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体育祭はいつもに増してパーフェクト」(2007/05/18 (金) 17:51:38) の最新版変更点

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カオスオブ体育祭 体育祭はいつにも増してパーフェクト …なんでだろうな。なんでこう、いきなり体育祭を始めるかな…。普通は1~2週間前からの練習とかの過程から書くはずなんだが…。まあ、諸事情だ。割愛する。 そしてまあ、俺は今、体育祭当日、その早朝の部室にいるわけだ。なぜ部室にいるかって?それを伝えるのには過程から書かなくちゃいけないんだが、簡潔に言うと、『いつものメンバーで集まれ』と、七恵が宣言したからだ。いや、これは命令か。そしてそれにパブロフの犬のように従ってる俺はなんなんだろうな。さしづめ、哀れな子羊か?いや、考えるのはさらに惨めだな。 そしてなぜ俺のモノローグが延々と続くのかは、この状況だ。 俺しかいないぞ?この部室に、集合時間が7時で今は6時57分なのに!遅刻か?ありえんな。七恵が遅刻する事はあってもあの二人は絶対にないだろうな。 さて、残り30秒である。この部室棟には言わずもがな誰もいない。誰も来る気配は無い。さて、罰ゲームでも考えておくか?そうだな…一日間「遅れてごめんね!」 …12秒。ギリギリか。 あろうことか、七恵は、いや、七恵たちは音咲のSNNで部室に直接きやがった。せこいぞお前。 「なんで?集合時間に間に合うように頑張ったんだよ?」 そうかい。俺の早起きはどこへ行ったんだろうね?労災に訴えようか?筋違いだな。 「30分前に、織口さんから電話がありましてね。この時間では間に合わないといわれましたので僕が連れてきました。あと、楓さんもまだいると思ったので、一緒に来ました」 そうかそうか。両手に…片手に花だな。羨ましいぞおい。 「その花はどっちなんでしょうね?」 楓さんが微笑みながら、どこか独り言のように言う。できればやめて欲しかったんだが…あ、もう遅かったか。 「睦月~それ、どっち?どっち?」 いや、あの、それは…えっとだな? 「どっちかな?かな?」 某ひぐらしシリーズの真似をするな!ホントに怖いから! 「ねえ、どっちかな?かな?」 ………どっちを言っても、俺、死ぬんじゃね? 「早くしないと、体育祭が始まりますよ?」 ここで音咲を花とでも言うか?二人視点から見たら(七恵はどうだか知らん)一応は花だ。そんな事をしたら、俺はこの二人にホモ疑惑をもたれる事になる。それだけは絶対に嫌だ。さあ、考えろ俺! 「いや、さっきは諺使おうとしたんだけど、どっちだか忘れたんだ」 我ながらいい言い訳だ。ばれるのは時間の問題だが。 「ふーん。今はそれでもいいけど…次は無いからね?」 七恵は怒り笑いを浮かべ、楓さんは微笑んでいる。チクショウ音咲。自分だけ廊下に逃げやがって。気づきもしなかったぞ。 「ところで、今日はなぜ集まったのですか?」 音咲…覚えてろよ。 「今日は賭けをする事にしたの!」 よし七恵。今からちょっと連れて行きたい場所があるんだ。警察までデートしないか? 「いいの?なら行くけど…体育祭は?」 いや、冗談だ。……断ると思ったんだけどな。 「その賭けとは…何に賭けるのですか?」 「それはね、」 七恵が先を言おうとして舌を噛む。口を押さえて蹲る姿はなかなかどうして、可愛かったと思う。 そして七恵は言い放った。 「C組とD組のどっちが勝つかで賭けるの!」 …なぜにCとD?他にもあるだろ? 「このメンバーはC組とD組しかいないでしょ?だからどっちが勝つかで賭けるの!もちろん睦月はC組だよね?」 …まあそうするさ。もし違うといったら七恵はこれをクラスの連中に言うかも知れんからな。 「この賭けで賭けるのはお金じゃないからね?」 じゃあ何を賭けるんだよ? 「負けた人に命令一つずつ!」 …そうかい。 「睦月はC組で決定!音咲くんは?」 「僕もC組でお願いします」 音咲も俺と同じか。D組は信じられんか? 「僕の勘、ではいけませんか?」 いや、別に悪くないな。 「楓は?」 「D組でお願いします」 「じゃあ決まり!私はD組ね!」 ………なあ、お前、嵌めやがったな? 俺がそう言ったときには、七恵は既に廊下を走っていた。 はあ…俺が頑張ったら…運命でも変えられんのかな…。 さて、体育祭開会式である。けだるい開会の言葉を生徒全員で聞き流し、続く校長の存在も忘れてやった。 開会式を終え、自席に着いた俺たちを待つ種目は百メートル走であった。 「睦月?なんか変だよ?」 説明が遅れた。俺たちのいる場所は小学校やらで覚えがあるだろうか?男女混合一人ずつ混ぜて座らされている。なんの因縁かは知らんが、俺の隣は七恵である。因みに、俺の右隣は楓さんで右斜め前は音咲である。ホントに因縁だよな?それ以上のものは働いてないんだよな? 『1年生全員による百メートル走です。選手は入場門に用意してください』 この学校はどこかおかしいと思う。普通は競技は参加制じゃないのか?今となってはありがたいが。 ………俺は立派に頑張ったと思う。8人ずつ走ってその中で3位になったんだからな。前二人は11秒台だったが。俺は15秒台で3位だったが。頑張ったって! 俺より前にスタートした音咲、楓さん、七恵は、2位、2位、1位だった。なあ、みんな足早くね? 蛇足だが、1年生は252人いて、8人ずつ走って第32走者まである。それがなんだ?なんでもないさ。 さて、ここからが本番だ…。次は借り物競争か…萌えて…ゲフンゲフン!燃えてきたぜ! 借り物競争は参加制だったのだが、どういうわけか、俺を全員一致でクラスのやつが推薦しやがった。いったいなぜだ?俺はみんなに嫌われる事したか? 借り物競争は全学年で行う。全学年の全クラスで代表を一人ずつ決めて死地に送り出すといういたってシンプルなものである。 フッだが勝機は我にあり!俺の頭脳を舐めるなよ?与えられた指令に準ずる項目をすぐに見つけ出せるのだよ七恵君! 「え?私?睦月…今日はやっぱ変だよ?」 …俺も堕ちたな。 「いちについて、よーい、どん」 著しくやる気を削ぐ掛け声と共に俺達は死地に赴いた。なぜだろうな。参加者が男子しかいないのは誰かの陰謀か?NHkなのか? 俺は指令が書いてある紙のあるテーブルへと全力でダッシュする。3年ぶりだよこの野郎! 「ずいぶんと本気ですね。あなたがそこまで本気になる理由なんて有りましたか?」 俺は賭けに負ける気はないんだよ。それに、負けたら何をさせられるかわかったもんじゃない。 「………マッガーレ」 テーブルに到着した俺はすぐ側にあった紙を手に取り内容を見る。 ―クラス内でポニーテールが似合う女子― ポニーテール=長い髪必須 クラス→長い髪のやつ=七恵  「ちっくしょおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」 俺は散々迷った挙句、七恵をポニーテールにして審査員に連れて行き、生暖かい目で見られた後ゴールした。16位だった。21人中。 因みに、音咲のほうは紙を手にした瞬間自クラスにダッシュし、『ふんもっふ!!』と叫びながら上半身裸となった。それにクラスの男子が『ウホッイイ男ッ』と言って音咲についていった。 音咲は3位だった。ゴールした後すぐにその男子とトイレに入っていったが、何をやっていたかは聞けないな。まあ、トイレからかなり離れた校庭まで『アッーーーーー!』とか『ン`ギモヂイイ!』とか聞こえたのはスルーの方向で行こう。 先ほどから全力で種目に取り組んでいた俺にやっと休息の時間ができた。英語で言うと、やっと、も、もう、もyetなんだがな。先に言っておこう。俺が体育祭を頑張る理由は賭けに負けたくないからだ。これには二面性がある。賭けに負けなかった=賭けに勝った という式が成り立つ。無論、体育祭の勝敗はポイント制で、そのポイントは学校の方が必死こいて計算して同点が出来ないようになっている。俺が賭けに勝ったときの希望? それはだな― 『これより全学年女子による連続相撲を行います!』 お、始まったか。アナウンスのとおり俺の隣には二人はいない。いや、一人いる。音咲が楓さんの席に座りにきやがった。帰れ音咲。そこはお前のようなホモが座っていい場所ではない。 「僕はホモではありませんよ?」 じゃあなんだ?バイセ―ゲフンゲフン! 「おや?あれは織口さんでしょうか?」 俺は校庭を見る。音咲よりは七恵を優先してもいいだろう。あいつは女子の中でも上の部類に入るからな。自分にちょっと素直になればこれぐらいのことは言ってもいいのさ。 「……そんなに魅力ありませんかね…」 音咲がなにか言ったが気にしない。しちゃいけない。ネットマナーに乗っ取ってスルーしよう。ここは現実?いや、それでもスルー決定だ。 俺としては、女子による連続相撲は相撲協会に喧嘩を売ってるとしか思えない。だがまあ、この競技で楓さんやら色々な上位ランクの女子を公然と拝見できるのだ。願ったりかなったりである。文句はあるまい。 俺は不毛な考えを働かせる事をやめて校庭を見る。 音咲が言ったとおり七恵は土俵…土俵でいいか。に上がっている。相手は…体格のいい女…子…? 無論七恵は即敗退。音咲に聞いたところでは、相手の女子は女子プロ部。すなわちプロレス部だ。怪我をしないだけマシだろう。 因みに、試合を2秒で終わらせた七恵は俺の隣の席に椅子の上で体育座りで落ち込んでいる。それだけならいいのだが、七恵は『慰めてください』オーラを主に俺に向けて放出してきた為に俺がこいつを慰めなければいけなくなった。音咲が、 「僕はお邪魔のようですね」 とか言い残してどこかに行った後姿には殺意を覚えたが。 説明が遅れた。楓さんも連続相撲には出ていたわけで、結果は凄まじかった。 楓さんは試合開始と同時に、相手に『悪魔、でも、幽霊』を仕掛け、背後に回りこんだ瞬間『槍突撃』を決めていた。途中経過は見てないが、どうやら2位らしい。恐ろしい事だ。 さて、ここまでは1年生がずっと頑張っていた。全競技に1年が絡んでたな…。おかげでこれ以後午後までは競技がないのだ!その間1年生は自由行動を勝ち取ったのだ! …なぜだろうね?この有意義になるはずだった自由時間をなぜ俺は屋上でなんか過ごしてるんだろうね…?それも楓さんとかと一緒じゃなくて七恵と二人っきりなのはNHKの陰謀か?しかも七恵は体育座りで落ち込んで顔を伏せてるし。献身的にそれを慰めている俺はパブロフの犬も真っ青なくらい活躍してるんじゃないだろうな?どこに訴えたらいいだろうか?労働省か? 「なあ七恵?そろそろ機嫌直してくれないか?」 俺はこいつが落ち込んでる理由も知らずに慰める。そこ。無謀すぎるとか言うんじゃありません! 「……なんで…」 ………? 「…現実ってうまくいかないんだろ…」 株の話か? 「連続相撲の話!」 わかったよ。ちゃんと聞いてやる。 「あんなに練習したのに…なんで一回で負けちゃうの…」 ……勝負は時の運だ。お前があんなのに勝ってたら俺だってびっくりだ。フロイト先生は失神するかもしれん。 「フロイト先生?夢分析の?」 冗談だ。 「もう機嫌は直ったな?その様子じゃ大丈夫そうだな」 俺は立ち上がり屋上を出た。そのうち七恵もついてくるだろう…? 俺は足音が聞こえなかったので後ろを振り向く。…また座り込んでるぞ。今度はなんだ? 七恵のもとに向かう俺。パブロフは越えたな。 「どうしたんだ?今日は3回目だぞ?お前らしくもない」 七恵の隣に座りながら聞く。 「なんで行かなかったの?」 質問に質問で返すのは0点だ…なんてはぐらかすつもりはない。 「一応お前が心配だからな。今まで何度か落ち込んだお前は見てきたが、今日のはなんか違うような気がしてな」 七恵に言ってから10秒ほどしたころ、七恵が唐突に口を開いて音を発する。 「聞いてみるけど」 いきなりだな。寿命が縮んだかもしれないぞ。 「睦月はなんで私を心配してくれるの?」 なんといってもお前は俺にとって大事なやつだからな。そんなやつを放っておくほど俺はアホではないんだ。 七恵は顔を上げて、嬉しそうな顔をした後俺の顔を見て、『宝くじを買ってそのままにしておいたら電話が来てその電話が一等を告げるものだったというありえない夢を見た後の哀れな大人』のような顔をした。俺の顔を見てそれはないだろう。というツッコミはなしの方向でいこう。 「部室に行こう?」 俺は七恵に手首を掴まれて部室に連行された。手を繋いでいたらどれほどいいシチュであろうか…。くだらない考えは午前の部終了のチャイムによって終焉を迎えた。迎終、とでも言うのだろうか。 ここでお弁当タイムである。お弁当などは大抵はどこで食べてもよくなっている為、俺たちいつものやつらは拠り所や相手がいないのか、それともホントにここに来たいのかは知らないが、自然に部室に集まっていた。 「やっとおそろいになりましたね。これで弁当が食べられそうです」 なんていう奴もいる始末。別にここに集まれなんて誰が指示したわけでもないんだがな。そしてお前には相手になりそうな女子は多いんじゃないのか?そっちに行かなくていいのか? 「それもいいのですが、僕はここで気心の知れた仲間とのランチを楽しみたいのですがね」 ここにいる男が俺でよかったな。俺じゃなかったら即座にお前は全校男子の敵となるだろうな。 「感謝させて頂きますよ」 楓さんはというと、このやり取りをほほえましく見ていた、とでも言っておこう。 朝のことでお気づきだとは思うが、昨日七恵は俺の家にはいなかった。もしいたなら俺がたたき起こしていただろう。俺は昨日の内に弁当の準備をしたが、七恵はどうしたかは知らない。自分の家に帰ったらしいからな。 さて…皆さんの弁当を拝見しましょうか。