ニコニコ動画バトルロワイアルβ @ ウィキ
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ニコニコ動画バトルロワイアルβ @ ウィキ
ja
2012-03-07T00:17:07+09:00
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だんまり会話をする時間
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/587.html
*だんまり会話をする時間 ◆MY9PsNVpck
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「…何かあったな」
ときちくは微妙な空気が流れていることを感じた。
周辺には明らかに争った跡がある。その中でキョン子が一人倒れている。
もちろんその程度ならここではよくあることかもしれない、だが倒れている人物が問題だ。
ときちくの記憶ではキョン子は無害で無力な存在だった。
はっきり言って一人で生き残れるような人物ではない。
そんな彼女が一人で放置されるとは思えない、タケモト達にそこまで余裕がなくなっているなら別だが。
何も異常がなかったと考えるほうが異常だ。
キョン子を無理矢理起こしてでも話を聞こう、そうときちくが思った瞬間だった。
『お待ち下さい』
「ん?」
いきなり響いた電子音声にときちくは立ち止まった。その音声はマッハキャリバーが発したものだ。
クリスタルが喋るという事態にときちくは警戒心を見せる。
元々ときちくには魔法の素養はない、その上マッハキャリバーの性能について把握したり実感することはほとんどなかった。
そう言えばチルノがこんなのを使っていたらしいな、程度の認識だった。
「えぇっと、確か…」
ときちくが思わず声を漏らす。
『マッハキャリバーです』
その言葉にマッハキャリバーが素早く応答した。
もっとも本題は自己紹介ではないのですぐにときちくが疑問を投げかける。
「チルノはどうした?」
『今から説明します』
マッハキャリバーが言葉を続けていく。
そのまま説明しようとしたその時、ときちくは掌をマッハキャリバーへと向けた。まるで静止のポーズのようである。
いや、それは実際に静止のポーズだった。敢えて止めたのだ。
「…待て」
『?』
マッハキャリバーが黙ったのを確認すると、ときちくは紙を取り出して文字を記した。
(やっぱり、説明しなくていい)
そう書いた紙を見せたところでときちくは唸った。マッハキャリバーが文字を読めるのかどうか気になったのだ。
確認するために文章を付け足す。
(読めてるのなら二回光ってくれ)
その指定通りにマッハキャリバーが光った。
もっともこれで実証されたのはマッハキャリバーが文字を読めることだけ、書くことはできない。
それはときちくもわかっていた。
(情報交換をするつもりはない。す
2012-03-07T00:17:07+09:00
1331047027
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拝啓運営様いかがお過ごしでしょうか
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/586.html
*拝啓運営様いかがお過ごしでしょうか ◆MY9PsNVpck
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「追いつくのは簡単そうね…」
タケモト達が地下へ向かうと同時に咲夜は建物の影から姿を表した。
咲夜は先程までタケモト達を視界に収め続けていた。
その際には潜んでいるのを気取られないように心がけている。
できるだけ気配を殺して、相手の動きを探り何かこちらを向くような動きがあったら時間を止めて立ち位置をずらす。これならまず見つからない。
だがそのまま攻撃を仕掛けられるかどうかは別。機を待つとはいえ待つことしかできていなかったのが先ほどまでの咲夜だった。
とはいえ発見されることはまずない、考えていたのも確かだ。
だがその考えが正しいか今は自信が持てなくなってきている。
遠目に見た先ほどの様子を見て咲夜はふと、疑問に思うのだった。
「もしかして、こちらの位置に気付いている?」
さきほどまで見ていた光景を思い起こしながら咲夜は呟いた。
咲夜と咲夜が殺そうとしている相手の間には大きな人数差がある。
無闇に突撃はできない。だから地下へ行こうとしている相手を見張って一度の攻撃で全滅させられる機会を待っていた。
