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REPLACE BODY

俺は今、むかつく爽やかスマイルで通学路を歩いている。今の俺は前より背が高く、そして顔がよくなっている。
歩いている途中、何度も女子生徒に黄色い歓声を浴びた。いつもの俺なら喜ぶところだが、今は喜べない。
俺の体は今、音咲と入れ替わっているからだ。

それは今日の朝のことだ。俺がいつもどおり6時に起きたときからだ。
「ふぁ~ぁ。」
あれ?いつもより声が若干爽やかな気がするが…。気のせいか?
俺は洗面所に向かう。顔を洗うと同時に寝癖チェックをするためだ。その時鏡に映ったのは俺じゃなく、音咲だ。
「音咲?」
俺は間抜けに口に出す。が、鏡の中の音咲は俺が動いたとおりに動く。(正反対だが)
見上げた夜空の星たちの光 古のおも―
着歌が俺の家で響く。音咲からだ。
「俺だ。」
「俺の知り合いに一人称が俺のやつはいないぞ。」
「失礼しました。僕です。音咲です。」
携帯のスピーカーから聞こえた声は紛れもなく俺の声だった。どうやら、俺と音咲は入れ替わったようだ。
「それはいささか軽率すぎませんか?」
なぜだ。まさかお前が変声機でも使ってるというのなら別だが。
「もしかしたらこれが元の状態なのか―」
俺は通話を強制的に終了させた。朝から哲学なんてやってるほど俺はできた人間じゃない。
見上げた夜空―
俺は電話に出る。
「先ほどはすいません。変な方向に話をそらしてしまって。」
わかってたんなら最初からやるな。
「僕の体も入れ替わってしまったようなんですよ。あなたと同じで。」
で、俺にどうしろと?俺はそういう推理ごとには長けて無いんだが?
「いえ、それは僕にもさっぱりですよ。とりあえず部室にできるだけ早く来てくれませんか?僕も行きますので。」
音咲がそう言ったあと、電子音が響いた。
俺はサイズの微妙に違う制服を着る。ああ、神よ。なぜ運命とは不公平なのですか?
バンバン!ドンドンドン!
…激しいノックの音か…。この時間帯だと…七恵か。今会うのはできれば避けたいのだが。
ガチャ!
え?開いた?チェーンかけたはずなんだけど!?
「こら睦月!いるんだったら返事くらいしなよ!」
セリフだけじゃ外にいるとしか思えないな。しかし実際、こいつは家の中に入ってきた。
「…ってあれ?音咲くん?なんでここに?それより睦月は?」
…ってあれ?楓さん?なんでここに?それより七恵は?
―中略―
どうやら、入れ替わったのは俺と音咲だけではなかったようだ。七恵と楓さんもそうなったようだ。
さっきの話だと七恵のほうも朝起きたらそうなっていたらしい。今も直ってない所を見る限りでは策はなさそうだ。
俺は七恵をつれて学校に急ぐ。傍から見れば美男美女のお似合いカップルと言うところだが俺はそれを気にしていられるほど心に余裕は無い。ま、二人のことだ。どうせすぐ噂は消えるだろう。
俺たちは部室に入る。ノック?非常事態だ。後にしてくれ。
バン!
「遅かったですね…って楓さん?…じゃなさそうですね…。もしかして…?」
「残念ながら、もしかしなくてもだ。」
音咲は俺の体でお手上げのポーズをとる。様になって無いぞ。
「とりあえず、織口さんは廊下に出ていただけ無いでしょうか?服を着替えなければいけないので。」
「あ、そうね。じゃあ終わったら呼んでよ?」
七恵はそう言って廊下に出る。
「パンツの方は…そのままでいいですね?」
「そのままでいい。俺はお前の体を見たいわけじゃないからな。俺にそんな趣味は無いからな。」
俺と音咲は制服を交換する。俺から見た俺は、どうしようもなく凡百なルックスだった。悲しくなった…。
「入っていいぞ。」
七恵は勢いよくドアを開ける。
「楓も呼んだ方がいいんじゃないの?」
「楓さんならもう呼んであります。今頃、校門辺りではないでしょうか。」
用意がいいな。俺はわざとらしく苦笑してみる。
「おや?あなたは僕の真似が意外とうまいようですね。」
俺は苦笑を苦虫を噛み潰したような顔に変えた。
「僕は普段はそんな表情になりませんよ。」
「写真とっていい?」
七恵、その口調じゃわかりづらいぞ。それと俺はこの顔で写真を撮ってもらっても構わない。永久保存版だ。
ドアが唐突に開く。それは俺たちの耳に覚えのある音を立てていた。そこに立っていたのは―
「「……楓さん?」」
「楓?」
七恵の体の楓さんだ。この人は七恵になりきってるな…。上手すぎる。
「ヤッホー!いやー遅くなってごめんね~。さ、話そ!」
……楓さんだよな?マジでこの人は楓さんだよな…?
音咲に視線を向けてみる。音咲は状態異状『唖然』になってしまった!しばらく動けない!
「すっごーい楓!こんなに私の真似が上手いなんて!」
この状況で喜んでるのはお前だけだ。と、思ったが違うようだ。追加で楓さんもだ。
俺たちは二人が着替えるから、との理由で廊下に放り出される。うっ、さむっ。
「僕はあなたに話しておくことがあります。」
まさか俺がシリアス口調になるとは思ってなかったよ。続けてくれ。
「とりあえず、僕はクラスで敬語を使っています。口調を直しておいてくれませんか?」
「わかりました。そうしましょう。」
「入っていいですよ~。」
ああ、これは…楓ボイスVre七恵じゃないか。効果は薄いがこれもこれで癒されるな。
俺は部室に入る前に音咲に言った。
「僕は、『僕』とは言いませんよ?」
音咲は本日二度目の『唖然』状態になった。

