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機動拳士リリカルさのすけ デバイスジェネレーション・ギャップ ◆xHiHmARgxY






起 特命エリアサーチ18XX


 青々と茂る枝の隙間から、木漏れ日が差し込む。
 朝の日差しをその身に受け、相楽左之助は森を行く。
 その身に装着したローラースケート型デバイス、マッハキャリバーの導きに従い、かつてその道を通った参加者との合流を目指して。

「こっちでいいのか!?」

『ええ。前方約30メートルの少し開けた所まで直進です』

 マッハキャリバーの言葉に顔をしかめ、歩みを若干緩める左之助。

「その“めーとる”ってヤツは止めてくれって、さっきも言っただろ。
 言いたい事は何となく分かるんだが、イマイチ実感が掴めねぇ」

『そうでした、サノスケ』

 メートル法が日本に導入されたのは明治19年。生まれが万延元年、江戸時代である左之助は、尺貫法で測るのを当然の事としていた。
 1メートルというのがどのくらいかはマッハキャリバーから聞いたものの、つい何尺何寸と自分の知る単位に直して考えてしまうのも致し方ないと言えよう。

「まあいいか。んで、この先は?」

『前方右手に進み、窪地を突っ切って下さい』

「よっしゃ、行くぜぇ!」

 言って左之助はその足を早めた。森の中という、どう見ても足場がいいとは言えない状況に関わらず、その足取りは確かな物だ。
 ローラースケート、いやスケートさえ知らない筈の人間とは思えないバランス感覚で、マッハキャリバーの指示に従って進んで行く。
 左之助の研き抜かれた技術と、黎明の間行った鍛練の成果による、本来の使い手ではないとは思えない程遜色ない動きで――

『サノスケ、木の根が張り出しています。回避して――』

「分かってらぁっ!」

 声と共に地を蹴り、根を飛び越える左之助。

『――着地したらその場で一旦……駄目です。速い!』

「のわっ!?」


 遮った言葉の続きを耳にし、その意味を把握するより先に、急に視界が開けた事に左之助は驚きを見せる。
 その驚きは、加速を付けて跳んだ足先が、着地すると予測したタイミングを外した事によって上塗りされる。

 視界が開けたという事象から、己がたった今森を抜け出したという事実にたどり着く前に、左之助は予想より低い地点で足を地に着ける
 森と平原との境目、その一部分に高低差が生じていた事実を知る由もない左之助は、勢い余って斜面となっている箇所まで跳んでしまったのであった。

 下り勾配となっている斜面に着地した為、傾斜によってつま先が低くなり、意思に反し重力に引かれて坂を下る。
 想定外の加速に足が持っていかれ、後傾してしまった体を前に戻そうと踏ん張った左之助。
 だが、結果反作用でつま先が浮き、踵を支点にウイリーするという不安定な姿勢に――

「……」
『……』
「……」
『……まあ、こういう事もあります。相棒も最初は……』
「……」
『……』
「……行くか」
『……ええ』

 天に突き出された己の足を見つめ、左之助はひっくり返った体勢のまま、その一言だけ発した。


 森を抜けてからの移動は速やかに進んだ。
 障害物の無いなだらかな地において、その機動力を活かしクラッシャーとリンの後を追う左之助とマッハキャリバー。
 やがて彼らはE-5に架かる橋の袂にたどり着いた。
 およそ1エリア分の距離を移動した勘定になるが、人影は一向に見当たらない。

「次はこの橋の向こうだな!」

『ええ。この先です――』

 このゲームが開始されて以来、ずっと行動を共にし、お互いの意思を交わしあったからだろうか。
 なかなか姿が見えない現状でありながら、マッハキャリバーの誘導の信憑性について左之助は微塵も疑う事はなかった。
 ――少なくとも、この時までは。


『すみませんサノスケ。ちょっと待って下さい』

「ん? どうした? 走り詰めで疲れたのか?」

『いえ、そうではなく……』

 橋を目前にしてのマッハキャリバーの制止に、左之助は休憩を求めているのかと想像した。
 デバイスであるマッハキャリバーには、疲れたというより金属疲労やオーバーヒートといった単語の方が相応しいのだが。
 それはともかく、普通デバイスはこの程度で消耗するようなヤワな造りはしていない。
 マッハキャリバーが案じたのは、辿っていた熱源。それがここで――