咲夜がすべてを殺す必要はない。戦意喪失のため数人を殺せればそれでいい。運営へのアピールという意味でもそれで十分である。
しかしその対象となるタケモト達は会話をしながらも注意を怠っていなかった。
ここまで生き残ってきた経験があるのだから間抜けなことはしないのは当然だ。
咲夜への警戒を怠らなかったのも単なる警戒だろう。
先ほどまでの咲夜はそう思っていた。
「あの時は明らかにこちらに視線を向けたわね…」
タケモトは手元にあるものを見ながら咲夜のいる方角を見やっていた。
分からないにしては正確に警戒しすぎている。そう咲夜は感じた。
実際にタケモト達は首輪探知機を使用して咲夜に備えている。咲夜を警戒していたが警戒しすぎた。
はっきりと目を向けて警戒してしまったのだ。
だが咲夜にとってこれがよいことかというとそうでもない。
咲夜が感じた事は正解だったが、その正解を確かめる手段がないのも確かだった。
◇
その後、咲夜はすぐタケモト達を追うのではなく回り道をした。
地下に降りる最中は攻撃のために絶好の好機だと
2018-06-03T15:44:43+09:00
1528008283
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The last game(後編)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/583.html
◆◆◆
「はぁっ……はぁっ……」
ときちくの攻撃を逃れた言葉は、息も切れ切れに塚モールの別棟に辿り着いていた。
あの格納庫に繋がる建物から最も遠い場所だ。遮蔽物も同じくらい多い。
やがて彼女は足を止め、柱の影に座り込んだ。
「追って……きませんね」
『そうだね。向こう側に何かあったと見るのが一番かな』
人の姿は言葉以外にはない。
しかしもう一人の声の主が、その場には存在した。
ユベルだ。
「だとしてもあまり長居はできませんよ」
ときちくの銃撃を避けるためトイレに逃れたあの時、彼女達はある決断をしていた。
ユベルの媒体であったキョン子の身体は足の腱をナイフで刺されてとても歩ける状況ではなかった。
武器もあるにはあるが、危機を脱し、かつ目的を遂げるにはそれでは不充分だった。
あの場で『ユベル』を召喚していれば、彼ら2人を殺害する事も出来ただろう。
しかしその後が問題だった。そこを乗り切ったとしても次はメタナイトがいる。
結果的には関わってこなかったものの、彼に対し即座に対抗できるのが言葉だけというのはいささかリスクが高かった。
楽観的に見ればあらゆる好機が想定できる。しかしそれが全て上手くいくかと言えば別だ。
ifについては記するまでもない。それを打ち消すifもまた、限りない可能性があるからだ。
故に彼女達が決断したのは(と言っても提案したのはユベルだが)キョン子の身体を捨て、盾に使うというものだった。
一度支配した身体を捨てるのは聊か勿体無いとも思えたが、そんな場合ではないとユベルは思った。
目的を遂げるならば犠牲にしなければならない事もある。
『ユベル』は云わば切り札だ。
それこそ運が良ければ参加者の誰もを倒し得る可能性を持っている。
その切り札を、あそこで使うわけにはいなかった。
現状でおおよそ強者と呼べるのはメタナイトとチルノと十六夜咲夜。
人間の領域を超えているこの3人は、言葉達ではどうあっても対抗しきれない存在だ。
相性としては後者ほど打倒の可能性が低いとユベルは目算で見積もっていた。
その他の参加者は隙さえ突けば倒せる、との考えだった。
だからこそ予めユベルは計画していた。
グラハム
2018-06-03T15:42:40+09:00
1528008160
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The last game(前編)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/582.html
スネークの提案に対し、まずメタナイトは、
「今すぐ向かうのには賛成だ。だが、正面から行くのは承服できない」
やはりとでも言うか、それに乗った。
時間がないことを考えればここでこれ以上モタモタしているのは愚策以上の何物でもない。
結果的に採るべき選択肢は限られていくのだ。
「だろうな。やはりリスクが大きすぎる」
しかしそこからもかなり行動の自由が狭められる。
例えば、正面からの突破を行うとする。その場合、どうやって辿り着けるのだろうか?
