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始動 ◆WWhm8QVzK6




「泣き已んだか」

数分の間チルノはずっと泣き腫らし、ようやくそれが啜り泣きに変わった。
ちょうどその時に、ときちくはこの言葉を発したのだ。

「おい正気かお前。見れば分かるだろうが」

「分かってるよ。俺が言いたいのはそういうことじゃなくてな、いい加減泣き已んでもらわないと困るんだよ」

「……もう少し汲めよ。そんなことも分からないのか」

「分かった上で言ってるんだ。泣きたいなら好きなだけ泣けばいい。でもな、今はその場合じゃない。
 死んだら後悔も哀悼も無いからな。此処を出たら精一杯泣けばいいさ」

気持ちはよく分かる。
だが、止まっている場合ではないのだ。
ある意味常套句だが、今はそういった言葉がお似合いだ。

「少々遠回りになるが……ロードローラーに乗れ。疲労せずに動くなら一番だろ」

まだ涙で目が潤んでいるのが見える。
それでも静かに立ち上がり、うん、とチルノはときちくに従った。
他の面子もぞろぞろとロードローラーに乗り込む、が。

「おい、アレはどうする?」

「……ああ、アレね」

未だにその場から動かず蹲っているリンに対し、投げ遣りに応対する。
存在自体はどうでもいいのだが、これが起こしたコトを鑑みればそのままで置くわけにはいかない。

《消すか?一応仲間を殺されたっていう大義名分もあるし》

《…まあ、邪魔なのは確かだが。気は進まんけどな……》

物騒なことを小声で話し合っている間に、すでにチルノはリンの前に来ていた。
グラハムはそれをただじっと見つめている。

「こいつも連れて行く」

「いいのか?」

「別に」

ロードローラーが発進する。
どんなに詰めても、座席でないところに乗っても5人は乗れないのでチルノが飛んで併走することになった。
それは彼女が自発的に言い出したことだ。断る理由は誰にもなかった。



「何処に向かうんだ?」

「そうだな…とりあえず館に行こう」

色々と情勢が変わった今、作戦会議無しに突き進むのは無謀と言える。
断る理由は、なかった。



   ◆◆◆



A-3に位置する館。
当然の如く、此処に誰もいないのは確認済みだ。

「やれやれ、ここに来たのもずっと前みたいだ」

尤も、前の同行者はもういないのだが。

中の電気をつけないまま、とある一室(食堂)に入り全員が腰掛ける。
夜目が利いているので電気はいらない。何より、他の参加者に存在を悟られないためでもある。

「蝋燭くらい構わないだろ……」

「じゃあお前が探して来い」

「……」

「そうか、……そういやそうだな。ああ、かなり面倒だ…」

「何が?」

「いや、方針決めを始める前に一つ確認すべきことがある」

そう言うとときちくは紙に何かを書き連ねた。
今更筆談かという雰囲気になりかけたが、その内容を見ればすぐに理解できた。

『この音声偽装装置、使えるか?』

「……ん」

チルノは少し首を傾げている。
言葉が足りないか、と彼はサラサラとペンを進めた。

『音声偽装って言っても一重にどんな物か俺達には分からない。
 これがもし単に『無音にするだけ』だとしたらかなり使い勝手が悪い。
 こんな如何にも会話するって状況のときに、明らかに怪しいだろ』

確かに、とグラハムは頷く。
不自然がばれることは望ましくない。
せっかく手に入れた物すら無駄になってしまうかもしれないのだから。
タケモトは、ならばどうする、と書き返した。


『後回しにしよう』

『何?』

『幸いアレを手に入れる方法も、場所も分かっている。決めるのは、それを後にするか先にするかの話だけだ。
 無理に筆談を使うよりその方がいい。てか、こうやって筆談してることで既にマークされてたらかなりヤバイ』

