「こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心」(2009/03/14 (土) 22:55:30) の最新版変更点
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*こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心 ◆CqqH18E08c
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◆◆◆◆◆◆
「ようお前等!存分に殺し合ってるか? 」
空にあの道化、右上が現れた。
この殺し合いの元凶。こいつのせいで赤さんは死んだ。
しかし恩人を殺す元凶となったこいつを見ても大した感慨はない。
私はこんなに薄情だったっけ……?いや、きっと誰でもこうなんだろう。
死ぬということは忘れると言うことと同じ。
動かなくなったものは忘れることしかできない、新しい思い出は動かないものからは生まれないのだから。
悲しい、悔しい。そんな風に思うのは一時。動かなくなった”モノ”を見て悲しむ。
でもその”モノ”が見えなくなるとそういった感情は忘れて全て消え去ってしまう。
その”モノ”の残した品を見てあぁそういえばこういう人がいたな、死んでしまって悲しいな。
そう思うだけ。やがて全てを忘れる。現に私はあれだけ衝撃を受けた赤さんの死を忘れ始めている。
この右上を見ても憎しみも憤りもわかない。ただ妙に非現実的な感覚があるだけだ。
ミクちゃんが死んでもしまっても私はこんな風に思うのだろう。ならばミクちゃんが死ぬ前に助けないければならない。
私が忘れてしまう前に。
「禁止エリアは、八時からA-4、十時からB-6だ」
おっと。こんな大切なことを忘れるわけにはいかない。騙して詐欺して生き延びるのだ。
禁止エリアなんていう重要なことを忘れていて自分が嵌められたりしたら目も当てられない。
おそらくいないだろうがこの放送を聞いていない奴もいるかもしれない。
そういう相手を騙して嘘の情報を流す。そのためにこれは絶対に覚えなくてはならない。
いや、普通に書き留めた方がいい。確か支給品の中に筆記用具があったはず……あった。
A-4とB-6……狙い澄ましたように端……参加者をいぶり出そうとする匂いがプンプンする。
これは偽の情報を流しても意味がないわね。おそらく私も端に行く機会はないでしょうから問題なし。
いや、偽の情報を流しても効果がない分問題ありとみるべきかもしれない。
ん……次は死亡者ね、これも重要な情報となるかもしれないからちゃんと書きとめておきましょう。
「脱落者は、”北条鉄平””はっぱ隊員””木吉カズヤ””囲炉裏””秋月律子””ローゼン閣下””やる夫””ドアラ””カミーユ・ビダン””ルイージ”」
北条鉄平、しらないわ、そんな名前。はっぱ隊員、隊員って名前じゃないじゃないの……
木吉カズヤ、しらない。囲炉裏、なにかあったかそうね、でも知らない。
秋月律子、しらない。ローゼン閣下、また名前じゃないのが……どう聞いてもあだ名
やる夫、なにか聞いたような名前ね、でも知らない。ドアラ、知らない。てか名字だかミドルネームは?
カミーユ・ビダン、こいつも知らない。 ルイージ……緑の人気者?知るはずないじゃない
まったく知らない人ばっかりね……。ミクちゃんは呼ばれなかったし私の知っている人は今のところ一人も呼ばれていない。
なら私の知っている人はミクちゃん以外だれ一人としてきていないのかもしれないわ。それならよし。気兼ねなくバーボンにかけて……
「”赤さん”」
その言葉に忘れたはずの怒りが込み上げる。恩人に対する感謝とその恩人が死ぬ原因を作ったこの右上に対する怒り。
既に私の中で忘れたものとして処理された赤さんを思い出す。
脱落者というカテゴリに属してしまった赤さん。私に「歪みねぇ意志」を伝えた赤さん。
さっき忘れたと思っていたことを思い出させた主催者。許せない。
でもこの想いも一瞬。私からすぐにその想いは消え去る。
所詮それは過去のことで今を生きている私からは忘れるものでしかないからだ。
「あれはこの放送が終わった後、お前等以外の参加者の名前が載るようになってるんだ」
白い紙……?白い紙!?これだ!!
この紙に参加者が浮き上がる……情報。必要な情報!!
他の参加者の血縁関係や友人関係が分かればそれは重要なものになる。
「それじゃあ、次の放送が聞けるように存分に殺し合ってくれ…」
放送が終わると同時に白い紙に文字が浮き出る。
う……初音ミク……その後も私の知っている名前が続々と見える。
リン、KAITO、ハク、レン、フランドール・スカーレットそして私、重音テト。私の知っている人が生き残ったのは運が良かったから。
たまたま。次も生き残れるとは限らない。私の知っている人がまだ死んでいなくて本当によかった……早くミクちゃん見つけないと。
知っている人はこれだけ、なにかどこかで見たような名前は所々にあるけれどどこかで見た程度だから知っているうちには入らない。
えぇと……そうだ、死亡者となにか関係がありそうな人……もしくはなにか生存している人でなにか親族がいそうな人……
そうよね、いないわよね。この参加者名前全部から見てもなにか繋がりがありそうなのは鏡音兄弟だけ
友人という間柄ならいるかもしれないけれどそんなのこの名簿から分かるはずがない。
それよりも伯方の塩とかキーボードクラッシャーとか明らかに人外だったりあだ名だったりする奴があるのが不自然
なにか意図はあるのかしら?意図があるすればなにが?
そんなことを私は全て歩きながらこなした。
字とかは大分雑だけど良くコケなかったものだと感心する。足もとも見ずになれない道で自分ながらによくやった。
さてちょっと考えたことだし少しゆっくりして……ぶぼらばぁっ!!
『ゆっくりしたけっかがこれだよ!!』
ゆっくりしようとした結果がこれだね!!私は実に馬鹿だな!!気を抜いた途端にずっこけるとかどうかしてるよ!!
しかしこの顔面お化けよく今まで黙ってたわね。あの右上を見てビビってたのかしら?
◆◆◆時間は少しさかのぼる◆◆◆
「初音ミク……死ね」
私は銃を放つ。
当てるつもりはない。当ててしまえば可愛がることもできない。
というよりも私が銃を打ったところでどうせ当たるはずがない。私は銃を扱うのなんて初めてなのだ。
所詮威嚇がいいところだろう、だが恐怖心を与え苦しめるという意味ではこちらの方が都合がいい。
なにか青い蠢くなかなか大きな植物がいるが大した問題ではない。移動はそこまで早くなさそうだから私に襲いかかってきたら逃げればよいだけなのだ。
「どうして……?」
か細い声を上げて初音ミクが森へ逃げ出す。実に滑稽。実に愉快。
ははっ!ミクがゴミのようだ!!
私はそれを追う。だが植物の動きが思ったよりも早い。
あの植物が私に対して攻撃の意志をもったならば私は死ぬかもしれない。
だが死んで結構。初音ミクを苦しめることができたのだから。
右へ左へ初音ミクは蛇行しながらしばらく走り続ける。
すでに追跡する側の私でも方向を見失っているのだ。恐らく初音ミクも方向などとうに見失っているだろう。
しかしあの植物はいったい何がしたいのだ?初音ミクを守ろうともしなければ私を攻撃しようともしない。
まさか首輪が見当たらない部位にあるだけで初音ミクを利用しようとする参加者……?
