「熱血と冷静の間」(2009/10/19 (月) 01:23:14) の最新版変更点
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*熱血と冷静の間 ◆wgfucd.0Rw
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目に映ったのは、いつも通りの光景だった。
平日に寝転がりながらテレビを見てる俺に対し、呆れと諦めの混じった視線を向けながら溜め息をついているかよ子。
いつもの公園でまた抜けた真似をして俺から説教を受け、黙って星座しているフロシャイムの奴ら。
やる事もないんでパチンコにいったり、河川敷でタバコを吹かしながら釣りをやっている俺。
夜、夕飯のお裾分けを持って来たついでに、一緒に飯を食う事になったフロシャイムの奴らと俺とかよ子。
いつも通りのありふれた光景。それに一つだけ違いがあるとするならば、俺がこの光景を第三者視点で見てるって事だろう。
俺の目の前にいる俺は、かよ子の小言に面倒くさそうに顔を背けて頭を掻いている。
「夢、か」
そう呟いた瞬間、目の前の全てが真っ白になった。どうやら本当に夢かなにからしい。
やけに意識がはっきりしている。夢の中だってのに自分が殺し合いに呼ばれた最中だったってのも自覚できるし、あのブロリーとかいう奴との戦いの最中で目の前が真っ暗になったのも覚えている。
あいつをぶっ殺したのはいいが、だからといってここで寝てる訳にもいかねえ。
ふざけた野郎を全員ぶっ飛ばして詫びいれさせるまでは、さっきまでのあの場所にはもどれねぇ。
嘗められるのは好きじゃねえし、死んだタコの貸しがある。それを兆倍にして返してやらねえとこっちの気が収まらねえ。
「待ってろよ」
川崎にいるかよ子達と、どこか知らねえ場所でふんぞり返ってるふざけた主催達にそれぞれ別の意味で呟きながら、俺の意識は急激に夢から醒めていき……。
目が覚めると、俺の視界にはメイドと着ぐるみがいた。
「こちらの知り合いで死んだのは兎が一羽で他は健在、こういう状況でなければそれなりに心強いのでしょうけど、ね」
サンレッドの目覚めから少し時は遡り、咲夜は寒村に向かって歩を進めていた。
中央部に進むのを断念した訳ではない。ただ、疲労も負傷も激しく、また食料もない状態で施設らしい施設もない地帯を突っ切るよりも、近場にある寒村で休息を取ろうと考えたのだった。
ブロリーと出会うかもしれないというリスクはあったが、それは中心部に向かう場合も同じであり、何より中心部ではスネークが自分が危険人物であるという情報を流している危険性もある。
スネークだけではない。彼女と一戦を交えた佐之助も中心部に向かった可能性もある。だとしたらこの状態で中心部へ向かうのは寒村に行くよりもリスキーという事になる。
そして三回目の放送。左之助の名前を知らない咲夜は死人に左之助がいるかどうかの判別がつかない上に、スネークの名が呼ばれていない事に渋い顔をし、知り合いの名が1人しか呼ばれなかった事に複雑な表情を浮かべた。
「美鈴あたりがスネークの話を聞いたらどんな反応をするかしらね」
「あー、やっぱり」とどこか納得したような表情を浮かべる美鈴の顔が即座に浮かび、何故か無償に腹が立った。
無事互いに幻想郷に戻った時には朝食でも抜いてやろうと密かに決意する。見事なまでのとばっちりである。
禁止エリアのメモも終わり、寒村まであと少しという所で咲夜は眼前の地面に不自然なへこみがある事に気付いた。
へこみの正体は両手でそれぞれ別の重い何かを引きずった後。
この村に誰かがいる。接触するか否か、咲夜は思考する。
まずこの引きずった物は何なのか? 微量の血が地面に付着している事から高確率で人間、ないしは何かの生物。
では何故引きずったのか? 死体が見つかると不味い人間による証拠隠滅か、その何かを助ける為か、はたまたその何かを人目につかない場所でどうにかする為か。
咲夜は最初と最後の可能性は薄いと判断する。周囲は森なのだから死体を隠すのも問題ないし、人の来る可能性のある寒村よりも森の方が人目につかない可能性が高い。
