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伏線だらけの文化祭

人間には適温とはおよそいえないような太陽光線と湿気の攻撃を耐え抜いた人々に訪れるのはそこから今度はどんどん寒さが襲ってくるぞという季節に向けての行進だった。が、その行進も行進している最中は紅と黄色の木の葉が舞散りどこぞの岬にでも行ったらそれだけで絵になりそうな気さえする。だがそれも学生の俺には縁遠く、ましてやそんな時期に遠足が都合よくスケジュールされていて行き先が有名な岬のスポットなんてことは万が一にはあるかもしれないがそれは俺には起こらなかったようだ。だがそんな時期だからこそ大半の高校生は奮起するのである。そうー

文化祭だ。

10月のある日の教室は朝から騒々しかった。それというのも、担任の爽やかフェイスの思いつきのせいである。
その思い付きというのは、文化祭で何をやるかのアンケートだ。
いや、それはいい。今この時間はLHRなのだ。その内容は文化祭で何をやるのかについてのアンケートの開票だ。因みに、俺はみんながどんなことをしようとしているのか興味が涌いた為実行委員となり、開票に携わる運びとなった。その俺にコバンザメのようにくっついてきたのは無論七恵であり、その理由とは、
「私の案が誰かに見られるのはあんまり好きじゃないの!」
だそうだ。その件については俺も同意だが、見られたくないなら見られても大丈夫なものにすればいいと思う。思うだけだ。
気になる開票結果のうち、一番多かった二つはなぜかメイド喫茶と執事喫茶だった。(同票)因みに番外編として、ハッテン場喫茶というものがあったことは割愛させていただこう。
蛇足だが、俺は何かの研究発表に票を入れた。これが無難で楽だと思うのだがな…。七恵は知らん。ハッテン場喫茶じゃないことを祈るだけだ。まあ、かくして1Cの出し物は決まった。メイド+執事=奉仕の式の下に奉仕喫茶となった。そういえばこれが決まった時池谷が椅子から飛び上がって喜んでたな。やっぱあいつはナンパ馬鹿じゃないのか?訂正しよう。ナンパアホだ。語呂わりいな。

