野田憲太郎リサイタルへのいざない
けんの音楽生活 第2回「野田憲太郎リサイタルへのいざない」
私はけん。
「少しマニアな音楽新譜情報&データベース」というサイトの管理人もしている。
管理といっても何を管理するわけでもなく、訪問者の少ないサイトなので荒れる事も無い。
そんな平和なサイトの掲示板にこんな書き込みがされた。
2006年1月4日(水)18:30開演
関西で活躍する超絶ピアニスト野田憲太郎の選曲による限界に挑んだ作品たち。ソラブジ作品(二つあわせて演奏時
間50分!)の世界初演を含むリサイタル
【演奏曲目】
金澤 攝:《ピアノ曲1976》
- シムやプラッツの試みを先駆ける1秒の世界
菅野 茂:《フラジョレット・パッサカリア=ブルース??? WVE=187》【日本初演】
- 近年ではオペラ創造に取り組む世界的作曲家の、ちょっとした息抜き。
江崎健次郎:《ピアノソナタ エタノス 》 【世界初演】
- 前半の星屑の流れのような64分音符の戯れが美しい
木山 光:《苦しむ中層雲》、《塵肺症》
- 現代ピアノ曲の要求はここまで来た! 飽くなきスピードへの挑戦!!
フィリップ・ハワード:《Good Night ! 》【日本初演】
- ピアニストとしても優秀な彼の長いタイムスパンが聞きもの
ドミトリ・コゥリャンスキィ:《フォルテ・ミュージック・ピアノ・ミュージック》【日本初演】
- 音符の機械的配置がロシア構成主義を髣髴とさせる
カイホスルー・シャプルジ・ソラブジ:《超絶技巧100番練習曲》より
第99番(ヨハン・ヨハン・セバスチァンの半音階的幻想曲の様式で)【世界初演】
- バッハへの畏怖と憧憬の交錯が聞きものの第99番。
第100番(コーダ・フィナーレ 五重六声フーガ)【世界初演】
- 現在でも珍しい五重六声フーガの試みが大音響へといざなう第100番。
リゲティ:無限柱(14a)
- 野田留学中のNY初演とFL初演からおおよそ5年ぶり
チケット代金 大人:2000円 学生:1500円
お問合せ MUSInodA&Johakyu(MNJO)
メール mnjo@infoseek.jp(予約・問合せ)
場所:中目黒GTプラザホール
- 〒153-0051 目黒区上目黒2-1-3(地下1階)
- TEL 03(6412)5377
- ●地下鉄日比谷線/東急東横線 中目黒駅すぐ
- (JR渋谷、もしくは恵比寿から乗り換え)
- ●東急バス [渋41]渋谷駅~大井町駅
- 「中目黒駅」バス停下車すぐ
演奏・選曲:野田憲太郎(P) プロデュース:西 耕一
主催:MUSInodA&Johakyu
「何の挨拶も無しにリサイタル(注1)の宣伝か?」
とそんな思いにかられながらも書き込みの少ない掲示板への書き込みをうれしくも思った。
野田憲太郎。
まったく知らない。
この書き込みでわかる事といえばリゲティのみだ。
リゲティといえば難解な曲を作る作曲家程度で詳しく知っているわけではないが、家にあるCDを聴くかぎりではプログレ(注2)のような印象を受けた。
「野田憲太郎のリサイタルに行きたい」
そう思ったがうちには小さい子供がいる。
演奏中に騒ぎ出したら迷惑だろうと思いあきらめる事にした。
そしてなぜこんな書き込みがあったのか調べて見ることにした。
が、話は早かった。
野田君は2chでHazumoererという名前でかなり有名&叩かれていたらしい。
おそらく野田君を嫌う人が晒しのつもりで私の掲示板にコピペしたのだろう。
もし熱狂的なファンならばあんなに投げやりな書き込みはしないだろうし。
しかし結果的には嫌がらせどころか私に大いに興味を持たせることになった。
「現代音楽のリサイタルに行ってみたい」
でもね・・、
現代音楽聴いてる割には、そもそも現代音楽のこと何にも知らないのだ。
リサイタルについてもどんなルールがあるのかまったく知らない。
スーツで行かなければいけないのか、飲み食いできるのか、ディナーやホテルの予約もセットでするべきか。
現代音楽とは何か?
まあ徐々に探りを入れていこう。
つづく
今回の登場人物
野田憲太郎
- 名前:野田憲太郎
- 読み方:のだけんたろう
- 称号:超絶ピアニスト
- 種族:日本人
- 出身地:三重県生まれ
- 生年月日:1976年2月24日
- 職業:ピアニスト、作曲家
- 特殊能力:超絶技巧ピアノ、2chへの書き込み
- 備考:2chへの書き込みなどでお騒がせ感もあるが、作曲やピアニストとしては評価も高いようだ。演奏を実際に見た人は「今にも噛みつきそうにピアノ弾いていた」とのこと。いずれ生で演奏を聴いてみたい。
リゲティ
- 名前:György Ligeti
- 読み方:ジェルジ・リゲティ
- 称号:巨匠
- 種族:ハンガリー系ユダヤ人。
- 出身地:旧ルーマニア領トランシルバニア生まれ
- 生年月日:1923~
- 職業:作曲家
- 特殊能力:トーン・クラスター技法(注3)、ポリリズム(注4)
- 備考:現代音楽界ではかなり有名な作曲家。作風はバルトークやコンロン・ナンカロウなどに影響を受けているようだ。バルトークやコンロン・ナンカロウについてはいずれ説明しようと思う。
注釈
- (注1)リサイタル:独唱会、独奏会。クラッシク系及びシャンソン歌手や演歌歌手が多く使うらしい。ポップス系ではジャイアン以外まず使わないとされているようだ。ちなみにしずかちゃんのヴァイオリンは現代音楽といっても差し支えないほどアヴァンギャルド。
- (注2)プログレ:ものすごく大雑把に言うとポップス&ロックとジャズ&クラシックの中間的な音楽。長めの曲とドラマティックな展開が特徴。しかしレコード会社の都合の良いようにつくられたジャンルなので自分がプログレだと思えばプログレで良し。また単純に変な曲だなと思ったら「これプログレだね」といえば75%くらいの確率で会話が成立する。
- (注3)トーン・クラスター技法:ピアノの鍵盤を肘や手のひらで楽譜などで決められた範囲を全押しする奏法。当たり前だが複雑で奇妙な響き。プレステの名作ホラーゲーム「トワイライトシンドローム(ヒューマン)」にでてくるピアノを弾く幽霊を怒らせるとトーン・クラスターで怒りを表現してくる。
- (注4)ポリリズム:複数の異なるリズム・パターンを同時に演奏するリズム。当たり前だが複雑で難解な響き。
最終更新:2009年04月29日 00:02