何より何かを隠すというのにこうやって引きずった後を残しておくなどお粗末すぎる。つまり一番可能性が高いのは二つの何かを助ける為。
であるならば好都合だと咲夜は考える。
それなりの大きさの物を二つ引きずる程度の筋力であればブロリーの様な化物じみた存在である可能性は低く、またその二つの何かが枷になり動きづらいかもしれない。
先程のブロリーの負傷具合からして、ブロリーと一戦交えた者達である可能性もある。
そして引きずってでも何かを助けようとしている人物であるならばお人好しな対主催である可能性が高い。うまく行けば食料や医療道具を分けてもらえるかもしれない。
全ては確証の無い仮定の話。お人好しを装った参加者の罠の可能性もある。
だが、余程不意を突かれなければ、小賢しい罠の一つや二つ程度自身の能力で対処可能である。
疲労にふらつく体に鞭を打ち、いつでも果実ナイフを飛ばせる様に手を忍ばせばら咲夜は跡を追う。追った先には紅魔館には劣るが立派な屋敷。
「ま、ここなら食料くらいあるでしょう」
ドアを開け、月光以外に明かりの存在しない館へと歩みを進める。
不意に静寂の支配する邸内に扉の開く音が響く。やはりいたか、と咲夜は身構えながら、襲撃された場合どう動くかを考え始める。
暗闇から声が響いた。
「どちら様でしょうか? 返答次第ではここから出て行って頂きますが」
「そこの森で筋肉の化け物に襲われて命からがら逃げてきたの。できれば休ませて欲しいんだけど」
「筋肉の化け物……? ブロリーの事ですか!?」
声の主が動揺しているのを聞き、咲夜は最初の予想が十中八九当たった事を確信する。だが、安心するにはまだ問題がある。
それを確かめる為に咲夜は口を開いた。
「名前は知らないけど多分そいつよ、出鱈目な身体能力だったわ。
こちらからも質問なんだけど。スネークと名乗る人物や、鉢巻きに逆立てた髪をしたガラの悪そうな男を知らない?」
「……? お知り合いですか?」
その応えを聞きようやく咲夜は安堵の溜め息を着いた。
例え乗っていない人物であってもスネークなどから自分の話を聞かされていればその時点で信用されず、最悪敵対視されてしまう。
だが声の主に関してはその可能性が低い事を感じ、胸を撫で下ろしながら咲夜は答える。
「いえ、その逆よ、詳しい事を話したいんだけど、ここじゃあれね。座れる場所を用意してくれないかしら。こっちもボロボロなのよ」
「そ、そうですね! ブロリーが相手だったのに無事な訳ないですし。
ちょっと待ってください!」
こちらに向かってくる足音を聞きながら咲夜は自身の幸運に感謝する。
ようやく一息つけるわね、と考えていた咲夜の視界に現れたのは着ぐるみを着た少女だった。
「初めまして、私はおにぽんと言います。よろしくお願いしますね。えーと……」
「咲夜。十六夜咲夜よ。ところでそれは偽名かあだ名かしら? 名簿には載ってない名前だけど」
「その件については話せば長くなりますので……。とりあえず私の仲間がいる部屋まで着いて来てください」
こうして彼女達の情報交換が始まる。
咲夜が話したのはスネークと左乃助の二人が危険人物であり、特にスネークは同行者の二人を殺害した危険人物だという誤情報と、自分の知り合いに関してと、これまでの経緯。
用心の為にスタープラチナに関しては教えていない。
おにぽんの口から語られたのは、自身がポケモンであり、あるアイテムで人の形を取っている事、そしてDIOという危険人物とブロリーとの激戦。
あのブロリーをあそこまで痛めつけるのに費やした犠牲、そしてそこまでやっても倒れないブロリーの不死身さに咲夜は冷や汗を流す。
そんな中、サンレッドが目を覚ました。
「……貸しの作りっぱなしじゃねえか」
見慣れない女性が二人もいて若干パニックを起こしたサンレッドにおにぽんが事情を話し、改めて互いの情報交換が行なわれた。
その中でも、ブロリーが生存しており、自分達を逃がす為に修造が犠牲になった事を知ったサンレッドの拳が強く握られる。