ここからは部室での話だ。
俺がいつものようにドアをノックして開ける。ドアの隙間から中を見るが誰もいない。どうやら俺が最初らしい。俺は徐に日常的に座るパイプ椅子に座る。ああ、退屈だ…。
ふと考える。C組文化祭の出し物を奉仕喫茶にしてよかったのかと。楓さんのメイド姿が見れるのなら文句の一つも無いのだが、楓さんはD組だ。見れるはずも無い。じゃあなんだ。俺はピエロのように執事服を着て慇懃に、
「お帰りなさいませお嬢様。」とでも言うのか?いや、最悪食事関係だ。裏方の。じゃあ七恵は?…ウェイターだろうな。…なんだこの気分。すごく惨めな気分だ…。
と俺がとりとめの無いことを考えているとドアが静かに開く。楓さんだろうか。ノックが聞こえなかったし。
「遅れてすいません。」
なんだ音咲か。楓さんはいないのか?
「楓さんはクラスの人とお買い物ですよ。織口さんの方は?」
お買い物だ。なんでもメイド服を見に行くそうだ。確かメイドは10人くらいだったな。名簿があるが、見せてやろうか?
「名簿ですか?そうですね…見てみましょうか。」
俺は音咲にメイドの名簿を渡す。執事の方は女子の私見で決めるらしい。来週になるだろうな。
「…朝倉、織口、川凪、霧基、佐崎、壺塚、長門、野口、平林、樋口…どんな人たちですか?」
全員の印象か?難しいことを聞くな。俺が考えるに、容姿はOKなんじゃないのか?
「僕に聞かれても困りますが…。」
すまん。でもそれはあくまで容姿の話だ。そいつらの中でまともにメイドと呼べるのは佐崎長門野口だけだ。別に宇宙人などではない。
「C組にはそんなに美女がいましたか…。偏りすぎじゃありませんかね?」
音咲がこういうことを言うのには驚いたな。因みに、悪くないから選ばれたんだ。
「僕だってSNNさえなければ普通の高校男子ですよ。そういうことも少しは考えますよ。」
いや、俺が言いたいのはそういうことじゃなくてだな?この前お前の家に行ったときに見つけた『ウホッ男だらけのハッテン場!』とかいう本と同じような性癖の持ち主じゃないだろうなってことだ。いや、あれはぞっとした。アブノーマルだ。無論、こんなことを口にはできない。理由は簡単。気づいてしまえば俺も選考の対象に…イカンイカン!
「僕も見てみたかったですね。楓さんのメイド姿。」
へ?お前のとこは何をするんだ?
「演劇ですよ。オセロをやるんです。」
オセロ?それはみんなの前でやるのか?
「そういう物語があるのです。シェイクスピアの4大悲劇の一つですよ。」
それから音咲が10分くらいなにやら喋っていたが、俺はそれをほとんど聞き流した。聞いたところは楓さんが出演するのかと何役なのかだ。因みに、音咲は主演らしい。忌々しい。
俺たちはそれからオセロを下校までやり続け、放送が流れると同時に鞄を引っさげて下校した。
家に帰ると既に七恵がいて、
「お帰りなさいませ御主…睦月か……。お帰り睦月!」と起伏の激しいことを言った七恵は見事なメイドとなっていた。
…一瞬動揺した俺はなんなんだろうな…。アレ?七恵鍵持ってたか?
「へっへ~。これ見てよ!」
メイドがメイドらしからぬ行動をする。その手にあるのは…この家の鍵は2つ…俺と大家さんが持っているはず…大家さんがそれを渡すことは…無いな。合鍵か!
「そのとおりだともアンダーソン君!」
…ワトソン君じゃないのか?
「どっちでもいいの!」
はいはい。とりあえずその合鍵をよこせ。俺がそういうと七恵は「いや!」といって逃げ回る。…ならよかったんだが、どうやら神はどSらしい。
あろうことか七恵は俺の背後にまわりこみ(SNN使用)俺を押し倒し、そのままチョークへと持っていった。なあ、俺がなにかしたか?
10秒ほどした頃、七恵は俺の上から下りた。ああ、苦しかった。日本は言論の自由があったのに本音をいえないとは。いつから政権が変わったんだろうな。
「ねえ、とりあえずこの格好似合ってる?」
うん?そうだな…白と濃緑で統一されたその色合いに適度なひらひらのレース。メイド衣装でよくあるスカートのふくらみはかなり抑えてある。正直、かなり可愛い。こんなメイドだったら雇いたい…などとは露にも思わない。なぜならそれを着ているのは七恵であって決してメイドにはなりえないからだ。
「どう?」
「…可愛いとは思うが…容姿だけじゃメイドは務まらないぞ?」調子に乗る俺。少しくらいは容認されるだろう。
「じゃあ…今からメイドの仕事「いやいいから!とりあえず飯食ってそれからに「私が作るね!」
近年まれに見る光景だろう。発現に被らせてそれが被って…息がぴったりとでもいうのだろうか。もしそうならチョークも食らわないで済むか。
…ところで、メイドが作る料理ってどんなのだ?流石に中華や懐石は無いだろうが…ここにはヨーロッパとかの料理に使えるような物は無いぞ?
そういえばなんで七恵は自分の家に帰らないんだろうな…。そのことは父親が知ってたとしても許すとは思えないんだが…。少なくとも俺は将来的に親になったとき、自分の娘が男の家で生活しているなんてことは許せないだろうな…。まあ、先のことだが。
結局、晩飯のおかずはシュウマイだった。メイドも大変なんだな……いや、違うか。

翌日、土曜日だというのに七恵の奇襲攻撃により7時に絞め起こされた俺は七恵の、
「今日と明日は友達と買い物に行ってくるね!」
とか言い残してドアを蹴破るようにして出て行った。…鍵奪うの忘れてたな……ま、いっか。
7時に起こされたがいつもは怠惰な生活を送っている俺にはどうしようもなくやることがなかった。そんなとき、珍しくも俺の携帯に電話をかける奴がいた。電話がかかるのが珍しいわけじゃない。そいつが珍しいんだ。
「おはよう池谷。こんな時間になんのようだ?」努めて優しく言う。因みにこんな時間に起こされて不機嫌じゃない奴はいないだろうな。
「よう睦月。今日お前暇だろ?今日は一緒に遊びに行こうぜ?」
お前は俺がいつも暇なことを知っているだろう?
「とりあえず、どこになにしに行くんだ?」
「決まってんだろ?街にナンパだ!」
…どうすっかな。俺と池谷だけじゃ…お世辞にも成功するとは言えんな。
「いいだろう。いってやる。だが、もう一人誘っていいか?」
「もちろんだ!3人でいれば成功確立は2倍だぜ!じゃあ駅前に9時に来い!じゃあな!」
まあ…3人目が成功しまくるだけだろうがな。俺は音咲に電話をかける。音咲には一方的にTPOを伝えて切った。あいつの反応を聞いていたら苛つくだろうからな。…いくのやめよっかな。