『それ言ったらとっくに終わってるだろ』

『介入が無い以上気づいていないという方向でいいのではないか?』

『或いは気づいてて手を出して来ないか……』

『……』

『沈黙まで書く必要ねーだろバカ』

筆談に興じているのは男3人だけで、チルノはその様子をじっと眺めているだけだった。
それよりも、別のことを考えていたからだ。
どうして文は自分のことを生かしたのか。
妖精は死んでも復活する。主催がそれを見落としている可能性は無いだろうが、肉体さえ残っていればどうにかなった筈だ。
いや、不確定だからこそそれに賭けたくはなかったのだろう。
だからと言って、だからと言って。

(何であたいを助けたの……文)

残された者にとって、それは余りにも辛い事実だった。
自分の意志が無かったにせよ、彼女は他者を犠牲にして生き延びてしまった。
そして彼女はこうも考える。自分は本当に生かされるに足る存在なのか、と。

自分が間違った判断をしなければ文は死ななかった。
考えれば考える度に、彼女の心は削り取られていく。
相談できる者はいない。他人に痛みを共有させるなんて、そんな図々しいことは出来ない。
悔恨は胸を焼き、苦悩は心を焦がし続ける。
彼女に逃げ道など、何処にも残されてはいなかった。
無表情を取り繕い悩み続ける。それがチルノに出来る、現実に対する唯一の抵抗。

『何にせよ手に入れるしかないだろ。そのままにしておいてもいいことはないからな』

『わかった。良策は考えておくから、ここから本題に移ろうか』

「ん……じゃあ、チルノは聞いてるな?アレは……どうでもいいか。むしろ聞かれると拙い」

チルノは無言で頷き、それを否定した。

「え、聞かせるほうがいいって?」

「……まあ、それもアリかもな」

しかしそれはリンの処遇がとある方向で決定したという意味でもある。
それは当の彼女にとって余りにも残酷な方法であり、それを彼女はまだ知らない。

「始めるぞ。まずは…ドナルドについてだ」

ともかくこれは至上命題。
現時点のタケモトらにとって最も厄介で危険な存在だ。
これを抜きにして次の話には進めない。


「この中でアレに勝てる奴は一人もいない。それは間違いないな?」

万全のチルノですらおそらく勝つことは限りなく難しい。
それは戦った本人がよく理解している。
ときちくの気配遮断スキルですら、ドナルドには通用しない。
ましてや特殊能力の備わっていないグラハムやタケモトなど論外だ。
全員でかかっても勝てるだろうか。そんなレベルである。

「ドナルドはそれを理解している。そこに付け入る隙があるんだ」

「そうだな。だから俺達はそこを狙えばいい」

慢心。
物事が上手くいっている者は必ずと言っていいほど隙を見せる。
無論見せても負けはしないと信じているからだ。その確固たる精神。それを裏づけするかのような強さ。
それでも、隙は隙だ。『突かれる筈が無い』。そう思っている間は、勝機がある。
タケモトはそれを理解しているからこそ、ときちくに同意する形で述べたのだ。
しかし、

「いや、違うな」

「何?」

ときちくはすんなりとタケモトの言葉を否定した。

「じゃあなんだってんだよ」

「簡単なことだ。ドナルドには、出遭わなければいい」

室内が静まり返ったのは言うまでもない。
既に驚きを通り越して『何言ってんだこいつ』みたいな雰囲気が漂い始めていた。
当然といえば当然。だが、それが出来れば苦労はないだろう。

「確かに遭遇しなければ勝ちも負けも無い上に戦闘すら起こらないだろう。だがな、そこまで上手くいくと思うのか?」

「猶予は充分にある」

「探知機考慮しても一日持たないだろ!27時間で45分消費なら使えるのは精々後……えーと、9時間くらいか」

「俺が贅沢に使ったからな。もっと切り詰めれば軽く半日以上はいくぜ」

「いや、しかしだな……それだけの時間では仲間を集うには難しいだろう」

そう言いながらグラハムはペンを走らせる。

『タケモト、首輪の改造には何時間かかる?』

「……それに探知機が使えなくなった後が問題だ。残りのマーダーが何人いるかも分からないってのに……」

『内部の構造は一応把握したから確認入れて大体6時間だな。邪魔が入らずに専念できればの話だが』

『8時間はかかると見た方がいいか』

「ふ……ん、マーダーなら見当はつく」

ときちくは探知機を起動させる。
この館にいるのがチルノ、タケモト、ときちく、グラハム、リンの5人。
そしてオフィスビルにドナルド(おそらく)。後は散らばった4点と、密集している5人。


