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「図書館ツアーへようこそ」(2009/05/31 (日) 23:52:09) の最新版変更点
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*図書館ツアーへようこそ ◆T0ldTcn6/s
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予定に変更はなく一路図書館へ。
ただし、その道のりは見渡す限りの平原である。
急がばなんとやらのことわざどおりに回り道してもさほど変わらない。
草が目立つか否かの違いである。
見通しがよいということは敵襲の察知はやりやすいが逆に逃走は困難になる。
さらに相手が銃器を所持していた場合、射線が簡単に通ってしまう。
まあ、それに関してはお互い様だが……敵さんの腕次第では無傷では済まない。
下手をすれば相討ちである。
さらにスナイパーライフルならばアウトレンジの狙撃も可能。
実行に移すなら図書館の屋根は絶好のポイントか。
既にD-4に入ったため距離は1kmを優に切っている。
プロなら撃てるな……だが、考え過ぎか。
バクラと言葉がまだ危険人物と決まったわけではなく、またてゐの言動から察するに2人が狙撃銃を持っている可能性は極めて低い。
されど用心にやりすぎはないのだ。
葦原の中に身を潜めながら動くのはどうか。
(いや、無理だな)
冷静に否定する。
まずてゐの服は明るい色を基調としており緑にはとけ込まない。
次に自分だが、いくら迷彩色の軍服を着ているからといって大柄であるため芝から体がはみ出る。
さらにこの時間帯だ。
うっかり者でない限りと注釈は付くが、まず見落とさないだろう。
夜ならまた違ったのかもしれないが……
結論から言ってしまえば今いる場所は危険なのだ。
ゆえに早めに通り過ぎてしまいたいところだったが……
――見つかったな
現実は甘くないわけだ。
いつもの癖で銃口を向けかけるが何とか抑える。
そもそも相手は丸腰だ。
いきなり武器を向けてしまえば余計な警戒心を与えてしまう。
危険人物か否かも分からない時点で情報交換の機会すら捨て去るのはやや下策。
「こちらに戦意はない。お前はどうだ?」
懐に入れた手には冷たい感触。
一挙一動を見逃さぬよう細心の注意を払い、相手がその気ならそれを即座に引き抜く。
「私はたわけたゲームには乗っていない!」
遮蔽物がないとはいえその声はいい感じに響いた。
思わず耳を塞ぎたくなったのは内緒だ。
キンコーン。
目指す食料品のフロア、到着の合図。
エレベーターの扉が開き、雄山は固まった。
ひゅうー。
虚しい幻聴が聞こえた。
棚という棚は底が剥き出しになっている。
水槽を見やれば寂しく気泡だけが立ち上っている。
当然ながらレジにも誰一人として立っていない。
伽藍としているせいかやたらとフロアが広く見える。
単刀直入に言おう。
雄山の求める食料なんて一切なかった。
実のところスナック菓子やインスタント麺の類はぽつぽつとあったのだが、彼がそんなものを食料と認めるわけがない。
むしろ、怒りを増幅させただけだ。
「ハハハハハハハ……アハハハハハハハハ」
憤りが一周してしまったのか、なんか笑いがこみ上げてきた。
支給された食料の不味さといい、もう主催者はありえん(苦笑)レベルだ。
フライドチキンやハンバーグのようなジャンクフードよりも劣る。
「もはや美味いも不味いもない! 主催者どもは事の本質を忘れておる!!」
ずかずかと大地を暴力的に踏みながら、雄山はモールを後にした。
後にしつつ地図とペンを取り出し二重線を引く。
こうして雄山の地図から塚モールが消失したのであった、まる。
未だに頭が冷めぬまま東へと驀進した。
歩いても歩いても緑一色だったがゆえか少し落ち着きを取り戻したところ、待ち望んでいたものが見えた。
軍人と幼女という組み合わせは少々以上だったが、まあ誰にも会わないよりはマシ。
彼は孤独に毒されていたのだから。
雄山は今まで真の意味で単独だった。
これの意味するところは果たして何か。
そう、雄山は死体こそ見たものの誰とも会ってはいない。
誰かと行動をともにしたこともない。
誰かと志を共有したこともない。
