静観飛行 メタッ☆ ◆w2G/OW/em6
「まったく……本当ならこんな所でゆっくりしている場合ではないのだが……」
「はいはい、休める時に休んどくのも立派な戦いですからね」
「はいはい、休める時に休んどくのも立派な戦いですからね」
触覚男との戦闘で疲労したメタナイトと美鈴。
激戦区と思われるホテル方面に行くとしても、こちらの体勢はできるだけ万全に整えておいた方がいい。
そんな美鈴の意見により、二人は辿り着いた映画館で休息を取ることになったのだが……
激戦区と思われるホテル方面に行くとしても、こちらの体勢はできるだけ万全に整えておいた方がいい。
そんな美鈴の意見により、二人は辿り着いた映画館で休息を取ることになったのだが……
「どうせなんで建物の中を探索しときましょうか。何か役立つ物があるかもしれませんし。メタさんも、ネギよりちゃんとした武器が欲しいでしょ?」
「……まあ、しょうがないか。私は二階を探してくる」
「分かりました、何かあったら呼んでください」
「……まあ、しょうがないか。私は二階を探してくる」
「分かりました、何かあったら呼んでください」
そんな美鈴の提案により、休憩がてら何か役立ちそうな物を探すことにしたのである。
メタナイトがしぶしぶ二階に上がっていったのを見て、美鈴も建物内の捜索を開始する。
改めて辺りを見回し、建物の構造を再確認する。
入口の目の前にあるのは、黒く重厚な造りの扉。そこを通り抜けると広がっているのは無数に連なる座席。
真紅の上物な布で覆われた椅子はふかふかで心地よく、腰掛ければ体が沈んでしまう。
階段状に並んだ座席が向いているのは、壁一面を覆い尽くす真っ白な布。
メタナイトがしぶしぶ二階に上がっていったのを見て、美鈴も建物内の捜索を開始する。
改めて辺りを見回し、建物の構造を再確認する。
入口の目の前にあるのは、黒く重厚な造りの扉。そこを通り抜けると広がっているのは無数に連なる座席。
真紅の上物な布で覆われた椅子はふかふかで心地よく、腰掛ければ体が沈んでしまう。
階段状に並んだ座席が向いているのは、壁一面を覆い尽くす真っ白な布。
「……いったい何なのかしら、この建物」
小首を傾げて考える。
座席や舞台の造りは芝居小屋に近いが、それにしては壁の白幕が気になる。
メタナイトも、この様な建物は見た事がないと言っていた。地図によると映画館という建物らしいが……映画、とは一体何だろう?
座席や舞台の造りは芝居小屋に近いが、それにしては壁の白幕が気になる。
メタナイトも、この様な建物は見た事がないと言っていた。地図によると映画館という建物らしいが……映画、とは一体何だろう?
「幻想郷にはこんなものないし、メタさんのいた『プププランド』ってとこにもないとすると……どういうことなのかしらね」
結論から言わせてもらえば『複数の異世界が存在し、その内の一つの技術がここにある』ということだ。
だが、その結論に至るまでの過程・確信がどうにもわからない。
だが、その結論に至るまでの過程・確信がどうにもわからない。
メタナイトのいた世界の概要は幻想郷とはかけ離れたものであるし、彼が口から出まかせを言っている様には思えない。
しかし、異世界が存在するとして……どうやってここにいる皆を集めた?
真っ先に思いつくのは高位の妖怪―――あらゆる事象の境界を操る、八雲紫の様な存在が主催の仲間にいること。
この考えは保留。高位の妖怪が付いていたとしても彼らに組する理由が分からない。
次に思いつくのは異世界間を移動するなんらかの手段があること。
主催者が幻想郷より何倍も優れた技術の世界の存在ならば、この可能性もある。
人の頭を吹っ飛ばすこの物騒な首輪も、その技術の結晶なのかもしれない。
しかし、異世界が存在するとして……どうやってここにいる皆を集めた?
真っ先に思いつくのは高位の妖怪―――あらゆる事象の境界を操る、八雲紫の様な存在が主催の仲間にいること。
この考えは保留。高位の妖怪が付いていたとしても彼らに組する理由が分からない。
次に思いつくのは異世界間を移動するなんらかの手段があること。
主催者が幻想郷より何倍も優れた技術の世界の存在ならば、この可能性もある。
人の頭を吹っ飛ばすこの物騒な首輪も、その技術の結晶なのかもしれない。
(あーもう……こんな頭使う事、私の柄じゃないでしょうに……)
どっかりと柔らかな椅子に腰を下ろし、ぽりぽりと頭を掻く。
こういう策略みたいなのは、しがない門番の自分よりもおっかないメイド長・十六夜咲夜の方が向いてそうだ……
こういう策略みたいなのは、しがない門番の自分よりもおっかないメイド長・十六夜咲夜の方が向いてそうだ……
(そういえば、咲夜さんもここに連れてこられてる可能性があるのよね?)