一番気になるのは楓さんだな。楽しみは後に取っておこうか。 まず俺は音咲の弁当を見に行った。どうせコンビニ弁当か料理下手な野郎の弁当だろう。 「どうしましたか?僕の弁当が欲しいのですか?」 ……いいや。それは俺が女でも怪物でも変わらずに拒絶するぞ。 俺は唖然としていた。音咲の弁当箱にはきちんとしたおかず、具材などが整列していたからだ。とても野郎が作ったとは思えない。いや、俺も野郎だが、なかなか美味く作れたが。 「…音咲?これ…誰が作った?」 音咲じゃないことは明白だ。いくらこいつが気の利くやつだろうがなんだろうが、ここまで整然と鎮座させるのは音咲には無理だ。 「これですか?これはですね、朝に家の人から朝一で渡されたのですよ」 …そうかい。 次は七恵だ。気を取り直して拝見だ。 …こじんまりとした容器に可愛らしく具材が詰め込まれている。これだけ見れば非常に女の子らしいのだが、鞄の少し開いたところから弁当箱の容器が2個見えてしまった…よく食うな…。 さあ、最後はお楽しみな楓さんだ。恐らく全ての面において最高のメイドインヘブンな…ゲフンゲフン!至高の弁当を持って来たに違いない。恐れ多くも拝見させてもらう! ………なんだ?この活きのよさそうな蛙は? 「先ほど見かけたので、キャプチャしておきました。ウシガエルなので、焼いて食べようかと」 あっちの面で最高な弁当だこと…。 この後、ここにいた3人にそれぞれ勧められたのは言うまでもない。 色々あった午前の部も一応は収拾がつき、とりあえずは午後の部となる。 午後の部にある1年生が出場する競技は、騎馬戦(男女混合同じ部屋のやつで組む)、二人三脚(これも男女)、フォークダンス、である。なんだろうね?競技を決めたやつは生徒を困らせたいとしか思えないね。 さて、始まった騎馬戦であるが…どうも納得がいかない。配置は、俺たちの上に七恵が乗り、下は前の部分が音咲、右が俺、左が楓さんである。俺としては身体的能力が高い楓さんに上に行ってもらいたかったのだが、 「一つだけ、我侭をしてもいいですか?」 と言われたら断れないだろう。 校庭で順番が来るのを待っていると、 「いいよなあ…睦月のほうは…」 池谷の恨めしげな声が聞こえたが、全部無視だ。俺の境遇が羨ましい?そうかそうか。よし池谷。ちょっとアルガエスと戦って来い。骨は拾ってやるから。 そして俺たちの順番が回ってくる。 「なぜでしょうね。5連勝くらい出来ちゃいそうな気がしますね」 楓さんが心強い事を言う。だがまあ、上は七恵なわけで、そこまで過信しては酷だろう。 ………なぜだろうね?さっきから、ずっと勝ちっぱなしだよ…?勝ち方には色々意見や文句があるが、4連勝だ。なかなかどうして、楓予言にはなにかあるのかもしれない。 ちょうど五戦目、俺達が七恵を乗せて立ち上がる。開始の合図と共に相手に近づく俺たち。上同士の取っ組み合いになる寸前、一陣の風が俺たちの背から吹き荒んだ。目を開けると、相手の上のやつは目を押さえている。砂でも目に入っただろうか。相手は上がバランスを崩してあっけなく崩れてしまった。哀れな事だ。 こんな感じで俺達は順調に白星をあげていった。…が現実と言うのは厳しいもので、6戦目についに負けてしまった。上にいた七恵がバランスを崩して俺の上に落ちてきやがった。相当痛かったのか、七恵は気絶していた。俺は痛みだけを残して気絶しなかった。厳しいね。 さて、このくだらない短編もそろそろ終わりであり、1年の残る種目は二つである。先ほど挙げた順番どおりに行くと二人三脚なのだが、誰も順番どおりに書いたとは言っていない。つまりは、フォークダンスが先なわけだ。 さっきの騎馬戦のダメージで七恵は今保健室でおねんねしている。俺達が校庭に上がる前、音咲が先生陣に熱くなにかを語っていたが、いったいなんだろうな。 音咲よ…。さっき先生に熱弁してたのはこのためのフラグか…?もしそうなら…僕はッ君がッ泣くまでッ殴るのをやめないッ!とは言わずに評価を変えるだろうな…。 なぜって…? それはな… 音咲が今… フォークダンスの女子の輪に入って… 男子と手を組んで… 満面の笑みを… 浮かべているからだ! あと…4人で俺の番か… 開始からは大分時間は経っている!もし終わるとすれば…音咲に当たる前か当たった後だ! どうする…?絶対に音咲とは踊りたくない…。 打開策は…ないのか!?いや、絶対にあるはずだ! ピンチとチャンスは隣りあわせって言うじゃないか! そうだ!信じるんだ! 音咲と当たる前にフォークダンスが終わるように! 逝ける!逝けるぞこの戦術! これしかない! …ピンチの中にチャンスあり…妄言だな。ピンチの中にチャンス有りってのは…不幸中の幸いみたいな意味じゃないか…。それにチャンスってなんだよ…俺にはメリットなかったじゃねえかよ…。音咲から逃げるのは現状維持じゃねえか…。 踊りました(笑) さあ!気を取り直して!二人三脚と逝こうじゃないか! そういえば説明がまだだったな。男女で、と言ったがペアは誰だ?と思うだろう。この競技は一応ポイントがクラスに入る。よって他クラスの人とはペアにすらなれない。じゃあ俺のペアは誰だ?聞かずともわかるだろう。 「絶対転ばないでよね!?」 七恵だ…。今から非常に憂鬱になってきたよ…。そういえば…さっき池谷が憂鬱そうな顔で一人でなんか言ってたな…。 「…なぜだ…なぜこの俺様が…NHK式ランクDの女子なんかと二人三脚を…もっと萌えるシチュエーションが期待できると…!」 とかほざいてたな。あ、あと、 「日本ハイレベルな女子を見つけよう協会には…申請が必要か…」 とか言ってたな。NHKってこれか? 何の因果か知らんが、俺と七恵は第一走者となった。因みに、7人ずつ走る事になっていて、A~Gまでクラスがあるのでちょうどよくなっている。また、1年生は252人の為、7で割り36。36割2で18ペアだ。つまり、14×18の252となりちょうど割り切れるように計算されていた。と思ったのは俺だけだろう。 ここまでくるのは大変だったんだぞ?学校では二人三脚の練習時間は皆無だったから七恵が、 「家で練習すればいいと思うよ!」 哀れな子羊的な立場となった俺はすぐさま家に連行され、七恵と足を繋がれた。無論、外さなければいけない場合は外したさ。もし七恵から外そうって言わなかったら俺が強制的に外してたさ。 「睦月。1、2、1、2、1、2で行くからね?」 わかったよ。果たして…うまくいってくれる…ことを願うばかりだ。家でやったときは4回くらい七恵に倒されたからな。ここでもそうなると思うと…とんだ羞恥プレイもあったもんだ。 「いちについて、ようい、どん」 気のぬけるような掛け声と共に、俺と七恵はスタートを切った。…200mなのはなぜだろうね? メーデー! メーデー! 指令部応答願います! メーデー! メーデー! 先ほどから七恵が平面上で転んでいて話になりません!