ゲームに乗っているに襲われたこともない。
危険人物も見たことがない。
「私はたわけたゲームには乗っていない!」
このときの雄山には一切の警戒心がなかった。
傭兵であるスネークが呆れ返るほどの不用心さで。
それが結果的にうち解ける要因となったのは言うまでもない。
放送は直後だった。
反応は三者三様。
雄山は夜神月の名前にもしやと目を丸くし、
スネークは減るどころか増えた死亡者数に黙って腕を組み、
てゐは同郷の人妖が呼ばれなかったことに静かに舌打ちする。
共通してやや淡泊。
姉を失ったボーカロイドや同僚を失ったアイドルに比べれば安い受け取り方だ。
そして、情報交換が始まった。
まずは3人がそれぞれ名乗る。
最初に情報を提供したのは雄山だ。
向かった駅のトイレが爆破されていたこと、そして「ライト」とダイイングメッセージを残した男の死体を発見したことを細やかに告げていく。
スネークにとって心が痛むものであった。
発言を受け、スネークは駅での惨劇、自分のミスで死んでしまったドアラとやる夫こと、そして十六夜咲夜という危険人物を伝える。
雄山はその全てを黙って受け止めた。
気性こそ荒いもののKYというわけではない、後悔するスネークを目にしてここはそっとしておくべきと判断したのだ。
ひととおり、独白が終わったところでスネークは「ライト」の正しい意味を伝える。
夜神月との間で起こった一部始終を全て打ち明けた。
僅かな会話で雄山が間違いなく殺人を許容しないことを見て取った。
とはいえ、てゐの事情もあり未来永劫隠し通すのは難しい。
ならばいっそと踏み切ったわけだが、ほぼ予想したとおり雄山はスネークの胸倉を掴み岩をも砕く勢いで怒鳴り散らした。
次々と叩き付けられる罵倒を受け流し、スネークはただ冷静に現実を突きつける。
――説得できる者もいるだろう。しかし、確かな悪意をもって殺し合いに臨む者もいる。
雄山は押し黙るしかなかった。なるほど、そんな奴は捨ておけば悲劇を振りまくだろう。
だが、理解はできても感情が認めない。
雄山は眉を寄せてただスネークをじっと睨んでいた。
ここにきてそういえばと雄山は戦闘機のことを今更に切り出したのだ。
何でもゲーム開始直後のことだったらしい。
マニュアルも支給されていたことから、作為を疑う余地はない。
スネークはすぐさま傭兵であることを明かし、譲って貰おうと試みた。
経験者とは言い難いが自分ならある程度マトモに操作できると考えたためだ。
越前の施しのおかげで身分こそあっさり信じてくれた。
だが、そのマニュアルを頑なに手放そうとしなかった。
というか読ませてすらくれそうにない剣幕。
先ほどの悪感情が尾を引いているのは確定的に明らか。
引き下がるより他なかった。
次はスネークの番だった。
ただし、駅での顛末は既に話したため必然的に後の経緯が焦点となる。
まずてゐに出会ったことを話し、この件については本人に口を開いて貰うのが一番だと振る。
受けたてゐは涙ながらに言葉とバクラ、月という参加者にプレミアム会員専用首輪を無理矢理取り付けられ仕方なしにスネークを襲撃したことから語り始める。
かの特殊首輪の性能を余すところなく伝え、3人は自分を人殺しに仕立て上げたと咽びながら地面を叩く。
端々に憎悪と無念が乗っており、特にバクラに対する負の感情は雄山が気圧されるほど。
最後に、月を殺し何とか第2放送を乗り切ったこと、誰かを殺さねば自分は第3放送で死ぬ運命にあると強調した。
相も変わらず雄山の視線は痛い。まあ、怒りの矛先はほとんどバクラと言葉に向いているためてゐが罵られることはなかったが。
ここまで進めたところで、その後はとスネークが遮る形で引き継いだ。
病院で同じ傭兵であるコンバット越前と吸血鬼のDIOが待機しており、彼らはゲームに乗っておらず安全であると告げる。
空想の生物の存在に雄山が持ち前の大声で「あり得るはずがない!」などと叫ぶも、てゐのうさみみを交えて敷衍し「あり得ないことがあり得る」と無理矢理納得させた。
おかげで話が逸れたが、2人に医療品を分けて貰い図書館に向かおうとして現在に至る……と、何とかこぎ着けた。
どういうわけかもの凄く疲れた、スネークの偽りなき所感である。
越前には感謝しても足りないな、もしあの服装のままだったらもっと事態が拗れたに違いない。
ふぅ、とため息が漏れた。
後はほとんど予定調和か。
