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第三放送 ◆jVERyrq1dU




「────運営長」

左上の澄んだ声が部屋に響いた。その顔は氷のように白く、何の感情の起伏も感じさせないくらいに平坦な印象を見る者に抱かせる。
運営長の老いた両眼は能面のような左上の顔を薄く見据える。特に左上に用事があるわけではない。
運営長は右上を何度か叱ったが、左上に関してはノータッチだった。左上は命令した事を愚鈍なまでに忠実に実行する、ある意味で究極の部下。
奇想天外にして突飛にして非凡な発想力と遊び心を持つところが魅力の右上とは違い、放置していても何の問題のない部下だ。
その左上が、自分の意思で運営長が籠る部屋へとやってきた。

「……ふむ。どうした? 何かアクシデントでも起きたのか?」
「アクシデント……。そうですね。アクシデントと言えばアクシデントでしょう。
 私は、ロワ運営に関して明らかに不安要素となるアクシデントについて、
 何の対応もとらない運営長殿に対して疑問を覚え、一言物申しにやってまいりました」
左上の冷徹な瞳が運営長を正面から見つめる。いかに運営長とはいえ、右上とは違い、この女の瞳からは何の機微も捕える事は出来ない。
愚鈍なまでに職務を忠実に遂行し続ける事で漸く培った瞳なのだろう。

「ブロリー、です」
運営長が今最も警戒している参加者の名前を、左上は淀みなく言い放つ。
「彼の首に巻かれたリミッターが日中、完全に消滅した事をご存じのはずです。私と右上は、職務通り貴方にこの事を報告いたしました」
「うむ……それに関しては確かに承知しておる」
運営長が苦々しげに言う。それを見て、左上は怪訝そうに目を細めた。
「承知しているのなら、どうして何の対策もとらないのですか?
 今は弱っていますが、もし今後、首のリミッターと同じく額、腰のリミッターが消滅してしまえば手がつけられなくなります。
 言うまでもなく、現在のブロリーはバトルロワイアル遂行への最大の不安要素です。
 そうやって静観しているのは、ブロリーの本来の戦闘力をご存じないからですか?」

愚鈍なまでに生真面目、そしてバトルロワイアル遂行という職務に忠実な女だ。運営長は改めてそう思った。
右上とは違い、自分が正しいと思った事に関しては当然のように意見してくる。
怒らせると首をはねられかねない運営長を相手にしても、それは同じである。

「ブロリーについては……保留という形で、しばらく様子を見る事にしておる」
「保留? 保留している間にもしブロリーが本来の力を取り戻したら、いったいどうなさるおつもりですか?
 我々が持ちうる全戦力を総動員しても、全参加者達の力を結集させたとしても、本来のブロリーを前にしては、一瞬にして宇宙のチリです」
「しかしな…………」

渋る運営長を見て、しばらく沈黙する左上。
しかし、いつまで経っても口を開かない運営長に、左上は業を煮やし今まで以上に冷徹な雰囲気を纏って、口を開く。

「一刻も早く、我々の手でブロリーを殺害すべきです。奴はバトルロワイアル遂行について、害以外の何者でもない。
 危険を無視して生かしておくメリットなどどこにもない。違いますか?」
「覚えていないのか?制限と首輪は直結している。お前の言うとおり、奴を殺すためにわしがここで奴の首輪を爆破させたとしよう。
 しかしそれで殺せるとは限らない。制限が一つ外れている奴なら、万が一にも、生き残るかもしれない。
 もしそうなれば最悪だ。奴を殺せないまま、制限と言う鎖を消滅させる事になる……」
運営長は左上に向かって捲し立てた。左上は相変わらずの無表情で沈黙している。

「今の段階ではこのまま静観を貫き、サンレッドやベジータ達対主催どもにブロリー討伐を任せるのが最も賢い方法だ。
 ブロリーの首輪を爆破する事は常に危険が付きまとって来る……」
一旦言葉を切り、運営長は厳格な態度で続きを話す。
「それに、ブロリーを我々の手で殺害するのはあまりにも味気ない。良いか?わしは殺し合いを望んでおるのだ……。
 血みどろで嘆きと苦痛が絶えない阿鼻叫喚の地獄絵図。ブロリーはわしが望むバトルロワイアルを実現させるための優秀な駒でもある。
 今の段階では、リスクを犯してまで首輪を爆破する事は出来ん。これからの経過をしばらく見守るべきだ」