彼女に限らず、紅魔館の住人達がここに連れてこられている場合、どのような行動に出るかは容易に想像できる。
間違いなく元の世界に戻る為、あるいは欲求のままに、殺し合いに乗る。
そうなった場合……紅魔館の門番であり吸血鬼の少女達に仕える者がすべき事は、何か。
考えるまでもなく『主人の敵の排除、及び主人の安全を確保』
もっと簡単にいえば『主人以外の全てを殺害し、優勝させる』……こんなところか。
『紅魔館の門番』の役目はそれでいい……優勝しても幻想郷にちゃんと帰れるか、それについての信憑性は微妙だが。
間違いなく元の世界に戻る為、あるいは欲求のままに、殺し合いに乗る。
そうなった場合……紅魔館の門番であり吸血鬼の少女達に仕える者がすべき事は、何か。
考えるまでもなく『主人の敵の排除、及び主人の安全を確保』
もっと簡単にいえば『主人以外の全てを殺害し、優勝させる』……こんなところか。
『紅魔館の門番』の役目はそれでいい……優勝しても幻想郷にちゃんと帰れるか、それについての信憑性は微妙だが。
(まぁ、門番ではなく『紅美鈴』個人の希望としては―――)
「少しいいか、美鈴」
「少しいいか、美鈴」
突如、上から降ってきた声。
見上げると、二階の客席の手摺にメタナイトが乗っかっていた。
見上げると、二階の客席の手摺にメタナイトが乗っかっていた。
「何か見つけたんですか?」
「ああ、ちょっと見てくれ……こいつをどう思う?」
「ああ、ちょっと見てくれ……こいつをどう思う?」
手摺から飛び降りたメタナイトが美鈴に差し出したのは黒い紙が折りたたまれて作られた薄い冊子。
拍子に白字で書かれた文字は『上演時刻表』
拍子に白字で書かれた文字は『上演時刻表』
「すごく……手がかりになりそうですね」
「どうやらここは映像を見せる施設らしい。二階にそれらしい装置があった」
「どうやらここは映像を見せる施設らしい。二階にそれらしい装置があった」
メタナイトの推測によると、ここは白幕に映像を映し出して見世物にする施設らしい―――美鈴にしてみれば、何が楽しいのやらという感じだが。
冊子の中身は表紙の通り、見世物を上演する時間が記されている。
ただし内容は、
冊子の中身は表紙の通り、見世物を上演する時間が記されている。
ただし内容は、
「8:00 上映開始、10:00 上映開始、12:00 上映開始……なぁにこれぇ?時間だけしか書いてないじゃない」
「内容は見て確かめろ、ということらしいな……さして興味はないが」
「内容は見て確かめろ、ということらしいな……さして興味はないが」
軽くため息をつき、冊子をデイパックの中にしまう。
「私の方は手がかりらしいものすら見つかりませんでしたしね、まぁ少ないとはいえ収穫があっただけでもいいんでしょうけど……」
「収穫、といえるかどうかはわからないが……もう1つ、いい物を見つけたぞ」
「はい?」
「収穫、といえるかどうかはわからないが……もう1つ、いい物を見つけたぞ」
「はい?」
疑問符を浮かべる美鈴に、メタナイトはほんの少しだけ嬉しそうに告げた。
「屋上だ」
◇ ◇ ◇
「む……やはり最初の塔と比べると、それほど高くはないな」
「そりゃあ、せいぜい二階建の建物ですしねぇ」
「そりゃあ、せいぜい二階建の建物ですしねぇ」
メタナイトが見つけた屋上(入口には鍵がかかっていたが、美鈴に蹴り破られた)に上ってきた二人。
互いに映画館の周囲に辺りに参加者がないか手摺から身を乗り出して確認するも、ここから見える範囲には人影は見られない。
互いに映画館の周囲に辺りに参加者がないか手摺から身を乗り出して確認するも、ここから見える範囲には人影は見られない。
「周囲も明るくなってきたころだ……いつも通りに飛ぶことができれば、もっと広い範囲を見回す事が出来たのだがな」
「どういうわけか、私も貴方も飛行能力は低下しちゃってますし……これも参加者の戦力を一定にする為の策ですかね」
