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OP4 ◆wgfucd.0Rw


 紅き月が昇る広場、気づけば彼らはそこに横たわっていた。
 一人、また一人と目を覚ました彼らは、見知らぬ空間、そして自分達の首に首輪の様な物が着けられている事に気付く。
 異常な状態に脅え不安げに周囲を見回す者、動じずに無言で佇んでいる者、状況を理解できずに呆けている者、首輪などという物を着けられ怒りに顔を歪める者など様々だ。
 そんな中、こつこつと響く足音と共に、広場に設置された演説台に一組の男女が上った為にその場にいる全員は静まり返り、何事かとその男女へと視線が集中する。
 フードに隠れロクに顔も見えない、首にチェーン付きの笛をかけた中肉中背の男と、制服の上にポンチョを羽織った銀髪の少女。その内、フードの男が恭しくお辞儀をした後、口を開いた。

「ようこそ皆様、はるばる遠い所からお呼び立てして申し訳ありません。
そしておめでとうございます。あなた方は我々の催すゲームに選ばれたのです。」

 ゲームという単語に怪訝な表情を浮かべる者が何人かいたが、彼らが何かを質問する暇さえ与えずに、男は何かに気づいたようにハッとした後、わざとらしく手をポンと叩いた。

「ああ、自己紹介が遅れました。私はこの祭りの主催者を務めておりますFooと申します。
そして傍らにいる少女はこの祭りの協賛者でありますベール=ゼファー嬢です」

 Fooさんに紹介されたベール=ゼファーは、不敵な笑顔を浮かべながらスカートの裾を摘み、優雅に一礼をした。
 演説家の様に大袈裟なジェスチャーと共に朗々と話す様は一種の胡散臭さを与え、何かの演劇を見ているかのような錯覚すら与える。

「ではその肝心な祭りの内容ではありますが」

 数瞬の静寂。
 フードに隠れて見えない筈のFooさんの表情が、笑っている様に周囲の人間には見えた。

「今から皆さんには殺し合いをしてもらいます」

 空気が凍り付いた。
 この場に殺し合う為に呼び出されたと聞かされた彼らは絶句している者、笑顔を浮かべている者、特に気にしていない者それぞれだ。

 沈黙に怒りや不安などが混ざってざわめきに変わるのに、そうそう時間はかからなかった。そんな中、群衆の中から一人の羽を生やした少女が飛び出した。

「『殺し合いしろ』なんて言われてそんな事すると思ってるの?
あたいはそんな事している暇はないんだから早く幻想郷に帰してよね!」
「ちょ、ちょっとチルノ!」

 強気な口調でFooさんにそう言い放ったチルノを触覚が生えた中性的な少女、リグル・ナイトバグが慌てて押さえる。
 しかし、そんなチルノの剣幕を無視する様にFooさんはベールへと視線を向け、対するベールは首をすくめて笑顔を浮かべて応える。
 無視する様なその態度が癇に障り、チルノの堪忍袋の緒が切れた。

「あたいを無視するなーっ! いい!? あたいはさいきょーなんだからね!
あんた達なんてあたいがその気になればけちょんのけちょんのギッタギタにしてやるんだから!」
「いやいや申し訳ありません、あなたが丁度良いタイミングで出てきた物で」
「丁度いいタイミングゥ? なに意味のわからないこと言って……」

 チルノの発言は彼女にリモコンが向けられた事により中断させられる。

「このリモコンは皆様に装着されました首輪の爆破スイッチです。
このスイッチ一つであなた方の首輪に内蔵された爆薬が爆発する。
まあ、殺し合いを円滑に行う為の措置の一つです。
と、言っても実際に爆発する所を見なければ信用できない方もいるでしょう。
ですので、丁度良く飛び出してきた目の前の少女を実験台にその威力の程をその目で確かめてもらいます」

 その発言に周囲が騒然となる。予想外の事態にチルノは動けなくなり、やめろと叫ぶ者、阻止しようと動く者も出るが全ては遅く、無慈悲に首輪のスイッチが押され、時計のアラームの様な首輪の警告音が鳴り響いた。

 だがそれはチルノの首輪から発せられた物ではなく……、

「あっ……」
「……リグルっ!?」

 警告音を発する首輪の主はチルノを庇う様に前に飛び出したリグルであった。
 近くにいた彼女は思わず友人を庇う為に前に出てしまったのだろう。彼女の行動で友人を助ける事ができた。しかし、その代償は彼女の命。

「チル……」

 友人の名を呼ぶ声はくぐもった破裂音に遮られ。爆発の衝撃で吹き飛んだ首は二度とその続きを喋る事が出来無くなった。
 何かが落ちる音と、何かが倒れる音が広場に響き、石畳に赤い水たまりを作る。

 「リ……グル……?」

 近くに居た為、リグルの首が吹き飛んだ際の返り血で右頬を染めたチルノは、呆然としながら恐る恐る『リグルだった物』に話しかけるが、当然返事は帰ってこない。
 リグルは死んだという事実を実感したチルノの顔が崩れた。