スネークが同行しないかと誘い、雄山は含むところこそあれ承諾するという形になった。
スネークとしてはマニュアルはそれなりに魅力があり。
雄山自身も単独行動の弊害は承知している。
加えて両者ともにゲームの打破が目的。
考え方に相違あれど、あえて別行動をとる理由はなかった。
こうしてある邂逅は終わりを迎え、2つの道が1つに交わることとなる。
スムーズとはいかなかったが、誤解もなくなんとも平和なものだった。
あとは、てゐが心の内に留めた『本音』を公開することで締めよう。
――使えない
それがてゐの雄山に対する評価だった。
彼は隙だらけの立ち振る舞いに終始していた。
もう戦えないことは一目瞭然。
はっきり言ってさくっと殺してやりたいところだが……スネークが許さないだろう。
となるとスネークに隠れて殺るしかないわけだが、
(この首輪がねぇ……)
忌々しげに視線を落とす。
一見すれば雄山の殺害は自らの延命と足手まといの排除を同時に行える、一石二鳥の好手。
しかしながら殺した瞬間に首輪の色が白から黒へと変わってしまう。
件の首輪がいかなるものか、それぞれの色が持つ意味とは何か――スネークは知っている。というか私が教えた。
都合良く見逃してくれるなんてありはしない。
つまり、今この場において殺人へと踏み切るのは悪手。
全く邪魔くさい首輪だ。他者を利用して生き残ろうと考えている自分には無用の長物。
誰かと行動をともにする関係上、禁止エリアに進入できるというメリットが生かせず、こうしてデメリットばかりが目立ってしまう。
そうだ、己の行動が著しく制限されている。あいつらのせいで……あいつらのせいで!
無意識のうちに両手に力が入るが――
突然の異常がてゐを沈静化した。
「急に天気が悪くなったな……おい、てゐ。大丈夫か?」
労うスネークの言葉も左から右へ通り過ぎた。
実はこのとき遙か彼方でブロリーが伝説の超サイヤ人へと変貌していたのだ。
てゐもスネークも、そして雄山も知る由はない。
だが、てゐだけは天候の変化と同時に圧倒的な力の流れを敏感に感じ取る。
(なによこれ。ヤバイってもんじゃないよ!)
下手人は間違いなく大妖怪クラス。
私自身ただの人間よりは強い。
とはいえ、スキマ妖怪やら四季のフラワーマスターやらとは次元がそもそも違うのだ。
幻想郷のチート妖怪どもは揃ってやる気がないが……本気を出されたら逆立ちしたところで勝てっこない。
蹂躙されるのが目に見えてる。身の程ぐらいは弁えてるつもりだ。
もしも、ばったりと出会ってしまえばどうなるだろう。
――死ぬ
――首の骨を折られて死ぬ
――ただ一方的に嬲られて死ぬ
――肉体を四散させられて死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
浮かび上がるは臨死のビジョン。
それは悉く無惨で、苛虐で、惨憺で。
それで改めて認識させられる。
――自分は狩られる側の生き物なんだ
兎だ。兎は弱い。兎は――捕食される。
ああ、そうだ。だから私は正面から戦ってはいけない。
生き残るなら、他人を巧く利用してやらないと。
【D-4草原/1日目・日中】
【因幡てゐ@東方project】
【状態】頭に包帯
【装備】プレミアム会員専用首輪(白)、てゐの木槌@東方project、防弾チョッキ@現実
【持物】支給品一式
【思考・行動】
基本思考:スネークを利用し、スネークに取り入って、生き残る。
1,図書館へ行き、バクラ、言葉を殺害する。特にバクラには強い憎悪。
2,首輪が白くなれば、弱マーダーを殺害。隠れて殺人をする場合、『確実に殺せて、なおかつ事実を隠蔽出来る場合』に限定する。
3,ベジータ、サンレッドを警戒。
4,雄山が邪魔。切り捨てたいが……
※言葉に誠死…もとい伊藤誠を蘇生させてと頼まされました。
※スネーク、DIO、越前、雄山に千年以上生きているのと、自らの知り合い達の事を教えました。
【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)
【装備】コルトパイソン(2/6、予備弾36/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