その悲痛な姿におにぽんはかける言葉が見当たらず、咲夜は我関せずと目を瞑っている。
不意にサンレッドが立ち上がった。
「どこに行くんですか?」
「どこ? ブロリーの所に決まってるじゃねーか」
まるで近所のコンビニに行くかの様な調子で答えるサンレッドに、おにぽんの顔が青くなった。
「いけません! そんなぼろぼろの体で!」
「知るかよ。このままやられっぱなしでいられる程、俺はお人好しじゃねーんだ。
それにあいつらも行ったんだろ? 俺だけ寝てる訳にはいかねーっての」
「ベジータさんとサンレッドさんでは体の作りが違います!」
「知ったこっちゃ……ぐぅっ!」
必死に思いとどまらせようとするおにぽんに対し、声を荒げた瞬間、サンレッドの体に激痛が走り、立ちくらみを起こして片膝をつく。
ヒーローであっても人間の範疇は越えられない。サンレッドが動くには体に蓄積したダメージがあまりにも重過ぎる。
「言わんこっちゃないです! ほら、早く横になって……」
「うるせえ……! こんな所で休んでる訳には……」
「はぁ、めんどくさい男ね」
肩で息をしながらも尚も引こうとしないサンレッドに不意にかけられた声。
何だとサンレッドが反応するより早く、鋭い蹴りがサンレッドを捉えた。
声にならない声を挙げ、もんどりうって倒れたサンレッドの視界には、足を降ろす咲夜の姿。
「て……めっ……! 何……しや……」
「ぼろぼろの私に不意を突かれてやられるようじゃ、むざむざ死にに行く様な物ね」
冷たく見下ろす咲夜に対し、怒りの念を露にサンレッドが睨み上げる。
「貴方の気持ちも解るけど、戦うならなるべくベストの状況でいきなさい。
今の貴方じゃ足手まといもいいとこよ。それに敵はブロリー以外にもいるの、ブロリー一人を相手に燃え尽きるつもり?」
「……」
「スネークにガラの悪い男、それにDIOとかいう吸血鬼。貴方の戦うべき相手はたくさんいるんでしょう?」
咲夜の問いにサンレッドは沈黙で返す。
数分の沈黙。その末にサンレッドはごろりと横になった。
「今の俺じゃ足手まといになるのはわかってる、今はあの二人に任せる事しかできないのもだ。腹立たしい事によ」
不貞腐れた様に、悔しそうにサンレッドが呟く。
「だからとっと怪我を直してブロリーもDIOも主催者も皆纏めてぶっ殺す。……これで文句ねーか?」
「まあいいんじゃない? 犬死にするより数倍マシよ」
「チッ」
微かに微笑みながら答える咲夜にサンレッドは忌々しげに舌打ちをする。
「お前、これが終わったら一発ぶん殴らせろよな」
「やれるものならやってみなさい。その為にも今は休んでおく事ね」
「へーへーわかりましたよっと。おい、おにぽん。デイパックに入ってるねるねるねるねだけじゃ腹にたまんねえ。なんか食いもんが無いか探してこい」
「え!? 私ですかぁ!?」
突然の咲夜の蹴りから呆気にとられ、見ているしかできなかったおにぽんは、急に名前を呼ばれ雑用を押し付けられてしまい思わず聞き返す。
「お前以外にまともにうごけるのがいねーだろーが」
「なら私もお願いしようかしら」
「でも、私はサンレッドさんを守る為に……」
「よろしくって頼まれたんだろぉ? いいから行け!」
「は、はぃぃぃぃぃぃ!」
サンレッドの剣幕に押されておにぽんは慌てて台所へと向かう。
それを横目に咲夜もようやく一息をついた。
おにぽんの話からサンンレッドがかなりの実力者であり、乗った人間には容赦のない人物である事がわかった。
うまく行けばサンレッドを利用して優勝に向けて立ち回れるかもしれない。だからこそこんなところで犬死にしてもらっては困る。
(まあできるだけ掻き回して欲しい所ね、特にスネークは早めに手を打たないと面倒な事になるわね。
休憩が終わってからは1人で動くとして、最低でもブロリーの死亡を確認できないと迂闊に殺しても回れないし。はぁ、本当に面倒な事ねぇ)
体を休めながら多難な前途に思いを馳せ、完璧で瀟酒なメイド長はもの優げな溜め息を一つ吐いた。
【F-5 寒村はずれの屋敷/一日目・夜】
【サンレッド@天体戦士サンレッド】
