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堀崎睦月‘S STORY 3 初陣
「起きろ睦月~!起きろ~!」
この声の主は大いなる矛盾をしている。起きろといいながらにしてチョークスリーパーをかけている。
当然かけられているのは俺で今は川の中州にいる。わたったら楽になれるかな?などと考えつつも起きる。
やはり眠い。昨日は遅くまで起きてたからな。昨日だけは織口を俺のお墨付きで泊まることを許してしまうほど遅くまで話し込んでいた。理由はやはり昨日のことを問い詰めた。途中、織口は何度か黙秘権を行使したために話が長くなった。途中、何度か織口が寝てしまったので、体に触れないように起こす為ヘッドフォンを装着し、最大音量で音楽を流す。そして仕返しに手痛い反撃を受ける。を繰り返した為だ。最後の30分は俺と織口のどちらがベッドに寝るかだった。不覚にも俺はチョークスリーパーで落ち、朝にいたる。
「やめてくれ…今日は…眠いし疲れたんだよ…。」
「これみてよ!睦月くんっ!やっぱ昨日勝ってたんだねっ!」
なんだなんだ。なぜそれがわかった。そしてお前の言う、これ、を見るのは物理的に不可能だ。
チョークが解けて俺は、これ、を見る。
「今日……浜辺にてモンスターが発生するはず。AM11:00までに来たれり。だと?これが何だ。」
「これはね、モンスター討伐の依頼書!モンスターはこっちに来るときに、こことあっちの空間の狭間を通ってくるの。
で、その狭間を通れるのは上中下であらわすと中と上だけしか通れないの。それにこの紙は学校認定の強い人にしか来ないの。弱い人が行ったら死んじゃうしね。で、君は私の予想どうり一人で勝ったわけ!多分今回のは中レベルね。さあ行くよ!」
待て。俺はお前のパートナーになるといった。今言おう。あの時お前は、こんなこと一言も言ってなかった。
こんなことわかってりゃ俺は退学の道を選んだね。
そうだ、俺はまた騙されたんだ。でも今回はショックが少ないな。まだ親友でも無いからかな?
「俺はこの年で死線を越えるつもりは無い。向かうなら単体でどうぞ。」
「あ、じゃあ別にいいわよ。今回は見学させるつもりだったから。」
そういって織口は行ってしまった。今は11:07である。浜辺まで確か往復20分である。
…なんだこの時間の進む遅さは…。まだ3分しかたってないのに6分は待った気になる…。
「う~~~~~。」
唸ってみる。なにも起こらない。
「もう待てん、ちょっと見てきてやる、このままいかなかったら男が廃る。」
バスはしばらく来ない。SNNを使って俺の靴に氷のローラースケートを作って坂道を滑走していった。下り坂でよかった。9分でついた。最速タイムだ。そこで俺が見たのは3体のモンスターに囲まれている織口だった。
俺は気づいたら氷の盾を織口に作り、氷の槍をモンスターの内一体に投げつけた。槍があたるか否かの瞬間にそのモンスターは俺の懐に入り鋭そうな爪で刺そうとしていた。未遂に終わった。代わりに―
織口が左太ももを真紅に染めていた。俺は少し前の俺が嫌になった。そうだ、俺がこいつの話を信じてなかったときに、SNN値が高い人は狙われやすいの。って言ってたな。そうか、織口は今まで俺を守る為に一緒にいたのか。
そしてここに俺を連れてこようとしたのは戦わせる為じゃなく経験をつませ一人でも大丈夫なようにするためか。
今はこの推論だけでいい。俺が傷ついたやつを守る理由はそれで充分すぎる。
「大丈夫か!?いや、大丈夫じゃないな!お前は下がってろ!」
「この足で…?無茶言わないで欲しいよ。」
「じゃあここでもいい!俺が守りきってやるから3分待ってろ!」
かっこいいことを言ってみたが、どうでよう。さっきの槍をよけたのは目で追えないくらい早かった。
他のは恐らく遅いはずだ。じゃなけりゃ、とっくに止めを刺しにきているだろう。いけそうだ。希望が見えるぞ。
一番早い奴を倒すのが先決だ。
俺はそいつに槍を投げた。さっきよりも早く。やはりよけて俺の懐に来た。予想通りだ。
ここに来ることがわかっていたのだ。反撃は充分可能だ。俺は体から氷の槍をそいつに向けてだした。見後に命中した槍は刺さったままでしばらくしてモンスター。仮にAとしよう。Aは消えた。砂みたいだった。
さああとは2体だ。残りもB,Cとしよう。
Bはゴリラみたいな感じだ。Cは…ケンタウロスの上下反対バージョンだ。異次元はすごい所らしい…。
俺は経験が浅いことをさっき自覚したので、2体同時に攻撃が来ないようにしようと考えた。…Cからやるか。
Cの足を凍らせた後、上から槍を落とした。Cは幾分か弱かった。これで1分だ。さあ、あのゴリラだ。
ゴリラはゴリラらしいスピードで突進してきた。恐らく俺を狙っているのだろうが確証は無い。
何より、俺の後ろには俺を守って傷ついた織口がいる。絶対にどけなかった。
俺はゴリラに向かって槍を4発撃った。槍はゴリラに当たってはじけた。―最悪だ。俺の攻撃が通じない。
俺は残存エネルギーの半分を使って目の前に分厚い氷の壁を作った。
そして俺は残ったエネルギーを織口の止血に使った後、氷の槍を作った。
俺の考えた策はこうだ。
氷の壁で時間を稼ぎ、エネルギーの足りるだけ密度を高めた槍で壁を破った瞬間貫こうと。
一か八かの賭けだった。
あろうことかゴリラは地面から現れて俺を手中に収めた。最悪だ。とりあえず俺ごとでもいい、こいつを倒そう。
そう思い、槍を放った。その刹那槍は消え、俺は地面に立っていた。織口に支えられながら。
ゴリラは既に消えていた。何が起こったのか問い詰めたかったがとりあえず病院だ。血は出てないが傷は深い。
携帯で救急車を呼ぼうとして携帯をとられた。長身の男だ。その男は手をかざすと織口の傷をなくした。
直していない。なくした。
「君が堀崎睦月か。ミッションコンプリートだ。織口の傷は明日の今頃また開く。そのときには君のSNNも回復しているだろう。直してやってくれ。」
黒スーツサングラスの男の声は柔らかかった。直感的にいい人だと思った。そうしてそいつは消えた。一瞬で。
その男が言ったとおり織口は傷が開いた。水分を操作してどうにか直した。
その男の能力は多分時間に関することだと思う。昨日は織口の足をおとといの状態に戻したのだと思う。
反則的だ。
余談だが織口はあの時既に2匹倒していたそうだ。だが予想外の増援が来て既にSNNが無い状態だったらしい。
それを俺が助けたというわけだ。因みに織口の能力は光に関するものであってゴリラに俺が捕まったとき
まず俺を光の速さで助け、光の速さで槍を打ち出した、というわけだ。全く、俺の能力が小さく見えるね。
俺はこいつになら心を許してもいいと思った。友としてだぞ!?おいおいおい!何だその目は!疑ってんのか!?
堀崎睦月‘S STORY 2 SNNバトル
この前UPした作品には俺の名前が一つも出ていないことに気づいたか?
そんなことはどうでもいい。あれからの毎日を説明する。
あの後俺のアパートにワープだか高速移動だか知らんもので戻ってきた。土足は厳禁だぞ。
戻ってきてから俺は説明を授けた。
SNNは魔法、超能力とは違う別種の存在でその人その人の力の特性があると。魔法と超能力の定義は教えてもらえなかった。結構気になった。
そしてそのSNNは6年前くらいから発見されていて、SNNは様々な人に宿っていると。SNNが宿っているものはたいてい文武両道の、まあ天才型らしい。
SNNを行使する目的は異次元とでも言っておく。(調べようにも現代科学では不可能だからだ)異次元から何かのはずみでやってくるモンスターを倒したりするものである。またSNN法と言うものがあるようで、そうおおっぴらに使っていいものではないようだ。
SNN能力は16~18の時期に発現、上昇して18の時点での能力値は生涯にわたって維持される。発現しない場合もある。また俺のSNN能力は水に関するものらしく非常に強力なものらしい。
使い方次第では恐らく国の1つや2つは3日で落とせるらしい。まあそうだろうな。
因みに織口のは土?に関するものっぽい。ぽいと言うのは俺の推理だからだ。
俺の通う高校はそのSNN能力を育成することを主とするところらしい。入るとこ間違えたかな…?