初音ミクを利用しようとする参加者ならばこのまま放置し襤褸切れの様に利用され捨てられるのを待った方が結果的に初音ミクに与える苦しみが大きくなるのでは……
いや、あれが参加者だと決まったわけではない。それよりもここに自生するただの摩訶不思議な植物だと考えた方が合点が行く。
このまま追跡すればするだけ苦しむ姿を見ることができる。
ただ付き従うだけで私に攻撃してこない植物など怖くもなんともない。
私も初音ミクも走ることなどとうにやめている。初音ミクはただ私から逃げだし。私は初音ミクを追う。
ただそれを歩き延々と続けているのだ。
「あっ!!」
草の根にでも気を取られたのか初音ミクが広場のようなところで転ぶ。
ふはははは、天は私に完全に味方したようだな!!
殺すつもりなどない、ただ脅すだけだ。
脅すだけ。初音ミクの無様な姿。醜態を私の子の目に焼き付けるだけだ。
私は初音ミクが立ち上がる前に銃口を突き付ける。ここまでしても植物は動かない。
ここに自生する植物は不思議なものだ。
「どうして……どうして……!!」
地に倒れ銃口を突き付けられ未だに泣き続けるのを見る。それだけで私の心は満たされる。
素晴らしい……なんと簡単なことなのだろう?私が望んでいたことがこうもたやすく果たされるとは。
さぁ、今から私の時間が始まるのだ!!
――ようお前等!存分に殺し合ってるか?
一瞬初音ミクが震える。空にはあの右上とかいう道化。
私はこの右上には感謝せざるを得ない。この私の望みを果たす舞台を作ってくれたのだから。
私はもうお前らの望むとおりに殺し合い死んでも構わん。初音ミクがこれほど苦しむ姿を見れるのだから。
――禁止エリアは、八時からA-4、十時からB-6
禁止エリアなどもう私にとってはどうでもいい話。
私の望みはただ初音ミクが苦しむ姿をもっと。もっとみること。
そのような禁止エリアなんてなんの関係もない。
――脱落者は北条鉄平、はっぱ隊員、木吉カズヤ、囲炉裏、秋月律子、ローゼン閣下、やる夫、ドアラ、カミーユ・ビダン。
初音ミクはただ泣き続けるだけ。恐らくまともに放送を聞けていないだろう。
あぁ、いい気分だ。これほどまでに心が満たされるのは久しぶりだ。
――『ルイージ』、赤さん
さきほどまでと同じように脱落者の一つの名前が呼ばれる。それと同時に初音ミクがピクリと反応する。
初音ミクの泣き声が止まる。そして力なく地に伏したまま砂を握る、握りしめる。呟く。
「嘘だ……」
どうして……?以外の言葉を一切発しなかった初音ミクが新しい反応を見せる。
これは悲しみか?苦しみか?どちらにせよ私にとっては嬉しい限りだ。
ただ泣き続けられるよりも新しい反応があったほうがもっと楽しめる!
――あれはこの放送が終わっ
「嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
悲鳴……叫び声が周囲に響き渡る。もっとも既に声は枯れていて声自体は小さなものだ。
ただのかすれた無様な叫び声。私の心はそれでさらに満たされる。
私は狂っているだろうか?いや狂っていない。
もともと生物とはこういうものなのだ。人の苦しみを見て笑い。人の無様な姿を見て笑う。
それが性ぶちとしてのあるべき姿。善などそのようなことなど存在しない。
善など自らを満足させるための行為でしかない。無様な姿を見て笑う自分の姿。
その姿を認めたくないものが偽善に逃げるのだ。
「はっはっはっは、大事な人の名前が呼ばれたのかね?はっはっはっは」
私は笑いながら話しかける。
私はもう死んでもいいよ、何度も言うがね。これほどコイツが苦しむ姿を見れたのだ。悔いはない。
「なんでそんなに笑っていられるんですか……?なんで……」
「嬉しいからだよ」
初音ミクからの問に軽く答えてやる。
実際そうとしか言えないのだ。嬉しい。嬉しくてたまらない。
これだけ苦しみ悶える姿を見るのが楽しくてたまらない。
「人が死んでいるのになんで嬉しいんですか……見ず知らずとは言え人が……死んでいるんですよ……?なのになんで……?」
「見ず知らずの人が死んで悲しい……?ははは、冗談はやめたまえ。私は知っている人は一人も死んでいない。
自分が死んでいない。そしてお前の大事な人が死んだ。だから嬉しいのさ」
「人が死んで嬉しいはずがないじゃないですか……なんで……」
はははははははははははは、ふはははははははははは
これだけ苦しみも悶え思うことがそれか!!
だからお前は偽善者なのだ!呪われる対象!自分がなぜ悲しんでいるかすら気が付けない偽善者!
教えてやろう、お前がなぜ悲しんでいるのか、なぜ人の死という現実を受け入れているのか!!
私も僧のはしくれ、仏門に入った者、私がお前にしてやる最初で最後の説法だ!!
「はっ。君は思い違いをしているようだね。初音ミク。お前が悲しいのは人が死んだからではない。
知っている人が死んだから悲しいのだ。偽善者ぶるのはやめたまえ!!」
「っ!!」
「知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め」
僧侶としてはこんなことをいうのは間違いなのだろうな。
だが構わない。私は僧侶であるより初音ミクを苦しめ喜びを得ることを優先させる。
偽善者ぶるこの憎まれるべき女を苦しめる。それが喜び。
見てみろこの無様な女を歌姫などどこにもいないただ無様で滑稽な雌がいるだけだ
「違う……違う……あなたは狂っている……私は……私は……」
「お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ」
私が止めとなる言葉を放つ。
女はこの一言で完全に精神的に限界に来たらしい。
銃口を突き付けているというのに這って逃げだそうと言うのだ。無様に這ってね。
ここまで生に執着するとはな、呆れる。
「いや……いや……助けて……誰か……誰でもいいから助けて……」
お前を助けるものなど誰もいない。そう誰も人にはいないのごうべぇっ!!
なんだ!?いきなりあの植物が襲いかかってきただと!?どういうことだ!!
私はあの植物に向かい銃を放つ。だが植物はまったくダメージを受けた様子はない。あの植物は化け物か!?
『せーのっ!!』
距離をとった私に対し植物は人間のような声をあげ弾のような物を放つ。
咄嗟に法力でカバーしたがいつものように力が出せない。多少勢いを弱められ弾は私の腕に命中する。
利き腕でないのは不幸中の幸いと言ったところだろうか?だがしばらくは動かせないだろう。
私が初音ミクから距離を取ると植物もまた動きを止めた。
一分……二分……膠着の時間は続く。
私が痺れを切らし一歩踏み出すとそれを牽制するように植物が弾を放ちそれを私が法力でカバーしかわす。
そんなことを何度も続けているうちに私はある事実に気が付いた。
私が近づく距離で植物が使う技が変わっているということと初音ミクから離れようとしないこと。
そして初音ミクを助ける以上のこと――つまり私を撃退するということまではしないということ。
あの植物が私を殺しにかかったならばいつものように法力を扱えない私は長く持たないだろう。
おそらく初音ミクの誰でもいいから助けてという言葉に反応しようやく動いたということだろうか?