指令部!指示をお願いします!指令部! …ふざけるのはやめよう。今はそれどころじゃない。さっきから50mしか進んでない。今は俺達が最下位。やばい、やばいよこれは。6位のやつだって100m辺りを…歩いて…いや、進んでる。 しかもさっきからどういうわけか想像がつかなくもないが、七恵が黙りこくってる!状況は最悪だ! どうする?このまま試合放棄するか?いや、ダメだ。そんなことしたら七恵がまた落ち込んで俺が東奔西走しなければいけなくなる! じゃあどうする? 七恵は平面上でこけるから俺にはどうしようもない! 十字架は? 持ってるはずねえだろ!仮に持ってても絶対使わない! 七恵をお姫様抱っこで突っ走ったらどうだ?ルールにはそんな事をしてはいけないなんてなかったぞ? 誰がするか!そもそもお姫様抱っこ自体絶対にやるものか!楓さんが泣きついてきても…わからんが、絶対に公衆の面前でなんかやってたまるか! …そうだ。 「ちょっと力抜いて目を瞑ってろ。1分くらいな」 七恵は素直に目を瞑る。ここからが正念場だ。 要は誰にも見られなければいいわけで、十字架がなくてもそれくらいならSNNだけでできる。 また、この足を繋いでるものは鍵がかかってるから取れない。それさえわかってればいいんだ! 俺は自分の周りを霧で覆う。外からは俺と七恵がいる事がわかる程度に見えているはずだ。 俺は力を抜いている七恵の体を小脇に抱えて走り出す。できれば背負う感じだと走りやすかったのだが、それにはどうしても足を自由にする必要がある。 頑張れ俺の右腕!頑張れ俺の体! 俺は視界が完全に塞がっては困るので、目の辺りの霧は晴らしておいた。じゃないとコースアウトで失格だ。 俺が必死こいてトラックを走っていると、俺が切望していたゴールが間近になって来たことが視覚でわかった。 やっと… やっとこの恥ずかしさから開放される! 俺はゴールと同時に立ち止まり、七恵を地面に降ろしてからSNNを解く。 「さて、とりあえずは完走したが…どうなるだろうな」 自嘲気味に呟く。そして七恵を見る。 「もう目開けていいぞ」 七恵はようやく目を開ける。そして辺りを見回した後、そのまま退場門へとダッシュした。 …ついていくか? 俺は無論、いいえ、を選んだ。なに、まさか、投身自殺でもするわけでもあるまい。大丈夫… 楓さんがこちらを物凄い形相で見ている。それだけでも人を殺せそうな勢いだ。ハムスターくらいならストレスで死ぬんじゃないか? 「追いかけてきなさい」 え? 「追いかけてきなさい!」 俺は怒鳴り散らされるテキヤの子分よろしく一目散に校舎へと向かった。なぜだろうね…マジで怖かったのは。 一つ言おう。楓さん、あなたならその道でもやっていけます。音咲が保障します。 …喜び勇んで飛び出したのはいいが(諸般の事情があったが)、 ―どこだ? 十字架使っちゃうか? あれ? ないのk(ry ……どこだ!俺にはもう時間が無いんだ!俺の第六感が告げてるんだよ!体育祭が終わるまでにどうにかしろって! 気づけば俺の足は屋上で止まっていた。正確には屋上の前の扉だが。 アナウンスでも流れているのだろうか?さっきから雑音が聞こえる。 『皆さんは本当に素晴らしい体育祭をやり遂げました!これで、今年の体育祭を終わります!』 …雑音か。 …? コレデコトシノタイイクサイヲオワリマス…? コレデ コトシ ノ タイイクサイ ヲ オワリマス…? これで 今年 の 体育祭 を 終わります…? これで 俺 の 人生 を 終わります…? 「嫌だぁぁぁぁぁ!!!!!嫌だ!まだ逝きたくないーーー!!!!!」 …発音したと思っただろ?どこがどう残念なのかは知らんが、心の中で叫んだだけだ。 そんな俺の覇気に中てられてか、扉の向こうで人の気配がする。これが七恵なら…。 そうだ! まだ一応楓さんも間に合ってない事は知らないはずだ! そうだよ! 完璧なトリックが某サウンドノベルであったじゃないか! 事件そのものを無くせばいいんだ! 俺は期待と鬼気を込めて扉を開ける。 キィィ と嫌な音がする。 おかしい。昼に来た時はこんな音はしなかったはずだ。 「あれ?誰かな、かな?」 「ホントに誰だ?一応部員は揃ってるけど?」 俺は無言で扉を閉める。少し惜しい気もしたが、十中八九バイオレンスでグロテスクな終焉を迎える世界に俺は好き好んで足を踏み入れるアホではない。そんなスプラッタなスペクタクルが見たいならどこでも行けばいい!そうだな、市民が暴力を振るうチート使用後の世界にでも逝ったらどうだ? 気を取り直してもう一度扉を開ける。あれ?押し開ける? 「ちょっとキョn」 俺は急いで扉を閉める。そうだ。俺は変態的神様パワーを持った女子高校生に振り回されるような人生はお断りだ。そうだな、いったところで第二の古泉決定だろうな。俺もあんな『●<ふんもっふ』とは一緒にされたくない。それにだ。今更俺があの世界に行かずとも変態的ハルヒパワーは炸裂しているだろうからな。俺はお役ごめんだ。 …ところでさ。この扉、 音咲が細工してねえか? 俺のいるこの世界じゃそんな事できるやつは一人しか知り合いがいないしな。あとで、ちょっと聞いてみるか。なに、なんてことはない。ちょっと木の棒持って校舎裏に呼び出すだけさ。 よし、今度は普通に屋上に出るさ!そうとも!出ないほうがおかしいんだ! 俺は三度扉を開ける。 ……よし。なにもないな。 俺は屋上に足を踏み出す。2度あることは3度あるというが、迷信で勘弁してくれ。3度目があるなら、どこにいけるってんだ?気になったのは言うまでもないが。 …そしてなんだ?やっぱり2度あることは3度あるのか? 屋上のフェンス付近で七恵が体育座りで落ち込んでいた。これが他のやつだったら3割増…するかは知らないが、もっとこう、萌える?とか言うものを感じたかも知れない。 よかった。俺は変態性癖の持ち合わせがなくて。 無論、俺は七恵が落ち込んでる理由なんて知らない。思い当たる節は…やはり二人三脚だろう。俺が抱えて行ったのがまずかったか? 「おい七恵。いったいどうしたんだ?お前らしくもないぞ?」 言ってから気づく。七恵らしいって、どういうことだ? 「七恵らしいって…睦月にとって私はどういう人に見えてるの…?」 おいおいおい。お前今鋭くないか?いつもの100+して2000でかけたくらいに鋭いぞ? 「…20万+2000xじゃん…。そんな風に見てたの…?」 言い過ぎた。謝る。 「態度で示してよ…」 ………どんな? 「これから7月まで色々命令してあげるからね!」 そういうと七恵はすっと立ち上がり、今まで見たこともないような笑顔で俺に、 「私って、いつもこんな笑顔してたよね?」 と聞いてきた。俺が言う事は決まってる。 「いつも以上だ。でも、それもいいと思うぞ」 その日の俺は素直すぎたと思う。