一息に言いきる運営長。右上が恐れた運営長の狂気だったが、左上はそんな狂気を相手にしても意見を曲げはしない。
左上は口を荒くして、運営長に反論する。

「運営長、お言葉ですが貴方は殺し合いに酔っています。右上に毒されています!
 現状が理解出来ませんか?ブロリーという不安要素を殺害するのは今が最も好機なのです。
 奴は先ほどのサンレッド、ベジータ達との戦い、さらにPAD長との戦いで大きく消耗している。
 今、首輪を爆破せずして、いつ爆破すると言うのですか?後になって悔やむつもりなのですか?

 さらに言うとサンレッドやベジータはもう放っておいても死亡しそうなくらいに限界です。
 他の対主催達に関しても、彼らのほとんどが危険人物、ないしは足手まといを抱えている。連中にブロリーを殺せるわけがない!
 参加者にブロリー討伐を任せるのはあまりに安易な発想です!貴方はブロリーという重圧から逃げている!」

左上は運営長の考えが理解出来なかった。何よりも最優先されるのはバトルロワイアルを完遂させる事だ。
参加者達の絶望、苦痛、争い、裏切り、その他全ての参加者間のいざこざを優先するような事は決してあってはならない。
微塵たりともあってはならない。バトルロワイアルを終了させる事が唯一にして最大の任務。
例え参加者達に嘗められるような事があっても、危険と言う理由だけで一参加者の首輪を爆破しても、左上にとっては何の恥にもならない。
左上にとって、バトルロワイアルを予定通り終了させる事が出来ればそれでいいのである。他の全ての物事などは、はっきり言って何の価値もない。

「左上……!お前はバトルロワイアルの『質』について考えた事があるか?
 上手くバトルロワイアルを終了させられたとしても、その内容がお粗末ならば何の価値もない!
 参加者達の正当なる殺し合いに我々が手を出す事は、第三者による手前勝手な介入は、バトルロワイアルの品質を大きく下げる!
 ましてやブロリーの首輪は」
「もういいです!」
運営長の言葉を切り、左上は割って入る。

「いいでしょう……運営長。ならば私が、私がブロリーを殺して参りましょう」

意外な言葉に、運営長は思わず沈黙した。
「ブロリーの首輪を爆破する事をなるべく回避したいという運営長の考えは重々理解しました。
 しかし、私自らがブロリー討伐に向かうのであれば何の異論もないはずです」

「────馬鹿野郎!!!」

突然部屋の扉が開き、右上が現れた。怒りの形相で左上を睨みつけている。
のしのしと左上に向かって大股で歩き、左上の胸倉を思い切り掴んだ。
「突然現れて、どこを触っているんですか?私は一応女ですよ?」
「糞真面目なロボットにもオスメスの区別があるとはな。今初めて知ったよ」
仕方なしに右上は左上を睨みつけながら突き飛ばす。

「右上。突然現れて、何の用だいったい」
右上は思い出したかのように運営長に顔を向け、そしていつものように人をからかうかのような、へらへらとしただらしない表情を見せた。
「運営長。俺はずっと部屋の扉に耳を付けて、こいつと運営長との話を盗み聞きしていたわけなんですが……
 こいつの糞真面目な態度と考えに、今まで溜まりに溜まっていた鬱憤がとうとう爆発してしまったようなんですよ」
「…………」
運営長は沈黙している。

「私は今までに一度たりとも貴方にとって不都合な行動や思考をとった覚えはありませんわ」
「それ、ギャグで言ってるのかい? いいかい左上サンよ。今までに何度も何度も繰り返した俺の有り難い忠告だが、
 あんたの耳にはまだタコすら出来ずに愚かな行動を繰り返しているようだからもう一度言ってやる。
 いつものように糞真面目に直立して、俺の話を一言一句残さず聞き取りやがれ」