つまり先ほどまでずっと動かなかったのは初音ミクから何の指示も出されていなかったのが原因。
頭は植物だけあってさほど良くないのだろうか?いや、動きから見るにある程度の知能はあるはず。
おそらくはロボットのように命令は絶対厳守。命令以上のことはしないといった制限が課せられているのだろう。
ならば私がここにこれ以上とどまる理由はない。
命令以上のことはしない植物と延々と睨み合っていてもしょうがない、この場から速やかに立ち去り再び初音ミクのネガティブキャンペーンを行うだけだ。
私はもう満足するほどに苦しみを与えた。あとはさらなる苦しみを初音ミクに与えるために動くだけだ。
自分の手で殺せなかったのは少し残念だが精神崩壊寸前まで追い詰めたのだ。もう初音ミクは死んだも同然。
あとは死体とこの老体に鞭打つのみさ。
◆◆◆◆◆◆
『ルイージ』
嘘だ、嘘だ。ルイージさんが死ぬはずない。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。死ぬはずないよ。嘘だよ。
人殺しなんかになる人がいるはずな嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。ルイージさんは生きてる。嘘だ。そう嘘。
今私が殺されそうになったのも嘘。嘘。そう嘘だ。嘘なの。嘘じゃないと。嘘じゃないとこんなことありえない。
そうだよ。ね?嘘だと言って?ご主人様?
『知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め』
違う。そんなことない。私は誰が死んでも悲しんだ。そう嘘だ。こんなことば嘘。私を苦しめるための嘘。
自分で言ってた。私が苦しむのを見るのが喜びだって。そう嘘。嘘じゃないとこんなこと言わない。
嘘じゃないとこんな人を気づつけるようなことは言わない。嘘。嘘じゃないならあの人は狂ってる。
私は偽善者ではない。だれがしんでも悲しむんだから。そう嘘なの。
嘘だよね?マスター。うん。嘘だよミク。ミクは優しい子だから。ほらご主人様も嘘だって言ってくれた。
嘘じゃないよ。この言葉は嘘じゃない。だって私は優しいもの。
『お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ』
恨まれた?違う。そんなの勘違い。誰かが流した嘘に騙されてるだけ。そう嘘なの。
だから私がそれは嘘だよ。正しいよ。って真実を教えれば嘘から抜け出せるの。
この人の言ってることは嘘ばかり。私に殺されるとか言っといて私を殺してないもの。そう嘘。
マスターは私のことが好きなの。だか全ての人に嫌われるなんてありえない。嘘ばかり。
嘘。嘘。嘘。でも心配だから確かめてみる。ご主人様は私のこと好き?うん好きだよ。ほらね。やっぱり嘘
『ルイージ』
ルイージさんは死んでない。嘘ばっかり。
『知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め』
嘘ばっかり。だれがこんな妄言信じるんだろう?嘘ばっかり。
『お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ』
もう私は騙されないよ私は嘘だって見破ったから。嘘嘘嘘うるさいよね。うるさいなぁ。
『ルイージ』
そう、ルイージさんが死ぬはずないじゃない。そうほら、あっちの方に緑色の服みたいなのが見える。
あれはきっとルイージさん。やっぱり生きててくれたんだ。
ねぇルイージさん?なんで寝てるの?ほら起きてよ?……ルイージさん?嘘でしょ?
早く起きてよ?生きてるんでしょ?
『ルイージ』
ねぇ……生きてるんだよね?この赤いのもトマトジュースで嘘なんだよね?
嘘だよね?ね……?うん、そうさ!僕が死ぬはずないじゃないか!
あ、やっぱり生きててくれたんだ!そうだよ、ちょっと驚かせちゃったかな?ごめんね、ミクちゃん。
酷い、私本当に……。ごめんね。僕が悪かったよ。茸王国の英雄マリオの弟のルイージが死ぬはずないじゃないか!!
『ルイージ』
嘘嘘!!そう嘘!だってルイージさんは私と会話してくれてるんだもの!!死んでなんかいない!!
生きてるの!!そうさミクちゃん、僕が死ぬはずないよ!
ほら、嘘ばっかり。信用できるのは私とルイージさんとしげるだけね。しげるは私を助けてくれたもの!
え?ルイージさん?渡すものがあるって?帽子?いいの?ごめんね?あぁ、もう全然気にしてないから大丈夫!
ルイージさんの帽子ちょっと大きいな!でも大事にする!
「……」
「あ、そうだ。さっきはありがとね、しげる。これからもうそつきから私を守ってね」
「……」
ルイージさんも嘘付きから私を守ってくれるよね!
もちろん!!
【A-3 森/一日目・朝】
【初音ミク@VOCALOID2】
[状態]:混乱、恐怖、精神疲労(限界突破)身体疲労(限界寸前)
[装備]:ルイージの帽子
[道具]:基本支給品、あおばシゲル@MF2死ぬ気シリーズ
[思考・状況]
0.嘘。嘘。嘘。
【オボロゲソウ「あおばシゲル」の思考】
思考・状況]
1:嘘付きからミクを守る
2:ミク……
※指定された命令以上のことはできない。しかし殺傷力の高い技も存在する。
※ルイージの死体(帽子無)が放置されています
※初音ミクは今現在正常な判断ができません。精神に多大なショックを受けたようです。
◆◆◆◆◆◆
『皆、聞いてくれ!参加者の中に、初音ミクという女がいる!青い髪をおさげにした、10代後半の少女だ!
その女は殺人鬼だ!我々はこの殺し合いが始まる以前に、その女に形容し難いほど無残な目にあわされた!
あの女は、可憐な容姿で無力を装い、油断した人間をいたぶり殺す外道、魔女、悪魔、化け物だ!
だから初音ミクを絶対に信用するな!いいか、絶対にだ!信用した瞬間、すでにあの女の罠にかかっているんだ!
