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Can you believe you?

朝起きると俺は見慣れない天井を見た。白だ。真っ白。そうだな、病院みたいに真っ白だ。また七恵がなにかやったのか?
俺は微妙にけだるい体を起こす。辺りの光景は俺の部屋ではなかった。病院だろうか。まわりに誰もいないことから個室であることがわかる。それにしても、なぜ俺は病院の個室に一人で寝ているんだ?俺の体についているチューブやら何やらで俺がやばかったのはわかるが、俺は昨日も確かに自分のアパートの自分の部屋で寝たはずだ。何がどうなってやがる。
俺が何事かと思考しているとドアが開く。横開きのようだ。そこに現れたのはマイマザー。母だ。俺を見た途端、血相を変えて近寄って来た。そんなにやばかったのか?
「睦月!?やっと起きてくれたの!?いつおきたの!?」
おいおいちょっと待ってくれ。やっと起きた?俺は昨日から今日にかけて寝てただけじゃないのか?
「覚えてないの?あんたは通学途中に車に轢かれたのよ?それで意識を失ってからだいたい…3ヶ月経ったのよ?」
3ヶ月…ってことは2年の6月なのか?
「なに言ってるの?あんたまだ1年生でしょ?」
は?俺は2年生じゃ…まさか気を失ってたうちに留年?まさか…。
「なに言ってるの?あんたは4月の入学式の次の日に轢かれたのよ?」
入学式?その日は…俺が確かSNNについて知らされた日だったな…。その次の日って土曜日じゃなかったか?
「なに言ってるの?金曜日だったからあんたは学校に行ったんでしょ?」
…マジ…なのか?いや、これはもしかしたら7月の時と同じやつが仕掛けたのかもな…。

次の日、俺は病院を抜け出して学校へと向かった。俺は、最後の希望を確認しに行った。
昨日母に明日の曜日を聞いてそれが平日だったため、俺は先のような行動に出た。下校時間までまだ間があるので、俺は近くの公園で時間をつぶすことにした。Kill timeって言うんだぜ?
俺は居心地のよさそうなベンチに座る。ふう。さて、俺はどうしたものか…。SNNは使えるな。あと十字架も。でもヒントがな…。どんなに頭がよくても手がかり無しの殺人事件は解けっこねえよ…手がかりは探すものだったな…。

ふと気づくと、俺の前に小さな、でも子供とは思えないような少女がいた。いささか身長が低いが、高校生だな。いや、違うか。高校生はこんな時間にはいない。今日は平日だ。
「大丈夫?」
少女が突然話しかけてくる。見た目と同じように平坦な声だった。聞いた感じでは変声期を過ぎた…と思うような声だ。いったい何歳なんだ?
「私は、この地球上で計算をするなら、年齢は14歳に当たる。」
地球上?まるで地球外生命体みたいじゃねえか。
「私は、地球の存在ではない。私はこの世界とは別の平面上における5次元上の世界より体外的活力体を使ってやってきた先兵。いうなれば、偵察体。」
……どう反応したらいいのかな。とりあえず、精神病院につれて…下校にまにあわねえか。
「とりあえず、それは本気か?」
「信じなくてもいい。でも、あなたにはヒントが必要なはず。」
…確かにそうなんだがな?突然現れた美少女(俺主観)がいきなり電波な事を口走って、それをいきなり信じられるか?
「常人なら難しい。でも、あなたは常人じゃない。だから大丈夫。」
……睦月の心に29%のダメージ!
「大丈夫。思考状況は常識人。その中でも優良なレベル。」
フォローするぐらいなら言うなよ…。
「…次からはそうする。」
…次があるのか?
「あなたの脳に映像を送る。」
名も知らぬ少女が電波な事を口走りながら俺の頭に手をかざす。口を開いてなにかを言うと同時にその手が淡く光る。DQあたりにありそうな呪文だな。3秒ほどすると俺の頭に映像が流れ込んでくる。ちょうど、目を瞑ってなにかをイメージしてるような感じだ。…43回か。
俺がその回数に異議を唱えるか否か考えていると、
「私のいた世界ではこれくらいビフォアブレックファスト。」
と誇らしげに少女が言った。…それは朝飯前って言うんじゃないのか?
「ぬかった…。」
…可愛い。お持ち帰りしたいほどに…。まあ…しないけどな。
「けだもの…。」
ぬかった…。

