。それはないんじゃないのか?」
数日前の俺と同じこと言ってるよ。まあ、こいつに教えることは何一つないけどな。
俺は無言のままナイフで襲い掛かる。襲い掛かりながらこいつをチェックメイトに嵌める手段を考える。俺のコピーなんだから身体能力は同じなんだろう。いくら山で鍛えられたからといっても、3分間逃げ切れるだけの体力は俺にもあった。体力切れは望めない。
じゃあSNNで手っ取り早くやっちまうか?それもダメだな。そんなことしたら、もし殺せてもあいつらを助ける事が出来なくなっちまう。
じゃあどうするんだ?
…同士討ち?
却下だな。
「お前、どうしたらみんなを助けられるか考えてるだろ?」
それを考えない堀崎睦月はありえないね。
「一つゲームをしないか?」
ゲームじゃないんだよ。遊びならさっさと尻尾巻いて帰ってくれ。
「お前には有利な提案だと思うぜ?今のままじゃお前しか助からないからな」
…言ってみろよ。
「今からコイントスをする。表が出たらお前の勝ち。何でも好きにするがいいさ」
「わかった。やってやる」
「いい心がけだ。俺だって仲間が死ぬ所は見たくないからな」
言いようのない怒りが込み上げてくるが、今は我慢だ。
「本当に…表が出たらやめてくれるんだな?」
緊迫した空気。今までにない緊張が俺を締め付ける。
「本当だ。裏が出たら…わかってるな?」
裏が出たら。それは事実上の敗北を意味する。だが、事はそれ以上に重要だ。
「ルールはあるのか?」
全ての状況を予測して言う。
「あるさ。勝負に勝つ為なら何でも有りだ」
要はコインを奪い取って自分の決めたいようにすればいいんだろ?
「そうだ。ここにいる俺とお前だけで決められるんだ。そこには誰の意思も介在しない」

そうして、クォーターは宙を舞う。

俺はすぐに硬貨に走り出す。自分の手に収めれば勝ったも同然だろう。だがそう考えるのは偽者も同じであり、同じように硬貨に走り出す。
速度は同じ。力も同じ。
ならどっちが勝つ?
覚悟の大きい方に決まってる。
偽者は剣で突きを繰り出してくる。レナパンを見切れるようになった俺には軌道が丸わかりだ。それは相手も同じだ―?
剣の切っ先に黒い点がある。いったいなんだ?
『突け!』
…紛れもなく俺の声だ。
俺はナイフで切っ先を突こうとする。外したら…間違いなく俺が死ぬだろうな。リーチの差ってやつだ。
ガシャン
ガラスが割れるような音がしたと同時に、
「いったいどうなってんだ!?十字架がぶっ壊れるなんてことが!?」
偽者の剣もろとも十字架が、
「いったい何をしやがった!?俺にはこんな事できねえぞ!?」
粉々に砕け散った。
よく見ると偽者にも点がいくつかある。どれもガラス球くらいの黒い点だ。
『突け!突くんだ!』
やはり俺の声が聞こえる。ここは突くべきなのか?
まず足の点を突く。突くといっても、流石にナイフでやるのは無理だったので地面から氷槍を出してやった。
点を貫くと同時に足が粉々に崩れ落ちる偽者。
どういう原理かはまったくわからないが、とりあえずは点をどうにかすればいいのだろう。
「お前…ホントにオリジナルなのか!?」
偽者もご乱心の様子。俺も狂っちまいたいが、それをしたら本気で狂いたくなるようなことになるからな。今は狂えないさ。
「俺は堀崎睦月だぜ?それ以上でも以下でもない、今俺がやったことだって理解できてない」
「じゃあなんで―」
「とりあえず言えるのは、仲間を助けようとする俺に奇跡が起こったってことだ」
相当クサイ事を言ったが、別にいいだろう。奇跡ってのも本当だし、仲間を助けようとしているのも本当。でまかせじゃなきゃいいだろう。
「煩いッ!!俺はお前を殺して乗っ取るんだよッ!!!!」
そう言って偽者は俺に突進してくる。その速度は俺より速いんじゃないかと思わせるほどだ。
俺は点を探す。あった。地面に点が一つ。
俺は十字架を銃に変える。念じる事はもちろん忘れない。
「死ねッ!!!」
俺は声と同時に地面の点めがけて弾を撃つ。点を貫いた直後、偽者の周囲の地面が粉々に砕け散る。
「チクショウッ!!!!なにが起こったらこんな事になるんだよッ!!!!」
俺は間髪いれずに偽者の点を貫いていく。


「さよならだ」
最後に頭を貫く。
その時の偽者の表情は忘れられないだろう。
生きようとする貪欲な意志。俺を憎む邪悪な意思。その二つの欲求を完全に露にしたその顔は壮絶なものだった。
俺はふと辺りを見回す。
チャリン
足元で金属音がする。あの、落とした時にほぼ万人が音の方向を見る音だ。
「…表だったから奇跡が起きたのかね。もしそうなら感謝するよりないね」
誰も返答をしてくれる奴がいないことに気づく。
…まだ生きてるよな?
未だにモノクロビジョンのせいか、みんながいっこうに見つからない。このままだと本格的にヤバイ。
自分の影が気になって地面を見る。
……こりゃ驚いた。
まさか地面に巨大な点があるとは思わなかったよ。
これだけの巨大な点をどうやって貫く?
感嘆するくらい簡単だなだな。

俺は十字架で上空30mほどまで飛び上がり、地面に照準を着ける。
そして叫ぶは―
















「七恵ビームッ!!!」