馬鹿の世界地図@【バカ日本地図】〜全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ〜愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1、オフィスビルに向かう途中に図書館へ向かい、バクラ、言葉が危険人物か確認した上で、危険人物なら排除する。
2、自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3、十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4、てつを使用し、偵察、囮に使う。
5、てゐが邪魔か否かを判断し、首輪が白くなったら延命させる。
6、十六夜咲夜、紅美鈴、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。
【海原雄山@美味しんぼ】
[状態]:主催者に対しとてつもない激しい怒り
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、桑の実(10/10)@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間の往復航空チケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6)
[思考・行動]
基本思考:主催者に文句を付け、真の至高のメニューを味あわせてやる。
1:スネークとともに行動する。とりあえず。
2:A-10のマニュアルを渡すつもりは今のところない
3:初音ミクという少女の事を言っていた男に対しての疑い
※糸色のダイングメッセージである「ライト」を確認し、その意味を正確に理解しました。
※塚モール入り口に置いてある朝鮮車は何らかの方法を使わなければ動かせません。
※地図上の塚モールの文字に二重線が引かれています。
|sm158:[[フォービドゥンエリア]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm162:[[恋独の追跡者(チェイサー)]]|
|sm158:[[フォービドゥンエリア]]|[[投下順>151~200]]|sm160:[[俺より強い奴に遭いに行く!]]|
|sm141:[[イエスタデイをうたって]]|因幡てゐ|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
|sm141:[[イエスタデイをうたって]]|ソリッド・スネーク|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
|sm117:[[おめぇの探し物ねえから!]]|海原雄山|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
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*図書館ツアーへようこそ ◆T0ldTcn6/s
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予定に変更はなく一路図書館へ。
ただし、その道のりは見渡す限りの平原である。
急がばなんとやらのことわざどおりに回り道してもさほど変わらない。
草が目立つか否かの違いである。
見通しがよいということは敵襲の察知はやりやすいが逆に逃走は困難になる。
さらに相手が銃器を所持していた場合、射線が簡単に通ってしまう。
まあ、それに関してはお互い様だが……敵さんの腕次第では無傷では済まない。
下手をすれば相討ちである。
さらにスナイパーライフルならばアウトレンジの狙撃も可能。
実行に移すなら図書館の屋根は絶好のポイントか。
既にD-4に入ったため距離は1kmを優に切っている。
プロなら撃てるな……だが、考え過ぎか。
バクラと言葉がまだ危険人物と決まったわけではなく、またてゐの言動から察するに2人が狙撃銃を持っている可能性は極めて低い。
されど用心にやりすぎはないのだ。
葦原の中に身を潜めながら動くのはどうか。
(いや、無理だな)
冷静に否定する。
まずてゐの服は明るい色を基調としており緑にはとけ込まない。