さて、ここまでをおさらいしよう。俺たちは体のみがそれぞれ入れ替わった。俺―音咲 七恵―楓さん
となったわけだが俺たちのやっていることは大してかわってない。これはピンチだ。作者の。
ここで、追加ルールだ。SNN能力も入れ替わった設定を追加する!!!!
十字架はそのままだよ。w

結局、その日は入れ替わったまま一日を過ごした。ああ、音咲よ。元の体に戻ったら覚えてやがれ。
土曜日
朝、俺は洗面所にて習慣と化している一連の動作を行う。昨日の今日だ。直るはずも無いな。
見上げた夜空の星たちの光 古のおも―
「朝からなんだ?音咲よ。」
「緊急事態です。」
そうかそうか緊急事態か…。緊急事態?
「とりあえずポストを見てください!」
…指令か。どうせ指令なんだろう?指令を送らないといってたのに指令なんだろう?
「全容は把握した。これがいったいどう緊急事態なんだ?」
「まだ気づいて無いようですね。SNN。といえばわかりますか?」
SNN…まさか…いや、そんな馬鹿な。
「僕は昨日楓さんを電話で呼び出したのですよ?SNNが使えれば…わかりますね?」
わかったが、それがどう緊急事態なんだ?
「あなたは僕の力をいきなり使えますか?」
……音咲の力は…。空間系だったな。…無理そうだな。
「指令を見てください。あなたは絶望するはずです。」
見たくない。そんな不幸の手紙なんて見たくない!俺はこの年で精神崩壊しなきゃいけないのか?
「それはあなた次第ですよ。まあ、そんなことになったら僕が責任を持って―」
「それ以上言うな。俺は精神崩壊を起こさない。断言する。」
俺はポストを開ける。そこにはくすんだ銀色と影の織り成すコントラストしかなかった。
「ない?」
「どうしたの?指令書ならここだよ?」
ありがとうございます楓さー違うな。サンキュ七恵。
俺は指令書を開く。俺の目に入ってきた情報はいささか酷だったと思う。
―やあ睦月くん。おはよう。今日は君に依頼があってこれをよこしたんだ。君には今日、とても頑張ってもらわなきゃならないんだ。とりあえず、やることを教えるね。―
―中ランクモンスター132体の排除。尚、この指令は堀崎睦月単体に向けられたものである。―
…俺ピンチ。今までに無いほどにピンチ。…俺じゃなくて音咲がピンチか。
「どうしたんだい睦月くん?早く車に乗りなさい。」
あ、七恵の父親。ってあれ?なんで俺を?まさか七恵…話したんじゃ…。
「昨日も私は自分の家に帰ったよ?楓は音咲くんの家みたいだけど。」
すいません、七恵父。俺にはやることができました。俺は楓さんを音咲の毒牙から守らねばなりません。
「なに言ってるの?とりあえず観念して車に乗ってね!」
美女が美男子を車に投げ入れる。夢の一瞬だな。俺は今までが夢になるところだったが。
俺、まだパジャマなんだけど。
「睦月くん睦月くん。これを着るといいよ。」
てれれれーん 俺 は普段着を手に入れた!新品だ!
「ここで、ですか?」
「ここしか無いだろう?」
「正気ですか?」
「失礼だよ睦月くん。」
さあ、考えてみよう。今、車の中には3人いる。二人はわかるな?あと一人は?七恵だよ。
「あ、大丈夫だよ。私、興味ないから。」
…それはそれで問題ありだが。ま、いいか。見られるのは俺じゃない。音咲だ。

「という夢を見たんだが。どう思う音咲。」
「どう、といわれてもですね…。」
「いや、無理に感想は言わなくていい。」
「ただ、言えるのは。オチが古いですね。」
「同感だな。」
バン!
「ヤッホー!いやー遅くなってごめんね~。」
……デジャヴ?俺たちは楓さんの新しい一面を発見した。