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OP15 ◆NrMj0ID1W.


突然だが一つ質問をしたい。

この世界には、数多のキャラクターたちが存在し、それぞれの物語を紡いでいる。

その物語は果たしてどこで紡がれているのか。

その物語に登場するキャラクターたちはどこに生きているのだろうか。

彼らは物語に現れてこない裏側で、変哲のない日常に何を思い、そしてどのように生きてきたのだろうか。

君たちはそのようなことを考えたことがあるだろうか。

そして、一度でいい、そんな彼らと一緒に、何かを成し遂げてみたいと思ったことはないだろうか―――

彼はそんなことをできれば、と思いながら、何の気もなしにこんな書き込みをした。


1000 :Classical名無しさん :08/10/12 00:41 ID:Kh0KI0FM
 >>1000だったら次のニコロワに俺参戦




「あれ… ここ、どこだ」

彼が目を覚ましたところは、自分の散らかった部屋のベッドの上に非ず、よくわからないホールの中であった。
辺りを見回す。周りに見えるのは人、人、人。それもただの人間ではない。
しかし彼はその人間たちの中に、強烈な既視感を感じずにはいられなかった。
彼は世間一般が指すところのオタクという人種に入る。ここに集められた人間たちは、そのいずれもが彼の脳内データベースに一致する。
いや、正確を期するならば彼はオタクよりも、もっとふさわしい呼称で呼ぶべきだろう。
あたりに見える人間たちは皆、彼がよく訪れるある動画サイトの人気者たちであった。

その動画サイトの名は、ニコニコ動画。彼は、正真正銘の、ニコ厨である。

まるで夢の中にいるような心地がした。いや、きっと夢なのだろうと彼は思った。
そもそも自分が彼らと同じ舞台に立てる人間な訳がないし、ましてや彼らの中には完全な創作上の存在も数多い。
しかしながらここには現実世界から人気を集めた者だけでなく、アニメやゲームのキャラクターも並んでいた。
だから頬をつねる。ここは現実じゃないのだ、早く目覚めなければならない。夢にしたって出来が良過ぎやしないか?

「…痛え? これ、どう考えても夢、だよな… なんなんだ一体?」

彼にとって夢としか思えない事態は、どうやら現実のもののようだ。
痛覚も完全、嗅覚も触覚もまた然り。
「…皆さん、お目覚めですか? 私は権利者。あなたたちの権利者」
ほら、聴覚だって完全だ。思わずわが耳を疑うような言葉が聞こえてきた。
ホールのステージの上に立つ… 否、置いてあるものは、ニコ厨ならば大体の人間は知っている代物。
ニコニコのマスコットともいうべきあのテレビ君から、権利者と名乗る存在が語りかける。
「今日あなたたちに集まってもらったのは他でもありません。
 あなたたちには今から、あるプログラムに参加してもらいます。
 そのプログラムの名は―――バトルロワイヤル」

権利者と名乗る存在は、突如として俺たちにバトルロワイヤルへ参加しろという。
「これは強制です。あなたたちに拒否権はございません。
 あなたたちコンテンツをどのように動かそうと、私たち権利者の裁量の自由ですからね」
話すことの意味がわからない。つまりお前たちは俺たちの持ち物だから、俺たちの命令に従えということだろうか?
彼は困惑する。確かにニコニコのキャラクターたちにはその原作者なり製作会社や放送局なり、彼たちが権利者と呼んで妬んでいる連中がいる。
だが彼は、彼自身は現実の世界に生きる一人の人間のはずだ。
(あるいは俺も、俺の世界とは別の世界の人間からすればキャラクターの一人なのか?)

「私はここにバトルロワイヤル―――皆さんの殺し合いの開催を宣言します。
 ルールに関しては、私に従ってくれた現地スタッフが説明しますよ。
 私はここで皆さんの健闘をお祈りしています。では、ばいにー」