俺の疑問はまだ尽きない。なぜ織口が、一言も語られていないことをこんなに知っていて、俺に教えるのかと。
織口はまだ教えてくれていない。まあ過去を詮索するつもりは無いからな。
前置きが長くなった今日はあの日から一週間後の土曜日だ。織口は俺のアパートから程近い所に住んでいるらしい。それを理由に俺のところへしょっちゅう来る。まあこいつの作る飯はうまいからな。それに可愛いので許すことにした。多分こいつは許さなくても来るだろう。そんな気がする。
だが時々こいつは嘘を言っているんじゃなかろうかと思う。そのモンスターとやらが一向に出てくる気配が無いからだ。だが俺は空気中の水分を操って凍らせたり、カップラーメンを本当に3分で作ったり、ハサミがなかったので
ウォーターカッターを使ったりしていた。なんて便利な能力だ。一度指の水分を0にしてみたら指がなくなりかけた。
そのとき俺は人体に能力を使わないことをカップラーメンの容器に誓った。むごかった。
―学校―
俺は普通科の文系を取った。普通科は土曜日にも授業が補修としてあるらしい。織口曰く、SNN能力者は普段忙しいから補修でもしなきゃついていけないらしい。そんな情報を元に俺は学校へ行った。織口は顔合わせに行って来いといった。玄関で付け足したように、私の課題取ってきてといったのは聞かなかったことにする。聞いたと思うと腹立たしいが聞いて無いと思えば…無理だ。
ガラッ
俺の話し相手は織口以外にはいない。幸か不幸か織口もそのようだ。織口が他人と話すことなんか俺と一緒にいても一度もなかった。はずである。俺は普通に自席に座り、習性のように突っ伏した。
俺の席は窓際一番前である。これがなかなか教師にばれにくい。いい位置だ。
クラスを見渡すと必ず男女がペアのように近くにいた。ここはカップルの聖地か?と思ったが俺と織口の関係を思い出すと、ああ、そうか。ぐらいにしか思えなかった。そのペアの内おとなしそうな二人組みが近づいてきて男が
ねえ君。君はパートナーの人は?と、聞いてきた。俺が一般人だったらどうするんだと考えると女が
「見ただけでわかるのよ。SNN能力者にはオーラがあるの。あなたのはすごく大きいのね。そのオーラの色はその人の特性を表しているの。知らなかった?」
ああ。知らなかった。あいつは何を考えているんだ。
「で、俺に何のようだ?見当がつかないんだが。」
男が
「ずばり!SNNバトルさ!」
「そう!いくら2位でも一人なら勝てそうなの!」
ああ。わかった。この力は守る為の力じゃないのか?
「こういった趣向もありなんだ。」
で、ルールはどうなっている?という前にルールブックを渡された。薄っぺらいな。
「じゃあ読み終わったら来てよ。」
…脳内評価を改正。あいつらはなかなか強引なやつ等だ。
1分でルールブックを読み終えた俺はどこへ行けばいいのか聞いてなかったことに気がついた。だがそれは取り越し苦労だった。いきてぇと思ったら俺以外の何かの力で移動した。
「もう終わったの?ずいぶん早いのね。私なら絶対来ようとは思わないのにね。」
そうか。なら呼ぶな。それにしても嫌なルールだ。勝敗は相手の死亡、相手の投降であり逆もまたそうである。
また、この空間から出ると死亡してても入る前の状態になるらしい。フィールドは校舎である。
ここに入ると同時に頭にここの空間の性質が入ってきた。ご都合主義もいいとこだ。
「なあ。俺投降してもいいかな?いくらゲームだとわかっていても人を傷つけるのは遺憾を覚えるんだが。」
「これのランクはこれからの学校生活に大きく影響するんだ!だから勝たせてもらうよ!」
そういうと同時に男が突っ込んできた。俺は聞きたいことが幾つか、いや沢山あったのでこいつを捕まえることにした。男の能力の性質は土のようだ。こいつは何度かこういうことをやっているらしく、動きを止めるのに手間取った。
女のほうは開始直後に走り去った。男は増援が期待できないとみると諦めたように
「投降するよ。」
といった。俺は動きを止めさせている氷を溶かしてやった。短時間で溶かしたんだ。外傷は無いだろう。
「さあ、聞きたいことがある。いいな?」
「この学校について話そう。この学校は学年ごとのランクが存在する。そのランクはどれほど有能なSNN能力者であるかを示す。入学テストは潜在的な能力の測定、ランク付けは戦略性を示す。そしてそのランクは進級するごとに
順位に応じたSNNの最大エネルギー上昇を行使できる。これぐらいでいいか?」
俺の聞きたいことを全て言われた…。
「そして僕と彼女はこの学年を…そうだね取り締まる役かな。だから僕達以外の人は僕等と戦うのが初めてだと思うよ。そして君はこの学年で一番最後に僕と戦って256人中23人が僕等に勝った。君で24人目になるといいね。」