カオスオブ体育祭 体育祭はいつにも増してパーフェクト …なんでだろうな。なんでこう、いきなり体育祭を始めるかな…。普通は1~2週間前からの練習とかの過程から書くはずなんだが…。まあ、諸事情だ。割愛する。 そしてまあ、俺は今、体育祭当日、その早朝の部室にいるわけだ。なぜ部室にいるかって?それを伝えるのには過程から書かなくちゃいけないんだが、簡潔に言うと、『いつものメンバーで集まれ』と、七恵が宣言したからだ。いや、これは命令か。そしてそれにパブロフの犬のように従ってる俺はなんなんだろうな。さしづめ、哀れな子羊か?いや、考えるのはさらに惨めだな。 そしてなぜ俺のモノローグが延々と続くのかは、この状況だ。 俺しかいないぞ?この部室に、集合時間が7時で今は6時57分なのに!遅刻か?ありえんな。七恵が遅刻する事はあってもあの二人は絶対にないだろうな。 さて、残り30秒である。この部室棟には言わずもがな、誰もいない。誰も来る気配は無い。さて、罰ゲームでも考えておくか?そうだな…一日間「遅れてごめんね!」 …12秒。ギリギリか。 あろうことか、七恵は、いや、七恵たちは音咲のSNNで部室に直接きやがった。せこいぞお前。 「なんで?集合時間に間に合うように頑張ったんだよ?」 そうかい。俺の早起きはどこへ行ったんだろうね?労災に訴えようか?筋違いだな。 「30分前に、織口さんから電話がありましてね。この時間では間に合わないといわれましたので僕が連れてきました。あと、楓さんもまだいると思ったので、一緒に来ました」 そうかそうか。両手に…片手に花だな。羨ましいぞおい。 「その花はどっちなんでしょうね?」 楓さんが微笑みながら、どこか独り言のように言う。できればやめて欲しかったんだが…あ、もう遅かったか。 「睦月~それ、どっち?どっち?」 いや、あの、それは…えっとだな? 「どっちかな?かな?」 某ひぐらしシリーズの真似をするな!ホントに怖いから! 「ねえ、どっちかな?かな?」 ………どっちを言っても、俺、死ぬんじゃね? 「早くしないと、体育祭が始まりますよ?」 ここで音咲を花とでも言うか?二人視点から見たら(七恵はどうだか知らん)一応は花だ。そんな事をしたら、俺はこの二人にホモ疑惑をもたれる事になる。それだけは絶対に嫌だ!COOLになれ!堀崎睦月! 「いや、さっきは諺使おうとしたんだけどさ。どっちだか忘れたんだ」 我ながらいい言い訳だ。ばれるのは時間の問題だが。 「ふーん。今はそれでもいいけど…次は無いからね?」 七恵は怒り笑いを浮かべ、楓さんは微笑んでいる。チクショウ音咲。自分だけ廊下に逃げやがって。気づきもしなかったぞ。 「ところで、今日はなぜ集まったのですか?」 音咲…覚えてろよ。 「今日は賭けをする事にしたの!」 よし七恵。今からちょっと連れて行きたい場所があるんだ。警察までデートしないか? 「いいの?なら行くけど…体育祭は?」 いや、冗談だ。……断ると思ったんだけどな。 「その賭けとは…何に賭けるのですか?」 「それはね、」 七恵が先を言おうとして舌を噛む。口を押さえて蹲る姿はなかなかどうして、可愛かったと思う。 そして七恵は言い放った。 「C組とD組のどっちが勝つかで賭けるの!」 …なぜにCとD?他にもあるだろ? 「このメンバーはC組とD組しかいないでしょ?だからどっちが勝つかで賭けるの!もちろん睦月はC組だよね?」 …まあそうするさ。もし違うといったら七恵はこれをクラスの連中に言うかも知れんからな。 「この賭けで賭けるのはお金じゃないからね?」 じゃあ何を賭けるんだよ? 「負けた人に命令一つずつ!」 …そうかい。 「睦月はC組で決定!音咲くんは?」 「僕もC組でお願いします」 音咲も俺と同じか。D組は信じられんか? 「僕の勘、ではいけませんか?」 いや、別に悪くないな。 「楓は?」 「D組でお願いします」 「じゃあ決まり!私はD組ね!」 ………なあ、お前、嵌めやがったな? 俺がそう言ったときには、七恵は既に廊下を走っていた。 はあ…俺が頑張ったら…運命でも変えられんのかな…。 さて、体育祭開会式である。けだるい開会の言葉を生徒全員で聞き流し、続く校長の存在も忘れてやった。 開会式を終え、自席に着いた俺たちを待つ種目は百メートル走であった。 「睦月?なんか変だよ?」 説明が遅れた。俺たちのいる場所は小学校やらで覚えがあるだろうか?男女混合一人ずつ混ぜて座らされている。なんの因縁かは知らんが、俺の隣は七恵である。因みに、俺の右隣は楓さんで右斜め前は音咲である。ホントに因縁だよな?それ以上のものは働いてないんだよな? 『1年生全員による百メートル走です。選手は入場門に用意してください』 この学校はどこかおかしいと思う。普通は競技は参加制じゃないのか?今となってはありがたいが。 ………俺は立派に頑張ったと思う。8人ずつ走ってその中で3位になったんだからな。前二人は11秒台だったが。俺は15秒台で3位だったが。頑張ったって! 俺より前にスタートした音咲、楓さん、七恵は、2位、2位、1位だった。なあ、みんな足早くね? 蛇足だが、1年生は252人いて、8人ずつ走って第32走者まである。それがなんだって?なんでもないさ。 さて、ここからが本番だ…。次は借り物競争か…萌えて…ゲフンゲフン!燃えてきたぜ! 借り物競争は参加制だったのだが、どういうわけか、俺を全員一致でクラスのやつが推薦しやがった。いったいなぜだ?俺はみんなに嫌われる事したか? 借り物競争は全学年で行う。全学年の全クラスで代表を一人ずつ決めて死地に送り出すという、至極シンプルなものである。 フッだが勝機は我にあり!俺の頭脳を舐めるなよ?与えられた指令に準ずる項目をすぐに見つけ出せるのだよ七恵君! 「え?私?睦月…今日はやっぱ変だよ?」 …俺も堕ちたな。 「いちについて、よーい、どん」 著しくやる気を削ぐ掛け声と共に俺達は死地に赴いた。なぜだろうな。参加者が男子しかいないのは、誰かの陰謀か?NHkなのか? 俺は指令が書いてある紙のあるテーブルへと全力でダッシュする。3年ぶりだよこの野郎! 「ずいぶんと本気ですね。あなたがそこまで本気になる理由なんて有りましたか?」 俺は賭けに負ける気はないんだよ!それにな!負けたら何をさせられるかわかったもんじゃないだろ! 「………マッガーレ」 テーブルに到着した俺はすぐ側にあった紙を手に取り内容を見る。 ―クラス内でポニーテールが似合う女子― ポニーテール=長い髪必須 クラス→長い髪のやつ=七恵  「ちっくしょおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」 俺は散々迷った挙句、七恵をポニーテールにして審査員に連れて行き、生暖かい目で見られた後ゴールした。16位だった。21人中。 因みに、音咲のほうは紙を手にした瞬間自クラスにダッシュし、『ふんもっふ!!』と叫びながら上半身裸となった。それにクラスの男子が『ウホッイイ男ッ』と言って音咲についていった。 