「どういうわけか、私も貴方も飛行能力は低下しちゃってますし……これも参加者の戦力を一定にする為の策ですかね」
彼らが出会ってすぐ、塔の頂上から飛び降りた時……互いに気づいたのが飛行能力の制限だ。
メタナイトは体が異常に重く感じ、美鈴は精神に大きな負担を感じ。
結果、あの後数分もたたずに地面に不時着する羽目となったのであった。
メタナイトは体が異常に重く感じ、美鈴は精神に大きな負担を感じ。
結果、あの後数分もたたずに地面に不時着する羽目となったのであった。
「翼を出すだけなら問題は無いんだが……いかんせん、上空に上がることができなければ意味がないな」
「上空に……あがる、ねぇ」
「上空に……あがる、ねぇ」
ふと、まじまじとメタナイトを見詰める美鈴。
「大きさ的には大丈夫だし……重さもそんなに無かったし……」
「……何を考えている?」
「ねぇ、メタさん」
「……何を考えている?」
「ねぇ、メタさん」
メタナイトを見詰めたまま、美鈴は言った。
「空飛べる方法あるんですけど……試してみます?」
◇ ◇ ◇
「……準備はいいか?美鈴」
「ええ、いつでもいいですよ……失敗しても、文句言わないでくださいね?」
「ええ、いつでもいいですよ……失敗しても、文句言わないでくださいね?」
荷物を置き、屋上の端に立つメタナイト。そこから離れた位置で腕を組んだ―――俗に言う、バレーのレシーブに似た―――体勢で立つ美鈴。
「わかっている、行くぞっ!」
それを合図に、メタナイトが地を蹴る。
神速を持って美鈴の元へ辿り着き、組まれた腕に足を掛け―――
神速を持って美鈴の元へ辿り着き、組まれた腕に足を掛け―――
「そぉい!」
気合一拍、美鈴が腕を真上に跳ね上げる。
跳ね上げられた勢いと、それに合わせた跳躍によって………一頭身の小さな体が、宙を舞う。
上昇の勢いが頂点に達したところで、濃紺のマントが蝙蝠にも似た双翼へと変化する。
薄い翼は真下からの風圧と周囲の気流を受け、ふわりとメタナイトの体を押し上げた。
跳ね上げられた勢いと、それに合わせた跳躍によって………一頭身の小さな体が、宙を舞う。
上昇の勢いが頂点に達したところで、濃紺のマントが蝙蝠にも似た双翼へと変化する。
薄い翼は真下からの風圧と周囲の気流を受け、ふわりとメタナイトの体を押し上げた。
(………よし、上手くいったか)
真下に目を移せば、美鈴がしてやったりとした顔でこちらを見上げている。
彼の持つ身軽さと小柄な体型を生かせば、真上に放り投げるくらい容易いという彼女の考えは当たったようだ。
後は周囲を見回すように旋回しながら、ゆっくりと屋上へ再び着地するだけ。
とは言っても体に感じる重圧は相変わらず、滞空時間もあまり長くは無いのだろうが……
彼の持つ身軽さと小柄な体型を生かせば、真上に放り投げるくらい容易いという彼女の考えは当たったようだ。
後は周囲を見回すように旋回しながら、ゆっくりと屋上へ再び着地するだけ。
とは言っても体に感じる重圧は相変わらず、滞空時間もあまり長くは無いのだろうが……
(周囲に参加者は……一人……二人……いや、三人か?)
一人目は北。森に何やら動く存在が入っていったのを確認する。
二人目、三人目は南。東に向かう一人と、南へ向かうもう一人。
二人目、三人目は南。東に向かう一人と、南へ向かうもう一人。
(人数から考えるに、最初の方針の通りホテルのある南に向かうのが定石か?
しかし、見通しの悪い森の中にまだ参加者がいる可能性も……)
「メタさーん、どうでしたー?」
しかし、見通しの悪い森の中にまだ参加者がいる可能性も……)
「メタさーん、どうでしたー?」
考えている内に、たいぶ高度は下がって来ていたらしい。
そろそろ着地する体勢を整えて……
そろそろ着地する体勢を整えて……
びゅうぅ
「わっ」
突風。
美鈴が帽子を飛ばされない様に抑える中、メタナイトの視界は急速にブレた。
美鈴が帽子を飛ばされない様に抑える中、メタナイトの視界は急速にブレた。
Q.障害物の無い空で突風に吹かれた場合、どうなる?