私は、あの魔女の被害者をもう出したくない!誰かあの悪魔を止めてくれ!』
「ミクちゃんが……?」
近くで聞こえた叫び声は信じられないものだった。
私の知る初音ミクがそのようなことをするはずがない。
叫び声はそう遠くない。私は声の主に会うべく声のする方向へ一時ゆっくりを置いて向かい始めた。
ゆっくりには10分遅れてくるように厳命してある。10分であればこの魔導アーマーもある今ゆっくりだけでも耐えることはできるはず。
むしろ相手の警戒心を無くすためとはいえ魔導アーマーのない私の方が危険なくらいだ。危ない相手に出会ったら速攻で殺されるだろう。
絶対に嘘だ。ありえない。私は忘れない。ミクちゃんに助けられたという事実を。
叫び声の主のもとへはすぐにたどり着けた。
叫んでいたのは僧侶。森から出てきたばかりのようで息を切らしており腕を負傷していた。
接触してどうするか……?とりあえず真偽を確かめるために騙す。それが一番。
今の私に武器はない。やらなければ。
「ど……どうしたんですか!?」
私は全ての演技力を総動員して僧侶のもとへ駆け寄る。
「や……やられたんだ。さっき私が言っていた初音ミクと遭遇した時にやられた。
なにか変な植物を使役していて、その植物に私を攻撃するように命じたんだ、そのせいで腕が……」
僧侶の言葉に偽りはないようだ。腕は負傷しているし息を切らしているのも確か。
逃げてきてここで叫んだと考えればなんの問題もない。
でも、私にはその言葉が嘘だとわかる理由があった。
別に私の中のミクちゃんはそんなことしないという主観的証拠ではない。
客観的な証拠だ。しかしここでその証拠を突き付けるのはまだ明らかに速い。
この僧侶がミクちゃんと接触したのは遭遇した時の状況説明に矛盾がないことは確か。
つまりこの僧侶は確実にミクちゃんと接触したのだ。しかもこの少し前に。
「なんと酷いことを……あの初音ミクはまた……」
「あなたもあの女の被害にあわれたことがあるのですか!?」
喰いついた。
さぁ、情報収集の始まりよ。
「私もあの女には酷い目にあわされました、同じボーカロイド仲間であるのにもかかわらず私のことを不人気だとか音痴だとかさんざん会うたび会うたび言われました」
「それは本当なのか!?」
あら?やけに驚いてるわね。嘘ね。証拠がボロボロ出てくる。
さっきまで魔性の女だとか言ってたくせにこの程度のことで驚くなんて。
その後も私は短時間で情報を集めて行く。
こいつがネガキャンをずっとエリアごとにし続けてきたこととか支給品に銃があることとかとにかく色々。
エリアごとにネガキャンとは……信じていない人もいるでしょうけど信じてしまった人もいるはず。これはとても厄介ね。
銃は……警戒心が薄れてもう下げているわね。ならこのタイミングで急所打ちをすれば間違いなくこいつを戦闘(先頭)不能にできるわ
でも私は優しいから一度だけチャンスをこの僧侶にあげるわ、贖罪のね
「あなたが言っている初音ミクについて嘘偽りありませんか?」
「ない」
m9(^Д^)やあ
ようこそ、バーボンハウスへ。
この金的蹴りはサービスだから、まず飲んで落ち喰らって欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この金的蹴りを受けたとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う(性的な意味で)。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこの急所打ちを選んだんだ。
じゃあ、いいわけを聞かないよ。
「嘘付きはこうしないとね」
金的蹴りで僧侶の戦闘力を失わせた私は自分にできる最大限の速さで拳銃とデイパックを奪う。
恐らくはたから見ると遅遅とした行動だっただろうが私には荒事の経験のないのだからしょうがない。
途中で僧侶の足の骨を折ってしまったりもしたが、それは荒事になれていないせいで揉み合いになったからだ。
今後ネガキャンをさせないためにもこの程度はしょうがないと割り切るべき。ごめんなさいね。
女の身で現在優勢で運べるのはとても幸運、状況が少しでも違えば私は拳銃で撃ち殺されていただろう。
「あああああああああああああああああ!!」
「あなたの行為は嘘だって始めっから分かってるの情報ありがとうね、お坊さん。
嘘だとわかった理由について説明しておこうかしら?」
ごろごろと足を抱え無様に転がる僧侶。
おそらく今私の声なんかは聞こえていないでしょうけど一応説明をしておくのだ。
バーボンにはめて行動力を奪ったのだからネタばらしをしてもなんの問題はない。
「一つ、あなたはミクから逃げているはずなのにメガホンを使用した。
逃げている側の人間がわざわざ自分の居場所を教えるようなことをするはずがないでしょう?」
僧侶の右腕を押しつぶすようになんども何度も踏みつける。
全体重を掛けて何度も。ここまでしなければ非力な私では相手の無力化はできない。
紐とかがあれば縛ったりして楽なのでしょうけど無いものねだりはできない。
「二つ、あなたは大声で叫んだ。
全力で逃げて走って息切れした人間が大声で叫べると思う?叫べるはずないじゃない
貴方の息が切れていたのはメガホンで叫んでいたから……そうでしょ?」
左腕も同様に潰すように踏みつける
すでに僧侶の声は掠れ。対した声は出ていない。
「三つ、あなたは初音ミクの悪行をペラペラ喋っていたわりには私の言葉に驚いていた。
あんなに悪行を知ってるわりには悪口くらいで驚くのね、不思議だわ」
残った足もまた同じように踏みつける何度も。
僧侶はもう声を出す気力もないようで僅かにうめいている。
「以上が理由ね。運が良ければあなたもまだ生き残れるでしょ、頑張ってね。お坊さん」
私は僧侶をしばらくの間行動不能にしその場を立ち去る。
支給品もメガホン以外は全て奪った。
流石にミクちゃんの嘘の悪行を並びたてていたメガホンを持って行く気には私はなれなかったけどね。
ゆっくりが魔導アーマーとともに私のもとにたどり着いたのは10分どころか30分後であった。
一体途中で何をしていたのだろうか?おそらくゆっくりしていたのでしょうけど10分遅れでって言っておいたじゃない
【B-2森/一日目・朝】
【重音テト@VOCALOID(亜種)】
【状態】:健康、決意
【装備】:魔導アーマー(左腕欠損、武装チャージ中1/2)@FF6、拳銃(1/6 予備弾24)@デスノート
【持物】:基本支給品、ランダム支給品(0~3)ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙@ゆっくりしていってね!、偽起爆リモコン(4-5時間使用不可)
【思考】
1、ミクを探して守る。
2、フランが大丈夫か少し心配。
3、自分に害のある人物は詐欺してバーボンして切り抜ける
4、ブロリーに注意
5、「歪みねぇ意思」……か
※B2左下周辺に僧侶のネガキャンが響き渡りました
◆◆◆◆◆◆
私の負けだ。
初音ミクと出会い。いたぶったことで気が抜けていた。完全に。
言われてみれば先ほどの私の行動は不自然なことだらけだ
だが悔いはない。最後にへまをしたが初音ミクを苦しめるという目的は果たした。
私は勝者だ。初音ミクが今後も苦しむ姿は見れないのは残念だがいいだろう。
初音ミクの精神はすでにずたぼろだ、さてあいつに初音ミクが救えるかな?
足は折れ他の四肢も医者に見せなければ動かすこともできないだろう。
ならこの場で生き残りネガキャンをすることはもう無理。ならば死のう。
僧侶として間違いなくありえない行為だろう。自殺など、今更死んだ後に天国に行けるように仏に祈っているなど。
さて、私が行くのは天国か地獄か?