音咲は3位だった。ゴールした後すぐにその男子とトイレに入っていったが、何をやっていたかは聞けないな。まあ、トイレからかなり離れた校庭まで『アッーーーーー!』とか『ン`ギモヂイイ!』とか聞こえたのはスルーの方向で行こう。 先ほどから全力で種目に取り組んでいた俺にやっと休息の時間ができた。英語で言うと、やっと、も、もう、もyetなんだがな。先に言っておこう。俺が体育祭を頑張る理由は賭けに負けたくないからだ。これには二面性がある。賭けに負けなかった=賭けに勝った という式が成り立つ。無論、体育祭の勝敗はポイント制で、そのポイントは学校の方が必死こいて計算して同点が出来ないようになっている。俺が賭けに勝ったときの希望? それはだな― 『これより全学年女子による連続相撲を行います!』 お、始まったか。アナウンスのとおり俺の隣には二人はいない。いや、一人いる。音咲が楓さんの席に座りにきやがった。帰れ音咲。そこはお前のようなホモが座っていい場所ではない。いうなれば聖域! 「僕はホモではありませんよ?」 じゃあなんだ?バイセ―ゲフンゲフン! 「おや?あれは織口さんでしょうか?」 俺は校庭を見る。音咲よりは七恵を優先してもいいだろう。あいつは女子の中でも上の部類に入るからな。自分にちょっと素直になればこれぐらいのことは言ってもいいのさ。 「……そんなに魅力ありませんかね…」 音咲がなにか言ったが気にしない。しちゃいけない。ネットマナーに乗っ取ってスルーしよう。ここは現実?いや、それでもスルー決定だ。 俺としては、女子による連続相撲は相撲協会に喧嘩を売ってるとしか思えない。だがまあ、この競技で楓さんやら色々な上位ランクの女子を公然と拝見できるのだ。願ったりかなったりである。文句はあるまい。 俺は不毛な考えを働かせる事をやめて校庭を見る。 音咲が言ったとおり七恵は土俵…土俵でいいか。に上がっている。相手は…体格のいい女…子…? 無論七恵は即敗退。音咲に聞いたところでは、相手の女子は女子プロ部。すなわちプロレス部だ。怪我をしないだけマシだろう。 因みに、試合を2秒で終わらせた七恵は俺の隣の席に椅子の上で体育座りで落ち込んでいる。それだけならいいのだが、七恵は『慰めてください』オーラを主に俺に向けて放出してきた為に俺がこいつを慰めなければいけなくなった。音咲が、 「僕はお邪魔のようですね」 とか言い残してどこかに行った後姿には殺意を覚えたが。 説明が遅れた。楓さんも連続相撲には出ていたわけであり、結果は凄まじいものだった。 楓さんは試合開始と同時に、相手に『悪魔、でも、幽霊』を仕掛け、背後に回りこんだ瞬間『槍突撃』を決めていた。途中経過は見てないが、どうやら2位らしい。恐ろしい事だ。 蛇足だが、楓さんのヤード走のタイムは4,4秒だ。アメフト選手にもなれるんじゃないのか? さて、ここまでは1年生がずっと頑張っていた。全競技に1年が絡んでたな…。おかげでこれ以後午後までは競技がないのだ!その間1年生は自由行動を勝ち取ったのだ! …なぜだろうね?この有意義になるはずだった自由時間をなぜ俺は屋上でなんか過ごしてるんだろうね…?それも楓さんとかと一緒じゃなくて七恵と二人っきりなのはNHKの陰謀か?しかも七恵は体育座りで落ち込んで顔を伏せてるし。献身的にそれを慰めている俺はパブロフの犬も真っ青なくらい活躍してるんじゃないだろうな?どこに訴えたらいいだろうか?労働省か? 「なあ七恵?そろそろ機嫌直してくれないか?」 俺はこいつが落ち込んでる理由も知らずに慰める。そこ。無謀すぎるとか言うんじゃありません! 「……なんで…」 ………? 「…現実ってうまくいかないんだろ…」 株の話か? 「連続相撲の話!」 わかったよ。ちゃんと聞いてやる。 「あんなに練習したのに…なんで一回で負けちゃうの…」 ……勝負は時の運だ。お前があんなのに勝ってたら俺だってびっくりだ。フロイト先生は失神するかもしれん。 「フロイト先生?夢分析の?」 冗談だ。 「もう機嫌は直ったな?その様子じゃ大丈夫そうだな」 俺は立ち上がり屋上を出た。そのうち七恵もついてくるだろう…? 俺は足音が聞こえなかったので後ろを振り向く。…また座り込んでるぞ。今度はなんだ? 七恵のもとに向かう俺。パブロフは越えたな。 「どうしたんだ?今日は3回目だぞ?お前らしくもない」 七恵の隣に座りながら聞く。 「なんで行かなかったの?」 質問に質問で返すのは0点だ…なんてはぐらかすつもりはない。 「一応お前が心配だからな。今まで何度か落ち込んだお前は見てきたが、今日のはなんか違うような気がしてな。放って置いたらいけないような気がしただけだ」 深い意味はない。言葉どおりだ。先ほどから殺気を感じてるからな。 七恵に言ってから10秒ほどしたころ、七恵が唐突に口を開いて音を発する。 「聞いてみるけど」 いきなりだな。寿命が縮んだかもしれないぞ。 「睦月はなんで私を心配してくれるの?」 なんといってもお前は俺にとって大事なやつだからな。そんなやつを放っておくほど俺はアホではないんだ。 七恵は顔を上げて、嬉しそうな顔をした後俺の顔を見て、『宝くじを買ってそのままにしておいたら電話が来てその電話が一等を告げるものだったというありえない夢を見た後の哀れな大人』のような顔をした。俺の顔を見てそれはないだろう。というツッコミはなしの方向でいこう。 「部室に行こう?」 俺は七恵に手首を掴まれて部室に連行された。手を繋いでいたらどれほどいいシチュであろうか…。くだらない考えは午前の部終了のチャイムによって終焉を迎えた。迎終、とでも言うのだろうか。 ここでお弁当タイムである。お弁当などは大抵はどこで食べてもよくなっている為、俺たちいつものやつらは、拠り所や相手がいないのか、それともホントにここに来たいのかは知らないが、自然に部室に集まっていた。 「やっとおそろいになりましたね。これで弁当が食べられそうです」 なんていう奴もいる始末。別にここに集まれなんて誰が指示したわけでもないんだがな。そしてお前には相手になりそうな女子は多いんじゃないのか?そっちに行かなくていいのか? 「それもいいのですが、僕はここで気心の知れた仲間とのランチを楽しみたいのですがね」 ここにいる男が俺でよかったな。俺じゃなかったら即座にお前は全校男子の敵となるだろうな。 「感謝させて頂きますよ」 楓さんはというと、このやり取りをほほえましく見ていた、とでも言っておこう。予測でしかないからな。 …朝のことでお気づきだとは思うが、昨日七恵は俺の家にはいなかった。もしいたなら俺がたたき起こしていただろう。俺は昨日の内に弁当の準備をしたが、七恵はどうしたかは知らない。自分の家に帰ったらしいからな。 さて…皆さんの弁当を拝見しましょうか。一番気になるのは楓さんだな。楽しみは後に取っておこうか。 まず俺は音咲の弁当を見に行った。どうせコンビニ弁当か料理下手な野郎の弁当だろう。 