言い終わると男は消えていた。多分戻ったのだろう、現実世界に。
俺は一つここまでで失敗した。特性もわからぬ相手を目の届かない範囲にいかせてしまった。これは非常にまずい。なぜなら相手にとってその行動は有益であると同時に、恐らく俺の動向を監視しているだろう。早く隠れよ―
ビシュッ
何かが放たれる音がした。俺は反射的に自身を氷で覆った。放たれた物体は小さく、銃弾程度の大きさだった。
どうやら足を狙って撃ったらしい。相手の能力はこれだけではつかめなかった。だが非常に早く、貫通力のあるものということはわかった。ここにいては危険だ!可及的速やかに撤退しなければ!こんなセリフ、一度はいってみたかった。
逃げる間にも相手の弾は飛んでくる。恐らく3桁はいっているだろう。そう考えるとものすごい量の力を使う計算になる。しかも飛んできた弾は消える。いったいどういう能力なんだ。とりあえず体育倉庫に隠れよう。
相手は流石に見失ったようだ。なにせ水の反射を使って姿をくらませたんだからな。とりあえずひとあんし―
ズガガガガガガ といった効果音が似合うくらいに天井から弾が飛んできた。最悪だ、あの貫通力では致命傷になる。第一波は凌いだ。安堵したそのとき―
ちょうどバスケットボールがはねて俺の視界をさえぎった。そして扉に一番近いボールが破裂した。扉からボール、その次に来るものは俺の頭だった。やばい!体が動かない!能力は間に合わない!マジでくたばる3秒前!いや、頭を冷やせ! BE COOL BE COOLだ!
―結果的には助かった。自分の頭を凍らせて弾こうとした。正直、死ぬ…いや負けるかと思った。相手の能力は
力のベクトルを変える能力らしい。飛んできた弾は空気であり、俺の位置把握は発信機で行っていた。
本当はあそこで俺が頭を凍らせるなんて思わなかったらしく、力のベクトルを変えようにも残存エネルギーが足りなかったらしい。最後の一人は弾かれたあと歩み寄ってきて、
「私の負けみたいね。貴方、発想がいいわね。」
とほめた後消えた。俺は帰れないのか?と思ったが知らぬ間に帰っていたようだ。驚いた目で俺を周りの生徒が見ていた。余談だが、勝負の様子は俺の周りの生徒にテレパシーのようなもので見られていたらしい。俺の周りの生徒は俺が勝つとは思ってなかったらしい。今までの23人は2人でもきつかったらしい。俺は少し嬉しかった。
堀崎睦月‘S STORY 1 始まり
君は、自分の周りがつまらないものだと思っているか?それとも面白いものだと思っているか?そんなことは個個の価値観にしか過ぎない。だが断言して言おう。俺の周りには面白いを遥かに超越してむしろ、
悪夢がごろごろ転がっている!この物語は…なんていおうか。前よりマシな物語。
今は3月。もうアパートに入っている。アパート生活はいいものだと心底思った。一日中寝ていても怒られない。
アパートの立地条件よく、設備がよく、なかなか広い。
立地条件はバス停から30秒。バスは結構な本数走っていて通学に苦労しない。銀行、スーパーなどは徒歩4分
でつく。設備のほうはインターネット完備の1Kの自炊可能な空間。幸い俺は料理がうまい。自分で食ってうまいといえるくらいだ。これならここで大学卒業までいてもいいかな…と思えた。
それにここなら俺がどんなに悩もうが苦悩しようが迷惑はかからない。これが一番だ。
もうすぐ高校1年生だ。通う高校は東京の高校でレベルはトップだ。
始業までの時間をどう過ごそうか悩んでいた。楽しみたいと思ったが俺の友は哉基だけだ。その哉基も俺と違う高校に行ってるので都合が合いにくくなった。
始業式の日、金曜日である、1位を取ったやつが不運にも欠席し俺が代わりに代表になった。このおかげで俺の名は皆に知れ渡った。式は滞りなく終わった。ここまでの有名校なら式の時間は長いと思っていたがここは教師がいいようだ。頭が柔らかい。おかげで多分35分ほどで終わった。
俺のクラスは文系で1年C組だった。このクラスになったことで俺は非日常への切符を手に入れた。
「このクラスも前と同じ様な日常か…。どんなにランクが上がってもやることは変わらないか…。」
ものすごい平凡さで思わず口に出ていた。そのことに気づいてかは知れんが男女2人ずつで俺の周りに集まった。
俺は起き上がるのもけだるいので机に突っ伏していた。だがそれでも人に心を許す気もなく、適当に話して終わらせようと思った。
「君は何処から来たのかな?」
そうだな。じゃあ東京都千代田区からだ。
「ホントのこと教えてよー。」
食い下がるやつだ。俺の自己紹介を聞いてなかったのか?