死を選ぶ前に一曲歌うとするか
そしてその後に舌を噛み切ろう、さらば現世。
「地獄に音楽は絶えない……」
&color(red){【僧侶@ニコニコRPG】 死亡確認 死亡理由:舌を噛み切り自殺}
※テトは僧侶が自殺したことを知りません
※メガホンは僧侶の死体のそばに転がっています
【ルイージの帽子@マリオ】
ただのルイージの帽子。別に前回のように空気になるとかルイージの身体能力が手に入るとかはない。
|sm88:[[伝説の英雄S]]|[[時系列順>第二回放送までの本編SS]]|sm90:[[塩くれてやる! -若本製塩編-(前編)]]|
|sm88:[[伝説の英雄S]]|[[投下順>51~100]]|sm90:[[塩くれてやる! -若本製塩編-(前編)]]|
|sm77:[[私、始めるのよ。これは殺し合い]]|初音ミク|sm:[[]]|
|sm79:[[おまいら、バトロワどの敵まで勝てる?(ブロリー編) (後編)]]|重音テト|sm:[[]]|
|sm77:[[私、始めるのよ。これは殺し合い]]|&color(red){僧侶}|&color(red){死亡}|
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*こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心 ◆CqqH18E08c
(登録タグ) [[パロロワ]] [[ボーカロイド]] [[偽悪者]] [[歌]] [[1人NGでスッキリ]]
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◆◆◆◆◆◆
「ようお前等!存分に殺し合ってるか? 」
空にあの道化、右上が現れた。
この殺し合いの元凶。こいつのせいで赤さんは死んだ。
しかし恩人を殺す元凶となったこいつを見ても大した感慨はない。
私はこんなに薄情だったっけ……?いや、きっと誰でもこうなんだろう。
死ぬということは忘れると言うことと同じ。
動かなくなったものは忘れることしかできない、新しい思い出は動かないものからは生まれないのだから。
悲しい、悔しい。そんな風に思うのは一時。動かなくなった”モノ”を見て悲しむ。
でもその”モノ”が見えなくなるとそういった感情は忘れて全て消え去ってしまう。
その”モノ”の残した品を見てあぁそういえばこういう人がいたな、死んでしまって悲しいな。
そう思うだけ。やがて全てを忘れる。現に私はあれだけ衝撃を受けた赤さんの死を忘れ始めている。
この右上を見ても憎しみも憤りもわかない。ただ妙に非現実的な感覚があるだけだ。
ミクちゃんが死んでもしまっても私はこんな風に思うのだろう。ならばミクちゃんが死ぬ前に助けないければならない。
私が忘れてしまう前に。
「禁止エリアは、八時からA-4、十時からB-6だ」
おっと。こんな大切なことを忘れるわけにはいかない。騙して詐欺して生き延びるのだ。
禁止エリアなんていう重要なことを忘れていて自分が嵌められたりしたら目も当てられない。
おそらくいないだろうがこの放送を聞いていない奴もいるかもしれない。
そういう相手を騙して嘘の情報を流す。そのためにこれは絶対に覚えなくてはならない。
いや、普通に書き留めた方がいい。確か支給品の中に筆記用具があったはず……あった。
A-4とB-6……狙い澄ましたように端……参加者をいぶり出そうとする匂いがプンプンする。
これは偽の情報を流しても意味がないわね。おそらく私も端に行く機会はないでしょうから問題なし。
いや、偽の情報を流しても効果がない分問題ありとみるべきかもしれない。
ん……次は死亡者ね、これも重要な情報となるかもしれないからちゃんと書きとめておきましょう。
「脱落者は、”北条鉄平””はっぱ隊員””木吉カズヤ””囲炉裏””秋月律子””ローゼン閣下””やる夫””ドアラ””カミーユ・ビダン””ルイージ”」
北条鉄平、しらないわ、そんな名前。はっぱ隊員、隊員って名前じゃないじゃないの……
木吉カズヤ、しらない。囲炉裏、なにかあったかそうね、でも知らない。
秋月律子、しらない。ローゼン閣下、また名前じゃないのが……どう聞いてもあだ名
やる夫、なにか聞いたような名前ね、でも知らない。ドアラ、知らない。てか名字だかミドルネームは?
カミーユ・ビダン、こいつも知らない。 ルイージ……緑の人気者?知るはずないじゃない
まったく知らない人ばっかりね……。ミクちゃんは呼ばれなかったし私の知っている人は今のところ一人も呼ばれていない。
なら私の知っている人はミクちゃん以外だれ一人としてきていないのかもしれないわ。それならよし。気兼ねなくバーボンにかけて……
「”赤さん”」
その言葉に忘れたはずの怒りが込み上げる。恩人に対する感謝とその恩人が死ぬ原因を作ったこの右上に対する怒り。
既に私の中で忘れたものとして処理された赤さんを思い出す。
脱落者というカテゴリに属してしまった赤さん。私に「歪みねぇ意志」を伝えた赤さん。
さっき忘れたと思っていたことを思い出させた主催者。許せない。
でもこの想いも一瞬。私からすぐにその想いは消え去る。
所詮それは過去のことで今を生きている私からは忘れるものでしかないからだ。
「あれはこの放送が終わった後、お前等以外の参加者の名前が載るようになってるんだ」
白い紙……?白い紙!?これだ!!
この紙に参加者が浮き上がる……情報。必要な情報!!
他の参加者の血縁関係や友人関係が分かればそれは重要なものになる。
「それじゃあ、次の放送が聞けるように存分に殺し合ってくれ…」
放送が終わると同時に白い紙に文字が浮き出る。
う……初音ミク……その後も私の知っている名前が続々と見える。
リン、KAITO、ハク、レン、フランドール・スカーレットそして私、重音テト。私の知っている人が生き残ったのは運が良かったから。
たまたま。次も生き残れるとは限らない。私の知っている人がまだ死んでいなくて本当によかった……早くミクちゃん見つけないと。
知っている人はこれだけ、なにかどこかで見たような名前は所々にあるけれどどこかで見た程度だから知っているうちには入らない。
えぇと……そうだ、死亡者となにか関係がありそうな人……もしくはなにか生存している人でなにか親族がいそうな人……
そうよね、いないわよね。この参加者名前全部から見てもなにか繋がりがありそうなのは鏡音兄弟だけ
友人という間柄ならいるかもしれないけれどそんなのこの名簿から分かるはずがない。
それよりも伯方の塩とかキーボードクラッシャーとか明らかに人外だったりあだ名だったりする奴があるのが不自然
なにか意図はあるのかしら?意図があるすればなにが?
そんなことを私は全て歩きながらこなした。
字とかは大分雑だけど良くコケなかったものだと感心する。足もとも見ずになれない道で自分ながらによくやった。
さてちょっと考えたことだし少しゆっくりして……ぶぼらばぁっ!!
『ゆっくりしたけっかがこれだよ!!』
ゆっくりしようとした結果がこれだね!!私は実に馬鹿だな!!気を抜いた途端にずっこけるとかどうかしてるよ!!
しかしこの顔面お化けよく今まで黙ってたわね。あの右上を見てビビってたのかしら?
◆◆◆時間は少しさかのぼる◆◆◆
「初音ミク……死ね」
私は銃を放つ。
当てるつもりはない。当ててしまえば可愛がることもできない。
というよりも私が銃を打ったところでどうせ当たるはずがない。私は銃を扱うのなんて初めてなのだ。
所詮威嚇がいいところだろう、だが恐怖心を与え苦しめるという意味ではこちらの方が都合がいい。
なにか青い蠢くなかなか大きな植物がいるが大した問題ではない。移動はそこまで早くなさそうだから私に襲いかかってきたら逃げればよいだけなのだ。
「どうして……?」
か細い声を上げて初音ミクが森へ逃げ出す。実に滑稽。実に愉快。
ははっ!ミクがゴミのようだ!!
私はそれを追う。だが植物の動きが思ったよりも早い。
あの植物が私に対して攻撃の意志をもったならば私は死ぬかもしれない。
だが死んで結構。初音ミクを苦しめることができたのだから。
右へ左へ初音ミクは蛇行しながらしばらく走り続ける。
すでに追跡する側の私でも方向を見失っているのだ。恐らく初音ミクも方向などとうに見失っているだろう。
しかしあの植物はいったい何がしたいのだ?初音ミクを守ろうともしなければ私を攻撃しようともしない。
まさか首輪が見当たらない部位にあるだけで初音ミクを利用しようとする参加者……?
初音ミクを利用しようとする参加者ならばこのまま放置し襤褸切れの様に利用され捨てられるのを待った方が結果的に初音ミクに与える苦しみが大きくなるのでは……
いや、あれが参加者だと決まったわけではない。それよりもここに自生するただの摩訶不思議な植物だと考えた方が合点が行く。
このまま追跡すればするだけ苦しむ姿を見ることができる。
ただ付き従うだけで私に攻撃してこない植物など怖くもなんともない。
私も初音ミクも走ることなどとうにやめている。初音ミクはただ私から逃げだし。私は初音ミクを追う。
ただそれを歩き延々と続けているのだ。
「あっ!!」
草の根にでも気を取られたのか初音ミクが広場のようなところで転ぶ。
ふはははは、天は私に完全に味方したようだな!!