そして9時。俺は駅前で音咲と佇んでいる。池谷のアホはどこでアホをやっているのか…。
「来ませんね…。」感慨深そうに言う音咲。そこまで考えんでもいいだろうに。
「モンスターの退治でも回ったんだろう。そのうち来るさ。」
俺は言ってから思い出す。あいつ、SNNどんなやつだ?あいつのことだからアホな能力なのか?
「……僕達だけでもナンパしますか?」
「冗談だろ?俺は遊びにきたんだ。お前らがナンパをする分には構わんが、俺は見ているだけ。高見の見物さ。」
「ま、あなたにはお相手がいますしね。」
俺は音咲の言葉を巧みにスルーした。

5分後、池谷が走りながらこっちにやってきて、
「遅れてスマン!ちょっと綺麗なお姉さんを見つけ「昼飯奢れよ?」
池谷は走るのをやめて歩くことにしたようだ。うむ、愉快愉快。
その後、池谷の提案で俺たちは商店街に向かうことになった。池谷曰く、
「商店街にはカップルが多いんだぜ?だから俺たちもそこに行ってカップル願望を持ってるやつを落とすわけだ!」
……十中十三ないだろうな。
商店街に向かう最中に池谷が俺に向かって小声で、
「なあ、お前はいつの間に音咲と仲良くなってたんだ?」
「5月頃からだ。学校支給の放課後部屋で集まってるんだよ。」
「マジか?俺のほうは誰も来ないんだが…。俺も行ってないけどな。」
俺と池谷が話している間、音咲は逆ナンされていた。忌々しい。

俺たちは3人で商店街につく。音咲の野郎…4人も引っ掛けやがって…忌々しい、ああ忌々しい、忌々しい。
「そういや女子勢はどこに行くかしらないか?もし商店街にいたら会っちまうぞ?」
というのも俺たちの通学圏には商店街はここぐらいしかないからだ。
「僕は…知りませんね。何なら聞いてみましょうか?」
「聞く?お前いつの間に電話番号を!?」
「俺も聞いてやろうか?」
「睦月!?お前までもか!?お前だけは同類だと思ってたのにィィィィィ!」
俺たちはそれぞれ同じクラスのほうに電話をする。
「もしもし、睦月だ。」
「え?睦月?寂しくなっちゃった?」
「なわけねえだろうが。とりあえずお前、今どこにいる?」
「え?やっぱ会いたいの?」
「違うっての。いいから教えてくれないか?」
「今は…あれ?睦月発見!」
俺はすぐさま辺りを見回す。同じクラスの女子と…多分違うクラスの女子達を発見した。その中に七恵はいない。その代わり、楓さんがこちらを見て微笑んでいる。どういうことだ?
「とうっ!」
俺の胴体に強い衝撃が走る。確認するまでも無い。こいつは七恵だ。いったい何しやがった。
「ドロップキックだよ?」
次は無いようにしてくれ。見かけるたびにそんなことされたら俺が人生からドロップしちまうぜ。
そんなやり取りを見てだろうか、七恵と一緒にきていた女子勢が微笑んでいる。…なぜだ?微笑む必用があるのか…?
それから俺たちは3人のまま商店街を後にした。池谷曰く、
「女友達といるとナンパできないから。」だそうだ。それには俺も大いに同意だが、わざわざそこまでしてナンパをしたがるか?いや、難破したいのだろうな。
それからの俺たちは真に高校生らしくゲーセン行ったり立ち読みしたりと無意味なことをして過ごした。結局、池谷は一度もナンパをすることはなかった。俺たちがいるからか?
後日、そのことを池谷に聞いたら、
「実は俺、彼女いるんだ。」
とかほざきやがった。いったいあいつは何がしたいんだろうね?