「これは……」

「成程…つまりこの5人以外の単独が全てマーダーだと、そう言いたいんだな?」

「そう考えて差し支えないだろう。それでも不安ならこの5人に会ってみるといい。残りの4人がどんな奴かはすぐにわかるさ。
 10人も寄れば残りの情報なんて軽く集まるだろ」

この5人がマーダーの可能性は、なんて馬鹿な質問は飛び出さない。
流石にこの時期に差し掛かって未だに集団をつくっているなど考えられないからだ。
まあ、狡賢い者や隠れ殺人者がいる可能性は否定できない。

『で、首輪を集めるかそいつらに合流するか、どちらを先にするかだが…』

『このルートなら同行しても特に差はないだろう』

『いいや、タケモトが殺される可能性は出来るだけ排除したい。この5人に俺達が行動したら嫌でも目立つし、たとえ
 探知機があっても向こうに気づかれたらおしまいだ。気づかれないことが何よりの利点であり、欠点だからな』

9人の大所帯。当然ロードローラーに乗せることは不可能であり、足の遅い者に合わせねばならないだろう。
このグループが無傷である保証はない。怪我人もいるかもしれない。そうなった場合進行のスピードは緩くなり、結果として
全体が危険に及ぶ。そうなった時、タケモトを守りきれると誰が言えるだろうか?

『慎重過ぎかもしれないが、それで困ることは無い』

「それに……確かめたいこともある」



   ◆◆◆



「へぇ……まさか端がこんな風になってたとはな」

「他に気づいてる奴はいるんだろうか…」

「いたとしても多用はしないかもね」

タケモト、ときちく、チルノの3人はちょうど会場の反対側にいた。
それも時間をかけず、およそ20分ほどで移動したのだ。
眼下に見えるのは小さな明かり。どの施設のものかは、彼らにとっては言うまでもないことだった。

「間違いないな。探知機でも確かに俺達はF-3にある」

「とんでもない仕掛けね…。空間と空間を繋ぎ合わせるなんて」

チルノにはそんな感じの能力に思い当たる節があったが、まさかそれはないだろうと頭の中で否定した。
確信が持てなかったし、こんなことに手を貸して何の益があるのかさっぱりわからなかったからだ。

そのまま3人は下に下に降りていった。
この状況が成立しているならば、あの作戦が決行できる。
そうして後は手筈通りにやっていけばいいのだ。
ときちくはチルノに探知機とモンスターボールを手渡した。