殺すつもりなどない、ただ脅すだけだ。
脅すだけ。初音ミクの無様な姿。醜態を私の子の目に焼き付けるだけだ。
私は初音ミクが立ち上がる前に銃口を突き付ける。ここまでしても植物は動かない。
ここに自生する植物は不思議なものだ。
「どうして……どうして……!!」
地に倒れ銃口を突き付けられ未だに泣き続けるのを見る。それだけで私の心は満たされる。
素晴らしい……なんと簡単なことなのだろう?私が望んでいたことがこうもたやすく果たされるとは。
さぁ、今から私の時間が始まるのだ!!
――ようお前等!存分に殺し合ってるか?
一瞬初音ミクが震える。空にはあの右上とかいう道化。
私はこの右上には感謝せざるを得ない。この私の望みを果たす舞台を作ってくれたのだから。
私はもうお前らの望むとおりに殺し合い死んでも構わん。初音ミクがこれほど苦しむ姿を見れるのだから。
――禁止エリアは、八時からA-4、十時からB-6
禁止エリアなどもう私にとってはどうでもいい話。
私の望みはただ初音ミクが苦しむ姿をもっと。もっとみること。
そのような禁止エリアなんてなんの関係もない。
――脱落者は北条鉄平、はっぱ隊員、木吉カズヤ、囲炉裏、秋月律子、ローゼン閣下、やる夫、ドアラ、カミーユ・ビダン。
初音ミクはただ泣き続けるだけ。恐らくまともに放送を聞けていないだろう。
あぁ、いい気分だ。これほどまでに心が満たされるのは久しぶりだ。
――『ルイージ』、赤さん
さきほどまでと同じように脱落者の一つの名前が呼ばれる。それと同時に初音ミクがピクリと反応する。
初音ミクの泣き声が止まる。そして力なく地に伏したまま砂を握る、握りしめる。呟く。
「嘘だ……」
どうして……?以外の言葉を一切発しなかった初音ミクが新しい反応を見せる。
これは悲しみか?苦しみか?どちらにせよ私にとっては嬉しい限りだ。
ただ泣き続けられるよりも新しい反応があったほうがもっと楽しめる!
――あれはこの放送が終わっ
「嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
悲鳴……叫び声が周囲に響き渡る。もっとも既に声は枯れていて声自体は小さなものだ。
ただのかすれた無様な叫び声。私の心はそれでさらに満たされる。
私は狂っているだろうか?いや狂っていない。
もともと生物とはこういうものなのだ。人の苦しみを見て笑い。人の無様な姿を見て笑う。
それが性ぶちとしてのあるべき姿。善などそのようなことなど存在しない。
善など自らを満足させるための行為でしかない。無様な姿を見て笑う自分の姿。
その姿を認めたくないものが偽善に逃げるのだ。
「はっはっはっは、大事な人の名前が呼ばれたのかね?はっはっはっは」
私は笑いながら話しかける。
私はもう死んでもいいよ、何度も言うがね。これほどコイツが苦しむ姿を見れたのだ。悔いはない。
「なんでそんなに笑っていられるんですか……?なんで……」
「嬉しいからだよ」
初音ミクからの問に軽く答えてやる。
実際そうとしか言えないのだ。嬉しい。嬉しくてたまらない。
これだけ苦しみ悶える姿を見るのが楽しくてたまらない。
「人が死んでいるのになんで嬉しいんですか……見ず知らずとは言え人が……死んでいるんですよ……?なのになんで……?」
「見ず知らずの人が死んで悲しい……?ははは、冗談はやめたまえ。私は知っている人は一人も死んでいない。
自分が死んでいない。そしてお前の大事な人が死んだ。だから嬉しいのさ」
「人が死んで嬉しいはずがないじゃないですか……なんで……」
はははははははははははは、ふはははははははははは
これだけ苦しみも悶え思うことがそれか!!
だからお前は偽善者なのだ!呪われる対象!自分がなぜ悲しんでいるかすら気が付けない偽善者!
教えてやろう、お前がなぜ悲しんでいるのか、なぜ人の死という現実を受け入れているのか!!
私も僧のはしくれ、仏門に入った者、私がお前にしてやる最初で最後の説法だ!!
「はっ。君は思い違いをしているようだね。初音ミク。お前が悲しいのは人が死んだからではない。
知っている人が死んだから悲しいのだ。偽善者ぶるのはやめたまえ!!」
「っ!!」
「知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め」
僧侶としてはこんなことをいうのは間違いなのだろうな。
だが構わない。私は僧侶であるより初音ミクを苦しめ喜びを得ることを優先させる。
偽善者ぶるこの憎まれるべき女を苦しめる。それが喜び。
見てみろこの無様な女を歌姫などどこにもいないただ無様で滑稽な雌がいるだけだ
「違う……違う……あなたは狂っている……私は……私は……」
「お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ」
私が止めとなる言葉を放つ。
女はこの一言で完全に精神的に限界に来たらしい。
銃口を突き付けているというのに這って逃げだそうと言うのだ。無様に這ってね。
ここまで生に執着するとはな、呆れる。
「いや……いや……助けて……誰か……誰でもいいから助けて……」
お前を助けるものなど誰もいない。そう誰も人にはいないのごうべぇっ!!
なんだ!?いきなりあの植物が襲いかかってきただと!?どういうことだ!!
私はあの植物に向かい銃を放つ。だが植物はまったくダメージを受けた様子はない。あの植物は化け物か!?
『せーのっ!!』
距離をとった私に対し植物は人間のような声をあげ弾のような物を放つ。
咄嗟に法力でカバーしたがいつものように力が出せない。多少勢いを弱められ弾は私の腕に命中する。
利き腕でないのは不幸中の幸いと言ったところだろうか?だがしばらくは動かせないだろう。
私が初音ミクから距離を取ると植物もまた動きを止めた。
一分……二分……膠着の時間は続く。
私が痺れを切らし一歩踏み出すとそれを牽制するように植物が弾を放ちそれを私が法力でカバーしかわす。
そんなことを何度も続けているうちに私はある事実に気が付いた。
私が近づく距離で植物が使う技が変わっているということと初音ミクから離れようとしないこと。
そして初音ミクを助ける以上のこと――つまり私を撃退するということまではしないということ。
あの植物が私を殺しにかかったならばいつものように法力を扱えない私は長く持たないだろう。
おそらく初音ミクの誰でもいいから助けてという言葉に反応しようやく動いたということだろうか?
つまり先ほどまでずっと動かなかったのは初音ミクから何の指示も出されていなかったのが原因。
頭は植物だけあってさほど良くないのだろうか?いや、動きから見るにある程度の知能はあるはず。
おそらくはロボットのように命令は絶対厳守。命令以上のことはしないといった制限が課せられているのだろう。
ならば私がここにこれ以上とどまる理由はない。
命令以上のことはしない植物と延々と睨み合っていてもしょうがない、この場から速やかに立ち去り再び初音ミクのネガティブキャンペーンを行うだけだ。
私はもう満足するほどに苦しみを与えた。あとはさらなる苦しみを初音ミクに与えるために動くだけだ。
自分の手で殺せなかったのは少し残念だが精神崩壊寸前まで追い詰めたのだ。もう初音ミクは死んだも同然。
あとは死体とこの老体に鞭打つのみさ。
◆◆◆◆◆◆
『ルイージ』
嘘だ、嘘だ。ルイージさんが死ぬはずない。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。死ぬはずないよ。嘘だよ。
人殺しなんかになる人がいるはずな嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。ルイージさんは生きてる。嘘だ。そう嘘。
今私が殺されそうになったのも嘘。嘘。そう嘘だ。嘘なの。嘘じゃないと。嘘じゃないとこんなことありえない。
そうだよ。ね?嘘だと言って?ご主人様?