「どうしましたか?僕の弁当が欲しいのですか?」 ……いいや。それは俺が女でも怪物でも変わらずに拒絶するぞ。 俺は唖然としていた。音咲の弁当箱にはきちんとしたおかず、具材などが整列していたからだ。とても野郎が作ったとは思えない。いや、俺も野郎だが、なかなか美味く作れたが。 「…音咲?これ…誰が作った?」 音咲じゃないことは明白だ。いくらこいつが気の利くやつだろうがなんだろうが、ここまで整然と鎮座させるのは音咲には無理だ。 「これですか?これはですね、朝に家の人から朝一で渡されたのですよ」 …そうかい。 次は七恵だ。気を取り直して拝見だ。 …こじんまりとした容器に可愛らしく具材が詰め込まれている。これだけ見れば非常に女の子らしいのだが、鞄の少し開いたところから弁当箱の容器が2個見えてしまった…よく食うな…。 すぐに七恵パンチを多発受けたのは気にしない。 さあ、最後はお楽しみな楓さんだ。恐らく全ての面において最高のメイドインヘブンな…ゲフンゲフン!至高の弁当を持って来たに違いない。恐れ多くも拝見させてもらう! ………なんだ?この活きのよさそうな蛙は? 「先ほど見かけたので、キャプチャしておきました。ウシガエルなので、焼いて食べようかと」 あっちの面で最高な弁当だこと…。 この後、ここにいた3人にそれぞれ勧められたのは言うまでもない。 色々あった午前の部も一応は収拾がつき、とりあえずは午後の部となる。 午後の部にある1年生が出場する競技は、騎馬戦(男女混合同じ部屋のやつで組む)、二人三脚(これも男女)、フォークダンス、である。なんだろうね?競技を決めたやつは生徒を困らせたいとしか思えないね。 さて、始まった騎馬戦であるが…どうも納得がいかない。配置は、俺たちの上に七恵が乗り、下は前の部分が音咲、右が俺、左が楓さんである。俺としては身体的能力が高い楓さんに上に行ってもらいたかったのだが、 「一つだけ、我侭をしてもいいですか?」 と言われたら断れないだろう。 校庭で順番が来るのを待っていると、 「いいよなあ…睦月のほうは…」 池谷の恨めしげな声が聞こえたが、全部無視だ。俺の境遇が羨ましい?そうかそうか。よし池谷。ちょっとアルガエスと戦って来い。骨は拾ってやるから。 そして俺たちの順番が回ってくる。 「なぜでしょうね。5連勝くらい出来ちゃいそうな気がします」 楓さんが心強い事を言う。だがまあ、上は七恵なわけで、そこまで過信しては酷だろう。 ………なぜだろうね?さっきから、ずっと勝ちっぱなしだよ…?勝ち方には色々意見や文句があるが、4連勝だ。なかなかどうして、楓予言にはなにかあるのかもしれない。 ちょうど五戦目、俺達が七恵を乗せて立ち上がる。開始の合図と共に相手に近づく俺たち。上同士の取っ組み合いになる寸前、一陣の風が俺たちの背から吹き荒んだ。目を開けると、相手の上のやつは目を押さえている。砂でも目に入っただろうか。相手は上がバランスを崩してあっけなく崩れてしまった。哀れな事だ。 こんな感じで俺達は順調に白星をあげていった。…が現実と言うのは厳しいもので、6戦目についに負けてしまった。上にいた七恵がバランスを崩して俺の上に落ちてきやがった。相当痛かったのか、七恵は気絶していた。俺は痛みだけを残して気絶しなかった。厳しいね。 さて、このくだらない短編もそろそろ終わりであり、1年の残る種目は二つである。先ほど挙げた順番どおりに行くと二人三脚なのだが、誰も順番どおりに書いたとは言っていない。つまりは、フォークダンスが先なわけだ。 さっきの騎馬戦のダメージで七恵は今保健室でおねんねしている。俺達が校庭に上がる前、音咲が先生陣に熱くなにかを語っていたが、いったいなんだろうな。 音咲よ…。さっき先生に熱弁してたのはこのためのフラグか…?もしそうなら…僕はッ君がッ泣くまでッ殴るのをやめないッ!とは言わずに評価を変えるだろうな…。 なぜって…? それはな… 音咲が今… フォークダンスの女子の輪に入って… 男子と手を組んで… 満面の笑みを… 浮かべているからだ! あと…4人で俺の番か… 開始からは大分時間は経っている!もし終わるとすれば…音咲に当たる前か当たった後だ! どうする…?絶対に音咲とは踊りたくない…。 打開策は…ないのか!?いや、絶対にあるはずだ! ピンチとチャンスは隣りあわせって言うじゃないか! そうだ!信じるんだ! 音咲と当たる前にフォークダンスが終わるように! 逝ける!逝けるぞこの戦術! これしかない! …ピンチの中にチャンスあり…妄言だな。ピンチの中にチャンス有りってのは…不幸中の幸いみたいな意味じゃないか…。それにチャンスってなんだよ…俺にはメリットなかったじゃねえかよ…。音咲から逃げるのは現状維持じゃねえか…。 踊りました(笑) さあ!気を取り直して!二人三脚と逝こうじゃないか! そういえば説明がまだだったな。男女で、と言ったがペアは誰だ?と思うだろう。この競技は一応ポイントがクラスに入る。よって他クラスの人とはペアにすらなれない。じゃあ俺のペアは誰だ?聞かずともわかるだろう。 「絶対転ばないでよね!?」 七恵だ…。『杞憂』が『憂鬱』にレベルアップした!そういえば…さっき池谷が憂鬱そうな顔で一人でなんか言ってたな…。 「…なぜだ…なぜこの俺様が…NHK式ランクDの女子なんかと二人三脚を…もっと萌えるシチュエーションが期待できると…!」 とかほざいてたな。あ、あと、 「日本ハイレベルな女子を見つけよう協会には…申請が必要か…」 とか言ってたな。NHKってこれか? 何の因果か知らんが、俺と七恵は第一走者となった。因みに、7人ずつ走る事になっていて、A~Gまでクラスがあるのでちょうどよくなっている。また、1年生は252人の為、7で割り36。36割2で18ペアだ。つまり、14×18の252となりちょうど割り切れるように計算されていた。と思ったのは俺だけだろう。 ここまでくるのは大変だったんだぞ?学校では二人三脚の練習時間は皆無だったから七恵が、 「家で練習すればいいと思うよ!」 哀れな子羊的な立場となった俺はすぐさま家に連行され、七恵と足を繋がれた。無論、外さなければいけない場合は外したさ。もし七恵から外そうって言わなかったら俺が強制的に外してたさ。 「睦月。1、2、1、2、1、2で行くからね?」 わかったよ。果たして…うまくいってくれる…ことを願うばかりだ。家でやったときは4回くらい七恵に倒されたからな。ここでもそうなると思うと…とんだ羞恥プレイもあったもんだ。 「いちについて、ようい、どん」 気のぬけるような掛け声と共に、俺と七恵はスタートを切った。…200mなのはなぜだろうね? メーデー! メーデー! 指令部応答願います! メーデー! メーデー! 先ほどから七恵が平面上で転んでいて話になりません!指令部!指示をお願いします!指令部! …ふざけるのはやめよう。今はそれどころじゃない。