[状態]気絶中、脇腹に怪我(応急処置済み)、全身に重度の打撲、やや失血、 疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]DIOの上着、ファイアーバードフォーム@天体戦士サンレッド
[道具]ねるねるね3種セット@ねるねるね、鏡@ドナルド、美希の私服
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1:二人が心配だし、腹立たしいが今は休む。
2:ルカ……。
3:DIOとブロリーとスネークとガラの悪い男(左之助)を見つけ出して殺す。
4:ゲームに乗っている参加者の排除
5:誤解されてるが・・・どうすっかな
6:殺し合いが終わったら咲夜を一発ぶん殴る
【備考】
※制限について気がつきました。
※咲夜と情報交換をしました。
【十六夜咲夜@東方project】
[状態]疲労(大)、左腕複雑骨折、両手の甲にダメージ
[装備]時計型麻酔銃@名探偵コナン、計量匙×1@東方バトルロワイアル
[道具]基本支給品(食糧無し)、果物ナイフ×2、、時計型麻酔銃の予備針(残り2発)@名探偵コナン、
フジキ@ゆっくり村×4
[思考・状況]基本思考:優勝し、死亡者含め全ての参加者を元の所に戻すと主催に望む
0:休息を取る。ブロリーは今は追いかけない。
1:食糧、出来れば応急処置品と痛み止めがほしい。
2:なるべく戦闘したく……なかった。
3:どうしようもない場合は即座に暗殺。
4:参加者が減ってきたら慎重に本格的に行動する。最低でもブロリー生存中は下手に動かない。
5:まともな投擲武器が欲しい
6:連合は組まない。休憩が終わり次第単独行動。
7:首輪解除の技術はわりとどうでもいい
【備考】
※七夜志貴の名前を知りました。
※ときちくは姿しか知りません。
※時間操作は2秒が限度です。停止した後に使用するには数秒のブランクが必要です。
※飛行が可能かどうかはわかりません。
※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。
※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と思い、あえて昼間挑む方が得策と判断しました。
※僧侶のネガキャンを聞きましたが、その情報を完全には信用はしていません。
※やる夫のデイパックは列車内に放置してあります。
※サムネホイホイ(出だしはパンツレスリングだが、その後別の映像は不明)は、A-5の平原に投げ捨てられました
※カミーユ・ビダンの死体を確認。首輪を解除しようとしてる人がいると推測しました
※一度幻想の法則から外れた者ももう一度幻想の法則の中にもどせば幻想の法則が適用されると推理しました。
※ヤバいDISCがINしました。スタープラチナが使えますが、真の能力には気づいていません。
※E-5橋付近にフジキが計14本あります
※サンレッド、おにぽんと情報交換をしましたがスタープラチナについては話していません。
【おにぽんの思考・状況】
1:サンレッドを守る。
2:敵が来たら「さいみんじゅつ」で眠らせる。
3:近場で食料を探す。
【備考】
※「新型萌えもんパッチ@ポケットモンスターで擬人化してみた」をつけています。
※擬人化のままでも技は使えるそうです。
※ボールは美希のデイパックに入っています。
|sm192:[[Yell "dead human"]]|[[時系列順>第四回放送までの本編SS]]|sm195:[[ドナルドのディシプリン]]|
|sm192:[[Yell "dead human"]]|[[投下順>151~200]]|sm194:[[アポロ13 -そして誰もいなくなるか?]]|
|sm188:[[いかなる恐怖にも動じずブロリーを打倒]]|サンレッド|sm:[[]]|
|sm174:[[Junk the Eater]]|十六夜咲夜|sm:[[]]|
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*熱血と冷静の間 ◆wgfucd.0Rw