翌日も七恵はどっかに出かけた。やることもなくこのまま明日までベッドINしていようかと思っていた矢先に音咲から電話がかかる。内容は「どこかへ行きませんか?」だった。そんな提案を受けた俺はどうしようかと10分悩みこんだ挙句、
「わかった。待ち合わせはどこにする?」との旨を電波で伝えた。10秒後に返信が来たのには驚いたがな。
かくして俺は音咲と怠惰な一日を送った後、いつもは使っていないベッドに横になった。なに、いつもは七恵が占領しているから使えないだけだ。ちゃんとシーツも枕も変えたさ。じゃなきゃ後で何を言われるかわかったもんじゃない。ああ、5ヶ月ぶりのこの感触。………このまま寝てしまおう。

翌日
ぴりりりりりりぺち…………もぞもぞ…。むにゅ……?
「むにゅ?」
……ここはベッドで…隣に七恵がいて………七恵!?何でメイド服!?いや、違う。なんでベッドに!?
返事は無い。ただの屍のようだ。
…こいつはなんで起きないかな…。てかなんでベッドに…。一応俺のせいなのか?俺がこのベッドで寝たからか?これは俺のベッドで…無駄だな。とりあえず、さっさと登校の準備でもしておくか。それにしても…このメイド服。かなり可愛いな。プロのなせる業だろうか。いや、プロのやつじゃないと売るわけないか。プロってなんだ?オタクか?
俺が制服に着替えて朝飯の準備をしていると、
「……おはよう睦月。」
ここで「おはようございますご主人様」とか言ってくれたら様になるんだろうな。だがそこは七恵だ。期待を裏切ってくれるぜ。
「…なんで昨日私のベッドに寝たの?」
いつからお前のになったんだよ。いつもはお前が占領してるから俺が使っただけだ。
「変なことしなかった?」
どんなだよ。
「シーツとかの臭いとか嗅いだり…。」
するかアホ。俺がいつ変態的なことをしたんだよ。というかそれ、俺を変態だと思ってんのか?
「じゃあなんでベッドで寝たの?」
さっきも言ったろ?一時の気の迷いだ。
俺がそう告げて調理に戻る。戻り際に、
「アホ睦月。」
と聞こえたのは確実に空耳では無いだろう。