「わかったわ。これで館まで跳んで、グラハムに伝えればいいんでしょ?」

「ああ、くれぐれもよろしくな……あと、こうも伝えておけ。絶対に寄り道するな、と」

「了解。それじゃあ……」

モンスターボールからネイティオが出現する。
トゥートゥー、と陽気だか陰気だかわからない声で啼くのはいつものことだ。

「ネイティオ、テレポート」

その瞬間、チルノはときちくとタケモトを残して消滅した。
これで第一段階終了。彼らの第二段階は目下の建物に辿り着くことで完了する。

「かなり楽しちまうが、その分俺達は危険になるか」

「逃走経路の確保はしておくさ。捨て石もいくらか用意している」

これが考えうる中で最も安全な策。
犠牲は少なければ少ないほどいい。但し、利用できる者のみを残して。

ーーーーーー

独り、月を見る者がいる。
その表情はどこか決意したように見えて、淋しげだった。

「グラハム」

気づかぬ間にチルノが戻っていたようだ。
グラハムは振り返り、その姿を見る。

「戻ってきたのはチルノだけか。と言うことは……そういう事なんだな」

「うん。行こう」

二人してロードローラーに乗り込む。
探知機で光点の位置を確認し、進行方向を定める。
そうして静かに車は発進した。

彼らが決めた方針はこうだ。
まず、ときちくとタケモトがデパートに着いて隠し部屋の首輪を回収。
そしてチルノとグラハムは5人組のグループと合流して、デパートに向かう。
無論この作戦は会場のループ機能を利用して成り立ったものであり、もしそれがなければタケモトらも同行していたのだ。
その時の危険性を考慮すれば会場の端を調べるといったときちくの判断は正しかったと言える。

(人間の可視範囲は昼間でおおよそ2~300m。夜ならば当然その範囲は激減する。気づかれずに動くなら今、ということか)

それでも時間は掛かる。
おそらく全ての道程を滞りなく進んでもデパートに到着する時間は放送を越えてしまうだろう。
川を直進して渡るために(橋を渡るのは大幅な時間ロスであるため)ロードローラーは置いておかねばならず、その後は徒歩だからだ。

5人組以外の者が本当に全員マーダーなのか。それはグラハムにはわからない。
だが、今それを気にしていては余計に多くの命を失ってしまうかもしれない。

(とにかく今は、目的を完遂するだけだ)

彼女に託されたこの娘の命を奪わせるわけにはいかない。
その想いが、彼の中では一番強かった。



◆◆◆



それより1時間程度遡る。
D-4で起こった出来事に焦点を当てなければ、この話は進まない。


「…そうか!俺らの仲間になってくれるんやな!?」

「約束は守る。それだけだ」

事の経緯を説明された藤崎はそれを喜んだ。
馬岱が共に戦ってくれるなら心強いことこの上ない。
しかしスネークはまだ信じられないといった表情だ。

(他意は無い……と見ていいのか?いやしかし……)

馬岱の思惑を判断する術は無い。
だからと言って承諾しないのは仲間内の不協和音となるだろう。
それは自分にとっても全体にとっても望ましくない。

(俺が注意しておけばいいか。何かよくない事を企んでいるなら止めるまでだ)

「スネーク、例の物は回収できたのか?」

「ああ。誰かが食べたのか、それとも雄山の数え間違いかは分からんが9個入っていた」

「それをメタナイトと馬岱に食べさせればいいわけやな」

「まあ、そういうことだ」

二人の肉体は限界に等しい。
疲労が回復したとしてもこのままでは戦うことすら出来ないだろう。

ーー数十秒経過ーー

「卑怯くさいアイテムやな……」

藤崎の言葉が全てを表していた。
体中のあらゆる傷は瞬く間に消えていき、それは馬岱の右目も例外ではない。
それに関しては食わされた当の本人が一番驚いていた。

「何でこんなものが9個も支給されていたんだ?」

「考えても無駄だろう。こんな殺し合いを開く者の事など理解できん」

それでもメタナイトは少し気になる。
このような支給品を大量に出すことは殺し合いという主旨に反するのではないだろうか。
前述どおり考えるだけ無駄なのだろうがそれでも気になることだった。
いつまでも考えることではないが。

「こいつにはどうする?」

藤崎は桂言葉を指差す。
今のところ危険人物である以上、武器は持っていないといえそう易々と回復させるわけにはいかない。
何しろ残り7個あるとはいえこのコッペパンは貴重なのだから、使いどころを誤ってはならないのだ。

「俺が背負おう。見たところお前には疲れが残っているからな」

そう言ったのは馬岱だった。
お前ってのはスネークの事。

「じゃあ映画館に向かうか…」

とにかくまとまったのならタケモトに会うことが先決だ。
首輪を手渡して解析に役立ててもらう。おそらくそれが首輪無効化の一歩になるだろうから。

「待て」

制したのは馬岱だった。

「何だ?何か忘れ物でもあるのか?」

「お前達。話に聞いたところでは図書館に置手紙があったから映画館に向かうと言っていたな」

「その通りだ。それがどうかしたか?」

「俺達でさえこんなに動き回っている。そのタケモトとやらがいつまでも同じ場所にいるのか?
 そしてその置手紙はいつの情報だ?時間によってはそいつはいないかもしれないぞ」