「うん。だってつまんなかったんだもん。」
クソ、こいつめ。なかなか可愛い顔してキツイこといってくれるぜ。それにしてもこいつは茜に似ているな。
ああ忌々しい。
「俺は他人の過去を無理やり穿り返すやつが大嫌いだ。それだけいっておければいい。ほら、いってやったぞ。」
気がつけば今話しているやつ以外には俺の周りから消えていた。
「そうだったっけ?じゃあいいや。今何処にすんでるの?」
こいつはしつこいな…。ため息をつきながら俺はルーズリーフを取り出し、住所、ここからの電車の図とバスの図を描いて渡した。まるで来てくださいって言ってるようなものだって?俺はビージェントルマンがモットーなんだ。
案の定そいつは来た。唯一予想外だったのは、今日俺の後をものすごく下手な尾行術でついてきたことだ。
ついてくる途中に転びかけたところを俺に支えられるなんて失態を見せておきながら恥ずかしがる風もなく普通に俺のアパートに来た。大家さんに冷やかされたのは言うまでも無い。
「で、何のつもりだ。」
「何が?」
「ここに来た真意は何だ?」
ベッドにねっころがって、ちょっとあきれ気味に言った。
「君さ、なんかぜんぜん楽しそうじゃないんだもん。頑張ったかは知らないけど折角入った高校なんだしもうちょっと楽しんでいいと思うんだけど。」
こいつはいったい何様のつもりだ。俺のことについて詮索しないでくれ。ただでさえお前は茜に似てるんだから。
「茜って誰?彼女?」
しまった。またか。ま、教えても良いのだろうが教える気はミトコンドリアほども持ち合わせてはいない。
「あ、聞かないほうが良いんだっけ。じゃ、聞かない。でさ、私の名前知りたくない?」
「…別に。ちょっと俺寝るわ。帰るんだったら鍵をかけて玄関ポストに入れといてくれ。」
「え!?ちょっと!?こんな可愛い女の子を一人で帰らせるつもり?ちょっと起きてよ!」
…自分で可愛いって…可愛いけど…。
「ただいま、意識を留守にします。用件や文句のある方は起床後にどうぞ。」
そこからなにやら声が聞こえたが聞こえないふりをして寝た。この一言を後悔するとは知らずに。
ジリリリリリリリリリリリリリリ もそもそ ぺチ
「さて、今日は何をするかな。」
今日はいい日だ。起きてすぐに意識がはっきりとしている。とりあえず玄関に鍵を取りに行く。アレ?無い?
ガバッ!!!
何事かと振り返ろうとするまもなく俺はチョークスリーパーをかけられていた。髪の毛が頭にかかる。でもいいにおいだ。俺のよく使うシャンプーの…。
「何してる。」
「チョークスリーパー。」
「やめろ。」
「話を聞け。」
「わかった…わかり…ましたから…やめてください…。」
この部分だけ見ると俺がやっていると思われるが、やっているのは名前も知らぬ女生徒である。くっ、こいつ強い。
あ、有名河川見えてきた。あ、おばあちゃん。元気してた?
「私の名前はね、織口七恵。どう?感動した?」
チョークスリーパーは弱まったがまだ体勢はそのままだ。俺はあの河を越える気は無い。
「ああ。いい名前だな。この体勢じゃなかったら涙を流して喜んだんだけどね。」
ほとんど嘘だ。ほとんど?ああ。のとこ以外は嘘だ。ああ。早くこの状態をやめて欲しい。アレ?というかこいつ俺んちにずっといたのでは?