たしかに本拠地の目前では生い茂る木々が隠れ蓑となるだろう。
しかしその先はどうなっているか分かったものではない。
おおよそ上ることも出来ない大きな壁が聳え立っているかもしれない。
そんな壁がなかったとしても、入り口があるのならばそこを護るために何らかの措置が為されていると
考えるのは至って自然だ。むしろ無いと考えるのは楽天的過ぎる。
「しかし地下も道が通っているとは限らないぞ……。もし閉まっていたら後戻りする時間はあるのか?」
「単純に辿り着くだけではダメだからな。どんなに短くてもおそらく2時間がタイムリミットだ」
「希望的観測だろ?でもまあ、地下から行くほうがまだ比較的危険は少ないけどさ」
「じゃあ早いほうがいい。もう一度格納庫に行こう」
「ああ……」
タケモトはあまり乗り気ではなかった。
どのみち自分に出来る事は何もない。ここまで事態が大事になっているのに、運営側が策を講じていない筈がないからだ。
密かに行けばまだ隙を突けたかもしれないのに、巣を叩いてからではそれも不可能になる。
一度は持ちかけた希望も、彼は少しづつ捨てかけていた。だが、捨てたからといって彼にはどうすることも出来ない。
運命に抗うための条件が、全く揃っていない今では。
今しがた行われた予想は全て予想でしかない。
何の保証もない希望的観測。しかしそうだと分かっていても、そんなものにすがらなければならない現状が彼らを苛んでいた。
どの道何もしなくても8時間後には死んでしまう。だからヤケクソになっているのかもしれない。
そんな事は自覚済みだ。だから誰も口に出さない。
実は諦めていたとしても、それでも、生きたいと想っている
2011-06-25T00:33:49+09:00
1308929629
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夕夜の靄(状態表)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/580.html
*夕夜の靄(Ⅱ) ◆F.EmGSxYug
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【C-4 / 2日目・夕方】
【タケモト@自作の改造マリオを友人にプレイさせるシリーズ】
[状態]:精神疲労(小)、僅かな焦り
[装備]:アイスソード@ちっこい咲夜さん、プレミアム首輪改
[道具]:[タケモトのデイバッグ]
支給品一式(水一食消費)、精密ドライバー@現実、野菜ジュース@ぽっぴっぽー、
ドアラの首輪、シルバーウルフ(12/12)、(予備弾188本)@フルメタル輪ゴム鉄砲、万葉丸(11/30)@零シリーズ
強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)、ブロントさんの首輪(真っ二つ)、
プレミアム首輪×1、小型位置音声偽装装置(現在オン)×2、隠し部屋に関する説明
プレミアム首輪の設計図、工具、隠し部屋のカギ、三国志大戦カード(王允)@三国志大戦
モンスターボール(空)@いかなるバグにも動じずポケモン赤を実況、キモイルカのメモ
DMカードセット(天使のサイコロ、スタープラスター)@遊戯王シリーズ、ブレード@サイべリア
北条鉄平の首輪
[思考・状況]
1:地下ルートを通り、運営基地へ
2:自分が生き残るために最善の行動を取る。
3:最後の一個のプレミアム首輪はとりあえず改造しない。
※射命丸から首輪に関しての情報を得ました。
※会場のループを知りました。
※殺し合いの目的をショーだと推測しました。
※積極的な脱出は不可能と考えました。
※天使のサイコロが使用可能になるのは十二時間後。
【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:精神疲労(中)、疲労(小)
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦、プレミアム首輪改
包丁@会場内
[道具]:基本支給品×8(水、食料三食消費)、ヒテンミツルギ極意書@ニコニコRPG
張遼の書@ニコニコ歴史戦略ゲー、医療品一式
セーブに使って良い帽子@キャプテン翼、射影機(07式フィルム:28/30)@零~zero~
予備07式フィルム30枚、寝袋@現実、普通のDMカード数枚@現実
DMカードセット(スピード・ウォリアー、魔法の筒、ガーゴイル・パワード)@遊戯王シリーズ
折り畳み式自転車@現実、乾パン入り缶詰×3@現実
忍具セット(忘却玉)@忍
2011-05-27T04:49:51+09:00
1306439391
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夕夜の靄(Ⅲ)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/579.html
*夕夜の靄(Ⅲ) ◆F.EmGSxYug
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【Ⅲ】
魔導アーマーが東端から西端へと転移を終えた頃の桂言葉は、極めて挙動不審だった。
理由は言うまでもなく、チルノの姿だ。正確には、その中にいるモノ。
「もしかして、自分も体を乗っ取られるとでも思ってるのかい?