『知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め』
違う。そんなことない。私は誰が死んでも悲しんだ。そう嘘だ。こんなことば嘘。私を苦しめるための嘘。
自分で言ってた。私が苦しむのを見るのが喜びだって。そう嘘。嘘じゃないとこんなこと言わない。
嘘じゃないとこんな人を気づつけるようなことは言わない。嘘。嘘じゃないならあの人は狂ってる。
私は偽善者ではない。だれがしんでも悲しむんだから。そう嘘なの。
嘘だよね?マスター。うん。嘘だよミク。ミクは優しい子だから。ほらご主人様も嘘だって言ってくれた。
嘘じゃないよ。この言葉は嘘じゃない。だって私は優しいもの。
『お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ』
恨まれた?違う。そんなの勘違い。誰かが流した嘘に騙されてるだけ。そう嘘なの。
だから私がそれは嘘だよ。正しいよ。って真実を教えれば嘘から抜け出せるの。
この人の言ってることは嘘ばかり。私に殺されるとか言っといて私を殺してないもの。そう嘘。
マスターは私のことが好きなの。だか全ての人に嫌われるなんてありえない。嘘ばかり。
嘘。嘘。嘘。でも心配だから確かめてみる。ご主人様は私のこと好き?うん好きだよ。ほらね。やっぱり嘘
『ルイージ』
ルイージさんは死んでない。嘘ばっかり。
『知らない人が死んでも悲しみなどわかなければ実感もわかない。だがキミは悲しんでいる。これはなぜか、教えてやろう。
お前が今現在私に銃口を突き付けられ死に直面しており死の実感が沸いている。そして知人の名前が呼ばれた。だからこそキミは悲しんでいるのだよ
決して見ず知らずの人が死んだから悲しんでいる。そんなことはないのだ。
最も、私が嬉しいのはそれが理由だがね。お前が苦しんでいるのを見るのが私の喜び。
もしお前がこのような状態に陥らず誰かといたら生き残れて良かった。知りあいの名前が呼ばれなくてよかったと感謝しているのだろうな
その時は私が悲しんでいただろうが。口先だけではなんとでも言えるさ、この”偽善者”め』
嘘ばっかり。だれがこんな妄言信じるんだろう?嘘ばっかり。
『お前は多くの人に恨まれた。狙われた。そして私に殺される。全ての人に嫌われて殺される、ざまあみろ』
もう私は騙されないよ私は嘘だって見破ったから。嘘嘘嘘うるさいよね。うるさいなぁ。
『ルイージ』
そう、ルイージさんが死ぬはずないじゃない。そうほら、あっちの方に緑色の服みたいなのが見える。
あれはきっとルイージさん。やっぱり生きててくれたんだ。
ねぇルイージさん?なんで寝てるの?ほら起きてよ?……ルイージさん?嘘でしょ?
早く起きてよ?生きてるんでしょ?
『ルイージ』
ねぇ……生きてるんだよね?この赤いのもトマトジュースで嘘なんだよね?
嘘だよね?ね……?うん、そうさ!僕が死ぬはずないじゃないか!
あ、やっぱり生きててくれたんだ!そうだよ、ちょっと驚かせちゃったかな?ごめんね、ミクちゃん。
酷い、私本当に……。ごめんね。僕が悪かったよ。茸王国の英雄マリオの弟のルイージが死ぬはずないじゃないか!!
『ルイージ』
嘘嘘!!そう嘘!だってルイージさんは私と会話してくれてるんだもの!!死んでなんかいない!!
生きてるの!!そうさミクちゃん、僕が死ぬはずないよ!
ほら、嘘ばっかり。信用できるのは私とルイージさんとしげるだけね。しげるは私を助けてくれたもの!
え?ルイージさん?渡すものがあるって?帽子?いいの?ごめんね?あぁ、もう全然気にしてないから大丈夫!
ルイージさんの帽子ちょっと大きいな!でも大事にする!
「……」
「あ、そうだ。さっきはありがとね、しげる。これからもうそつきから私を守ってね」
「……」
ルイージさんも嘘付きから私を守ってくれるよね!
もちろん!!
【A-3 森/一日目・朝】
【初音ミク@VOCALOID2】
[状態]:混乱、恐怖、精神疲労(限界突破)身体疲労(限界寸前)
[装備]:ルイージの帽子
[道具]:基本支給品、あおばシゲル@MF2死ぬ気シリーズ
[思考・状況]
0.嘘。嘘。嘘。
【オボロゲソウ「あおばシゲル」の思考】
思考・状況]
1:嘘付きからミクを守る
2:ミク……
※指定された命令以上のことはできない。しかし殺傷力の高い技も存在する。
※ルイージの死体(帽子無)が放置されています
※初音ミクは今現在正常な判断ができません。精神に多大なショックを受けたようです。
◆◆◆◆◆◆
『皆、聞いてくれ!参加者の中に、初音ミクという女がいる!青い髪をおさげにした、10代後半の少女だ!
その女は殺人鬼だ!我々はこの殺し合いが始まる以前に、その女に形容し難いほど無残な目にあわされた!
あの女は、可憐な容姿で無力を装い、油断した人間をいたぶり殺す外道、魔女、悪魔、化け物だ!
だから初音ミクを絶対に信用するな!いいか、絶対にだ!信用した瞬間、すでにあの女の罠にかかっているんだ!