―――うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……
―――ばしゃーん
A.こうなる。
◇ ◇ ◇
「あー……盛大に落ちましたね」
「簡単に言うな……っぷし!」
「簡単に言うな……っぷし!」
数分後、ずぶ濡れで川から上がるメタナイトの姿があった。
映画館から拝借したカーテンを渡しながら、美鈴が訪ねた。
映画館から拝借したカーテンを渡しながら、美鈴が訪ねた。
「まあそれはお気の毒、として……辺りの様子はどうでした?」
「北に一人、南に二人だ」
「北に一人、南に二人だ」
カーテンで体を拭きながらメタナイトが答える。
「ここらへんは人が少ないみたいですね……予定通り南に行った方がいいかもしれません」
「だから私は、最初から南に行こうと……」
「男が過去をグチグチ気にしたらだめですよ」
「だから私は、最初から南に行こうと……」
「男が過去をグチグチ気にしたらだめですよ」
反論は即座に一蹴された。
美鈴が屋上から運んできた荷物を受け取り、出立の準備を整える中……メタナイトはぽつりと呟く。
美鈴が屋上から運んできた荷物を受け取り、出立の準備を整える中……メタナイトはぽつりと呟く。
「………気のせい、であったかな」
「………ん?なんです?」
「………ん?なんです?」
彼が考えていたのは、主催に対する思惑でもなく。
美鈴の自分に対する、割とぞんざいな扱いでもなく。
美鈴の自分に対する、割とぞんざいな扱いでもなく。
(川に落ちた時、水底で何か光ったように思ったのだがな……)
ほんの少しな、気がかり。
【D-2 映画館付近/1日目・早朝】
【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]小疲労、顔面打撲、決意、ゼロマスクメタナイト
[装備] ネギ@初音ミク(お前ら全員みっくみくにしてやるよ)、ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造)@コードギアス
[道具]支給品一式、バトルドーム@バトルドーム 、割れた仮面@星のカービィSDX
[思考・状況]
基本思考:殺し合いを止め、終わらせる
1:さて……どちらに向かうか
2:美鈴と同行し参加者を見つける
3:美鈴の知り合いの情報集め
4:殺し合いに反対するものを集める
5:殺し合いに乗るものの排除、触覚の男との決着
※呂布との戦いでネギが2cmほど短くなりました。
※北に目撃した参加者は誠、南に目撃した参加者はキョン子とアカギです。
※E-2付近の川底で何か見たようです(気のせいという可能性もあります)
【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]小疲労、顔面打撲、決意、ゼロマスクメタナイト
[装備] ネギ@初音ミク(お前ら全員みっくみくにしてやるよ)、ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造)@コードギアス
[道具]支給品一式、バトルドーム@バトルドーム 、割れた仮面@星のカービィSDX
[思考・状況]
基本思考:殺し合いを止め、終わらせる
1:さて……どちらに向かうか
2:美鈴と同行し参加者を見つける
3:美鈴の知り合いの情報集め
4:殺し合いに反対するものを集める
5:殺し合いに乗るものの排除、触覚の男との決着
※呂布との戦いでネギが2cmほど短くなりました。
※北に目撃した参加者は誠、南に目撃した参加者はキョン子とアカギです。
※E-2付近の川底で何か見たようです(気のせいという可能性もあります)
【紅 美鈴@東方project】
[状態]小疲労
[装備]無し
[道具]支給品一式、スタンドマイク@VOCALOID、映画館パンフレット
[[思考・状況]
1:メタさんと同行し参加者を見つける
2:知り合いの情報集め
3:殺し合いに反対するものを集める
4:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
5:殺し合いに乗るものの排除
※知り合いの行動によって考えが変わる可能性は高いです。
※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
[状態]小疲労
[装備]無し
[道具]支給品一式、スタンドマイク@VOCALOID、映画館パンフレット
[[思考・状況]
1:メタさんと同行し参加者を見つける
2:知り合いの情報集め
3:殺し合いに反対するものを集める
4:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
5:殺し合いに乗るものの排除
※知り合いの行動によって考えが変わる可能性は高いです。
※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
※映画館について
開館時間 午前8時~夜20時
2時間ごとに何かしら放映している様ですが、内容はパンフレットにも書かれていないので見るまで分かりません。
映画館パンフレットは、まだ映画館に残されている様です。
開館時間 午前8時~夜20時
2時間ごとに何かしら放映している様ですが、内容はパンフレットにも書かれていないので見るまで分かりません。
映画館パンフレットは、まだ映画館に残されている様です。
sm66:アレックスに主人公をさせてみた(後編) | 時系列順 | sm68:フェアリーバスターズ!EX |
sm66:アレックスに主人公をさせてみた(後編) | 投下順 | sm68:フェアリーバスターズ!EX |
sm42:オニオンナイトは誓いを胸に | メタナイト | sm98:色鮮やかに虹色な従者(前編) |
sm42:オニオンナイトは誓いを胸に | 紅美鈴 | sm98:色鮮やかに虹色な従者(前編) |