次に自分だが、いくら迷彩色の軍服を着ているからといって大柄であるため芝から体がはみ出る。
さらにこの時間帯だ。
うっかり者でない限りと注釈は付くが、まず見落とさないだろう。
夜ならまた違ったのかもしれないが……
結論から言ってしまえば今いる場所は危険なのだ。
ゆえに早めに通り過ぎてしまいたいところだったが……
――見つかったな
現実は甘くないわけだ。
いつもの癖で銃口を向けかけるが何とか抑える。
そもそも相手は丸腰だ。
いきなり武器を向けてしまえば余計な警戒心を与えてしまう。
危険人物か否かも分からない時点で情報交換の機会すら捨て去るのはやや下策。
「こちらに戦意はない。お前はどうだ?」
懐に入れた手には冷たい感触。
一挙一動を見逃さぬよう細心の注意を払い、相手がその気ならそれを即座に引き抜く。
「私はたわけたゲームには乗っていない!」
遮蔽物がないとはいえその声はいい感じに響いた。
思わず耳を塞ぎたくなったのは内緒だ。
キンコーン。
目指す食料品のフロア、到着の合図。
エレベーターの扉が開き、雄山は固まった。
ひゅうー。
虚しい幻聴が聞こえた。
棚という棚は底が剥き出しになっている。
水槽を見やれば寂しく気泡だけが立ち上っている。
当然ながらレジにも誰一人として立っていない。
伽藍としているせいかやたらとフロアが広く見える。
単刀直入に言おう。
雄山の求める食料なんて一切なかった。
実のところスナック菓子やインスタント麺の類はぽつぽつとあったのだが、彼がそんなものを食料と認めるわけがない。
むしろ、怒りを増幅させただけだ。
「ハハハハハハハ……アハハハハハハハハ」
憤りが一周してしまったのか、なんか笑いがこみ上げてきた。
支給された食料の不味さといい、もう主催者はありえん(苦笑)レベルだ。
フライドチキンやハンバーガーのようなジャンクフードよりも劣る。
「もはや美味いも不味いもない! 主催者どもは事の本質を忘れておる!!」
ずかずかと大地を暴力的に踏みながら、雄山はモールを後にした。
後にしつつ地図とペンを取り出し二重線を引く。
こうして雄山の地図から塚モールが消失したのであった、まる。
未だに頭が冷めぬまま東へと驀進した。
歩いても歩いても緑一色だったがゆえか少し落ち着きを取り戻したところ、待ち望んでいたものが見えた。
軍人と幼女という組み合わせは少々以上だったが、まあ誰にも会わないよりはマシ。
彼は孤独に毒されていたのだから。
雄山は今まで真の意味で単独だった。
これの意味するところは果たして何か。
そう、雄山は死体こそ見たものの誰とも会ってはいない。
誰かと行動をともにしたこともない。
誰かと志を共有したこともない。
ゲームに乗っているに襲われたこともない。
危険人物も見たことがない。
「私はたわけたゲームには乗っていない!」
このときの雄山には一切の警戒心がなかった。
傭兵であるスネークが呆れ返るほどの不用心さで。
それが結果的にうち解ける要因となったのは言うまでもない。
放送は直後だった。
反応は三者三様。
雄山は夜神月の名前にもしやと目を丸くし、
スネークは減るどころか増えた死亡者数に黙って腕を組み、
てゐは同郷の人妖が呼ばれなかったことに静かに舌打ちする。
共通してやや淡泊。
姉を失ったボーカロイドや同僚を失ったアイドルに比べれば安い受け取り方だ。
そして、情報交換が始まった。
まずは3人がそれぞれ名乗る。
最初に情報を提供したのは雄山だ。
向かった駅のトイレが爆破されていたこと、そして「ライト」とダイイングメッセージを残した男の死体を発見したことを細やかに告げていく。
スネークにとって心が痛むものであった。
発言を受け、スネークは駅での惨劇、自分のミスで死んでしまったドアラとやる夫こと、そして十六夜咲夜という危険人物を伝える。
雄山はその全てを黙って受け止めた。
気性こそ荒いもののKYというわけではない、後悔するスネークを目にしてここはそっとしておくべきと判断したのだ。
ひととおり、独白が終わったところでスネークは「ライト」の正しい意味を伝える。
夜神月との間で起こった一部始終を全て打ち明けた。
僅かな会話で雄山が間違いなく殺人を許容しないことを見て取った。
とはいえ、てゐの事情もあり未来永劫隠し通すのは難しい。
ならばいっそと踏み切ったわけだが、ほぼ予想したとおり雄山はスネークの胸倉を掴み岩をも砕く勢いで怒鳴り散らした。