俺が朝飯の調理を終えてテーブルに飯を並べる。そして俺がそれとなく聞く。
「なあ、文化祭の男子の方はもう決まったのか?」気にならないと思うやつはすごいね。
「決まったよ?見てみる?」
俺は慇懃に七恵にお願いし、そのメンバーが書いてあるルーズリーフを手に入れることに成功した。
「…宇界、瑛堂、川角、久遠、国木田、十河、古河、睦月、魅神、夜神…。俺もか!?」
「そうだよ?文句あるの?あるなら覚悟しといた方がいいよ?」
…ないです。
「よろしい!」
メイドに脅されて言われるがままにされる俺…情け無いな。
それから俺たちは支度を整えて学校に向かう。電車通学は辛いというが、都心から外部へと向かう俺たちにはそこまでの苦は無い。いや、それでも嫌な時くらいあるぜ?酒臭いおっさんがいたり…言うだけでも嫌だな。
もちろん、七恵は学校指定の制服を着ている。メイド服なんかで行こうとか言った日には卒倒するね。
その日のLHR。宇界が執事に呼ばれた時、池谷が発狂したように教室から飛び出していった。面白いやつだな。
その日の放課後までは俺も笑っていられた。執事なんて簡単だろうと楽観していた俺がいた。だがそれは、適当にヤマを張ったテストのヤマが大当たりする夢くらいに甘かった。
帰りのHRの時、いきなり七恵が立って、
「今日の放課後執事係は教室で残ってね~。」
とか言っていた。俺は実行委員なのになんで知らされなかったんだ?と少し疑問を覚えたが、素直に残ることにした。いや、七恵によって残らされたといった方が正しいな。椅子から俺が立ち上がろうとすると七恵が同時に立つんだもんな。怖いったらありゃしねえ。
しばらくして、教室にいる人数が13人(男10人女3人)になったところで悪夢は始まる。
「みんな集まったのね?今日みんなに残ってもらったのは執事の訓練をするためなの。」佐崎が言う。
誰も抗議をしないことを確認した佐崎は話を続ける。
「でもみんな、執事のことは知ってるけど、どんなことをするかは具体的には知らないでしょ?」
誰も反論しない。無益だと思っているのか知らないのかは表情次第だ。
「だから今日は教師を呼んだの。出て来てくださ~い。」おい、最後の方棒読みだったろ。口にはしない。
それと同時に教室のドアが開く。そこに現れたのは、見事な執事だった。オーラが執事だった。…形容できないほどに執事だった。…俺は何を言ってるんだ?それはともかく、その執事は年は50になるんじゃないかという風貌で、どこかのお嬢様にでも仕えてるんじゃないかと思われるほどだ。顔つきもかなり良い。多分昔はモテただろう。
「音咲様より派遣されました。空木と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。」音咲か。今更驚かんよ。
執事空木は慇懃に礼をした。俺たちもそれに習って礼をするが、如何せんタイミングがずれる。無様だな。
「では時間もあまり無いそうですので、これより早速講義に移ります。」
そう言った瞬間だろうか。ここにいる執事担当の顔が引きつったのは。
「これより執事育成を始めるッ!!!!この講義において貴様らの意見は聞かん!!!!以後!私のことはサー宇津木と呼ぶように!」
誰もが口をあけたまま閉じようとしない。それだけは女子も同じだった。そんな俺たちを見かねたのか、
「返事は!」
俺たちは揃って言う。
「イエス、サー空木!」
いったいどこで間違えたんだろうな…。
それからの3日間、俺たちは放課後に修羅のような執事に地獄のような特訓を強いられた。因みに、最初にいた女子は俺たちが返事をしたときにはいなくなっていた。無論、七恵もだ。ああ、忌々しい。
そして今日は木曜日。修羅の空木の指導も今日は無い。なぜなら、今日は文化祭の前に学校にこれる最後の日だからだ。おかげで、実行委員なる俺には雑用の仕事がゴキブリだ。1個頼まれたと思えばかなり増えてる。気が滅入るね。


文化祭初日、真に晴れやかな日であった。今日は平和だと俺に思わせるにはちょうどを通り越して適材適所…俺の頭もこの陽気でやられてしまったのだろうか。辛いね。
今日は俺の担当じゃない日だ。今日思う存分遊んでやらないとやってらんねえよ。幸運なことにオセロの劇も楓さんが出演している日だ。見に行かなくちゃ損だな。蛇足だが、音咲も今日は出るらしい。
俺は途中まで池谷と一緒にいたが池谷が、
「今日はナンパ尽くしだ!」とか言ってくれたので別行動を取らせてもらった。というか、あいつは別れたのか?いや、それもどうでもいいな。俺にはオセロを見に行くという使命がある。
と言って勇んで見に行ったはいいが、つまらない。こればかりは俳優陣がどんなに最高でも演出が…いや、演出のせいでもないな。これはオセロを選んだのが間違いだ。音咲目当てで来た女子達もみんな帰ってしまった。残ったのは俺を含めて3人。全員男子だ。ただ単純にオセロを楽しんでいるやつが一人。先ほどからニヤニヤしながら主演の音咲を見ているやつが一人。そして、楓さん目当てで来てこのまま帰ったらイメージ悪くなりそうだなとか考えてる俺が一人だ。
オセロを見終わった俺は校内を散策していた。学校のレベルが高くても、その出し物は他とはあまり変わらないようだ。正直、暇だ。
そんな経緯があって、俺は今体育館に来ている。幼少の頃、そこまででもないが、俺はピアノをやっていたからな。そのせいか、クラシックな音楽を聴いて楽しむことができるのさ。今は吹奏楽がなにかを演っている。重厚で気品のある演奏をするのはわかるが、せめて演るまえに曲紹介くらいはしようぜ?言わないけどな。
しばらくすると、自由参加のバンドの演奏が始まった。軽音部が先陣を切った。が、現実はそう甘く無いように、彼らにも甘くはなかった。彼らは必死に演奏をしていてそれがひしひしと伝わってくるのだが…いや、やめよう。
それからしばらくして七恵がやってきて、俺の隣に座った。こいつも暇になったらしい。
俺がありきたりなコピーバンドに飽き飽きしていると、観客席にどよめきが走り出した。椅子に突っ伏していた俺も状況把握のため顔をあげる。ステージには蝶のマスクをした野郎が一人でギターを持って立っていた。俺はそのマスクに覚えがある。そしてそいつは決定的なことを言ってくれやがった。
「あー…エドワード=ディスケンス。エディだ。」
俺の声より少し低い声で言う。観客席からはどよめきがざわめきに進化していた。
それからエディはギター1本で演奏を始めた。ボーカル?もちろんエディだ。
「避けることのできない 別れという場面が」
暗いバラード調の曲。
「もういかなくちゃ time to say goodbye」
俺の声で歌うには少しきつい音程。だが、俺の思い出の中には一番焼きついているそれ。
「最後はkissでtime to say goodbye」
こうしてたったの一曲でエディの演奏は終わった。
俺がこの出来事について考えていると、
「……ねえ睦月。」
なんだ?
「来年…出場しよう?」
……なぜだ?
「この曲がよかったからじゃダメ?」
…いいだろう。やってやるよ。どうせ俺も将来的には時を越えてここで演らなきゃいけないだろうからな。それにしても、エディの演奏は上手かった。いったい何年練習したのだろうか。特に、歌がすごかったな。そういえば…音咲はこの演奏を聴いただろうか?今日は…あいつの担当だったし…。聴いてなかっただろうな。