「落ち着いた?」
ああ。ありがとう。お前のおかげだ。
「どういたしまして。私はしばらくあなたと一緒にいたい。許可を。」
こんな可愛いやつの誘いを断れるやつはいないだろうな…。
「しばらくっていつまでだ?」
「私に指令が送られるまで。」
じゃあ、なんで俺に?
「……あなたは他の有機生命体よりも興味深いとの評価が出たから。」
その間の意味は知らんが、まあ、いいだろう。
「………ありがとう。」
俺は公園の時計を見る。なんだまだ10時かよ。じゃあもうちょっとここで待ってるか。と考えていると、
「あの時計は動いていない。実時間は12時。」
と少女が教えてくれた。少女って言い方はおかしいかもな。14だろ?…なんていえばいいんだ?彼女か?
俺の腹が空腹を訴える音が鳴る。おっと、忘れてくれ。
「…私も空腹。なるべく早く体外的エネルギーを補給したい。」
わかった。なあ、遅れてすまんが名前は?
「………私のいた世界では個々という価値観が無いため、名前は無い。」
じゃあ、どう呼んだ―
「強いていえば…エミリー。」
マジか?
「嘘。私としてはあなたに決めてもらいたい。」
…これ、なんてギャルゲ?
「ギャルゲなどではない。立派な一つの現実。」
とりあえず、心を読むのはやめてくれ。気味が悪い。
「わかった。」
じゃあ……ベジータとか?
「わかったそれn「スマンスマン!ちゃんと考える!」
さて…じゃあ………ほよ、ってのはどうだ?(三点リーダ一個につき5分弱かかった)
「苗字は?」
苗字?…朝倉でいいんじゃないのか?この苗字はけっこうメジャーだしな。
「字…教えて。」
…どうやら気に入ってくれたようだ。
俺はルーズリーフを探す。ポケットの中には十字架があるだけだった。あれ?なんで十字架が?それを悟ったのか、少女は俺に名前らんが空白の名刺とペンを渡してくれた。用意がいいというかなんというか…。ありがとう。
俺は『朝倉 穂与』と名刺の空欄に書いた。…この年で名付け親になるとはな…。人生色々あるとはこのことだ。
「あさくら…ほよ…。了解。これより私は朝倉穂与と名乗る。」
なあ朝倉。お前は何が目的で来たんだ?
「偵察。」
いや、お前の本体だ。
「…人間で言う所の知的好奇心。」
…地球制服とか考えていた俺はなんなんだよ…。
「それはできない。なぜなら、この世界にはSNNと呼ばれる力が存在し、我々の総力より強い。」
今この世界には無いぞ?
「この世界には征服する価値が無い。だから私はあなたとコンタクトをとり、この世界をあるべき姿に戻す。」
あるべき姿?…ってことはこの世界はなんなんだ?
「この世界は元の世界をベースに作られた擬似空間。端的に言うとパラレルワールド。そして今はそのパラレルワールドがベースを上書きした状態。」
なあ、なんでそんなこと知ってるんだ?
「私に許可された能力を行使した。その能力については人間には理解できない。」
むかつく言い方だな。俺にだったらわかるかもしれんぞ?
「無理。人間には3次元的にしか物事を捉えられない。この能力を理解するには5次元的に解釈する能力が必要。」
……わかったよ。諦めればいいんだろ。
「諦めるのはよくない。でも、それが賢明。」
どっちなんだよ。
「この世界を元に戻すには二つの方法がある。」
無視か。無視するんだな?
「そのうち一つはこれを画策した首謀者を見つけて交渉をすること。因みに、交渉にならない確立が高い。」
二つ目はなんだ?
「この首謀者の思い描く行動を取ること。これはあまり推奨できない。恐らくこの首謀者はあなたが何もしないことを望むはず。しかしそれでは元の世界には戻せない。」
二つじゃねえじゃねえか。
「無視できる範囲での誤差。気にしないで。」
わかったよ。で、お前は首謀者が誰だかわかるのか?
「わからない。でも、あなたにヒントがあるため私はあなたといる。」
さっきも言わなかったか?
「無視できる範囲での誤差。気にしないで。」
そうかい。ところで、金もってないか?財布持って無いんだ。
「いらない。私が作る。」
俺は先ほど命名した少女朝倉に腕をつかまれ引きずられていく。いったいどこに行くつもりだ?
「私の家。」
お前、家必要なのか?
「先ほど作った。それぐらいなら私にも可能。」
…段ボール?
「紙で作った。」
なあ、俺の家に来ないか?
「大丈夫。安心して。」
俺は言われるがままに引きずられていった。手を繋いだ方が俺としては嬉しいんだがな…。