「あ、ああ……! リグルッ……!! リグルゥゥゥゥゥ!!!!!!」

 チルノが悲鳴ををあげながらリグルの胴体へと縋り付くのを皮切りに悲鳴や怒号があがり、中にはFooに殴りかかろうと駆け出す者もいた。
 しかし、それはFooがリモコンを全員の目に留まる様に掲げた事で止まる。
 ある者は死の恐怖に怯え、ある者は悔しさに歯を食いしばり、ある者は我関せずと言った感じでだんまりを決め込む。
 場が静まり返った事を確認するとFooは説明を再会した。

「少々予想外の事は起りましたが、これで理解いただけたでしょうか?
要するにあなた方に拒否する権利はありません。
あるのは殺し合いをして最後の一人になる義務だけです。
と言いましても、我々が首輪を爆破させるようなケースは後述する禁止エリアに入った時以外では、余程の事がない限りありませんのでご安心ください。
ああ、それと衝撃などを受けると爆発してしまうので、間違っても首輪を無理矢理外すような真似はしないでください。」

 その言葉に、首輪を無理矢理外そうとしていた何人かが慌てて首輪から手を離した。

「では後の事についてはベール嬢から説明がありますので聞き逃さないようお願いいたします」

 その言葉と共に、Fooさんと交代する形でベールが前へと進み、優雅におじぎをする。

「それじゃあFooさんに代わりまして私が説明させてもらうわ。そうね、まずはこのゲームの会場から説明しましょうか」

 彼女が指を鳴らすと、何も無い空中に突如として巨大な地図が映し出された。

「ここがあなた達が殺し合う会場よ。
この会場の外及び12時間おきに流れる放送で告げられたエリアは立ち入り禁止エリアとなるから立ち入らない様に注意しなさい。
最初に言っておくけど、この会場は私たちの使う特殊な結界で守られているから外からの助けなんて期待しないで殺し合う事だけに専念するのね。」

 不敵な笑顔を浮かべながらベールは続ける。

「では、次はあなた達の支給品の説明でもしましょうか」

 そう言うと彼女はどこからともなくデイパックを取り出した。

「この中には食料やこの殺し合いで最低限必要な道具、あと1個から3個の支給品が入っているの。
一人につき一個、ランダムに選んだデイパックを会場に転送する際に一緒に転送するわ。
そうそう、群れるのは構わないけど、24時間死者が出なかった場合には全員の首輪が爆発するから、そこの所は良く考える事ね。
最後に、このゲームの優勝者には、ご褒美として願いを叶える権利が与えられるわ。
お金・権力・想い人・そして死者の復活、何でも叶えてあげる。
尤も信じる信じないはあなた達の自由だけどね。
……さて、これで一応の説明は終わったけど何か質問はあるかしら?」

 彼女の問いに誰も答えない事を確認してから、彼女はFooさんと二言三言交わして、交代する。

「ではこれよりゲームを開始します。
皆様の健闘を祈りますよ」

 その宣言と共に、Fooさんは首にかけてあった笛を吹き始めた。
 その笛の音と共に一人、また一人と光に包まれ広場から会場へと転送されていく。
 最後の一人、チルノの番が来た時、ベールが彼女の前へと歩み寄った。
 そしてにっこりと微笑みながら口を開いた。

「お友達、残念だったわね」
「……ッ!!!」

 その言葉は聞いた瞬間、チルノの中で何かが切れた。
 渦巻く激情に流されるままベールに掴み掛かろうとするが、それより早く、転送の光が完全に彼女を包んだ。

 眩い光の中、楽しそうに笑う声が響きそれがチルノの神経を逆なでする

「あんたなんか! あんたなんかァ!!!」
「あらあら、悔しい? 憎い? なら答えは簡単よ」

 歌うように朗々とベールは告げる。

「どんな手を使ってでも勝ち抜いて私たちを倒せばいいわ。
だって、あなたは『さいきょー』なのでしょう?」
「……ッ!! うあァァァァァァァッッッッッ!!!!」

 明らかに嘲笑の混じったその言葉に、チルノは憎しみの雄叫びをあげながら広場から消えた。
 そして広場にはFooさんとベール、そして物言わぬ身となったリグルだけが残された。

「いやいや、やり口がエグイですね」
「そう? 彼女に生き抜く理由とリベンジのチャンスを与えてあげたんじゃない。
とっても親切だと思うけど?」

 年相応の少女の様にクスクスと笑うベールにFooさんもまた肩を揺すりながら無言で笑う事で答える。

「それじゃ、お互いの目的の為にがんばりましょうか」
「そうですね、お互いの目的の為に」

 二人と一つと広場を照らす月は、これから起る惨劇を表すかの様に紅く紅く染まっていた。

 ニコニコ動画バトルロワイヤル(ββ)始動


主催者
【Fooさん@運営】
【ベール=ゼファー@ナイトウィザードシリーズ】

【リグル・ナイトバグ@東方project:死亡確認】

【チルノ@東方project:生存確認】







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