フフフ……安心していいよ。
せっかくこの体を乗っ取ったっていうのに、君の方に移って何になる?」
そう言うチルノの表情は、チルノであってチルノでなかった。
ユベル。
悪魔は、現在、チルノの中にいる。
戦闘力のある体を得られた以上、ユベルは極めて安全だ。
直接攻撃に対しては、時を止められようとも跳ね返せる。
攻撃してこなければ、こちらが攻めればいい。
……もちろん、直接攻撃でなければ例外はある。
例えば束縛して水の底に沈められるだとか、首輪が爆発するだとか。
もっとも、言葉はそんなことは知らない。
挙動不審さを誤魔化すように、ただ話題を逸らすだけだ。
「あの人……殺さなくていいんですか?」
「ああ、キョン子のことかい?」
ユベルが抜けて元に戻ったキョン子。
彼女の体はもはや用済みだが、殺さずデパートの側に放置している。
ユベルが乗っ取ったチルノに対する抵抗を続けるマッハキャリバー共々、だ。
それは殺しておくべきだった、と言葉は当然のように言った。
少なくともその点において、スイッチの入った彼女の精神はとっくに倫理を投げ捨てている。
もっとも、ユベルは意に介した様子はない。
それどころか、それを認めた上で解説する。そう言うのももっともだ、という表情で。
「彼女はいざという時のための保存食なんだよ。
自分の体が何をしてきたか、どんなことをしてきたか。
しっかりと、一緒に置いてきたあの靴から解説させる。
だけど、自分にできることは何一つない。
そういう状況で放置されていれば自然と心の闇は増すというものさ。
それに、彼女を見殺しにすることができないあの靴は、
余計なことができない……」
そこまで言った瞬間、突如魔導アーマーががくんとつんのめった。
「故障でしょうか」
「……いや。操縦を失敗しただけだ。
どうも、しっくり行かない部分があってね。
記憶の一部が読み取れないし
2011-05-27T04:47:12+09:00
1306439232
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夕夜の靄(Ⅱ)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/578.html
*夕夜の靄(Ⅱ) ◆F.EmGSxYug
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【Ⅱ】
咲夜とスネークが戦いを始める一、ニ時間ほど前の話。
右上と戦ったあと、しばらくの間チルノはうずくまったままだった。
図書館の中にいたまま動かないチルノに、
マッハキャリバーの電子音声が届く。機械的だけれど、感情のある、声。
『ひとまず、戦闘機のところへ行くべきではないでしょうか。
グラハム達が、おそらくいるでしょう』
「あ、そうだね……戦闘機のとこ、いか、なきゃ……
みんな、待ってるもの」
焦点の定まらない瞳のまま呟く。
体の傷は治っているのに、立ち上がる様子は紙のように覚束無い。
不安から目を逸らして。
剣を隠すようにしまい込んで。
ただ近い事実だけを見て、図書館を出る。目指すは、東。
図書館からA-10の在り処へ向かうには、ループを使用したほうが早い。
地面を蹴ると共に、舞い散る氷粒。通り過ぎた川が後ろに流れていく。
彼女が舞う様は、とても頼りなく――まるで、仲間に救いを求めるよう。
『……もしこの戦いが終わったなら、時空管理局に来ませんか?』
見かねたように、マッハキャリバーは言う。
チルノは首を動かさず、口だけを動かした。
「何ソレ」
『多数の次元世界を管理する組織です。私の相棒も、そこで働いています。
あなたの体の異常も治せるかもしれませんし……
治せなくても、連絡をとれる手段くらいは確実に用意できます。
ですから……あなたは、一人にはなりません』
「考えとくよ……とりあえず、グラハム達に会いに行こ。
そうしてから、これからどうするか、決めなきゃ」
チルノは、マッハキャリバーの方向を見ない。
落とすように、返事を小さく返す。
寄る辺を他の誰かに求めるかのような飛行は、
デパートを通り過ぎた辺りで止まった。
視界にちらりと映ったのは、魔導アーマーに乗っている言葉とキョン子の姿だった。