私は、あの魔女の被害者をもう出したくない!誰かあの悪魔を止めてくれ!』
「ミクちゃんが……?」
近くで聞こえた叫び声は信じられないものだった。
私の知る初音ミクがそのようなことをするはずがない。
叫び声はそう遠くない。私は声の主に会うべく声のする方向へ一時ゆっくりを置いて向かい始めた。
ゆっくりには10分遅れてくるように厳命してある。10分であればこの魔導アーマーもある今ゆっくりだけでも耐えることはできるはず。
むしろ相手の警戒心を無くすためとはいえ魔導アーマーのない私の方が危険なくらいだ。危ない相手に出会ったら速攻で殺されるだろう。
絶対に嘘だ。ありえない。私は忘れない。ミクちゃんに助けられたという事実を。
叫び声の主のもとへはすぐにたどり着けた。
叫んでいたのは僧侶。森から出てきたばかりのようで息を切らしており腕を負傷していた。
接触してどうするか……?とりあえず真偽を確かめるために騙す。それが一番。
今の私に武器はない。やらなければ。
「ど……どうしたんですか!?」
私は全ての演技力を総動員して僧侶のもとへ駆け寄る。
「や……やられたんだ。さっき私が言っていた初音ミクと遭遇した時にやられた。
なにか変な植物を使役していて、その植物に私を攻撃するように命じたんだ、そのせいで腕が……」
僧侶の言葉に偽りはないようだ。腕は負傷しているし息を切らしているのも確か。
逃げてきてここで叫んだと考えればなんの問題もない。
でも、私にはその言葉が嘘だとわかる理由があった。
別に私の中のミクちゃんはそんなことしないという主観的証拠ではない。
客観的な証拠だ。しかしここでその証拠を突き付けるのはまだ明らかに速い。
この僧侶がミクちゃんと接触したのは遭遇した時の状況説明に矛盾がないことは確か。
つまりこの僧侶は確実にミクちゃんと接触したのだ。しかもこの少し前に。
「なんと酷いことを……あの初音ミクはまた……」
「あなたもあの女の被害にあわれたことがあるのですか!?」
喰いついた。
さぁ、情報収集の始まりよ。
「私もあの女には酷い目にあわされました、同じボーカロイド仲間であるのにもかかわらず私のことを不人気だとか音痴だとかさんざん会うたび会うたび言われました」
「それは本当なのか!?」
あら?やけに驚いてるわね。嘘ね。証拠がボロボロ出てくる。
さっきまで魔性の女だとか言ってたくせにこの程度のことで驚くなんて。
その後も私は短時間で情報を集めて行く。
こいつがネガキャンをずっとエリアごとにし続けてきたこととか支給品に銃があることとかとにかく色々。
エリアごとにネガキャンとは……信じていない人もいるでしょうけど信じてしまった人もいるはず。これはとても厄介ね。
銃は……警戒心が薄れてもう下げているわね。ならこのタイミングで急所打ちをすれば間違いなくこいつを戦闘(先頭)不能にできるわ
でも私は優しいから一度だけチャンスをこの僧侶にあげるわ、贖罪のね
「あなたが言っている初音ミクについて嘘偽りありませんか?」
「ない」
m9(^Д^)やあ
ようこそ、バーボンハウスへ。
この金的蹴りはサービスだから、まず飲んで落ち喰らって欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この金的蹴りを受けたとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う(性的な意味で)。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこの急所打ちを選んだんだ。
じゃあ、いいわけを聞かないよ。
「嘘付きはこうしないとね」
金的蹴りで僧侶の戦闘力を失わせた私は自分にできる最大限の速さで拳銃とデイパックを奪う。
恐らくはたから見ると遅遅とした行動だっただろうが私には荒事の経験のないのだからしょうがない。
途中で僧侶の足の骨を折ってしまったりもしたが、それは荒事になれていないせいで揉み合いになったからだ。
今後ネガキャンをさせないためにもこの程度はしょうがないと割り切るべき。ごめんなさいね。
女の身で現在優勢で運べるのはとても幸運、状況が少しでも違えば私は拳銃で撃ち殺されていただろう。
「あああああああああああああああああ!!」
「あなたの行為は嘘だって始めっから分かってるの情報ありがとうね、お坊さん。
嘘だとわかった理由について説明しておこうかしら?」
ごろごろと足を抱え無様に転がる僧侶。
おそらく今私の声なんかは聞こえていないでしょうけど一応説明をしておくのだ。
バーボンにはめて行動力を奪ったのだからネタばらしをしてもなんの問題はない。
「一つ、あなたはミクから逃げているはずなのにメガホンを使用した。
逃げている側の人間がわざわざ自分の居場所を教えるようなことをするはずがないでしょう?」
僧侶の右腕を押しつぶすようになんども何度も踏みつける。
全体重を掛けて何度も。ここまでしなければ非力な私では相手の無力化はできない。
紐とかがあれば縛ったりして楽なのでしょうけど無いものねだりはできない。
「二つ、あなたは大声で叫んだ。
全力で逃げて走って息切れした人間が大声で叫べると思う?叫べるはずないじゃない
貴方の息が切れていたのはメガホンで叫んでいたから……そうでしょ?」
左腕も同様に潰すように踏みつける
すでに僧侶の声は掠れ。対した声は出ていない。
「三つ、あなたは初音ミクの悪行をペラペラ喋っていたわりには私の言葉に驚いていた。
あんなに悪行を知ってるわりには悪口くらいで驚くのね、不思議だわ」
残った足もまた同じように踏みつける何度も。
僧侶はもう声を出す気力もないようで僅かにうめいている。
「以上が理由ね。運が良ければあなたもまだ生き残れるでしょ、頑張ってね。お坊さん」
私は僧侶をしばらくの間行動不能にしその場を立ち去る。
支給品もメガホン以外は全て奪った。
流石にミクちゃんの嘘の悪行を並びたてていたメガホンを持って行く気には私はなれなかったけどね。
ゆっくりが魔導アーマーとともに私のもとにたどり着いたのは10分どころか30分後であった。
一体途中で何をしていたのだろうか?おそらくゆっくりしていたのでしょうけど10分遅れでって言っておいたじゃない
【B-2森/一日目・朝】
【重音テト@VOCALOID(亜種)】
【状態】:健康、決意
【装備】:魔導アーマー(左腕欠損、武装チャージ中1/2)@FF6、拳銃(1/6 予備弾24)@デスノート
【持物】:基本支給品、ランダム支給品(0~3)ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙@ゆっくりしていってね!、偽起爆リモコン(4-5時間使用不可)
【思考】
1、ミクを探して守る。
2、フランが大丈夫か少し心配。
3、自分に害のある人物は詐欺してバーボンして切り抜ける
4、ブロリーに注意
5、「歪みねぇ意思」……か
※B2左下周辺に僧侶のネガキャンが響き渡りました
◆◆◆◆◆◆
私の負けだ。
初音ミクと出会い。いたぶったことで気が抜けていた。完全に。
言われてみれば先ほどの私の行動は不自然なことだらけだ
だが悔いはない。最後にへまをしたが初音ミクを苦しめるという目的は果たした。
私は勝者だ。初音ミクが今後も苦しむ姿は見れないのは残念だがいいだろう。
初音ミクの精神はすでにずたぼろだ、さてあいつに初音ミクが救えるかな?
足は折れ他の四肢も医者に見せなければ動かすこともできないだろう。
ならこの場で生き残りネガキャンをすることはもう無理。ならば死のう。
僧侶として間違いなくありえない行為だろう。自殺など、今更死んだ後に天国に行けるように仏に祈っているなど。
さて、私が行くのは天国か地獄か?
死を選ぶ前に一曲歌うとするか
そしてその後に舌を噛み切ろう、さらば現世。
「地獄に音楽は絶えない……」
&color(red){【僧侶@ニコニコRPG】 死亡確認 死亡理由:舌を噛み切り自殺}
※テトは僧侶が自殺したことを知りません
※メガホンは僧侶の死体のそばに転がっています
【ルイージの帽子@マリオ】
ただのルイージの帽子。別に前回のように空気になるとかルイージの身体能力が手に入るとかはない。
|sm88:[[伝説の英雄S]]|[[時系列順>第二回放送までの本編SS]]|sm90:[[塩くれてやる! -若本製塩編-(前編)]]|
|sm88:[[伝説の英雄S]]|[[投下順>51~100]]|sm90:[[塩くれてやる! -若本製塩編-(前編)]]|
|sm77:[[私、始めるのよ。これは殺し合い]]|初音ミク|sm103:[[嘘の歌姫]]|
|sm79:[[おまいら、バトロワどの敵まで勝てる?(ブロリー編) (後編)]]|重音テト|sm103:[[嘘の歌姫]]|
|sm77:[[私、始めるのよ。これは殺し合い]]|&color(red){僧侶}|&color(red){死亡}|
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