「お前、俺の家に泊まったのか!?」
「名前教えたんだから名前で呼んでよ。」
そうだったな。じゃあ織口。泊まったのか?
「うん。お風呂も使わせてもらったよ。あと昼ごはんできてるよ。」
おお、そうか。ってちげーよ!ちょっと待て!風呂使った?キッチン使った?そんなのはまだいい。こいつ俺んちに泊まった?
「まさか俺が寝てるときに誰も来なかったよな?」
「君のお母さんなら来たよ?」
ジーザス!!!!!シット!!!!!!!!何故こんなときに俺の母は来る!!!!!完璧に誤解されたじゃないか!!!!!!終わった…。
まだ高校生活1日目だっていうのに!!!!!まあいいや・・・。
「ロープ。ロープをくれ。人一人つるしても大丈夫なやつを。」
「私がやってあげよっか?」
ごめんなさいすいませんもうしません土下座するから許してください。あ、このままじゃ土下座できないじゃん。
俺はまだ死ぬ気になんかなって無いんだ。冗談だから。マジで。
「そうなの?まあいいやとりあえずご飯食べよ?」
ためらう理由も無いので食べてみた。これは…母親が手伝ったな。赤飯か…お母さん!!!誤解だよ!!!
まあ、うまかったから昨日の分と称して結構な量食ったが。赤飯以外は織口が作ったものだそうだ。うまかった。
それにしてもこいつは何だ?このリポビタンDみたいなビンに入ってる物は。ちょっと飲んでみるか。
URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!!!!!!!何だこのまずさ!!!!!!覚醒するくらいまずいぞ。覚醒?
俺は恐る恐る髪を触ってみた…。逆立っていない。よかった。俺はフリーザと戦う気も無いし魔神なんてごめんだ。
だがそれを見た織口は電波なことを口走りやがった。
「あ、この人当たりだ。君すごいね♪78分の77の確立で覚醒失敗して死ぬのに成功しちゃうなんて。」
は?こいつは何を言っているんだ?覚醒失敗?俺、死ぬとこだったの!?あ、織口なぜ俺を名前で呼ばん。
ちょっと来て。と言われてきたのは学校のプールである。ここまで来るのに電車をちゃんと使ったしバスも使ったし、
ちゃんと走った。このごろ俺って体力ついてきてんのかな?ぜんぜん疲れなかったぞ。
「プールって、織口。鍵はどうするんだ?」
「こうするの。」
織口が古い南京錠に手をかざすと手のひらから半透明で光る何かが出てきてそれが鍵を開けた。俺は夢を見てるんじゃないだろうな?そんなことを繰り返してプールに着いた。
「ここに向かって手をかざしてみてよ。」
俺自身この状況を楽しんでいる所為か俺は手をかざしていた。
「沸騰するプールを想像してみて?」
ああ。いいだろう。どうせ夢だ。どうにでもなるだろう。
…結果はプールが壊れた。水の熱にプールが耐え切れなくなったからだ。
「これは何だ?いったい何が起こっている?」
「流石は入学試験2位だね。SNN値がものすごい高いね。君は果報ものだっ!」
SNN?何だそれはSUGEE NANDAKONO NOURYOKUHA か?
「君は私と一緒に来て非日常の世界で生活するか今ここで退学するか選ぶことが出来るよっ!」
は?おい待て。今までのは罠だったのか。俺には何の力も…いやありそうだ。夢の中なら。
「今までのはこのイベントを起こす為のフラグだったのか?」
「7割がたそうだよ。」
おのれ孔明め!謀ったな!!!
まあ俺は尋常なる毎日がつまらなかったし、退学するのも嫌なのでついていくことにした。
「じゃあここを直してあげる。」
こんなことが夢じゃなかったらどうだろう。当事者以外は羨ましがるだろう。ここで俺は気づかなかった。
入学試験2位。入学試験というのはSNNを計ることも行っていたようだ。2位がいるということは1位もいる。
俺より少し強いらしい。つまり俺は1位にこき使われる存在らしい。俺はそのことに気づかなかった
tugi no kousin ha 3.21
~~~ 感想コーナー ~~~~
長いね。よく書いたね・・・・。今度じっくり読むよ ikki
ちんこちんこ