あまりにもふざけた別れの挨拶と共に、奴が言うところの現地スタッフが現れた。
「それじゃあこのゲームのルールを説明させてもらうぜぇ。
 ルールは簡単さぁ。お前ら全員、最後の一人になるまで殺しあうんだよ!
 そう、生き残れるのは一人だけ!面白いゲームじゃねえか」
独特な喋り方に、手にしたロッドが俺にある人物を想起させる。その答えは怒号となって示された。
「マリク、てめぇ――!」
金髪が印象的な男子が立ち上がる。
「おっと動くなよ城之内ィ。お前らの命は俺たちが握っているんだからな!
 下手なことをしたら、ズドン、だ。俺に逆らうのはよしたほうがいいぜ?」
マリクが脅迫するが、城之内は引き下がらない。彼に便乗して怒号をとばすものもいた。
結局周囲にいた面々がなおも食い下がろうとする城之内を説得し、しぶしぶ着席させる。
だが彼にとって生でキャラクターたちの怒鳴りあい、ここにいる連中は何者か、そんなことはもうどうでもよかった。
彼は今自分のおかれた状況を必死に把握しようと努めるのに精一杯だったのだ。
会場が静まるのを見計らい、マリクが続ける。
「いいか、お前らの首には銀色の首輪をはめておいた。こいつらがお前らの命綱さ。
 この首輪がはめられている限り、お前らにこの殺し合いから逃げ出す権利はねえ。 
 俺たちに逆らったり、殺し合いから逃げ出したり、ルールに背いた場合は即、罰ゲームだ。
 殺し合いは最高で三日間行う。三日たっても優勝者が決まらなかったら、そのときは生き残り全員に罰ゲームだなぁ。
 他にも、半日間誰一人として死ななかった場合はお前らにゲーム参加の意志なしとみなし、生き残り全員罰ゲームだ!」
マリクが饒舌にルールを語る。話されるルール一つ一つに、彼は言い知れぬデジャビュを感じていた。
あたりはどよめきに満ちていた。突然殺しあえと強要されたのでは当然の反応だろう。

(当然…?何故俺は当然と思った?俺は似たようなシチュエーションを知っている…?
 あのルールは間違いなくバトルロワイヤル。俺はこんな状況を知っている?見たことがある?
 そしてここに集ったキャラクターたち。まさか…?)
ここまで考えて、彼は冗談のような、しかし考えられる唯一の事態を想起する。

 >>1000だったら次のニコロワに俺参戦

まさか、まさか、そんな馬鹿なことが、ほんとにあるわけ、ない、だろ?

数々の人気キャラクターによって紡がれてきたニコニコ動画バトルロワイアルの物語。
その中で69人の参加者と、それとは別に主催者やその部下の命が消えていった。
だが彼らは死と隣り合わせの地獄の中で、己の存在全てを燃やしそれぞれに物語を美しく彩った。
だが「アレ」は現実ではなく物語であったからこそ美しかったのだ。「アレ」と同じことが現実に起ころうとしている。
そしてその中に自分がいる。キャラクターたちと殺し合いをしろと迫られている。
もはや彼には自分の置かれた境遇が信じられなかった。だが信じるしかなかった。

「これからお前たちにこの殺し合いで必要になるものが詰まったデイバッグをくれてやる。
 中には俺様の慈悲で三日分の日用品や食料、そして殺し合いに使える武器を入れておいてやったぜ。
 おっと、何が入っているかはわからねえよ?スタートラインを同じにしちゃ、ゲームがつまらなくなるからな!」

ニコニコ動画、権利者、バトルロワイヤル、マリク、ルール、デイバッグ、支給品。
間違いない、ここはニコニコ動画バトルロワイヤルの世界。

「ゲーム開始から6時間ごとに放送を流させてもらうぜ。その放送で、これまでにくたばった奴の名前を読み上げる。
 お友達の名前が呼ばれねえことを神様にお祈りするんだなぁ。
 が、さらに大事なのはその後で読み上げる禁止エリアの情報だ。
 デイバッグの中にはいっているマップから、何箇所か進入禁止のエリアを指定させてもらうぜ。
 例えばA-1なら、一番左上のエリアが禁止エリアになる。禁止エリアに入った奴には罰ゲームが待っているぜ」

放送、死者、お友達、マップ、禁止エリア。
しっかりと耳に入る、悪寒が走る。紛れもなく、これは現実。

「おっと、気を急くなよ?殺し合いの会場はここじゃないからな。
 デイバッグの支給が完了次第、協力者がお前たちを会場に案内するぜ」

自分が、この新たなニコニコ動画バトルロワイアルの参加者であることは、確定的…!
(誰だ?誰が俺をここに連れてきた?もしかして俺も、「>>1000」という一人のキャラクターなのか?
 バトロワ参加を希望した一人の2ちゃんねらーにしてニコ厨という、キャラクターなのか?)