「ここ。ついてきて。」
俺が着いたのは立派な一軒家だった。紙で作った…作ったとは違うんじゃないか?
「無視できる範囲での誤差。気にしないで。」
わかったよ。俺は朝倉の後ろについていく。やはりというかなんというか、家には家具が必要最低限しかなかった。まったく、寂しい部屋だ。…俺の家も七恵がいなかったらこんな感じだろうな。
リビングと思わしき場所に着くと、
「待ってて。」
と言われた。俺はむき出しのフローリングに腰を落とす。そういえば俺って怪我人だったな。もう外傷は無いみたいだが。あの時はって言い方もおかしいが、轢かれた時はどんな状況だったんだろうな。
ジューと何かが焼かれる音が聞こえる。香ばしい匂いも漂ってきた。ああ、腹減ったな。
「できた。取りに来て。」
俺はキッチンに行く。中には、綺麗に盛り付けされたおでんが鎮座していた。
「おでん?」
「おでん。持って行って。」
「その前にだな、なぜ焼いたらおでんが出来る?」
「焼いていない。」
「じゃあさっきの音と匂いはなんだ?」
「無視できる範囲の誤差。気にしないで。」
俺はこじんまりとしたテーブルにおでんを二つもっていき、席に着く。
「いただきます。」
俺が言うと、
「いただきます?」
朝倉はいただきますを知らなかったようだ。
「いただきますってのはな、なにかを食べる時に言うんだ。食べ物への感謝の気持ちを込めてな。」
俺が教えると朝倉は不思議そうな顔をした後、
「いただきます。」
と言っておでんを食べ始めた。俺も腹が減ったのでおでんを口に入れる。……うまい。うますぎるぞ…。
おでんを食べて一段落した俺達はさっきの公園に戻ることにした。俺の目的は一目でもあいつらを見ることだからな。
「あなたは、不安?」
なにがだ?
「あなたの記憶とのラグが生じることは不安?」
…今の俺には不安しかないな。120%あいつらも俺を知らないはずだしな。
「あなたの言っていることは概ね正解。でも、」と言いかけて朝倉は一度話すことをやめる。
俺がどうした?と声をかけようとした瞬間、なにかを思い出したように続きを始めた。
「諦めるのは早計。諦めたら人間はそこで進化の可能性を失う。」
…宇宙人に人間を語られるとは思ってなかったぜ。
「今の私は人間。ただ特殊なプロフィールがあるだけ。」
…俺は?
「あなたはSNNを行使して地球外的脅威と戦う超能力者。」
人間だよな?
「概ねそう。」
概ね?
「それは問題ではない。それよりあなたはこれからどうする?」
もちろん学校に行くぜ?
「…そう。困った時はいつでも言って。なるべくアクションを起こす。」
…早速ですまないんだが、
「なに?」
「この高校の制服を用意できないか?」
俺がそういうと、朝倉は少し考えた風を見せ、
「手縫い、ミシン縫い、エマージェンシーモード。どれ?」
最後のはなんだ?
「私の能力。今のあなたの服を変質させる。」
と朝倉が言った時にはもう遅く、俺のフェイバリットスタイルは通学スタイルとなっていた。…代えは…ないな……。

かくして、多大な犠牲を払った俺は誰にも怪しまれることなく下校中の生徒を眺めることができるようになったのである。別に趣味ではない。歴史的使命感が働いただけだ。………嘘だ。
「そろそろ。最初からここにいては怪しまれる。校門の中に。」
俺は朝倉に言われるがままに校門の内側に入る。言われなかったら気づかなかったな。ありがとよ。
「礼には及ばない。来た。」
朝倉が指を指す方向には一人の女子生徒がいた。その女子生徒は女性らしからぬ勢いで下駄箱から校門へ走っている。そうだ。七恵だ。
「あれが対象?」
俺は頭を上下に動かすだけでその旨を伝える。ジェスチャーは便利とは今まで実感できなかったな。
俺達は今、下駄箱から校門までにある僅かな草むらに隠れている。あれ?制服に着替えた意味は?
「行ってらっしゃい。」
それと同時に俺の体が重心を崩して前のめりになる。あ、倒れるな。
そう考えていた俺はまだまだ甘かった。白桃並みにな。下駄箱から猛スピードで迫りくる物体が存在していたことをすっかり忘れていたのだ。よって俺は、猛スピードで迫りくる乙女とはおよそ呼べない女子生徒。七恵と衝突する運びとなった。
「いった~!なんでこんな所から人が飛び出てくるの!?」
それは朝倉に言ってくれ。俺に言われても鬱憤を晴らすぐらいの効果しかない。…充分か。
「あれ?…君。私を助けてくれた人?」
は?俺の記憶じゃ何度も助けてやった覚えはあるが、この世界で?
「トラックから轢かれそうになったところを助けてくれたんじゃなかったの?」
…この世界の俺は大層なお人よしだったみたいだな。まさか会って二日の女子生徒を助けて意識不明になっただなんて…。この世界の俺にはノーベル…自賛賞を授与してやりたいぜ。
「そうだ。そのとおり俺はお前を助けた。」
こういうとき、普通は謝るとか感謝の言葉を送ったりとかするんだが…七恵は普通じゃないようだ。
「今からちょっと部室に来てくれない?」
部室?部室って、俺が見つけたからそこになったんじゃないのか?
「概ね正しい。この世界の歴史では織口七恵が見つけた模様。」なぜ名前を―能力か。
おい朝倉。その格好じゃ怪しまれ…いつの間に服変えた?
「その場合着替えたという方が適切。そして私はあなたが織口七恵と衝突した際に着替えた。」
流石、とでも言うべきかね?
「ありがとう。」
さて、七恵にこいつを紹介…いねえし。もし俺が部室の場所を知らなかったらどうすんだよ…。
「私が教える。」
そうかい。

俺は部室棟1階の角部屋に向かう。別に久しぶりってわけじゃないが、そんな感覚があるな。だが、同時に新鮮さも感じている。だってそうだろう?この高校の制服を着た女子生徒。朝倉が俺の後ろをとてとて着いてくるんだぜ?元の歴史が続いていれば1ヵ月後には同じ光景が見れるかもしれんな。
俺はいつものように部室のドアを紳士的に3回ノックする。
「どうぞ。」
中から音咲の声がする。そこは雰囲気を読んで楓さんが言うべきだろう。とは思っただけで口にしない。その昔、日本人の美徳に本音を最後まで言わないってのがあったらしいからな。
俺はいつものように静かにドアを開ける。このまま世界がいつもどおりに戻ってしまえばいいのにな。
「ようこそ!私達の部室に!」
部室の中には、少し動揺が見える微笑をしている楓さん。警戒心が見える微笑の音咲。そして―
部室の長机に仁王立ちをしている、恒星のような笑顔の女子生徒。
織口七恵がいた。

俺は積年の疑問をぶつけてみる。
「部室って…なんの部活だ?」
「え?……音咲くん!教えてあげて!」
最初にここを部室と呼び始めたのは俺だ。俺以外に知ってるやつがいるはずも無い。哀れ音咲。
「僕ですか?…そうですね…考えるに、ここにいる人が思い描くことを部活の行動の範囲内で行ってもいい。そんな場所です。」
完璧。音咲よ。なぜ知っている?吐け。吐くんだ。
「さて、なぜでしょうね?僕としてはそれを最初から知っているあなたに疑問を覚えるのですが。」
そうだろうよ。俺だってそう思うさ。
「ところで、そこの女生徒は誰でしょうか?見たところ1年生のようですが、僕は見かけたことが無いのですが、転入生ですか?」
「私は地球の存在ではない。私はこの世界とは別の平面上における5次元上の世界より体外的活力体を使ってやってきた先兵。いうなれば、偵察体。」
言いやがった。それだけ言っても俺以外に信じるやつはそういないだろうに。
「それは面白いですね。もしよければそこのことを教えていただけませんか?」
楓さん?信じちゃいませんよね?
「冗談ですよ。証拠でもあれば信じられるのですが…証拠として何を出していただいたら信じられるのか、私もわからないんですよ。ところで、あなたのお名前は?あなたは私達の名前を知っているようですが、私達は知らないので。」
「俺は堀崎睦月っていうんですよ。字の説明は後でいいですよね?それよりも大事な説明があるんですよ。」
「大事な説明とは?」
俺は今までのことを手短に、要点を回収しながら伝えた。