文化祭二日目だ。今日は俺の担当日…ということでちょっと執事になってきます…。はあ…憂鬱だ…。
客入りは上々だ。もとどころか利益が出るぞ。まあ、それと比例して大変になるわけだが。なにが狂ってか俺はウェイターとなって食券のもぎり役となってしまった。まあ、おかげで食器を運んだりはしなくて済むんだからな。まあ、その反面にここに来た客全てと顔をあわせなければならないがな。
まず最初に来たのは音咲だった。その上こいつはもぎり役である俺との対面を要求しやがった。そいつの相談にあったのが川凪だったためか、その願は俺の問答虚しく受理されてしまった。
「やあ、その格好似合ってますよ?」
野郎に言われて喜ぶ奴がいるか?
「そういうことは誰に言われても嬉しいと思いますが…まあ、僕としては…「それはどうでもいい。俺に何の用だ?」
「執事らしく対応していただきたいのですよ。」顔が近い息を掛けるな真面目な声を出すな気色悪い。
「傷つきますよ?」
生憎俺はホストでは無いんだ。慰めてほしいなら他に行け。
音咲はしばらく俺と話していたが、やがてどこかへ行った。ほっとするぜ。
その後3分ほどは俺も本来の仕事をしていたのだが…
「おい堀崎。観奈原さんが呼んでるぞ。」
おいそれは本当か十河!嘘じゃないな!?
「俺だって嘘だと思いたいさ。でもな、観奈原さんの願いだからこうしてやってんだからな?」
俺にも運が回ってきたのだろうか。ずっとこんな運勢だと良いんだがな。
「こんにちは。」
「お帰りなさいませお嬢様。」俺が言う。かなり様になってるんじゃないのか?じゃなけりゃ訓練の意味が無い。
「…すごいですね。板につくとはこのことですね。」
俺のSPは80%回復した!
「昨日オセロを最後まで見てくれてありがとうございました。」
当然ですよ。なにせ楓さんが出てるんですからね。ちょびっとでしたが。
「お世辞はまた今度ですよ。実は今日予定されていたオセロ、中止になりました。」
え?…なぜですか?
「理由は言わなくてもわかりますよね?今日はそれを慰めに来たんですよ。」
俺は音咲に言った一言を覆して、
「俺でよければどうぞ喜んで。」
……まあ、近くにいた七恵に強制終了させられたけどな。人生甘くないってか?俺の人生コーヒーか?
その後は2年の早坂先輩が俺を指名しただけだ。ホストじゃないってんだよ。執事なんだよ。
……まあ、たまにだが、男子が執事を要望してたな。俺が指名されなかっただけましか…。自惚れてるのか?

訓練の内容やら色々はまた今度短編で書こうかな。後は短期で書いたから何が言いたかったのか不明な作に…
これ…誤字脱字が多かった…添削する暇がなかったんだよ!どうにもならないな。