デイバッグが彼の前にも置かれる。そして全てのデイバッグが参加者に行き渡った時、異変が起きる。

「おっと、そういえば罰ゲームの説明がまだだったな」
マリクがそう呟くと、まるで何かを物色するかのように突如会場を見渡していた。
その視線はまるで哀れな子羊を探すかのように。直感的に、マリクは見せしめを探している!と彼は思った。
(誰か死ぬのか…!?死ななきゃならないのか…!?)

すると、協力者と思われる鎧を着込んだ大男がやつれた男を肩に乗せて運んできた。
「こいつを使え」
鎧を着込んだ大男がマリクに囁くと、まるで何か興を削がれたかのように、マリクが舌打ちをした。
大男はやつれた男を俺たちの近くへ「転移」させた。やつれた男には彼らと同じ首輪がはめられていた。マリクが高らかに宣言する。
「そいつは俺たちグールズの一員だが、この前無様を晒した奴でねぇ。よかったな、最後に仕事ができたぞ?
 お前らに見せてやろう。これがお前らにも課される『罰ゲーム』って奴だぜ!!」

BOMB! 高らかに爆発音が鳴り響き、男の首は宙を舞う。
誰もが目の前で起きた悪夢に目を伏せようとしていた。鮮血、鮮血、物言わぬ生首!
彼もまた、生まれてはじめてみた人間の死に吐き気を抑えるのが精一杯だった。
会場は悲鳴と絶望の嘆きに満ちていた。それはまさに、地獄絵図。
「おいおいそう動揺するなよ?お前らにとってなんでもない奴じゃないか。
 しっかりしないと、次はお前らがそうなっちまう番だぜ?」

もはや誰も、何も言えなかった。

「後は任せたぜゴルベーザの旦那よ。俺様は一足先にアレに報告してくるぜ」
鎧の大男、ゴルベーザに後のことを任せると、マリクはホールの裏へ消えていく。
会場は静まり返っていた。誰もが皆、自らに降りかかるであろう終幕に思いをはせていたのだろうか。

「マリクが話し忘れたルールがある。この殺し合いの果てに勝利を掴み取ったものに与えられる権利だ。
 殺し合いに勝利した者には、一つに限りあらゆる願いを叶える権利が与えられる。
 希望の光は絶望の果てにしか見えぬ。願いを叶えたくば、己の前に立つ障壁全てをなぎ払え。
 …私からは以上だ」

手短に言葉を済ませ、参加者が次々と地獄の会場へ送り込まれていく。
彼もまた、ゴルベーザにより会場へと転移させられた。

(夢なら覚めてくれよ!もうあんな冗談なんて書き込んだりしない!二次元のキャラクターに会いたいなんて思わない!
 俺は何より死にたくない!こんなところで死ぬなんて認められるかよ!
 まだ見たいアニメがある!まだ見たい動画がある!まだ見たいスレがある!
 俺はまだ生きていたいんだ!頼む、誰か俺を助けてくれ…!)

「ゴルベーザがフォローしてなければ、今頃はあなたがあのレアハンターになっていましたね?」
報告を終えたマリクに、ニコニコテレビ君越しに権利者が威圧する。
「ルール説明の不備、参加者を見せしめにしようとしたこと。私に対する背信行為です」
まるで神の視線。見下されたような屈辱にマリクは舌打ちしつつも謝罪の言葉を申し上げるのが精一杯だった。
マリクを下がらせ、この部屋にはテレビ君が置いてあるのみとなった。権利者は呟く。

「私の意に逆らう愚かな連中、私の意のままに動かぬキャラクター。
 そのようなものは不要だ。すべては私の意のままに動けばよい。だからここに粛清する。
 著作権も守れぬ愚衆どもも、何の利益も私にもたらさないキャラクターも共に。
 だが、ただ粛清するだけではつまらない。最後にとびっきりのショーを見せてくれ。
 蝋燭は燃え尽きる間際に一際輝くという。私は見たいのだ。その最後の輝きと、それがもたらす最高のドラマを…!」

―――ニコニコ動画バトルロワイヤル(β)、開幕。







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