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理科学的観点からのアプローチ


 理学と地理学を比較するならば、理学を1つの大きな括りではなく、
物理学・化学・生物学・地学の4つに分類することが必要でしょう。

 まず物理学は、目には見えない“力”を題材として、様々な現象を解明する
学問であると言えるのではないかなと思います。

 地理学と物理学は、直接的な関わりを見つけることは難しいものの、
地震や津波、地形などを研究・調査する際、地域性という意味で地理学の概念が、
見えない“力”という意味で、物理学の概念、両方が必要となります。

 地理学を学ぶ上で物理学が必要になることや、物理学を学ぶ上で地理学が必要に
なるということは、あまり実感できるものでは無いと思います。

 それでも、自然災害の防止や、建築、地形の測量など、地理学と物理学を
合わせて、応用しなければならないことは、世の中にはありすぎるほど、
たくさんあります。

 次に化学は、原子・分子などミクロなレベルで、現象を分析する学問であると
言えるのではないかと思います。

 地理学と化学についても、直接的な関わりを見つけることは難しいですが、
地形の年代測定では、火山灰や花粉などの土壌に含まれる成分を分析することから、
化学的な分析方法が、地理学には欠かせません。

 逆に、化学ぶとって地理学というものが必要なのかと問われれば、非常に
難しい問題です。とは言え、地球科学と化学の応用として存在する、地球化学
や、地球資源という分野には、やはり「どこ」に「何」が存在するかという問題が
付きまとい、地理的な考え方が必要になるそうです。

 生物学は、植物や動物に関して「地域性」という現象について取り扱われることが
あります。この点においては、直接、地理学と関わりがあると言えるでしょう。

 特に面白いことは、この植物や動物の「地域性」や分布についての研究を行う
「生態学・生物地理学」という学問は、地理学ではなく、生物学の一領域として
取り扱われることがほとんどです。

 逆に、地理学から生物学を見てみると、地域によって分布に「差」が生じている
植物や動物は、その「地域性」を表す指標となり、また資料を裏付けるための証拠と
なりますので、生物学はある種、地理学にとっての研究対象なのです。

 最後の地学は、そもそも存在しない学問です。

 は?

 って言われてしまいそうですが、物理学、化学、生物学、地理学、地質学など、
本当にたくさんの学問が集まって、みんなで地球について議論するのが地学。

 その証拠に、物理学会や化学学会、生物学会、地理学会、地質学会はあるのに、
地学学会はありません。たくさんの学会が連合体として成立している、
「地球惑星科学連合」というのが、日本で最も大きな地学の組織です。

 なので、自然地理学も、地学を構成する1つの分野なのです。

 しかし、高校の地学で扱われるのは、地質・気象・天文の3つが中心です。

 自然災害に関わる単元も扱われますが、日本では「地理学」の研究室の大半が、
文系学部に置かれていることから、社会で扱われるのが「地理」、理科で扱われる
のが「地学」だと、思われることが一般的であろうと思います。

 地球科学と地理学の違いが、イマイチ分からん。というのも当然です。

 地球の内側を対象にしている、もしくは地球を惑星の一つとして考えるのが
地球科学で、地球の表面を対象にしているのが地理学。つまり、地理学は、
私たち人間が“住んでいる”空間を対象としているわけです。

 地理学も理学も、同一のモノを対象とすることがありますが、地理学では
「自然現象の解明を通して、課題を発見することや課題への対策を講じる」ことに
重点を置いているので、地理学で行う計算はデータを整理し、研究の裏付けとする
ための計算しか行いません。それに対して、理学では「自然現象そのものの解明」
に重点を置いているので、実証のために複雑な計算を行うことが一般的でしょう。

 これらを踏まえて、現象を解明する奥の深い理科学に対して、地理学は中身の薄い
学問なのでは?と思われてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 確かに、複雑な計算は行わないので、理学的な視点から見れば、そう思われて
しまうかもしれません。「現象を科学的に証拠から解明する」ことに重点を置く
理学に対して、「解明された現象を再検討し、社会に適切な情報を提供する」ための
作業を、地理学が担っていると言うと、すっきりしないですか?