「おい、どうしたんだ。まさか見失っちまったとかいうんじゃないだろうな?」

『……いえ、熱自体は確認できます。ただ――』

「なんだよ。えらく歯切れが悪いじやねえか」

 冗談のつもりで言った一言に芳しい返答が来ず、気になって左之助は先を促す。

 左之助自身は、マッハキャリバーの辿った経路について、少なくとも森を抜けるまでは正しかったと判断していた。
 整備されていない森林を、痕跡一つ残さず歩き切るのは一般人には不可能である。
 不自然に折れた枝、柔らかくなった地面に残された足跡。人は必ずそれらを残す。
 マッハキャリバーが示したルートには、その痕跡が僅かながらも点在していた。
 だからこそ彼はマッハキャリバーの情報を確信の域にまで押し上げていったのだ。

(尤もあれは、正解となる道を聞いていたからこそ気付けた物だ。
 前情報無しで、残された痕跡だけを頼りに追跡しろって言われたら、お手上げだった。
 答えを教わっといて後からどうのこうの言うもんじゃねえしな。その事はいいんだが……)

「どうなんだ。どっちにいったか分かったのか?」

 この言葉は、質問というよりも肯定の返事が返ってくる事を前提とした、確認の色が濃い物だった。
 左之助は当然の如く返ってくるであろう返事を待ち――

『申し訳ありません。目標をロストしました』

 ――その言葉に目を見開いた。


「どういう事なんだ……。ここで痕跡が途切れたわけじゃないんだよな?」

 マッハキャリバーの発言を思い返し、そう確認する左之助。
 しかし、言ってて自分で違和感を覚える。ここで途切れていないのならば、何故その先を辿れない?
 まさか本当に痕跡を見失ってしまったのだろうか。そんな不安に襲われる中、マッハキャリバーが言葉を発する。

『いいえ。サノスケの言う通り、痕跡は続いています。
 ――複数の方向に』


 マッハキャリバーの言葉に意表を付かれた左之助は、続けて発せられた提案――この近辺の詳細な調査に、一も二も無く同意する。
 尤も、サーチだのチェックだのと早口で外来語を連発するマッハキャリバーに押しきられたという側面もあったのだが。

 ――まず最初に調べたのは、橋の手前、川のこちら側だった。
 マッハキャリバーによると、今まで左之助達が追って来た者の他にも、ごく最近この橋を渡った人間がいたらしい。
 川の向こう、西側からやって来て、東、寒村の方へ去っていったというその人物――べジータ達である――が残した痕跡があるという事なので、それを詳しく調べるらしい。

「調べるって言っても、何を調べるんだ? まさか、詳しく調べれば、人数が分かったりするのか?」

『いいえ。残留している熱量からそれを探るとしても、憶測の域を出ない情報になってしまいます。
 この調査の目的は、熱源が追跡可能かどうかを判別する事にあります。
 時間が経ち過ぎて熱量が微弱でしたら、相手に追いつく前に痕跡が途切れてしまうかもしれません。
 サノスケは、とにかく他の参加者と合流したいのですよね? そうであれば、合流出来る可能性が最も高い相手を追跡した方がいいでしょう』

 マッハキャリバーの、合理的だがややもすれば非情とも取れる発言に、左之助は憤りを覚え、即座に反論する。

「可能性だぁ!? そんなの関係ねぇ! 救えるヤツは全て救う! 一刻も早く、――誰かの手に掛かる前に!
 誰かを追うんじゃねえ。全員を追うんだ!」

 左之助の頭の中にあったのは、左上の放送が告げた11人の死者。
 左之助が関与した者は一人もいなかったが、全てを守ると決めた彼にとって、それはあまりにも重い数字。
 放送直後はそのような素振りを見せなかったが、内面では守れなかった死者に対して、彼なりの葛藤を抱えていた。それがここに来て噴き出したのだ。
 左之助の決意を込めた言葉を受け止めたマッハキャリバーは、自らの思いを左之助に投げ返す。


『……確かにサノスケの言う通り、全員の救助が理想です。それを目指して行動するというのは正しい事でしょう。
 ですが、私達に出来る事には限りがあります。私達のボディーは一つしかないのですから。

