※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

OP23 ◆9LzgLZpIzM


キバがいなくなって1年がたった。
もう誰も、俺の作ったゲームをやるやつはいなくなった。
ほかのどんなやつらも、俺のゲームの難易度を知ると怒るか笑うかして諦めた。
そして、俺はもうゲームを作らなくなった。
そんなある日だった。

学校も面白くなく、淡々とした日々の中で目的をなくしていた俺の前に現われて、やつはこう言ったんだ。
―――ゲームを作らないか?
やつはそう言って俺を誘ってきた。そいつからバトルロワイヤルのこと、そしてキバのことを知った。
キバはクリア不可能な鬼畜ゲームに参加して、そして―――負けたのだと。
それを聞いて、俺の中で湧き上がったもの。それは、まさしく歓喜だった。
あのキバが越えられなかったものがあったのだ。指の痛みに涙目になって、ふてくされて口を聞かないこともあった。
あまりの難易度にブチ切れて殴りかかってきたこともあった。
しかし、何度tktkしてコントローラを投げ捨てても、また拾って鬼畜ステージに挑んだあいつが負けたのだ。どんなステージも持ち前のあきらめの悪さでクリアしてきたあいつが負けたのだ。
俺はそんなゲームを、そしてそんな世界を作ってみたかった。
そして、俺は決心した。



幕が開く。
壇上にいる俺の目の前には、年齢の違う男女に混ざって、人間でない者たちまでもが集められていた。
ニコニコ動画から連れてこられた者たち。前回の悪夢の再現。
しかし、前回と同じものにする気はない。俺のゲームはそんな生半可なものではない。
ニコニコ動画で、ゲーム上のアイドルが舞うステージを模した壇上に立つ俺に、スポットライトと視線が集中する。
なんという高揚感。
やつらの戸惑いが、そして不安が手に取るようにわかる。
おろおろするもの、見知った者同士で話し合うもの、ただ黙って成り行きを見ているもの。
ゲームマスターとしての勘で、彼らの心情が手に取るように分かる。これこそが「孔明の罠」を仕掛けるための思考。
そして、こちらから彼らの表情や心情は手に取るようにわかるが、彼らから俺の表情は黒い仮面に包まれていて見えない。
また黒いぴっちりとしたボディスーツにマントがこちらの情報のすべてを奪い去る。
まるでヒーロー戦隊ものの悪役だな、とひとりごちつつマントをはためかせて、開始の声を上げる。
「諸君、私の名は…ゼロ!これより、きさまらには殺し合いをしてもらう。一人になるまで終わることのないゲームだ!」

この言葉によって広がる波紋、怒号と悲鳴が交錯する。
「あぁん?お客さん?あぁん?」
「おい、やめろ馬鹿マジでかなぐり捨てンぞ?」
「絶望した!あまりの展開に絶望した!!」
「ナンットイウコトダ~!?」
まるで予想通りの展開。そしてこの次に起こることも…
「フタエノキワミ、アッー!」
俺の言葉に激高した者たちが壇上を駆け上がってくる。一番手にボロボロの胴着姿の男が突進してくる。
それに合わせて何人かの者たちがこちらに殺到してこようとする。黒い仮面の下で嘲笑う。
哀れなものの末路に対して…。
まさに男の拳が俺をとらえようとしたその時―――ボンッ!「アァン…!」
軽い音。絶命の声。音の直後、血の雨が降りしきる中、男の首と胴体は永遠に泣き別れた。
首はスポットライトに照らされながら会場へと飛んで行き、床を転がる。これに反応して少女が悲鳴を上げる。
「いやああああ!おニィイちゃんこわいよぉおお!おニィイちゃんたすけてぇええええ!!」

―――時が凍る。

「言い忘れていたが、きさまらの首輪には爆弾が仕掛けられている。死にたくなかったら抵抗しないことだ!」
一瞬にして場は騒然となった。最初にあがっていた怒号と悲鳴は、今、まさに恐怖に塗り替えられた。
仮面の中で歪んだ笑みを隠しながら続ける。
「この爆弾は特定の条件で爆発する。ひとつ、私に危害を加えようとした場合」
芝居がかった動作で立てた人差し指を腕の前で掲げてみせる。場が鎮まり、俺の言葉にみなが耳を傾ける。
「ふたつ、首輪をはずそうと激しい衝撃や振動を与えた場合」
人差し指に加えて中指が持ち上がる。何人かが首輪を掴んでいた手を放し、息を呑むのがわかる。
「みっつ、私が起爆ボタンを押した場合。よっつ、これから行われるゲーム会場において、禁止エリアに指定された場所に足を踏み入れた場合」
掲げた指がよっつになる。誰もが俺の言葉に従う。これこそが絶望によって生じる「諦めの感情」だ。
キバもまた同じ思いを抱いたことがあった。
しかし、諦めの中に、消えぬ火種があることもまた事実。
掲げた腕を振り払いながら言葉を続ける。
「よく聞いておくがいい!これより、きさまらはゲーム会場へと転送され、そこでバトルロワイヤルを行う。最初にも言ったが、一人になるまで終わることはない!」
そう宣言した後、ゆっくりと歩みを進める。

「しかし、私も鬼ではない。勝者にはどんな願いも叶えよう!」
この言葉にみながざわめく。まさに計画通り!
舞台上を横切り、順番に表情を確認しながら胸の前まで持ち上げた拳を固めて言う。
「そして、このゲームを有利に進めたい者のために、水や食料に地図、名簿などの品と合わせて1~3つのアイテムを支給する。これらを利用して存分にゲームを楽しんでもらいたい!」
何人かの目が輝くのが見て取れる。これもまた予想通り!
壇上をまた逆に戻りながら説明を続ける。
「また、今回は特別ルールとして得点制を設ける!持ち点はそれぞれ30点。誰かを殺せばプラス10点。殺せばどんどん加算されていく!そして!この得点を使用して、3つのことが可能とする!
ひとつ、武器の補充、または新たなアイテムの支給。これには10点。
ふたつ、傷の治療。これは傷の程度の差なく30点が必要だ!
そしてみっつ目!100点を使用すれば元の世界に帰れる!」
そう宣言し、みなの反応を確認する。みな一様に押し黙って話を聞いている。
「得点を使用する場合、地図に示された特定の地点におもむけば以上のことが可能となる!」
この言葉に、会場の全員の胸の中で炎が宿る!例え他者を踏み越えてでも生き残るという執念の火だ。
まさにすべてが思い通り!

舞台の中央に戻り、開いた手を正面に掲げる。
「私を打倒するために徒党を組むのも自由だ。もちろん逆にそれを利用することもだ!しかし、6時間ごとに行う追加禁止エリアと死亡者の発表時に、誰一人死んだ者がいなかった場合、全員の首が飛ぶことになるので注意してもらいたい!」

そして、ゲームの幕が上がる。
様々な思いが交錯し、疑念と陰謀が渦巻く殺戮の遊戯。
現実では誰も作ったことのない最高のゲーム。
両手を掲げる。荒ぶる鷹のポーズからはためくマントが羽を広げる。

    バトル ロワイヤル
「さあ!殺戮のゲーム―――開始だ!」





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー