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Kill time of mutuki horisaki


8月、それは一学期の自分の所業を書いた紙を渡されてその不公平さを嘆いたことをきれいに忘れ去るための学生にのみ許された一年における最大の長期休暇である。が、その期間も最大なだけあってもてあましてしまうものなのだ。そして俺は今まさにその長期休暇をもてあましている。

8月1日
「ああ…暇だ…。」
そうつぶやくのは堀崎睦月。つまり俺だ。8月1日に宿題を全て終えることを成功させてしまったのである。
そこ、暇人とか言わない。宿題やってるときは暇じゃなかったんだぞ?
「指令こねえかな…。」
ああ、退屈だ。今なら最後の晩餐を模写することができるくらいに退屈だ。
退屈だ、ああ退屈だ、退屈だ。お、川柳できた。コンクールがあったな…。応募してみるか?

ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ

携帯のバイブだ。
七恵からか…。ちょうどいいな…。
俺は好奇心に負けて携帯を通話状態にした。
「睦月だ。」
「七恵でっす!」
「お前元気そうだな。」
「そう?とりあえず今から部室に来てね。」
「は?おいちょっと…。切りやがった…。」
はあ…。退屈も嫌だが面倒ごとも嫌なんだけどな…。とりあえず、行ってみるか。
俺は制服に着替えて家をでる。手提げ袋には私服を入れて。
「…暑い。」
俺はこの猛暑の中をSNNを使わずに歩いて学校に向かっている。律儀だなぁ、俺。
「…暑い。暑すぎるぞ!」
俺は叫んだ。幸いなことに周りには誰もいない。まあ、休日の通学路だしな。時間も時間だ。
しばらくして俺は学校に着いた。一度、トイレに行って身なりを整えたあとに部室に向かった。
なぜ身なりを整えたかって?俺は紳士でいたいんだよ。
俺は少々強めにドアを開ける。中には3人。いつものメンバーだ。
「睦月くん、おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはよっ!」
うむ。いつもどおりだ。こいつらは口調で判別できるな。
窓辺にいる楓さんが朝焼けにてらされている。これは映えるというか萌えるというか。ああ、癒される。
「なに鼻の下伸ばしてんの?」
おっと、顔に出ていたか。気をつけねば。
「なんでこんな朝早くに呼び出したんだ?」
さっきも記述したように朝焼け+楓さんが拝めるほどに早い時間だ。
「早く起きて集まったらそれだけ皆といられるでしょ?」
マジか?おいおい待ってくれよ。今から換算すると…長いと18時間もこいつらといるのか?
「今日は一日遊び倒すよ!」
「マジか?」
「大マジよ!だって皆宿題終わってたりしてものすごく暇なんだもん!」
俺は目線を二人に向ける。音咲は胸糞悪くなるようなさわやかスマイル。汗はかかないのか?
楓さんは微笑んでいる。その中には一片の黒さは無い。ああ、癒される。
この二人はプラマイゼロだな。いやいやいや、マイナスはなくていい。ま、日常には必要だけどな。
「で、今日は何をするんだ?」
「今日は海に行く準備をするの!」
「はあ?準備?」
「だって睦月と音咲くんは水着もって無いでしょ?」
そうだけどな、男用の水着を選ぶのに一日使う意味は無いだろう?それだけなら二人でできるぞ?
「そんなことに一日使うなんて言って無いよ?」
そんなことですか。なら当日に買っていってもいいだろうに。
「もし変なのしかなかったらどうするの?」
待て。『変なの』が売ってるってことはその近辺にもその『変なの』を使ってるやつはいるんだぞ?
「私たちはそんなのと一緒にいたくないよ?」
そうかい。
「僕は持ってますよ?もちろん、一般的に『変なの』ではないものを。」
それはよかったな。おかげで俺のを買う時にいらぬ口出しが増えそうだ。
「さあ!出陣!」
「出陣?今からか?」
「そうだけど?」
「今何時かわかるか?」
俺がそう指摘すると七恵は顔を赤くした。意外と可愛いな。眼福眼福。
「鼻の下が伸びてますよ?見つからないうちに直した方がいいですよ?」
え?またですか?
「冗談ですよ。ふふっ。」
ああ、癒される。この人の特殊体質として癒しを追加してもらいたい。ああ、癒される。
俺たちは10時になるまで、いつもどおりのまことに平和で退屈なひと時を心行くまで楽しんでいた。
朝飯?楓さん特製のグラタンを食べたぞ。美味かった。SNN焼きと楓クオリティの合作だな。