あまり自然な組み合わせとは言えない、二人。
……チルノは、何か嫌な予感がした。
「待ちなさいよ!」
「あ……」
「おや」
魔導アーマーの前に立ちふさがるように降り立ったチルノに、
言葉とキョン子は違う反応を見せた。
言葉は警戒するように表情を硬くしたの対し……
キョン子は、僅か
2011-05-27T04:33:41+09:00
1306438421
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夕夜の靄(Ⅴ)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/577.html
*夕夜の靄(Ⅳ) ◆F.EmGSxYug
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【Ⅴ】
チルノが咲夜にやられるとスネークが覚悟した瞬間だった。
目の前で、予想とは全く違う光景が繰り広げられたのは。
「なに!?」
眼前で広がった光景に、思わず目を見張る。
なぜか、いきなり咲夜が吹き飛んで倒れている。
一方、チルノは地面に膝をついて俯いている。致命傷の類はないようだ。動く様子もないが……
呆然とするスネークの足元に、DISCが落ちてきた。
……スネークは知らないがこれはスタープラチナのDISCであり、
スタンドDISCはそれが自分本来のスタンドでない場合、
頭部に強い衝撃を受けた時に外れることがある。
逆に言えば咲夜はなぜか、いつの間にか、そのレベルのダメージを受けたということだ。
いつの間にか、に関しては、咲夜の能力で理由が付くかもしれない。
だが、肝心のダメージを与えたものが、スネークにはわからない。
「ぅ、くっ……どういう、こと……!?」
フラつきながら立ち上がる咲夜を見て、スネークは我に帰った。
コルトパイソンなどを拾い上げ、即座に発砲する。
一発目は普通に避けられた……ものの、完全に反応しきれなかったか咲夜の肩を抉る。
二発目を放った瞬間、スネークの視点で咲夜は転移した、つまり時を止めたが、
今までの回避と比べ移動した距離が小さい。
スネークにも、ありありと分かった。
今まで見せてきたスネークにとっての咲夜が持つ背後霊のようなもの――
いわゆるスタンドが出ていないことと、明らかに時間停止中に動ける距離が減っていることが。
(足を痛めたか、或いは止められる時間が減ったか――
ならば、勝ち目はある!)
今も出血する肩に、力が入る。
少しばかり立ち位置を変え、コルトパイソンのグリップを両手で掴み、
エレベーターの出入口の脇にあるパネルに背を密着させる。
メスもかなり数を消費しているはず。もしかすると全て使い切っているかもしれない。
問題は、コルトパイソンに装填されている弾の数が四発であること。
恐らく、再装填するような隙はまだないだろう。
つまり残り四発で、最低でも隙を作らなくてはならない。
(奴の優位に変わりはない……
恐らく奴は接近を狙ってくる。
この銃の装弾数が何発か
2011-05-27T04:32:01+09:00
1306438321
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夕夜の靄(Ⅳ)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/576.html
*夕夜の靄(Ⅳ) ◆F.EmGSxYug
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【Ⅳ】
「こちらは問題ない。空は晴れている」
「じゃあ馬岱、準備に入ってくれ」
「あぁ」
格納庫へと繋がるエレベーター乗り場、一階前。
一階とは言え、乗り場は外にあるためあるのは床ではなく、土だ。
元々周囲の遮蔽物が少ないために周辺を広く見渡せるが、
逆に言えば遠くから丸見えでもある場所にスネーク達は集まっていた。
昇降路から出てきたメタナイトの言葉を聞いて、スネークは馬岱に呼びかける。
当たり前のことだが、エレベーターの昇降路を自力で降りる、というのは相応の労力が必要だ。
結局、スネーク達は地下ルートを選ぶことに決めた。
戦力で劣るスネーク達がするべきことこそ各個撃破であり、