「いいか?あんたの考えはつまらない。誰も得しない愚かな考え、生き方、性格、人間性、ユーモアの欠片もない愚鈍さ……
 お前という人間は完全に誰得だ。お前の言うとおりバトルロワイアルを運営していけば、
 誰も得しない、誰もがつまらないと言うようなバトルロワイアルが出来上がるだろうぜ」
怒りのまま言葉を紡ぐ。そのおかげか、かなり辛辣な内容である。しかし左上は右上の理不尽な中傷にも眉一つ動かさない。
そして、厳かに右上に反論する。

「相変わらず、貴方の頭の中は必要のないもので充ち溢れ、飽和し、腐っているようですね。
 何よりも優先されるのは【バトルロワイアルの完結】。それは異論ないはずです。
 貴方の考えはバトルロワイアルを上手く運営する上で、障害にしかなりえない」

「それは異論ないはずです、だって? やっぱり根本的に考えが違うようだねぇ、左上サンよ。根っこから勘違いしているようだから言ってやる。
 何よりも優先されるのは【極限状態における参加者達の行動】だ。それを阻害するような事をしてどうする。アホなのか?
 バトルロワイアル運営に何か障害が起こればその障害を俺達だけで粉微塵になって働き、解決すればいい。
 参加者達がロワに障害をもたらしてくるなら正面から相手をしてやればいい。いいか?運営に拘って質を低下させるな」

右上の言葉に、運営長は首を傾げた。
「右上、貴様、さっきはブロリーが驚異なら首輪を破壊すればいいと言ってはいなかったか?」
この言葉に右上は凍りつく。確かにへらへらしながら言ってしまった。
「…………むむむ」
「何がむむむだ!」

あの時は運営長が恐ろしくて、とてもじゃないが本心を言えなかっただけである。
今は、左上が運営長に向かって偉そうに意見していたので、右上も本心を言っても平気だろうと踏んだのである。
勿論、左上への怒りもあった。どうしても本心を左上にぶつけたくなったのだ。

「まあ、いいだろう。お前の気持ちもよく理解出来る。【質の低下】はわしもなるべく回避したい」
右上はその言葉を聞き、ほっと一安心する。

「よく分かりませんね……質とやらが低下するからと言ってブロリーという不安要素を無視するのですか?
 何よりも重要なのはバトルロワイアルを円滑に終わらせる事です。ブロリーは始末しなければならない。
 首輪を爆破するとバトルロワイアル未完遂の可能性が少なからず出てくるのであれば、私が始末してきましょう」
「何も分かってないねぇ。運営長も先ほど仰ったはずだ。第三者の介入は絶対にあり得ないのさ。
 考えてみろ。バトルロワイアルって奴は参加者どもが極限状態の中、縦横無尽に右往左往するところが面白いんだ。
 そこに俺達が手を出したら全て台無しだろうが。本質を見極めろ」
平行線な議論に嫌気がさしたのか、どうしても自分の考えを理解しようとしない右上への怒りが募って来たのか、
左上の眉がとうとうぴくりと動いた。

「その口ぶりからして、貴方はバトルロワイアル運営におけるあらゆる不安要素を全て無視するつもりのようですね。
 例え首輪が外されようとしても、例え参加者の内誰かが会場から脱出しようとしても、貴方はその全てを静観するのですか?
 快楽に取りつかれたギャンブル狂のような考え……私には理解出来ません」
左上が言う問いに、素直に答えるべきかどうか、右上は一瞬だけ躊躇した。
だが、先ほど思うがままに本心を述べていた左上を思い出し、本心をそのまま述べてやろうと決意した。
左上はいけ好かない女だが、相手が誰であろうと自分の考えをはっきり述べる、ある種の意志の強さは、素直に尊敬できる。

それを見習って、俺も本心をありのままに伝えてやろう。

「上等ってやつだよ。首輪を外せるものなら外せばいい。脱出出来るものならすればいい。その上で俺達は相手になる。
 首輪を外して捨て身の反撃を仕掛けてきた対主催が今後現れるようなら、全身全霊の力を持って連中と戦い、勝利してメシウマしてやんよ。
 それでこそ、バトルロワイアルは最高に盛り上がるはずだ。まあ、そんな事……ここにいる生真面目な運営長殿が許してはくれんだろうがね」