「そろそろ時間ですよ?」
「ホントだ!さ、皆行こう?」
俺たちは部室を後にする。部室を最後に出た楓さんはきちんと鍵を閉めている。律儀な人だ。
そうして、制服の奇妙な一行が向かうは某デパート。ここはファッションに重点を置いているらしい。(七恵調べ)
俺は二人をベンチに待たせて音咲を連れて水着を選びにいく。
「どうして僕を誘ってくれたんですか?」
嫌だったか?
「いえ、意外だっただけです。」
お前はそういったセンスの類もありそうだからだ。他意は無い。
「お褒めに預かり光栄です。とでも言いましょうか?」
最後が余計だ。俺一人だと蝶(超)非常識願望+常識的な心÷2にチョークをやられかねない。
「そうかもしれませんね。」
他人事だと思って笑ってやがる。くっ、忌々しい。
結局、俺が選んだのは水色と黄緑の合わさった無難なデザインの水着だ。
「それ、けっこう似合ってると思いますよ?」
「嘘つけ。まだ履いてすらないんだぞ?」
「履かなくともわかりますよ?」
「そうかい。」
そのあとの俺たちは毎度の喫茶店行ったりボーリングやったりとまことに高校生らしいことをやって一日を過ごした。
スコア?聞かないでくれ。トラウマにでもなるんじゃないか?

どうも音咲秀です。以後僕のモノローグが大半になりますがご容赦の上でお読み下さい。

9月2日。いい朝ですね。今日は2学期始業式。なぜ1日じゃないかというと、その日は日曜日だったからです。
まだ暑い陽射しの中を学校までの道を歩いて行く。暑いけど僕は汗をあまり掻かない体質なので気になりません。
そう、今日も彼の言う、尋常なる毎日です。普通は偉大だ、とこのごろの僕も感じますね。
始業式は10分で終了しました。僕が考えるに校長が嫌になったのでしょう。さっき副校長に八つ当たりしている所を見ましたからね。R指定が入るんじゃないでしょうか。
そしてHR。正直いらないと思うのですが、僕はその時間が嫌ではないので抗議しません。
放課後、僕は部室棟の一角にある部屋に向かいます。今日はそこに集まれ、とのことですからね。
コンコンコン
僕は幼少の頃から多方面にわたっての英才教育をクリアしてきました。ノックも習慣ですね。
何の音もしないのでドアを開ける。どうやら中には誰もいないようです。しばらく待ちましょうか。
ですが僕の後ろには楓さんがいます。クラスが同じですからね。部室に行く時は毎回一緒に行っているので多くの人に誤解されます。いえ、別に嫌なわけでは無いんですよ?ただ、男子生徒の目線に殺意が感じられます。
中に入ってしばらくするとドアの外で何かがぶつかる音がしました。野次馬のようにそこに行くと、
予想通り睦月くんと織口さんがいました。どうやら織口さんが何かしたようです。いつものことですがね。
睦月くんはまだごろごろ転がってます。いえ、動きを止めましたね。
「大丈夫でしょうか?」
「その声は…、音咲か。音咲、俺を保健室に連れてってくれないか?なんかもうだめそうだ。」
「十字架を使ったらどうでしょう?」
そういうと彼、睦月くんは慌てて治しました。本当に痛かったようですね。
「ごめんね睦月。制御効かなくなっちゃって。」
こちらは…頭に手をあててウィンクしています。反省の色は見受けられませんが彼が怒らないならいいでしょう。
「ところで今日はなんで集まったんですか?」
「いい質問です楓さん。僕も気になっていたところです。」
楓さんは僕の声が聞こえてなかったようですね。無視とは違った寂しさがありますね。
「今日集まってもらったのはね、二学期を充実させる為に予定を作るの!」
…彼からの『とりあえず反論しろ』という視線が痛いですが、
「それはいい考えですね。ただ漠然と過ごしていては楽しく過ごすことは出来ませんからね。」
彼の視線が『お前なに勝手なこと言っちゃってんの?』に変わりましたね。けっこうダメージになります。
「まあとりあえず部室に入ろう。まずそれからだ。ここは暑い。」
「そう?じゃあみんなの分のジュースお願いねっ!」
「は?俺はまだジュースを買いに行くなんて言ってないぞ?冷たい水が欲しいなら俺が出してやるから。」
「あ!その手があったね!」
織口さんは快活に、彼は苦笑を浮かべてます。
でも、僕は最近、こんな日常にこそ守る価値があるのではないかと思えます。