次々と叩き付けられる罵倒を受け流し、スネークはただ冷静に現実を突きつける。
――説得できる者もいるだろう。しかし、確かな悪意をもって殺し合いに臨む者もいる。
雄山は押し黙るしかなかった。なるほど、そんな奴は捨ておけば悲劇を振りまくだろう。
だが、理解はできても感情が認めない。
雄山は眉を寄せてただスネークをじっと睨んでいた。
ここにきてそういえばと雄山は戦闘機のことを今更に切り出したのだ。
何でもゲーム開始直後のことだったらしい。
マニュアルも支給されていたことから、作為を疑う余地はない。
スネークはすぐさま傭兵であることを明かし、譲って貰おうと試みた。
経験者とは言い難いが自分ならある程度マトモに操作できると考えたためだ。
越前の施しのおかげで身分こそあっさり信じてくれた。
だが、そのマニュアルを頑なに手放そうとしなかった。
というか読ませてすらくれそうにない剣幕。
先ほどの悪感情が尾を引いているのは確定的に明らか。
引き下がるより他なかった。
次はスネークの番だった。
ただし、駅での顛末は既に話したため必然的に後の経緯が焦点となる。
まずてゐに出会ったことを話し、この件については本人に口を開いて貰うのが一番だと振る。
受けたてゐは涙ながらに言葉とバクラ、月という参加者にプレミアム会員専用首輪を無理矢理取り付けられ仕方なしにスネークを襲撃したことから語り始める。
かの特殊首輪の性能を余すところなく伝え、3人は自分を人殺しに仕立て上げたと咽びながら地面を叩く。
端々に憎悪と無念が乗っており、特にバクラに対する負の感情は雄山が気圧されるほど。
最後に、月を殺し何とか第2放送を乗り切ったこと、誰かを殺さねば自分は第3放送で死ぬ運命にあると強調した。
相も変わらず雄山の視線は痛い。まあ、怒りの矛先はほとんどバクラと言葉に向いているためてゐが罵られることはなかったが。
ここまで進めたところで、その後はとスネークが遮る形で引き継いだ。
病院で同じ傭兵であるコンバット越前と吸血鬼のDIOが待機しており、彼らはゲームに乗っておらず安全であると告げる。
空想の生物の存在に雄山が持ち前の大声で「あり得るはずがない!」などと叫ぶも、てゐのうさみみを交えて敷衍し「あり得ないことがあり得る」と無理矢理納得させた。
おかげで話が逸れたが、2人に医療品を分けて貰い図書館に向かおうとして現在に至る……と、何とかこぎ着けた。
どういうわけかもの凄く疲れた、スネークの偽りなき所感である。
越前には感謝しても足りないな、もしあの服装のままだったらもっと事態が拗れたに違いない。
ふぅ、とため息が漏れた。
後はほとんど予定調和か。
スネークが同行しないかと誘い、雄山は含むところこそあれ承諾するという形になった。
スネークとしてはマニュアルはそれなりに魅力があり。
雄山自身も単独行動の弊害は承知している。
加えて両者ともにゲームの打破が目的。
考え方に相違あれど、あえて別行動をとる理由はなかった。
こうしてある邂逅は終わりを迎え、2つの道が1つに交わることとなる。
スムーズとはいかなかったが、誤解もなくなんとも平和なものだった。
あとは、てゐが心の内に留めた『本音』を公開することで締めよう。
――使えない
それがてゐの雄山に対する評価だった。
彼は隙だらけの立ち振る舞いに終始していた。
もう戦えないことは一目瞭然。
はっきり言ってさくっと殺してやりたいところだが……スネークが許さないだろう。
となるとスネークに隠れて殺るしかないわけだが、
(この首輪がねぇ……)
忌々しげに視線を落とす。
一見すれば雄山の殺害は自らの延命と足手まといの排除を同時に行える、一石二鳥の好手。
しかしながら殺した瞬間に首輪の色が白から黒へと変わってしまう。
件の首輪がいかなるものか、それぞれの色が持つ意味とは何か――スネークは知っている。というか私が教えた。
都合良く見逃してくれるなんてありはしない。
つまり、今この場において殺人へと踏み切るのは悪手。
全く邪魔くさい首輪だ。他者を利用して生き残ろうと考えている自分には無用の長物。
誰かと行動をともにする関係上、禁止エリアに進入できるというメリットが生かせず、こうしてデメリットばかりが目立ってしまう。
そうだ、己の行動が著しく制限されている。あいつらのせいで……あいつらのせいで!