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目に映ったのは、いつも通りの光景だった。
平日に寝転がりながらテレビを見てる俺に対し、呆れと諦めの混じった視線を向けながら溜め息をついているかよ子。
いつもの公園でまた抜けた真似をして俺から説教を受け、黙って星座しているフロシャイムの奴ら。
やる事もないんでパチンコにいったり、河川敷でタバコを吹かしながら釣りをやっている俺。
夜、夕飯のお裾分けを持って来たついでに、一緒に飯を食う事になったフロシャイムの奴らと俺とかよ子。
いつも通りのありふれた光景。それに一つだけ違いがあるとするならば、俺がこの光景を第三者視点で見てるって事だろう。
俺の目の前にいる俺は、かよ子の小言に面倒くさそうに顔を背けて頭を掻いている。
「夢、か」
そう呟いた瞬間、目の前の全てが真っ白になった。どうやら本当に夢かなにからしい。
やけに意識がはっきりしている。夢の中だってのに自分が殺し合いに呼ばれた最中だったってのも自覚できるし、あのブロリーとかいう奴との戦いの最中で目の前が真っ暗になったのも覚えている。
あいつをぶっ殺したのはいいが、だからといってここで寝てる訳にもいかねえ。
ふざけた野郎を全員ぶっ飛ばして詫びいれさせるまでは、さっきまでのあの場所にはもどれねぇ。
嘗められるのは好きじゃねえし、死んだタコの貸しがある。それを兆倍にして返してやらねえとこっちの気が収まらねえ。
「待ってろよ」
川崎にいるかよ子達と、どこか知らねえ場所でふんぞり返ってるふざけた主催達にそれぞれ別の意味で呟きながら、俺の意識は急激に夢から醒めていき……。
目が覚めると、俺の視界にはメイドと着ぐるみがいた。
「こちらの知り合いで死んだのは兎が一羽で他は健在、こういう状況でなければそれなりに心強いのでしょうけど、ね」
サンレッドの目覚めから少し時は遡り、咲夜は寒村に向かって歩を進めていた。
中央部に進むのを断念した訳ではない。ただ、疲労も負傷も激しく、また食料もない状態で施設らしい施設もない地帯を突っ切るよりも、近場にある寒村で休息を取ろうと考えたのだった。
ブロリーと出会うかもしれないというリスクはあったが、それは中心部に向かう場合も同じであり、何より中心部ではスネークが自分が危険人物であるという情報を流している危険性もある。
スネークだけではない。彼女と一戦を交えた佐之助も中心部に向かった可能性もある。だとしたらこの状態で中心部へ向かうのは寒村に行くよりもリスキーという事になる。
そして三回目の放送。左之助の名前を知らない咲夜は死人に左之助がいるかどうかの判別がつかない上に、スネークの名が呼ばれていない事に渋い顔をし、知り合いの名が1人しか呼ばれなかった事に複雑な表情を浮かべた。
「美鈴あたりがスネークの話を聞いたらどんな反応をするかしらね」
「あー、やっぱり」とどこか納得したような表情を浮かべる美鈴の顔が即座に浮かび、何故か無償に腹が立った。
無事互いに幻想郷に戻った時には朝食でも抜いてやろうと密かに決意する。見事なまでのとばっちりである。
禁止エリアのメモも終わり、寒村まであと少しという所で咲夜は眼前の地面に不自然なへこみがある事に気付いた。
へこみの正体は両手でそれぞれ別の重い何かを引きずった後。
この村に誰かがいる。接触するか否か、咲夜は思考する。
まずこの引きずった物は何なのか? 微量の血が地面に付着している事から高確率で人間、ないしは何かの生物。
では何故引きずったのか? 死体が見つかると不味い人間による証拠隠滅か、その何かを助ける為か、はたまたその何かを人目につかない場所でどうにかする為か。
咲夜は最初と最後の可能性は薄いと判断する。周囲は森なのだから死体を隠すのも問題ないし、人の来る可能性のある寒村よりも森の方が人目につかない可能性が高い。
何より何かを隠すというのにこうやって引きずった後を残しておくなどお粗末すぎる。つまり一番可能性が高いのは二つの何かを助ける為。
であるならば好都合だと咲夜は考える。