「…ここに半径3センチの氷の塊を出してもらえますか?」
俺はSNNを使って言われた情報に基づいた氷塊を音咲の手の上に作り出した。
「……本当、のようですね。皆さんも触ってみますか?」
音咲は押しかけセールスマンのように氷塊を手の上で躍らせる。3軒に1軒は売れそうだな。忌々しい。
「ところで、この世界は本当に上書きされたのですか?世界が二つ存在する。それは無いのでしょうか?」
「無い。私のいた世界が出した最終的な結論は上書きされた事。したがって、二つは存在しない。」
朝倉の発言の後、音咲は少し考えた素振りを見せながら、
「あなた達は、世界を元に戻したいのですか?」
何があっても戻してやりたいね。じゃなけりゃ、俺が7月に覚悟を決めた意味はない。
「私も戻したい。現状世界において、地球という存在は観測するに値しない存在。元の世界の場合はその意義が非常に大きい。無視できないレベル。よって私は元に戻すことを推進する。」
「僕は反対ですね。今まで生きてきた世界が否定されているのと同義ですからね。仮にこの世界が昨日できたとしても、この世界にいる僕達にはそこに至るまでの記憶がある。いくら世界が上書きされていたとしても、この世界を消す理由にはならないと思いますよ?」
確かにそうなんだがな…でもまあ、俺が言っていることは、『あなたの存在をなかったことにします』って言ってるようなもんだしな。俺だって拒否するさ。
「なあ朝倉。この世界と元の世界を独立させることはできるか?」
俺が考えていることは、『元の世界と上書きされた世界を二つの銀河に分けて分布させよう』ということだ。
「不可能ではない。その場合、あなたの力が2人分必要。しかしこの世界には1人分しかない。また、あなたの異時間同位体を呼び出すことも不可能。あなたの提案が実現されることは限りなく難しい。でも、可能な領域。」
…他の方法は?
「ない。」
…マジ?
「マジ。」
…俺が頑張ったら成功する確率は?
「一応はある。その場合、あなたが元の世界に戻る確立は限りなく低下する。」
やってみていいか?
「…推奨はしない。その場合も私は全面的にバックアップするつもり。」
だってさ。音咲、どうする?
「また僕ですか?この意見には僕も同意できますが、その場合あなたがそうするかですね。もっとも、あなたがこの世界に居続けることも選択肢にはありますが。」
俺はやるぜ?俺としては今までを否定されているんだ。だから俺は今までという過去を証明してやるんだよ。
「誰にですか?」
うるさい。黙ってろ。
「どの場合もあなたはあることをしなければいけない。」
朝倉がなにかを言いだした。
「この改竄の首謀者を探すべき。」
……完璧に忘れてた。
「ばか。」
…それで頬を膨らませてたらさぞ可愛かっただろうな。
「けだもの。」
…ぬかった。

俺と朝倉と音咲が話している間、残った二人は何をしていたかというと、楓さんはにこにこ微笑んでいた。非常に癒されるね。ベホイミ並だ。七恵はというと、顎に手をあてて俺が言ったことを真剣に考えているのだが、どうやらまだ理解出来ていないようだ。うむ、こいつを見ていて癒されたのは初めてだ。最初で最後だろうがな。
「なあ朝倉。この改竄の首謀者ってのは、俺の記憶にヒントがあるのか?」
「概ねそう。そこはあなたが考えるしかない。」
俺の記憶の中で…こんなことしようと企むやつ…
「そうじゃない。それが実現できる者を探すべき。」
わかったよ。実現できるやつ…待て、俺もできたのか?
「その力はあった。でもあなたはそれを望むことは無い。あなたは選考の対象外。」
それだと、七恵しかいないぞ?
「違う。彼女もそれを望まない。」
じゃあ誰だよ。と言いかけた俺の言葉をさえぎって朝倉は続ける。
「あなたの異時間同位体。」
は?
「あなたの情報からすると、今のあなたはモンスター退治を苦にしていない。そして自立的に時間遡航が出来るのはあなただけ。そして過去のあなたはそれをやっていない。それが出す結果は、」俺の混乱をよそに朝倉は続ける。
「未来のあなた。」