「だからと言って他に当てがあるのか?映画館に行けばまた手掛かりが見つかるかもしれないがな」

「古い情報に回されても仕方ないと言っているんだ。そいつと別れて何時間経っている?」

「待て待て、これ以上揉めても仕方ないだろ。多数決で決めたらどうだ」

「同点になったらどないするんや」

「……」

「ああいいだろう。映画館に行ってみればいいさ。死体が見つからないことを願うばかりだ」

それは本心からの言葉だった。
今タケモトに死なれては困る。上手いこと逃げ延びてくれていればいいのだが…。

チラリ、と藤崎の視界の隅に何かが光った気がした。
振り向くと同時に、他の者は臨戦態勢に入っていた。
スネークから突如として言葉を任された藤崎はそこで事の次第を知る。

光の点は徐々に拡大されてゆき、20mまで近づいたところでそれが人の形をしているのが理解できた。
あの表情は警戒か敵意か。それとも、

「お前がスネークか?」

「……それがどうした」

妙な髪形の男は宙に浮いたままスネークの名を述べた。
スネークはもちろんこの男との面識は無い。向こうも当然。
わざわざ話しかける辺りは余裕があるのか、或いは確認のためか。
相手の敵意がスネークにだけ向けられているのを一歩退いて見ていたメタナイトが気づく。
それに呼応するようにメタナイトと馬岱はスネークを庇うように立ちはだかった。

「巻き添えを食らいたくなければどけ!そいつはやる夫とドアラという奴を殺した奴なんだぞ!」

何、とべジータと言葉以外の全員が驚く。
話では、その二人を殺したのは十六夜咲夜ではなかったのか。
そしてその情報は、スネークから伝えられているもので。

(スネークが嘘をついているのか…?それともこの男がホラを吹いているのか……)

一瞬馬岱は考え、構えていた鍬を下ろした。

「スネーク、銃を下ろしておけ。……で、お前の名前はなんだ?」

「…べジータだ」

「ならばべジータ、どういう経緯でそのことを知ったのか、少し話してくれないか。
 スネークが動かないように見張っているから構わないだろう?」

スネークに今のところ目の前のべジータに何かする気はない。
馬岱のは一応便宜上の口上だ。
相手の言葉が単なる時間稼ぎではなく本心のものだと知るや、べジータはそれに応じた。

(ここで無闇に荒事を起こしてもマイナスにしかならんしな…。それに、ヤツのことも気になる)

ベジータは疲れですっかり寝入っている言葉を見つめた。
別に殺されようとしている様子ではなかったうえに、事情を訊くのは目が覚めてからでもいいだろうと思った。

ーーー説明及び議論に数十分ーーー


「つまりお前は十六夜咲夜からの伝聞で全てを信じたわけだな?」

「貴様らとて同じことだ。その内容もそいつから聞いた事でしかないだろう!」

スネークの話が真であると証明することは不可能だ。
主催者側にいる者達ならばいざ知らず、その場で起こった出来事を見ていたのは咲夜と彼だけなのだから。

「でもなぁ、お前の話聞いてるとそいつがお前にスネークを倒すように嗾けてるようにしか思えんのやけど……」

「ハッ…!」

べジータは何かに気づいたような顔をして呆けている。
彼の脳裏に浮かぶのは、咲夜の数々のセリフ。

『そんな悠長なこと言っていられるのかしら?いくらブロリーやDIOが死んだからといっても、まだ呂布やスネークがいる。のんきに休んで他の参加者を見殺しにするつもり?』