 災害現場では、まずは先に助け出せる要救助者から救助を行います。それは、何も救助が困難な者を見捨てた訳ではありません。
 確実に助け出せたはずの要救助者を、二次災害で被害に巻き込むのを阻止する為です。
 緊急時に、より危険度の高い者を優先することもあります。ですが、確実に、一人一人救助して行かなければ、総倒れになりかねません。
 あの時あちらを優先していれば……。そう思う時が来るかもしれません。ですが、目の前の確実に救える相手から救って行かなければ、全員の救助は出来ないのです。
 救助出来る時に救助する。レスキューとは、確実に、一歩ずつ進めていく物なのです』

 マッハキャリバーの思い。それは、相棒たるスバル・ナカジマとの幾多の現場での体験と、先人から学んだ数々の教訓から来る、レスキューの精神。
 決して非情ではなく、助けたいという思いがあるからこその判断。冷静な口調の中に秘めた、熱い思いを知って、左之助は素直に非礼を詫びる。

「すまなかった。少し熱くなりすぎていたかもしれねえ。
 おめえにはおめえの考えがあるんだな。それを考えず、自分の思いだけ一方的にぶちまけちまったか」

『いいえ、私の方こそ出過ぎた真似をしました。
 マスターのサポートこそが私達の役割。判断はあくまでサノスケが行い、私はバックアップに徹します。
 このような事を話している内に、痕跡が消えてしまいかねませんね。調査を続行します。

 最後に一つ。レスキューに携わる者は、時として生還の見込みが殆ど無い任務に就く事があります。
 ですが、己の命を始めから捨ててかかっている訳ではありません。己が倒れたら要救助者を助ける者がいなくなります。
 命を懸けて行動するのは構いませんが、命を捨ててかかる事なく、必ず生きて帰るという思いを片隅に置いてかかって下さい』


 左之助の言葉にそう返し、マッハキャリバーは近辺の捜索に移る。
 最後の言葉に含まれた、己への思いを受けて、左之助は我知らず胸が熱くなる。
 外来語混じりではあったが、マッハキャリバーの言わんとする事はしっかり左之助に伝わった。全ての言葉を受け止めて、左之助もまた動き出す。

「……俺もその『レスキュー』ってやつをやり遂げるぜ。
 一歩一歩確実に、か。
 やってやろうじゃないか。この殺し合いからの脱出をな!」


承 三方一応損?

「こいつを見てくれ。どう思う?」

『凄く……ドリフトしすぎです』

 橋の東、何者かが向かったと思われる方角を調べた左之助達は、まるで酔っ払って蛇行運転を繰り返した後のような、デタラメなグリップ痕の数々を目にした。
 ドリフトという発想自体が影も形もない時代の出である左之助に何とかグリップ痕の意味を知らしめたマッハキャリバーは、D1グランプリ会場かと見紛う程の惨状を前に、己の推測を述べた。

『これは好都合です。熱源はこのタイヤの跡と同じ方向に続いています。
 恐らくここを通った人物は、この跡を見付けて辿っていったのでしょう』

 べジータ達がどのような思惑の元でこの道を行ったのかは分からない。だが、彼らは確かにこのグリップ痕が続く、F-5の寒村へ向かって行った。
 マッハキャリバーの推測は、過程はともかく結論は正しかった訳だ。

「そうか……。どうする? この先まで行って調べるのか?」

『いいえ。これだけ分かれば十分です。
 幸い熱量も追跡が十分に可能な程ありましたので、調査を終えてから追跡を始めても、十分追えるでしょう』

 太陽の戦士に炎の妖精、躁鬱の流転する王子という三人組の放つ熱気故か、子供二人と成人男性三人という単純な熱量の差故か。
 こちらに残留する熱は、今まで辿った熱よりもハッキリしていた。
 それを示して判断を下すマッハキャリバーに、特に異論も無く左之助は従い、元来た道を引き返した。
 道すがらグリップ痕に目をやる左之助は、ふと浮かんだ疑問を口にする。

「この轍は酷いな。じどうしゃって物は、こんな風に跡を残す物なのか?」

『……いいえ。普通に運転する分にはここまで酷い事にはならないのですが、これは急発進に急ブレーキ、ドリフトというよりもいっそスピンと呼ぶべきステアリングを繰り返した結果です。
 この軌道で橋を無事に渡りきったのは、奇跡と言っていいでしょう。
 ……もしかしたら、川底に沈んだのかもしれませんが』

