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OP27 ◆8KqITOPugQ


……頭痛がする。
一姫の執拗な誘いを断るときのような精神的なものではなく、少々物理的な。
例えるならテスト勉強でほとんど寝ていなかった日の翌日といったところだろうか。痛いというより頭がずんと重いといったほうが適切かもしれない。

そういえばここはどこだろう。あまりに暗いので勝手に布団の中だろうと思い込んでいたけれど、手を伸ばしてもベッドも布団もここにはない。うら若き乙女がなんてところで寝ていたのかはしたないと自分を叱り付ける。
おまけにどうやら制服姿のままだ。スカートを軽くはたいて埃を床に払い落とす。
わけがわからない。けれど、それ以上に。
そのとき触れた煉瓦かなにかを敷き詰めたような冷たく硬い床の手触りが、あたしに不安を抱かせた。

「みんなお目覚めかな? とはいってもまだ夜中だけどね」

見知らぬ若い男の声とともに光が戻り、灯篭の火が石造りの広間をめらめらと照らす。
海外の古城を思わせるそこには自分以外にも1クラス分近い人数がいて、皆声の主がどこにいるのかと探しているようだった。
おかしいのは、その全て―――自分さえもが、首元に銀色の首輪をはめていたこと。
これじゃあまるで監禁されたみたいじゃないか……というか本当に誘拐されてるのか?
触ってみるとなんと金属製で、サイズ的に外せそうにない。女子高生に首輪はこのご時世色々まずいだろうとも思うけれど、そんなことを考えている場合ではないかもしれない。
隣にいた長身の男性に声をかけようとしたが、見上げてみれば西洋人だしファッションセンスもおかしい。日本語が通じなかったら面倒だなと思ってやめておく。

不意に足元からモーター音が響き、遠くの床から人影がせり上がる。
その姿は何故か、誰もが知っているファーストフード店のマスコットにとてもよく似ていた。

「やあ。ドナルドです」

見たままだった。
本当にドナルドだったことには驚いたけれど、だとしてもこれは何のサプライズイベントなのかという謎は残ったままだ。
少々の異変にはもう慣れっこだ。どうやってここに連れてこられたのかは考えまい。
ドナルドが告げた。

「これからみなさんには、殺し合いをしてもらいます」

そのあと生き残れるのは一人だけとか東洋呪術でいう蠱毒に近いだとかルールらしきことを言い続けていたが、正直聞く気にならなかった。
配る荷物についている小冊子にも同じことが書いてあるそうだし、なにより……馬鹿馬鹿しすぎる。優勝者にはなんでも願いが叶うこの巨大なマックフルーリーを進呈ってそりゃないだろ。
どうしてドナルドが遊園地のホラーハウスじみた真似をすることになったかは知らないが、いくら子供に好かれない外見だからってその転向はない。
けれど、そのピエロのイベント説明を真に受けた御仁もいたようだ。
隣の男性がドナルドヘ向かってついに駆け出した。ひょっとしたら変な衣装を勝手に着せられて既に怒り心頭だったのかもしれない。というか今のが理解できてるってことは日本語通じたのか。

「道化の分際でこのDIOを駒扱いか。身の程を知ることだなッ!」

目を疑った。
瞬きすらしていなかったはずなのに、前方に飛び出していったはずの男はまた隣にいて、怪我でもしたかのように膝をつき息を荒らげていた。

「ハハハッ、自分が本来の力を出せない状態な事にも気付けなかったのかな? 一方的な殺戮でなく殺し合いをしてもらうためにはやっぱりハンデがないとね。
それに、君だって抵抗すらできずに気付いたら拉致されていたんだろう? それだけ僕と実力差があると思って欲しいな。ドナルドからのお願いさ!」
「……興味深い。貴様、本当にあのハンバーガー屋の『ロナルド』か?」
「もちろん。僕は『ドナルド』さ!」

これもイベントの一環なのだろうか。酔っ払いが殴りかかる前にサクラを使って殴っちゃいけないとわからせるような感じの。
そう気楽に思っていたのに、そうではないと思い知らされるのはすぐだった。

「そろそろみんな気付こうよ。今の君たちには従うか死ぬしか選択肢しかないってことにさ!」
ドナルドは自らの首を指差し、次いで手品のようにリモコンを取り出して握る。
孫悟空の頭の輪っかのようにみんなの首輪を締め付けたりできるんだろうかと考えていると―――
割と近くにいた金髪の少年の首輪が数回鳴り、なにが起こるのかと首元を見つめた少年の首がボフッという音ととも落ち、血飛沫が上がった。

「きゃああああああああああっ!!」

首輪は、意に沿わぬ相手を殺すための小型爆弾。
気が遠くなりそうでも、少量づつ流れ続ける血から目が離せなかった。必死で今爆発したのは作り物の人形だという証拠をなんとしても見つけたかった。
けれど、どう見ても、その少年の遺骸は、さっきまで生きていたもののそれだった。

「レン! レぇン!」

彼の妹だろうか。よく似た服を着ている少女が倒れた胴体に必死に声をかけ続けていたが、既にそれは重傷者ではなく物言わぬ死体。見かねた誰かが落ち着かせようと羽交い絞めにして息をふさぐ。

「いい心がけだ。話は静かに聞かないとね。僕としても折角集まってもらった君たちを殺し合いもさせずに『処理』したくはないから。
このあと転送する会場での行動は自由だけど、人を襲ったり騙したりできないと結局無駄死にしちゃうから、生きて戻りたいなら嫌なことでもちゃんとやろうね!」

張り詰めた空気の中、説明を続けるドナルドの声だけが静かに広間に響きわたる。
まだ困惑している人・絶望を隠せない人・静かな怒りを湛える人・全く動じない人。
そしてどうしても実感が沸かず、話もまともに聞かずあたりを見回すだけの自分。傍目にはこれも平静そうなに見えるのだろうか。それとも冷静だと思っているのは自分だけで本当は取り乱してしまっているのだろうか。

「とまあ、こんなところかな」

いつのまにか、彼の説明は終わっていた。禁止エリアがなんのことなのか少し聞き逃したけれど、自分以外の全員が一度聞いただけで覚えられる天才でもない限りそれも小冊子に書いてあることだろう。

「じゃあ僕はもう一つのグループにも同じ説明をしないといけないから、これで失礼するよ。聖杯をそんなアイスの入れ物に使うな! ってイリヤも無線で怒ってたしね。
あ、それから念のため。クーポン券は名前を読み上げるとすぐ出てくるから、頭上に掲げて叫んだりすると出てきたものに潰されかねないから気をつけて。それじゃあグッラック!」

ドナルドがそう言い終えた途端、あたしの意識はまた闇へと沈んでいった。

《ニコニコ動画バトルロワイアル(β) 開幕》

主催者
【ドナルド・マクドナルド@ドナルド】
協力者
【イリヤ@タイガー道場】

参加者
【キョン子@性転換ハルヒ】
【DIO・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【鏡音リン@VOCALOID】

死亡
【鏡音レン@VOCALOID】





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