さっきから50mしか進んでない。今は俺達が最下位。やばい、やばいよこれは。6位のやつだって100m辺りを…歩いて…いや、進んでる。 しかもさっきからどういうわけか想像がつかなくもないが、七恵が黙りこくってる!状況は最悪だ! どうする?このまま試合放棄するか?いや、ダメだ。そんなことしたら七恵がまた落ち込んで俺が東奔西走しなければいけなくなる! じゃあどうする? 七恵は平面上でこけるから俺にはどうしようもない! 十字架は? 持ってるはずねえだろ!仮に持ってても絶対使わない! 七恵をお姫様抱っこで突っ走ったらどうだ?ルールにはそんな事をしてはいけないなんてなかったぞ? 誰がするか!そもそもお姫様抱っこ自体絶対にやるものか!楓さんが泣きついてきても…わからんが、絶対に公衆の面前でなんかやってたまるか! …そうだ。 「ちょっと力抜いて目を瞑ってろ。1分くらいな」 七恵は素直に目を瞑る。ここからが正念場だ。 要は誰にも見られなければいいわけで、十字架がなくてもそれくらいならSNNだけでできる。 また、この足を繋いでるものは鍵がかかってるから取れない。それさえわかってればいいんだ! 俺は自分の周りを霧で覆う。外からは俺と七恵がいる事がわかる程度に見えているはずだ。 俺は力を抜いている七恵の体を小脇に抱えて走り出す。できれば背負う感じだと走りやすかったのだが、それにはどうしても足を自由にする必要がある。 頑張れ俺の右腕!頑張れ俺の体! 俺は視界が完全に塞がっては困るので、目の辺りの霧は晴らしておいた。じゃないとコースアウトで失格だ。 俺が必死こいてトラックを走っていると、俺が切望していたゴールが間近になって来たことが視覚でわかった。 やっと… やっとこの恥ずかしさから開放される! 俺はゴールと同時に立ち止まり、七恵を地面に降ろしてからSNNを解く。 「さて、とりあえずは完走したが…どうなるだろうな」 自嘲気味に呟く。そして七恵を見る。 「もう目開けていいぞ」 七恵はようやく目を開ける。そして辺りを見回した後、そのまま退場門へとダッシュした。 …ついていくか? 俺は無論、いいえ、を選んだ。なに、まさか、投身自殺でもするわけでもあるまい。大丈夫… 楓さんがこちらを物凄い形相で見ている。それだけでも人を殺せそうな勢いだ。ハムスターくらいならストレスで死ぬんじゃないか? 「追いかけてきなさい」 え? 「追いかけてきなさい!」 俺は怒鳴り散らされるテキヤの子分よろしく一目散に校舎へと向かった。なぜだろうね…マジで怖かったのは。 一つ言おう。楓さん、あなたならその道でもやっていけます。音咲が保障します。 …喜び勇んで飛び出したのはいいが(諸般の事情があったが)、 ―どこだ? 十字架使っちゃうか? あれ? ないのk(ry ……どこだ!俺にはもう時間が無いんだ!俺の第六感が告げてるんだよ!体育祭が終わるまでにどうにかしろって! 気づけば俺の足は屋上で止まっていた。正確には屋上の前の扉だが。 アナウンスでも流れているのだろうか?さっきから雑音が聞こえる。 『皆さんは本当に素晴らしい体育祭をやり遂げました!これで、今年の体育祭を終わります!』 …雑音か。 …? コレデコトシノタイイクサイヲオワリマス…? コレデ コトシ ノ タイイクサイ ヲ オワリマス…? これで 今年 の 体育祭 を 終わります…? これで 俺 の 人生 を 終わります…? 「嫌だぁぁぁぁぁ!!!!!嫌だ!まだ逝きたくないーーー!!!!!」 …発音したと思っただろ?どこがどう残念なのかは知らんが、心の中で叫んだだけだ。 そんな俺の覇気に中てられてか、扉の向こうで人の気配がする。これが七恵なら…。 そうだ! まだ一応楓さんも間に合ってない事は知らないはずだ! そうだよ! 完璧なトリックが某サウンドノベルであったじゃないか! 事件そのものを無くせばいいんだ! 俺は期待と鬼気を込めて扉を開ける。 キィィ と嫌な音がする。 おかしい。昼に来た時はこんな音はしなかったはずだ。 「あれ?誰かな、かな?」 「ホントに誰だ?一応部員は揃ってるけど?」 俺は無言で扉を閉める。少し惜しい気もしたが、十中八九バイオレンスでグロテスクな終焉を迎える世界に俺は好き好んで足を踏み入れるアホではない。そんなスプラッタなスペクタクルが見たいならどこでも行けばいい!そうだな、市民が暴力を振るうチート使用後の世界にでも逝ったらどうだ? 気を取り直してもう一度扉を開ける。あれ?押し開ける? 「ちょっとキョn」 俺は急いで扉を閉める。そうだ。俺は変態的神様パワーを持った女子高校生に振り回されるような人生はお断りだ。そうだな、いったところで第二の古泉決定だろうな。俺もあんな『●<ふんもっふ』とは一緒にされたくない。それにだ。今更俺があの世界に行かずとも変態的ハルヒパワーは炸裂しているだろうからな。俺はお役ごめんだ。 …ところでさ。この扉、 音咲が細工してねえか? 俺のいるこの世界じゃそんな事できるやつは一人しか知り合いがいないしな。あとで、ちょっと聞いてみるか。なに、なんてことはない。ちょっと木の棒持って校舎裏に呼び出すだけさ。 よし、今度は普通に屋上に出るさ!そうとも!出ないほうがおかしいんだ! 俺は三度扉を開ける。 ……よし。なにもないな。 俺は屋上に足を踏み出す。2度あることは3度あるというが、迷信で勘弁してくれ。3度目があるなら、どこにいけるってんだ?気になったのは言うまでもないが。 …そしてなんだ?やっぱり2度あることは3度あるのか? 屋上のフェンス付近で七恵が体育座りで落ち込んでいた。これが他のやつだったら3割増…するかは知らないが、もっとこう、萌える?とか言うものを感じたかも知れない。 よかった。俺は変態性癖の持ち合わせがなくて。 無論、俺は七恵が落ち込んでる理由なんて知らない。思い当たる節は…やはり二人三脚だろう。俺が抱えて行ったのがまずかったか? 「おい七恵。いったいどうしたんだ?お前らしくもないぞ?」 言ってから気づく。七恵らしいって、どういうことだ? 「七恵らしいって…睦月にとって私はどういう人に見えてるの…?」 おいおいおい。お前今鋭くないか?いつもの100+して2000でかけたくらいに鋭いぞ? 「…20万+2000xじゃん…。そんな風に見てたの…?」 言い過ぎた。謝る。 「態度で示してよ…」 ………どんな? 「これから7月まで色々命令してあげるからね!」 そういうと七恵はすっと立ち上がり、今まで見たこともないような笑顔で俺に、 「私って、いつもこんな笑顔してたよね?」 と聞いてきた。俺が言う事は決まってる。 「いつも以上だ。でも、それもいいと思うぞ」 その日の俺は素直すぎたと思う。 因みに、後日俺と音咲は好き放題やらされました(笑)(本当は苦sy『省略しちゃいました♪』

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