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                                       2009/04/10
地理学野外演習実験 第2回ミーティング

              「長崎市内における造船業と関連産業について」

研究目的;長崎県において、造船とその関連産業は全事業社従業員数の内およそ10%の雇用人口と、全産業の内およそ20%の製造品出荷額を占めている(図1)。また、長崎県において産業の中枢とも言える造船業は、主に長崎港に集中しており、長崎県内122の事業所のうち、42が長崎市内に立地している(平成18年度長崎県統計年鑑)。

造船業は、近代工業であるにも関わらず、同一規格での大量生産ができない受注生産の性格であるため、直接企業が集約的に一貫性を持った作業工程を行うのではなく、社外工と呼ばれる造船業特有の下請企業制度を構成している。また一方で、景気の波に左右されやすい工業であるために、独立的関連企業は造船資本に対する依存度が低く、対等若しくは優位に立っていることがよく見られる。

そんな造船業も、近年は中国・韓国の造船業の発達によって国際競争が激化し1980年代には50%の世界シェアを持っていたものの、2007年には30.6%まで落ち込み、製造品
出荷額だけを見ると、韓国に世界1位の座を譲っている(図2)これに対して日本の造船資本は、再編や統合が繰り返すことで資本を強化し、技術を集約することで、国際競争力を付けようとしている。また、独立的関連企業だけでなく、造船資本のグループ企業までもが造船業への依存脱却を目指して、一般機械やエレクトロニクス工業への転身を計っているケースも見られるようになった。

長崎市内においては、三菱重工業という巨大資本が存在しつつ、それを支える関連企業は中小規模ながら独立的な企業が多く存在し、また中小資本の造船業者もそれぞれ何らかの分野に特化した生産を行っている。そのため今回は、長崎市内における中小資本の造船と造船業に関する独立的な関連産業の現状を調査し、産業基盤の強化や国際競争力の強化を図るための対策を考察する。

研究方法
  • 造船とその関連産業の立地構図を系統的に図化する。
  • 長崎において造船業が発展した背景を探る。
  • 比較対象として、同じく中小資本での造船業の盛んな瀬戸内海沿岸を挙げる。
  • 市役所や長崎県造船協同組合、その他各事業所などを訪問することによって、
他産業との結び付きや自治体の対策、その実態を調査する。

対象地域;長崎市内(長崎港湾岸地域)

参考文献
  • 山本茂(1967)「造船中小資本の下請利用の地域性~静岡県清水地区における事例~」
『埼玉大学紀要(教育学部)』(1967) P.65~79
  • 山本茂(1968)「清水地区における造船業の下請け利用~造船独占企業から見た場合~」
『地理学評論』vol.41 (1968第5号) p.310~321
  • 村上雅康(1969)「造船工業立地の形成」『地理学評論』vol.42(1969第1号) p.41~59
  • 村上雅康(1987)「造船のまち、相生はいま」『地理』vol.32 (1987第6号) p.38~47
  • 堂野智史(1992)「わが国造船業の立地再編に関わる一考察
              ~1970年代中盤から1980年代後半を中心として~」
  『経済地理学年報』vol.38(1992第2号) p.37~54
  • 友澤和夫(2003)「第五章 産業」『瀬戸田町誌(地理編)』(2003年) p.281~304

  • 政治経済研究所編(1962)『日本の造船業』政治経済研究所
  • 日本船舶輸出協会(1966)『二十年の歩み~戦後日本造船史~』日本船舶輸出組合
  • 村上雅康(1973)『造船工業地域の研究~相生・因島両地区の場合~』大明堂 
  • 山下幸夫(1993.3)『海運・造船業と国際市場・世界市場への対応』日本経済評論社
  • 高柳暁(1993.6)『海運・造船業の技術と経営~技術革新の軌跡~』日本経済評論社
  • 長塚誠治(1998.9)『21世紀の海運と造船~日本と世界の動向~』成山堂書店 
  • 溝田誠吾(1997.1)『造船重機械産業の企業システム』森山書店 

参考資料
  • いよぎん地域経済研究センター(2007)『西日本の造船業~その現状と今後の展望』伊予銀行
  • 呉ものづくり産業振興・雇用創造促進計画
  • 長崎県・長崎市工業統計、その他各種統計
  • ものづくり白書(経済産業省)
  • 運輸白書(旧運輸省)

各種統計データ、グラフ等は、ここでは略。