『だとしたらすぐにでも駆けつけるべきよ。貴方の助けが必要な人もいるかもしれないわ』

『これで分かったかしら?スネークがまだ生きている以上安心は出来ないわ。スネークに命を狙われている参加者もいるかもしれないのよ』

沈黙。
そして、

「命を狙われてるのは貴様自身の所為だろうが、十六夜咲夜……!!」


周りも沈黙で見守る。
御愁傷様といった雰囲気で。

「許さん……よくもこのべジータ様をコケにしてく「ちょっといいか?」れたなあァァァぁぁ……あ?」

遮ったのはスネーク。
疑いも大体晴れたところでようやく口がきけた。

「お前はこれから咲夜と戦いに行くつもりか?」

「当たり前だ!いいように扱われたまま黙ってられるか!」

「ならば俺達も行こう」

べジータにとっては予想外。
彼らにとっては当然の成り行きだった。

「奴には瞬間移動のような特殊な能力がある。単独で戦っても思う壺だろう」

「そうか…だがそいつらはどうする?いくらなんでも全員が戦えるわけじゃないんだろ」

未だに寝たままの言葉とそれをかかえた藤崎を見やる。
確かに彼らは戦闘において足手纏いだ。

「下手に近づかんかったらええだけの話やろ。なら問題ないて」

「いや、それは危険だ。俺は周りの気を探れるが精々半径500m程度だからな。戦闘中ともなればあまり気は割けない」

「最寄の建物に避難してもらうか……」

そんな時、べジータはいきなり後ろに振り向いた。

「な、なんや?」

「誰かこっちに真っ直ぐ近づいてくるぞ……。知らない奴だ。…2人?」

べジータの向く方向に目を凝らすが何も見えない。
夜間に常人の視力で数百メートル先から向かってくるものを見ろと言われても無理だ。
しかししばらくすると、車のライトらしきものが見えてきた。

距離はすぐにゼロになり、車はようやく停止した。
警戒しつつスネークは運転席を確認する。乗っていたのは、

「藤崎か。よかった、生きてたんだね」

チルノと見知らぬ男だった。
スネーク達も話には聞いている。

「その横のは誰なんや?」

「私はグラハム・エーカーだ。一介の軍人だが、今はこの少女を護っている」

男に敵意は感じられない。
そこでようやくスネークは警戒を解いた。
各々が適当に自己紹介を進める中、馬岱はチルノに近づいていった。

「それにしてもよく生きていたな。知り合いがいるってこと自体驚きだったが……」

「……あんた、誰?」

「え……」

二人の間に気まずい沈黙が流れる。
少しすれば一応お互いの状況は察したのだが、

(多分別の世界であたいと会ったんだろうな……見覚えないけど)

(呂布もそうかと思ったらお前もか……全く難儀な世の中だな)

思うことは違うようだ。

「ところでチルノ、タケモトらはどないしたんや?」

核心の質問。
チルノと同行していた筈のタケモト達は、一体どこにいるのか。


「あたいについてきて。タケモトはデパートにいるから」



sm227:ドナルドのパーフェクトこうさく教室 時系列順 sm228:焦燥
sm227:ドナルドのパーフェクトこうさく教室 投下順 sm228:焦燥
sm223:裏切り メタナイト sm228:焦燥
sm223:裏切り 馬岱 sm228:焦燥
sm223:裏切り 藤崎瑞希 sm228:焦燥
sm223:裏切り ソリッド・スネーク sm228:焦燥
sm223:裏切り 桂言葉 sm228:焦燥
sm224:とあるメイドの情報戦術 ベジータ sm228:焦燥
sm226:正義の味方Ⅴ -You're Not Alone!- チルノ sm228:焦燥
sm226:正義の味方Ⅴ -You're Not Alone!- グラハム・エーカー sm228:焦燥
sm226:正義の味方Ⅴ -You're Not Alone!- タケモト sm228:焦燥
sm226:正義の味方Ⅴ -You're Not Alone!- ときちく sm228:焦燥
sm224:とあるメイドの情報戦術 十六夜咲夜 sm228:焦燥
sm226:正義の味方Ⅴ -You're Not Alone!- 鏡音リン sm228:焦燥






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