OP10 ◆JbX0I1JutI
――キバがいなくなってから何ヶ月経っただろうか。
俺の作った改造マリオに飽きてしまったということはあるまい。
果ては逃げ出したのかと思うが、そんなことはないと言い切れる。
俺とキバとは友人だ。
連絡もないなんてことは異常事態だろう。
何処に行ってしまったのだろうか。
果ては逃げ出したのかと思うが、そんなことはないと言い切れる。
俺とキバとは友人だ。
連絡もないなんてことは異常事態だろう。
何処に行ってしまったのだろうか。
そんなことを今日も一人、鬼畜なステージを作りながら考える。
もう何面作れば、キバは帰ってくるんだろうか……
もう何面作れば、キバは帰ってくるんだろうか……
――いつの間に寝たのだろう。
俺は壁にもたれかかって寝ていた。
だが、その壁は俺の家のものじゃない。
だが、その壁は俺の家のものじゃない。
周りを見れば広い空間があり、透明な壁がそれを囲んでいた。
「ここ、どこだよ……」
見れば、辺りには人が集まっていた。
人?
氷のような羽を生やした幼女やバンダナにスニーキングスーツで身を固めたおっさん。
異種間交流祭でも開かれるのか?
それにしてはみんな混乱をしているようだ。
まあ、俺はこんな場所には不似合いだ、帰りたい。
そう思って歩き出そうとしたが、体が重い。
バランスを崩し地に手をつく。
だが、おかしい。
俺は手に怪我をしていたか?
手には包帯が巻かれていた。
体も、変な形だ。
先ほどの壁に自分の姿が映っている。
一つ目の包帯男。
包帯男という言葉には語弊がある。
外見は人間ではない、モンスターだからだ。
人?
氷のような羽を生やした幼女やバンダナにスニーキングスーツで身を固めたおっさん。
異種間交流祭でも開かれるのか?
それにしてはみんな混乱をしているようだ。
まあ、俺はこんな場所には不似合いだ、帰りたい。
そう思って歩き出そうとしたが、体が重い。
バランスを崩し地に手をつく。
だが、おかしい。
俺は手に怪我をしていたか?
手には包帯が巻かれていた。
体も、変な形だ。
先ほどの壁に自分の姿が映っている。
一つ目の包帯男。
包帯男という言葉には語弊がある。
外見は人間ではない、モンスターだからだ。
どうしようかと迷っていると、一人の男が声をかけてきた。
「お、サマヨールか、確かポケモンフードが……あったあった」
「お、サマヨールか、確かポケモンフードが……あったあった」
否、声よりも先にドッグフードのような食べ物を差し出してきた。
「俺の名前はタケモトだ、そんな名前じゃない、そしてそんなものは食わない」
「俺の名前はタケモトだ、そんな名前じゃない、そしてそんなものは食わない」
「お前は喋れるのか! 珍しいな……それに飼いポケモンか、ポケモンフードを食わないなんてよほどいい所で飼われてるんだな」
言葉に突っ込むよりも先に、こいつが誰なのか気になった。
「あんたは誰なんだ」
「あんたは誰なんだ」
「僕はタケシ、ポケモンブリーダーさ」
ポケモン、どこかで聞いたことのあるような気がする。
俺がそれをタケシに聞こうとしたとき。
そして人々の混乱がようやく静まろうとしていた最中。
そして人々の混乱がようやく静まろうとしていた最中。
「みんなーー! ニコニコ動画バトルロワイヤルにお越しいただきありがとルー!」
俺達を囲む透明のブロックの中心にピエロが突然あらわれた。
どんなマジックを使ったのか知らないが、それは一瞬の出来事だ。
もじゃもじゃの赤の髪と黄色の服が、俺に何かの危険信号を伝えている。
そいつはまさしくピエロと言うしかない。
どんなマジックを使ったのか知らないが、それは一瞬の出来事だ。
もじゃもじゃの赤の髪と黄色の服が、俺に何かの危険信号を伝えている。
そいつはまさしくピエロと言うしかない。
「こんにちは、ドナルドです。みんなに殺し合いをしてもらうためにやってきました」
ニコニコ動画、バトルロワイヤル、ドナルド、聞いたことがあるのに、思い出せない。
「殺し合い?! ふざけないでよ! 私を早くお兄ちゃんのところに帰して!!」
事態が飲み込めないのはみな同じなんだろうが、一人の女の子が鬼気せまる勢いで道化師に問い詰めた。
だが、ドナルドといったピエロは足を踏み鳴らしながら無視をした。
だが、ドナルドといったピエロは足を踏み鳴らしながら無視をした。
「さて、これはゲームだ。参加は強制。なぁに、ルールは簡単、全員殺 せ ば い い」
ははっ、と笑い飛ばすピエロに屈強そうな男が叫んだ。
見た目は日本人ではないのだが、どういうわけか日本語で、だ。
見た目は日本人ではないのだが、どういうわけか日本語で、だ。
「ふんっ、そんなことして俺に得でもあるのか? 俺の股間は基地外のピエロのためにあるわけじゃないんだぜ?」
屈強とか思った俺が馬鹿だ。
変態だ、こいつは。
変態だ、こいつは。
「どんな理想でも、願いを叶えてあげよう! 勝者ただ一人に、ね。」
このピエロは気が触れている。
俺はそう思うしかなかった。
この鬼畜ステージの中、動くことは死に値すると思ったからだ。
俺はそう思うしかなかった。
この鬼畜ステージの中、動くことは死に値すると思ったからだ。
「お前絶対忍者だろ……汚いなさすが忍者きたない」
鎧に身を包んだ騎士が愚痴るがピエロはまたも無視をし、話を続けた。
「君達には食料や道具、少しの支給品が入ったデイバックを配る。それらをもとにこれから連れて行く場所で殺し合いをする」
「そんな言葉、僕達が素直に聞くと思っているのかい?」
綺麗な目をした理知的な男が真っ向から立ち向かっている。
勇気ある行動だが、残機がない状態でそんな真似を俺はすることが出来るだろうか?