逆に各個撃破されることを避けなくてはならない。
そして、A-10はどうやっても地下には来れない。
だが、グラハムやチルノと連絡が取れない以上、連携を取ることは困難。
逆に地上で一つに纏まった敵戦力に各個撃破される恐れがある。
ならばいっそ思い切って進軍ルートを分け、
気休め程度でも相手の戦力を分断させる……というのが結論であった。
……もっとも、その考えは前提が大間違いであったのだが。
今の彼らは、それに気づかない。
少し警戒しながらも、馬岱はメタナイトに掴まった。
空は晴れている、というのは地下での待ち伏せはない、という意味である。
気休め程度の暗号だ。
馬岱ならメタナイトなしでも昇降路内の設備を使って移動できるだろうが、
支えがあったほうが早く済むのは確かだろう。
幸い、右腕は単純な時間経過によりある程度回復している。
馬岱を最初に降ろすのは、移動後孤立したところにに襲撃を受けてもある程度戦えるため。
昇降路内へ消えた馬岱達の姿を見送ることもなく、スネークは周囲に気を配る。
その様子に、思わずタケモトは声を漏らした。
「どうした、スネーク?」
「……震えているな、何かが」
「は?」
その言葉は、文字通りの意味ではない。
隠れ、侵入することを行なってきた彼が直感的に感じたものの比喩だ。
……敵がこちらを見ている。caution.
どこからかこちらを見張っている。
見晴らしは元々よいし、死角となる位置にはてつを向かわせている。
2011-05-27T04:27:36+09:00
1306438056
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夕夜の靄(Ⅰ)
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/575.html
*夕夜の靄(Ⅰ) ◆F.EmGSxYug
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【Ⅰ】
後始末と、改造したプレミアム首輪を遺体から奪いとることは終わった。
その上で、私は最初にされた軽い説明……
並行世界を利用した上での願いの叶え方について、改めて問いかける。
「……本当に、あるんですか?
私が――桂言葉が、誠くんと無事に仲良くしている、世界なんて」
太陽が沈んでいく。
薄暗くなる空気の中で、私はじっと相手を見つめた。
「どんな可能性だってあり得る、それが並行世界の概念と言うものさ……
私、異世界に渡るくらいの方法は知ってるし」
キョン子さんは、そう言う。
ここやデパートにある遺体の前で何か変なことをし終えた後、
彼女は私の願いをどうやって叶えられるか、説明し始めた。
その願いの叶え方は、単純だった。
『伊藤誠と桂言葉が無事に結ばれた世界を探し出して、
その世界の桂言葉と成り代わる』。
そうすれば無事に二人で暮らせる、
生き返らせるのには変わりない――と言う。
正直、いきなりこんなことを言われても実感は沸かない。
自分を殺して入れ替わる……というのはあまりに引っかからなかった。
なによりも、そんな世界があるのかどうか気になったから。
「あるだろ?
もしこうだったら、ああだったらって思うことは、さ。
それとも君の愛はどうやってもありえないような、そんな相手なのかい?
痛みや苦しみを、ただ見ているだけで感じさせられるような?」
「そんなことは……ないです」
思わず漏らした声が、薄闇の中に消えていく。
本当は、何度も結ばれる機会はあった。
最後には、ちゃんと結ばれていた。
ただ――何度も、何度も、手に入れたと思ったら手から零れ落ちていっただけで。
「じゃあ、考えてみなよ。
そういう可能性を」
返って来る台詞。
想像、してみる。
私と誠くんが平穏無事に付き合えている可能性。
それこそ、考えるだけで最良の選択肢に導かれ続けた私。
そこにいる桂言葉は生きている誠くんと楽しく暮らしているんだろう。
もしかしたら、一度誠くんを奪われるようなことすら無かったのかもしれない。
私のように犯されることもなく、清らかなまま誠くんと付き合っているのかもしれない。
いじめ
2011-05-19T19:52:48+09:00
1305802368