「……狂気の沙汰です。貴方は快楽に取りつかれている」
「狂気の沙汰ほど面白い……って言葉を聞いたことあるだろ?あまりにも馬鹿馬鹿し過ぎて覚えていないか?
 まあ、効率主義の狂信者であるあんたの目を通すと、アカギなんざ理解不能な愚か者でしかあり得ないんだろうな」
左上は沈黙して、それから大きく溜息を吐いた。右上とは完全に馬が合わない。これほどまでにいけ好かない男は初めてである。
そして、そのいけ好かない右上は、組織のトップである運営長までその悪しき思想で染め上げようとしているのだ。

左上はもう一度溜息を吐き、ぽつぽつと話し始める。
「貴方が、貴方の本心を正直に述べるのであれば……私もこの際、言いたい事を言ってしまいましょうか……」
「ははは。どうせ下らん事を言うのは目に見えてるぜ」
嘲笑する右上を、左上は半ば本気になって睨みつける。

「……私は何としてもバトルロワイアルを完結させたい。首輪を外される事なんて絶対にあってはならない……。
 脱出なんてありえない……ありとあらゆる綻びをなくし、最後の一人が決まるまで、何のアクシデントも絶対にあってはならないんです。
 バトルロワイアルを確実に終了させるために、ブロリーは勿論のこと、首輪解除フラグを持つ者全員の首輪を爆破してやりたい!
 まあ、そんな事……ここにいる快楽主義の運営長殿が許してはくれないでしょうが……」
左上は運営長の目をじっと見つめた。狂ってやがる、と右上は呟き、心の底から呆れた。

「運営長!お願いです!ブロリーの殺害をこの私に命じて下さい!
 確実に殺害し、バトルロワイアル運営における憂いを完全に断ち切って見せましょう!」
「黙れ左上!そもそもお前なんかがブロリーに勝てんのか!?」
右上は怒り、叫んだ。右上の問を無視出来なかったのか、左上はちらりと横目で見て、返答する。
「確実に殺せます。おそらく、戦闘にすらなりはしないでしょう。今のブロリーは弱っている。
 参加者ならともかく、ゲームマスターの一人である私ならば、奴に気づかれずに暗殺する手段など腐るほどあります」

淀みなく言い切った左上に、右上は呆れの混じった、怪訝そうな表情を返した。
「お前のような論理しか信じない女には殺せるわけないぜ?奴を殺すには熱さと信念が必要だ!」
「この期に及んで訳の分からない事を言わないで下さい」
左上は右上を嘲笑したが、右上は意に帰していない。そして、右上は左上に向かってではなく、運営長に向けて、口を開く。
ここまで来たなら言ってしまえ、右上は決意を胸に秘め、ブロリー打倒への秘策について話す。

「運営長!この生真面目な女の言う事を一々鵜呑みにすれば、バトルロワイアルはまさに誰得と言われる内容になってしまいます」
「黙りなさい!ブロリーを放置する事は、決してあってはならない!」
左上が罵るのを、右上は手をかざして遮る。
「そう!ブロリーを放置する事は確かに危険だ。そこでだ、俺はちょいと面白い策を思いついてる。
 ブロリーを殺せて、バトルロワイアルの質も恐らく向上するであろう、素晴らしい策です。なぁに、簡単な事です」
右上は運営長ににやりと笑みを見せつける。今まで右上と左上の口論にじっと耳を傾けてきた運営長は、興味深げに話の続きを促す。

「現在ブロリーがいるエリア、そして奴が今死にかけていると言う事実を次の放送で言ってやればいい……!」

右上は勝負あったな、と勝ち誇った顔を左上に見せつける。
「放送でこれらの事を言えば、ブロリーに恨みを持つ者はこぞって奴のいるエリアに討伐へ向かうでしょう。
 一番行きそうなのは、まあ、死にかけだが、ベジータサンレッドゆとり組。ブロリーをこの際殺してしまいたい連中は他にも沢山いる。
 これでバトルロワイアルの一つの醍醐味である、魂のぶつかり合い、所謂戦闘って奴が発生し、大いに楽しめるし、
 さすがのブロリーも放送を聞いてわんさかやって来る参加者どもが相手ならば死ぬしかないでしょうよ」
運営長は右上の提案を聞き、微妙な表情を示している。左上に至っては呆れを通り越して絶望、といった表情だ。