それなりの大きさの物を二つ引きずる程度の筋力であればブロリーの様な化物じみた存在である可能性は低く、またその二つの何かが枷になり動きづらいかもしれない。
先程のブロリーの負傷具合からして、ブロリーと一戦交えた者達である可能性もある。
そして引きずってでも何かを助けようとしている人物であるならばお人好しな対主催である可能性が高い。うまく行けば食料や医療道具を分けてもらえるかもしれない。
全ては確証の無い仮定の話。お人好しを装った参加者の罠の可能性もある。
だが、余程不意を突かれなければ、小賢しい罠の一つや二つ程度自身の能力で対処可能である。
疲労にふらつく体に鞭を打ち、いつでも果実ナイフを飛ばせる様に手を忍ばせばら咲夜は跡を追う。追った先には紅魔館には劣るが立派な屋敷。
「ま、ここなら食料くらいあるでしょう」
ドアを開け、月光以外に明かりの存在しない館へと歩みを進める。
不意に静寂の支配する邸内に扉の開く音が響く。やはりいたか、と咲夜は身構えながら、襲撃された場合どう動くかを考え始める。
暗闇から声が響いた。
「どちら様でしょうか? 返答次第ではここから出て行って頂きますが」
「そこの森で筋肉の化け物に襲われて命からがら逃げてきたの。できれば休ませて欲しいんだけど」
「筋肉の化け物……? ブロリーの事ですか!?」
声の主が動揺しているのを聞き、咲夜は最初の予想が十中八九当たった事を確信する。だが、安心するにはまだ問題がある。
それを確かめる為に咲夜は口を開いた。
「名前は知らないけど多分そいつよ、出鱈目な身体能力だったわ。
こちらからも質問なんだけど。スネークと名乗る人物や、鉢巻きに逆立てた髪をしたガラの悪そうな男を知らない?」
「……? お知り合いですか?」
その応えを聞きようやく咲夜は安堵の溜め息を着いた。
例え乗っていない人物であってもスネークなどから自分の話を聞かされていればその時点で信用されず、最悪敵対視されてしまう。
だが声の主に関してはその可能性が低い事を感じ、胸を撫で下ろしながら咲夜は答える。
「いえ、その逆よ、詳しい事を話したいんだけど、ここじゃあれね。座れる場所を用意してくれないかしら。こっちもボロボロなのよ」
「そ、そうですね! ブロリーが相手だったのに無事な訳ないですし。
ちょっと待ってください!」
こちらに向かってくる足音を聞きながら咲夜は自身の幸運に感謝する。
ようやく一息つけるわね、と考えていた咲夜の視界に現れたのは着ぐるみを着た少女だった。
「初めまして、私はおにぽんと言います。よろしくお願いしますね。えーと……」
「咲夜。十六夜咲夜よ。ところでそれは偽名かあだ名かしら? 名簿には載ってない名前だけど」
「その件については話せば長くなりますので……。とりあえず私の仲間がいる部屋まで着いて来てください」
こうして彼女達の情報交換が始まる。
咲夜が話したのはスネークと左乃助の二人が危険人物であり、特にスネークは同行者の二人を殺害した危険人物だという誤情報と、自分の知り合いに関してと、これまでの経緯。
用心の為にスタープラチナに関しては教えていない。
おにぽんの口から語られたのは、自身がポケモンであり、あるアイテムで人の形を取っている事、そしてDIOという危険人物とブロリーとの激戦。
あのブロリーをあそこまで痛めつけるのに費やした犠牲、そしてそこまでやっても倒れないブロリーの不死身さに咲夜は冷や汗を流す。
そんな中、サンレッドが目を覚ました。
「……貸しの作りっぱなしじゃねえか」
見慣れない女性が二人もいて若干パニックを起こしたサンレッドにおにぽんが事情を話し、改めて互いの情報交換が行なわれた。
その中でも、ブロリーが生存しており、自分達を逃がす為に修造が犠牲になった事を知ったサンレッドの拳が強く握られる。
その悲痛な姿におにぽんはかける言葉が見当たらず、咲夜は我関せずと目を瞑っている。
不意にサンレッドが立ち上がった。
「どこに行くんですか?」
「どこ? ブロリーの所に決まってるじゃねーか」