楓・番外編

今度は私のモノローグが大半を占めますがご容赦願います。

夏休みのある日、私は酷く憂鬱な気分になっていた。それは外が灰色の世界になっていて、四六時中雲の片割れが地面にたたきつけられる音を聞かされているからかはわからない。ただ、憂鬱だ。


ピリリリリリリ
携帯が鳴る。私は3コールで出る。音咲君だ。
「今日は何か用事はありませんか?もしなかったらどこかへ買い物にでも行きませんか?」
携帯越しに雨音が聞こえる。外にいるのだろうか。
「いえ、まだ室内なのですが、1階ですと雨音も五月蝿くなってくるものです。」
私はこの曇った心を晴らせるかも―と思い、その質問に了承の意を返した。

指定された駅前のケンタウルスの像の前には既に音咲君がいて、私を待っていた。
「遅れてごめんなさい。いつから待ってたんですか?」
気になったので聞いてみる。
「電話をしたときからですよ。そのときは人が少なかったので気づかなかったと思いますが。」
音咲君は私が来なかったらどうするつもりだったんだろう。なぜか、聞いちゃいけない気がした。
私たちが向かったのは電車に乗って二駅の大きな地下街だった。そこには結構な数の商品が並んでいて私は
沢山立ち止まった。そのたびに音咲君は私のそばに来て私の講評を聞いてくれる。
私は普段の作品ではあんまりセリフが無いけど本当は無口なんかじゃない。冷静沈着でもない。
ただ、執筆者が下手なだけでこういった私メインだと私がちゃんと見せられる。
そうでもしないとキャラ付けが厳しいのも理由の一つだと思う。
諸事情はそのくらいにして現実に戻る。
音咲君は私が一番気に入ったと感じたものを伝える前に買って、それを私にくれた。
黄土色のブレスレットで金額は5桁だった。最初の数字はもちろん1だけど。
そんなことをしているとすぐに時間は過ぎる。高校に入ってから一番楽しいひと時だった。
「そろそろ夕食時ですが夕食はどうされますか?もしよければいいお店を知っているのですが。どうでしょう?」
私はそれを聞くなり体が勝手に動き出し、携帯で親に夕食はいらないと伝えた。
そして私は音咲君の歩くほうへとついていった。
しばらく歩くと一軒の可愛い店があって音咲君はそこに案内してくれた。
レストラン NO MELANCHOLY
…命名した人のネーミングセンスを疑う名前だったけど内装、料理共にいいものだった。
そこでの料金は音咲君が払ってくれた。
「なんで私には払わせてくれないんですか?今日だけで3万近くあなたは使ってますよね?」
一番の疑問。別に3万が重要なわけじゃない。なぜ、私に?が重要です。
「それは僕が今日あなたを誘ったから、じゃダメですか?」
「いえ、それだけでも理由が聞けて嬉しいです。」
「そうですか。それはよかった。今日はもう遅いので僕の能力であなたを家に送りますがよろしいですか?」
気づいたらもう10時。私は帰らなきゃならない時間だ。別に私はシンデレラみたいな魔法がかかってるわけじゃないけど。
パチン 
乾いた音が鳴る。そうして私の前に多分、私の家に続くゲートが開いた。
「それでは、また一緒に行きたくなったら電話でもして下さい。それではまた今度。」

家に帰ってベッドに入った私の心は晴れ上がっていた。今日は快晴―

この楓の方はどっかのサイトから引用してきた。カッとなってやってしまった。後悔はしていない。