「反論させて頂きます」
「またか……」
当然のように口を出す左上に、右上はさすがに嫌気がさした。

「まず、その策の問題点は、ブロリーが確実に死亡すると言いきれない所にあります。
 貴方の無駄なものが詰め込まれた脳内では、ブロリー打倒のために沢山の参加者が動くと思っているようですが、
 実際はほとんどいないでしょう。さっきも運営長に言ったのですが、対主催のほとんどは危険人物、もしくは足手纏いと行動を共にしている。
 ブロリーにまで手が回るはずがない」
「それでも、何らかの戦いは起こるはずだ。ベジータ達がブロリーをこのまま放置しておくとは思えないね」
「ブロリーを殺せるかどうかは分からない。貴方の大好きな戦闘はおそらく起きるでしょうけれど……。
 さらに言うと、そんな放送を流すと頭の良い参加者にロワ運営に何かあったのではないかと、気づかれてしまうかもしれません。
 そうなれば、また新たな不安要素が生まれてしまいます」
右上は苦々しそうな表情をしている。

「考えすぎだ。それにな、少しくらい不安要素があった方が対主催どもに希望が生まれて後々面白いんだよ。
 先に希望を与えておいてから叩き落した方が奴らは絶望するだろ?面白いだろ?」
「ありえない……」
呆れている左上を無視して、右上は運営長へと向き直る。そして、声高らかに言い放つ。

「丁度次の放送は俺の番だ!運営長、ブロリーの情報を参加者達に伝える事を許して下さい!」

それを見て右上に負けまいと、左上も急いで運営長に向かって口を開く。

「ブロリーは確実に殺害しなければなりません!首輪を爆破出来ないのであれば、運営長!どうか私にブロリー殺害の許可を!」

互いが互いを牽制しながら、必死になって運営長に懇願する。
右上か左上か、本能か理性か。三人の中で唯一本能と理性を併せ持つ運営長が選ぶのは……はたしてどっち!?

▼ ▼ ▼

時は来た。放送が始まる。右上はマイクに向かっていつものようにだらしない声を出す。

「やあ、お前ら久しぶりだな。久しぶりっつってもたかが半日ぶりなんだが……
 どうだい?バトルロワイアルって奴に参加していると時間の流れが極端に遅く感じたりするんじゃないか?
 まあ、俺の方としてはこの12時間は驚くほどあっという間に過ぎていったな。お前らが次々死んでいく様は素晴らしい娯楽だ。
 面白くて面白くて……な。時間も忘れるの当然って奴だ。おっと、今のは挑発じゃないぜ?単純に感想を述べただけだ」
右上は楽しそうに、まるで歌でも口ずさむように喋る。

「この6時間は色々あったな。魂が震えるかのような熱い死もあり、心の底から鬱になるような悲しい死もあり、
 あっけない死から華々しい死……バトルロワイアルってのは色んな死の形を見れるから面白いよな?
 見ている俺でもこれだけ楽しいんだから、参加しているお前らは楽しくて楽しくて仕方がないんじゃないか?
 おっと、念のために断っておくが、今のは純粋に挑発としてとらえてくれて構わないぜ?」
右上は楽しそうにからからと笑った。

「さぁて、それじゃあ死亡者発表といこうか」

 ブロントさん
 古手羽入
 日下部みさお
 松岡修造
 コンバット越前
 ビリー・へリントン
 キーボードクラッシャー
 海原雄山
 逢坂大河
 因幡てゐ
 志々雄真実
 トキ


 おいおいおいおい、とうとう残り人数が半数切ったぜ?残り32人だ。すげえな、お前らやる気満々だなw
 盛り上がってるようで嬉しい限りだよ、ほんとに。続いて新たな禁止エリア発表といこうか。