 実際、橋への侵入角度を見る限り、欄干に激突するか川に突っ込むかの半々といった所で、無事に渡りきった姿を想像するのは困難な状況と言えた。
 そんな会話を続けながら先へ進む左之助達だったが、やがて路上に現れた物を見て言葉を失う。


「遅かった……か?」

 それは、路肩の見付けにくい位置に溜まった、人の血液。
 DIOの操るクレイジータクシーによって傷付いた、修造のものだった。

 その血溜まりから点々と続く血痕に気付き、それを辿った左之助だが、血痕の途切れた地点まで着いても血痕の主は見つからなかった。
 この血を流した者を救えなかったという無念から、沈んだ口調になる左之助。
 そんな様子を気遣ってか、マッハキャリバーが声を掛ける。

『いいえ。この程度の出血では、致死量には至りません。
 この血痕があちらから点々と続いていた事からすると、傷を負った者が自力、又は他者の助けを借りてこの岩影まで移動し、手当てを受けた後にこの場を去ったと見るのが正しいでしょう』

 出血は微量ながらも臓器にダメージを受け、そのまま帰らぬ人となる事もある。
 その事は十分過ぎる程に承知していたが、それでも尚、そうでない可能性を強く説くマッハキャリバー。
 その励ましに答え、左之助は気持ちを切り替え先を見据える。

「……そうかもしんねえな。今はウダウダ考えてる場合じゃねえか。即効で追いかけねえとな」

『そうですサノスケ。まずはこちらの方向から調べましょう』

 マッハキャリバーが示したのは北側、美希が進んだ方向。
 こちらには目印となるような痕跡は何もない為、残留する熱を辿るしか策はないのだが……

『ダメですサノスケ。
 恐らくこちらに進んだ者は、真っ直ぐ北上したと思われますが、こちらの熱量はとても微弱で、途中で途切れてしまう可能性が非常に高いです』

「何!? くそっ、とっとと残りを調べて結論を出さねえとな」

 こちらを進んだ美希は放送開始以前に移動しており、人数も一人しかいないため残留する熱量に乏しく、追跡するには心許ない状況となっていた。
 追跡が完全に不可能になる前に決断を下すため、急ぎ残り一箇所の熱が観測された方向へ進む左之助達。
 そちら――西側、リン達が進んだ方向――に移動を終えた彼らはしかし、時間が無いというにも関わらずその場で立ち尽くした。

『これは……ウイングロード?
 まさかブリッツキャリバー、貴方もこの場に連れて来られたというのですか!
 それともまさか、相棒がこの場に……?』


 マッハキャリバーとは姉妹機にあたるデバイスと、相棒たるスバル・ナカジマの存在を連想したその発言。
 それは、目の前の光景からマッハキャリバーが導き出したものだった。

 ウイングロード。それは魔力によって光の道を作るという魔法である。
 マッハキャリバーの知る限りでは、この魔法を扱うのはナカジマ姉妹と、そのデバイスであるマッハキャリバー及びブリッツキャリバーだけであった。
 これに類似する技能を持つ者は若干一名存在するが、その者を含めた三名のみが使える能力と言っても過言ではない、大変珍しい魔法であった。

 それ故に、その光景を目にしたマッハキャリバーは両者の安否を気遣い、それ以外の事に思考を巡らす余裕が消え失せた。
 ――左之助の言葉を聞くまでは。

「何だかよく分からねえけど、魔法とかそんなんじゃなくて、何か重い物が載っかった跡じゃねえのか? これ」

『…………え?』

 左之助の指摘を受け、目の前の光景を改めて確認する。

 そこにあるのは、平原に唐突に現れた道。
 西に真っ直ぐ続くその道は、地図のどこを探しても記載のない、何者かが新たに作り出した物だ。
 そこから観測された魔力らしき反応に、マッハキャリバーは魔法によってこの道が作られたと判断した。

“道を作る魔法”という事象を身近な物としていたマッハキャリバー故の思考だったが、よくよく観察してみると、その判断は誤りであった事が判明した。

 ウイングロードとは、魔法陣を道の形に構成する事によって物理的に道を作り出す魔法だ。
 本来空中での移動に用いるそれを地上で使った場合、地平にウイングロードの跡が道となって残る。