勇気ある行動だが、残機がない状態でそんな真似を俺はすることが出来るだろうか?
「もちろん、聞いてもらうよ? ほぅら! ドナルドの噂♪ みんなの首には、爆弾付きの首輪がついてるんだって♪」
ピエロが口ずさんだそのときだ。
人の姿の奴には首に、俺の場合は何処が首というよりも胴体に機械的な輪っかが締め付けられていた。
これもまた一瞬でだ。
だが、そんな新たな混乱の中でも前に一歩でて叫ぶ女性が一人。
人の姿の奴には首に、俺の場合は何処が首というよりも胴体に機械的な輪っかが締め付けられていた。
これもまた一瞬でだ。
だが、そんな新たな混乱の中でも前に一歩でて叫ぶ女性が一人。
「首輪をつけて、犬のように従うとでも思って?」
そいつはメイドさんだった。
メイドに犬と聞いて興奮するような輩はこの場には、いなかった。
メイドに犬と聞いて興奮するような輩はこの場には、いなかった。
「話は最後まで聞こうね? ん~そうだな~」
ピエロは辺りをざっと見回すと俺の右方面を向いて問いかけた。
「これかな?」
俺達は何を言ってるのか理解することが出来ず、黙っていた。
ピエロは左を向き、また言った。
ピエロは左を向き、また言った。
「これかな?」
そして今度は俺の方、正確にいうならタケシの方を見てこう呟いた。
「これかな?」
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ、と断続的に鳴り響く機械音。
それは紛れも無くタケシの首輪から発せられていた。
「これは、まさか……こんなことするなんてお前人間じゃね『ドカン、だ』」
ピエロが発した言葉通り爆発が起こった。
悲鳴がいたるところから聞こえた。
タケシの血肉が飛び散ったからすぐ隣にいた俺は血まみれだ。
悲鳴がいたるところから聞こえた。
タケシの血肉が飛び散ったからすぐ隣にいた俺は血まみれだ。
――何をすればいいのか分からない。
今ここで出会った人間が目の前で倒れて、俺は人としてどうすればいい?
こんなとき、友人がそばにいてくれたら支えあうことができるのに。
こんなとき、友人がそばにいてくれたら支えあうことができるのに。
「首輪が爆発する条件は、無理矢理外そうとすること、定期的に放送する中で発表された禁止エリアに入った場合かな?」
「……(コクリ)」
またまたいつの間にやら、ドナルドの傍に人の形をしたコアラが立っていた。
「紹介するよ、ドアラ君だ。口下手だけど仲良くしてあげてね?」
コアラの人形は手をあげたりドナルドの周りを歩いたりした後、紙を取り出した。
そこにはこう印刷されていた。
そこにはこう印刷されていた。
- 定期的に放送を入れ、死者と禁止エリアを発表する。
- 24時間以内に死者が出ない場合はゲームオーバーとなる。
- 禁止エリアに入ったり首輪を取ろうとしたりするとゲームオーバーとなる。
- ゲームをクリアしたもの1名のみが願いを叶えることが出来る。
- 尚、ゲームはこの紙が提示されてからすぐに始まる。
その文章は、俺に考えさせてくれる暇を与えてくれなかった。
意識が落ちていくとき、最後に声が聞こえた気がした。
意識が落ちていくとき、最後に声が聞こえた気がした。
「ニコニコ動画バトルロワイヤル、狂宴の始まりだ!!」