 言うぜ?20時からE-6、22時からB-1だ。オーケィ?」


「さぁて、この禁止エリアで困る奴はいるかな?いてくれたら嬉しいんだがな!
 さあ、長話しててもだれるだけだからそろそろ後半戦開始と行こうか!
 それじゃあまた6時間後な! 次は左上が短い放送するんでよろしくー」

▼ ▼ ▼

「右上さん……運営長の言いつけ通りに放送しましたね。少し意外です。
 命令を無視して、先ほどの提案通りにブロリーを殺せと罵るかと思っていました」
「俺はあんたと違って空気を読めるの!ま、俺も命令守ったんだからあんたも守れよ?
 俺の意見同様、あんたの意見もあのジジイに却下されたんだからな?」
「勿論です。私は空気を読みませんが命令は忠実に守ります」

それからも右上は暇なので左上に何度も話しかけ、その度に彼女を馬鹿にした。
左上はいつものように右上に視線すら向けず、柳のように右上の言葉をかわし続けた。
右上は飽きたのか、沈黙する。その沈黙を破り、左上がぽつりと言った。

「ブロリーは絶対に我々の手で迅速に殺すべき……どうして運営長は……」
「……未練が残ってんのか? まあ、気にすんなって。俺の提案だって断られたんだから。
 一旦忘れて、これからは仲良く協力して働けば、きっと運営長だっていつかは俺達の提案を聞いてくれるさ」



結局、運営長が選んだのは【保留】という選択。
右上も左上も、ブロリー対策として彼らなりに今出来得る最良の行動を考え、そして提示して来たのだが、運営長はばっさりと二つとも却下した。
二人が考えるブロリー対策は、一言で言うとどちらも極端すぎる。
極端すぎるがゆえに効果は見込めるかもしれないが、その分失敗した時のリスクも高い。
ブロリーは弱っている。これは事実。放っておいても、参加者の誰かがブロリーを殺害してくれるかもしれない。
そんな希望がまだ残っている。ブロリーが死ぬ希望が残っている間は、あまり派手に動くべきではない。
否、動きたくない。

本能と理性、二つの相反する性質をそれぞれ一つずつ持つ右上、左上という二人の部下。
どちらも異なる意味で優秀な部下だ。右上は想像力と自主性に富み、左上は忠実さと正確さに長けている。
彼らが互いに互いを尊重する事を覚え、協力しあう事が出来れば我々はきっと最強の組織になる……



本能と理性を併せ持つ運営長が選んだ選択は【保留】
この選択が正しいのか、それとも右上の提案が正しいのか、左上の提案が正しかったのか……。
誰の選択が正しいのか、間違っているのか、今はまだ分からない。

「それにしても、死亡者の出るペースが落ちませんね。色々と不安要素がある中、ペースが落ちないのは正直助かります」
「すげえ殺伐としてきたもんな。血で血を洗うって感じで俺的にすげえ好みだね」
「無差別マーダーの数が少ない事が気にかかりますが……ね」
「まあ、気にすんなって!今は無駄な事をしてる奴もその内殺し合いをせざるを得ないってのがバトロワだよ。俺が保障してやんよ」
左上は右上をじとりと見る。右上は楽しそうに笑っている。
「何を指して無駄と言っているのか……。無駄無駄言いたいだけでしょう? DIO様じゃないんですから……常識的に考えて」

正反対な思想と性格を持つ割に、よく喋る二人である。
ブロリーの処遇について運営長、右上、左上がそれぞれ考える中、殺戮ゲームの後半戦が始まる。
はたして参加者達の運命はどのような方向へと向かうのだろうか。

※ブロリー対策はとりあえず保留



sm186:―――世紀末 時系列順 sm188:いかなる恐怖にも動じずブロリーを打倒
sm186:―――世紀末 投下順 sm188:いかなる恐怖にも動じずブロリーを打倒
sm169:熱戦の裏側、眠れる恐怖 右上 sm197:DEATH CARD GX
sm146:第二回定時放送 左上 sm197:DEATH CARD GX
sm169:熱戦の裏側、眠れる恐怖 運営長 sm213:そして時は動き出す






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