無意識のうちに両手に力が入るが――
突然の異常がてゐを沈静化した。
「急に天気が悪くなったな……おい、てゐ。大丈夫か?」
労うスネークの言葉も左から右へ通り過ぎた。
実はこのとき遙か彼方でブロリーが伝説の超サイヤ人へと変貌していたのだ。
てゐもスネークも、そして雄山も知る由はない。
だが、てゐだけは天候の変化と同時に圧倒的な力の流れを敏感に感じ取る。
(なによこれ。ヤバイってもんじゃないよ!)
下手人は間違いなく大妖怪クラス。
私自身ただの人間よりは強い。
とはいえ、スキマ妖怪やら四季のフラワーマスターやらとは次元がそもそも違うのだ。
幻想郷のチート妖怪どもは揃ってやる気がないが……本気を出されたら逆立ちしたところで勝てっこない。
蹂躙されるのが目に見えてる。身の程ぐらいは弁えてるつもりだ。
もしも、ばったりと出会ってしまえばどうなるだろう。
――死ぬ
――首の骨を折られて死ぬ
――ただ一方的に嬲られて死ぬ
――肉体を四散させられて死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
浮かび上がるは臨死のビジョン。
それは悉く無惨で、苛虐で、惨憺で。
それで改めて認識させられる。
――自分は狩られる側の生き物なんだ
兎だ。兎は弱い。兎は――捕食される。
ああ、そうだ。だから私は正面から戦ってはいけない。
生き残るなら、他人を巧く利用してやらないと。
【D-4草原/1日目・日中】
【因幡てゐ@東方project】
【状態】頭に包帯
【装備】プレミアム会員専用首輪(白)、てゐの木槌@東方project、防弾チョッキ@現実
【持物】支給品一式
【思考・行動】
基本思考:スネークを利用し、スネークに取り入って、生き残る。
1,図書館へ行き、バクラ、言葉を殺害する。特にバクラには強い憎悪。
2,首輪が白くなれば、弱マーダーを殺害。隠れて殺人をする場合、『確実に殺せて、なおかつ事実を隠蔽出来る場合』に限定する。
3,ベジータ、サンレッドを警戒。
4,雄山が邪魔。切り捨てたいが……
※言葉に誠死…もとい伊藤誠を蘇生させてと頼まされました。
※スネーク、DIO、越前、雄山に千年以上生きているのと、自らの知り合い達の事を教えました。
【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)
【装備】コルトパイソン(2/6、予備弾36/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
馬鹿の世界地図@【バカ日本地図】〜全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ〜愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1、オフィスビルに向かう途中に図書館へ向かい、バクラ、言葉が危険人物か確認した上で、危険人物なら排除する。
2、自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3、十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4、てつを使用し、偵察、囮に使う。
5、てゐが邪魔か否かを判断し、首輪が白くなったら延命させる。
6、十六夜咲夜、紅美鈴、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。
【海原雄山@美味しんぼ】
[状態]:主催者に対しとてつもない激しい怒り
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、桑の実(10/10)@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間の往復航空チケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6)
[思考・行動]
基本思考:主催者に文句を付け、真の至高のメニューを味あわせてやる。
1:スネークとともに行動する。とりあえず。
2:A-10のマニュアルを渡すつもりは今のところない
3:初音ミクという少女の事を言っていた男に対しての疑い
※糸色のダイングメッセージである「ライト」を確認し、その意味を正確に理解しました。
※塚モール入り口に置いてある朝鮮車は何らかの方法を使わなければ動かせません。
※地図上の塚モールの文字に二重線が引かれています。
|sm158:[[フォービドゥンエリア]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm162:[[恋独の追跡者(チェイサー)]]|
|sm158:[[フォービドゥンエリア]]|[[投下順>151~200]]|sm160:[[俺より強い奴に遭いに行く!]]|
|sm141:[[イエスタデイをうたって]]|因幡てゐ|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
|sm141:[[イエスタデイをうたって]]|ソリッド・スネーク|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
|sm117:[[おめぇの探し物ねえから!]]|海原雄山|sm167:[[忙しい人のための「図書館へ行こう!」]]|
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