まるで近所のコンビニに行くかの様な調子で答えるサンレッドに、おにぽんの顔が青くなった。
「いけません! そんなぼろぼろの体で!」
「知るかよ。このままやられっぱなしでいられる程、俺はお人好しじゃねーんだ。
それにあいつらも行ったんだろ? 俺だけ寝てる訳にはいかねーっての」
「ベジータさんとサンレッドさんでは体の作りが違います!」
「知ったこっちゃ……ぐぅっ!」
必死に思いとどまらせようとするおにぽんに対し、声を荒げた瞬間、サンレッドの体に激痛が走り、立ちくらみを起こして片膝をつく。
ヒーローであっても人間の範疇は越えられない。サンレッドが動くには体に蓄積したダメージがあまりにも重過ぎる。
「言わんこっちゃないです! ほら、早く横になって……」
「うるせえ……! こんな所で休んでる訳には……」
「はぁ、めんどくさい男ね」
肩で息をしながらも尚も引こうとしないサンレッドに不意にかけられた声。
何だとサンレッドが反応するより早く、鋭い蹴りがサンレッドを捉えた。
声にならない声を挙げ、もんどりうって倒れたサンレッドの視界には、足を降ろす咲夜の姿。
「て……めっ……! 何……しや……」
「ぼろぼろの私に不意を突かれてやられるようじゃ、むざむざ死にに行く様な物ね」
冷たく見下ろす咲夜に対し、怒りの念を露にサンレッドが睨み上げる。
「貴方の気持ちも解るけど、戦うならなるべくベストの状況でいきなさい。
今の貴方じゃ足手まといもいいとこよ。それに敵はブロリー以外にもいるの、ブロリー一人を相手に燃え尽きるつもり?」
「……」
「スネークにガラの悪い男、それにDIOとかいう吸血鬼。貴方の戦うべき相手はたくさんいるんでしょう?」
咲夜の問いにサンレッドは沈黙で返す。
数分の沈黙。その末にサンレッドはごろりと横になった。
「今の俺じゃ足手まといになるのはわかってる、今はあの二人に任せる事しかできないのもだ。腹立たしい事によ」
不貞腐れた様に、悔しそうにサンレッドが呟く。
「だからとっと怪我を直してブロリーもDIOも主催者も皆纏めてぶっ殺す。……これで文句ねーか?」
「まあいいんじゃない? 犬死にするより数倍マシよ」
「チッ」
微かに微笑みながら答える咲夜にサンレッドは忌々しげに舌打ちをする。
「お前、これが終わったら一発ぶん殴らせろよな」
「やれるものならやってみなさい。その為にも今は休んでおく事ね」
「へーへーわかりましたよっと。おい、おにぽん。デイパックに入ってるねるねるねるねだけじゃ腹にたまんねえ。なんか食いもんが無いか探してこい」
「え!? 私ですかぁ!?」
突然の咲夜の蹴りから呆気にとられ、見ているしかできなかったおにぽんは、急に名前を呼ばれ雑用を押し付けられてしまい思わず聞き返す。
「お前以外にまともにうごけるのがいねーだろーが」
「なら私もお願いしようかしら」
「でも、私はサンレッドさんを守る為に……」
「よろしくって頼まれたんだろぉ? いいから行け!」
「は、はぃぃぃぃぃぃ!」
サンレッドの剣幕に押されておにぽんは慌てて台所へと向かう。
それを横目に咲夜もようやく一息をついた。
おにぽんの話からサンンレッドがかなりの実力者であり、乗った人間には容赦のない人物である事がわかった。
うまく行けばサンレッドを利用して優勝に向けて立ち回れるかもしれない。だからこそこんなところで犬死にしてもらっては困る。
(まあできるだけ掻き回して欲しい所ね、特にスネークは早めに手を打たないと面倒な事になるわね。
休憩が終わってからは1人で動くとして、最低でもブロリーの死亡を確認できないと迂闊に殺しても回れないし。はぁ、本当に面倒な事ねぇ)
体を休めながら多難な前途に思いを馳せ、完璧で瀟酒なメイド長はもの優げな溜め息を一つ吐いた。
【F-5 寒村はずれの屋敷/一日目・夜】
【サンレッド@天体戦士サンレッド】
[状態]気絶中、脇腹に怪我(応急処置済み)、全身に重度の打撲、やや失血、 疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]DIOの上着、ファイアーバードフォーム@天体戦士サンレッド