 だが、空中への足掛かりに使うべきそれを地面に沿って展開させたところで何の意味もない。
 その上、そこで観測された魔力はマッハキャリバーの知る近代ベルカ式魔法とは異なる、未知の物だった。

『確かにこれは私の想像する魔法とは違うようです。
 この魔法は一体……?』

 左之助の言葉に現状の認識を改めたマッハキャリバーだったが、魔法が関与しているという先入観を棄てきる事が出来ず、悪戯に思考を巡らす。
 マッハキャリバーが魔法によって作られたと判断したこの道、実は純粋に物理的な力のみで形成された物である。

 製作者はクラッシャーとリン。そして、使用した道具は――
 ロードローラーだ。


 ロードローラーとは本来、自重によって地面を押し固める用途で使用される建設機械である。
 人に叩き付け、押し潰す用途は想定されていないし、速度を出す必要性も全く無く、むしろ舗装の際は低速でしっかりと押し固めて行かねばならない。
 そして当然、舗装された路面以外を走行した場合、その箇所は押し固められ、後には道が現れる。

 クラッシャーとリンは紙の状態のロードローラーを所持したまま修造とニアミスした。
 その後、地図から読み取った情報だけでは橋にロードローラーが通過出来るだけのキャパシティがあるかどうかが不明だった為に、橋を渡ったこの位置でロードローラーを実体化したのだ。
 そしてロードローラーに乗ったまま剣崎達との邂逅を果たして病院に向かった。

 つまり、橋を越えていくらかの地点から、西、病院の方向に向かってロードローラーの跡が残っている事になる。
 そう。左之助達の目の前の物こそが、それである。

 ここで観測された魔力のような物とは、ロードローラーが二次元から実体化した時の謎のパワー、もしくは建設機械でありながら時速100kmを叩き出すというロードローラーの謎のエネルギーだ。
 だが、魔法の存在が当然のように日常にあるマッハキャリバーには、建設機械で道を作ったという、ある意味当然の発想に至る事が出来ず、どうしても感知した魔力と結びつけて考えてしまう。
 方法を探るマッハキャリバーの思考は、またしても左之助の言葉で中断した。

「どうやって作ったかなんて別にいいじゃねえか。
 大事なのは、これを作ったヤツがこの道の向こうにいるって事だ。
 方法が知りたいんなら作ったヤツに直接聞けばいい。この道を行くんなら、そんな事すぐに分かると思うぜ?」

『……そうですね。
 申し訳ありません。手段を考えてる暇は無いんでしたね。
 問題は、どこを辿るかですね』

 マッハキャリバーは今までの考察をすっぱり打ち切り、三方を調べて得た情報を元にそれぞれの箇所についての問題点を洗い出す。
 サポート役としての矜持からか、先程の不手際を挽回するかの如く、即座に情報をまとめ、左之助に全てを伝えた。


『東側は、熱量については申し分無いですし、おおよその目的地も予想出来ます。
 川で区切られたあの狭い範囲であれば、相手がそこを発ったとしても、くまなく探せばいずれ出会えるでしょう。
 ……逆に言えば、こちらを後回しにしたとしても、合流は不可能ではないという事です。
 後回しにした事でその者達に不測の事態が迫るかもしれませんが、多くの者との合流を目指すのであれば、その選択肢もあり得ます。

 次に北側ですが、熱量に乏しい上に、目印となるような物もなく、行き先も不明です。
 ……正直、合流出来るかどうかは五分以下だと思って下さい。こちらは断念するというのも考えに入れて置いて下さい。

 最後に西側ですが、こちらは熱量はともかく明らかな道標があります。行き先は不明ですが、この道が続く限り追跡するのは容易でしょう。
 ですが、この道がどこまでも続いているという保証はありません。
 手段が分からない以上、いつこの道が途切れるかどうか、全くわかりません。
 そうなった際、それ以外の情報を元に追跡することが可能かどうかも不明です。それは、行ってみない事にはわかりません。

 この三つの内、どれを辿るか。それは、サノスケの考えに一任します。
 どれを選んでも、私は全力でサノスケのサポートをします。ですが、選択するのはサノスケ、貴方自身です』

 左之助の前に並ぶ、三つの選択肢。そのいずれも、利点もあれば欠点もある。
 どのような方針を取るかによって選ぶべき道が異なるこの現状に、正解はない。
 神ならぬ左之助に出来るのは、ただ最善と思う行動を取るのみだ。


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