[道具]ねるねるね3種セット@ねるねるね、鏡@ドナルド、美希の私服
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1:二人が心配だし、腹立たしいが今は休む。
2:ルカ……。
3:DIOとブロリーとスネークとガラの悪い男(左之助)を見つけ出して殺す。
4:ゲームに乗っている参加者の排除
5:誤解されてるが・・・どうすっかな
6:殺し合いが終わったら咲夜を一発ぶん殴る
【備考】
※制限について気がつきました。
※咲夜と情報交換をしました。
【十六夜咲夜@東方project】
[状態]疲労(大)、左腕複雑骨折、両手の甲にダメージ
[装備]時計型麻酔銃@名探偵コナン、計量匙×1@東方バトルロワイアル
[道具]基本支給品(食糧無し)、果物ナイフ×2、、時計型麻酔銃の予備針(残り2発)@名探偵コナン、
フジキ@ゆっくり村×4
[思考・状況]基本思考:優勝し、死亡者含め全ての参加者を元の所に戻すと主催に望む
0:休息を取る。ブロリーは今は追いかけない。
1:食糧、出来れば応急処置品と痛み止めがほしい。
2:なるべく戦闘したく……なかった。
3:どうしようもない場合は即座に暗殺。
4:参加者が減ってきたら慎重に本格的に行動する。最低でもブロリー生存中は下手に動かない。
5:まともな投擲武器が欲しい
6:連合は組まない。休憩が終わり次第単独行動。
7:首輪解除の技術はわりとどうでもいい
【備考】
※七夜志貴の名前を知りました。
※ときちくは姿しか知りません。
※時間操作は2秒が限度です。停止した後に使用するには数秒のブランクが必要です。
※飛行が可能かどうかはわかりません。
※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。
※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と思い、あえて昼間挑む方が得策と判断しました。
※僧侶のネガキャンを聞きましたが、その情報を完全には信用はしていません。
※やる夫のデイパックは列車内に放置してあります。
※サムネホイホイ(出だしはパンツレスリングだが、その後別の映像は不明)は、A-5の平原に投げ捨てられました
※カミーユ・ビダンの死体を確認。首輪を解除しようとしてる人がいると推測しました
※一度幻想の法則から外れた者ももう一度幻想の法則の中にもどせば幻想の法則が適用されると推理しました。
※ヤバいDISCがINしました。スタープラチナが使えますが、真の能力には気づいていません。
※E-5橋付近にフジキが計14本あります
※サンレッド、おにぽんと情報交換をしましたがスタープラチナについては話していません。
【おにぽんの思考・状況】
1:サンレッドを守る。
2:敵が来たら「さいみんじゅつ」で眠らせる。
3:近場で食料を探す。
【備考】
※「新型萌えもんパッチ@ポケットモンスターで擬人化してみた」をつけています。
※擬人化のままでも技は使えるそうです。
※ボールは美希のデイパックに入っています。
|sm192:[[Yell "dead human"]]|[[時系列順>第四回放送までの本編SS]]|sm195:[[ドナルドのディシプリン]]|
|sm192:[[Yell "dead human"]]|[[投下順>151~200]]|sm194:[[アポロ13 -そして誰もいなくなるか?]]|
|sm188:[[いかなる恐怖にも動じずブロリーを打倒]]|サンレッド|sm203:[[正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-]]|
|sm174:[[Junk the Eater]]|十六夜咲夜|sm203:[[正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-]]|
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