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「一里四辻・一鹿六兎」(2009/09/26 (土) 20:28:41) の最新版変更点
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*一里四辻・一鹿六兎 ◆F.EmGSxYug
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「――アンパンを食す」
家の中。七夜志貴はそう言って口の中のものを咀嚼した。
偉そうに言っているが何のことはない、支給されたコッペパンに餡子を塗って食べているだけだ。
台所に行った七夜が見つけたのは、包丁を数本に果物ナイフパンナイフ、それと調味料や添え物の類。
ジャムやマーガリン、胡麻塩などの類は大量にあったが、主食はない。
キッチンとしては不自然なほどに食料が欠けていた。まぁ当然か、と七夜は思う。
殺しあわずにいればやがて餓死するぞ、そう脅す意味でも置いてある食料は限られているだろう。
あるいは奪い合いに発展させるために、特定の場所にしかないか。
もっとも、七夜にはそんなことを考える気はないし、関係もない。
余計なことは考えずさっさと果物ナイフと包丁を一本ずつ頂戴し、
あとは餡子を取り出して食事を取ることにしたというわけだ。
七夜に食事を楽しむ趣味はない。ないが、食事を取らなくては動けなくなる。
のんびりと寛ぎながら食事を取っていた七夜は、ふとあることを思い出した。
「……食事と言えば、我侭なご主人様が蟹を食べたいとか言っていたな」
何に触発されたのか分からないが、北海道の記憶を持っている人間を探しにいくとか。
七夜と同じく使われていない部分を具現化した割には、随分とまぁ余分な機能を持つご主人様だ。
元になった黒猫も、食事を楽しむ機能は使っているだろうに。
もっともあれ以後蟹のカの字も口に出さないので、UMAにでも奪われたんだろうと七夜は推測している。
「ま、どうでもいいさ」
そう呟いて、七夜はペットボトルの水を流し込んだ。
七夜に食事を楽しむ趣味はない。大切なことなので二回言いました。
果物をナイフを左のポケットに、サバイバルナイフを右のポケットに入れて立ち上がる。包丁はデイパック行きだ。
元々、七夜はあまりナイフを投擲しない。使うのは子供騙しな奥義を使う時くらいである。
投擲用のナイフは一本準備しておけば十分だろう。
支給品に風を起こす団扇とやらがあったが、大して興味はないし使う気もない。
風を起こしている暇があったらナイフを振るっているし、何より。
「団扇なんかじゃ、肉を解体する感覚は伝わらないよな。
あの剣といい大仰なものばかり入れるくらいなら、おとなしく七つ夜を入れればいいだろうに」
ナナヤシキ
殺人鬼は、ナイフさえあればすべて事足りる。
勝手に弱点を突くだの風を起こすだの、七夜にとってはふざけているとしか思えない武器だ。
自分の意思で自分の腕を振り、肉を解体するからこそ愉しいのだと言うのに。
期待して立派な武器を入れたのかもしれないが、彼には冗談もいいところにしか見えない。
……いや、それともそれを分かっているからこそわざとそんなものを入れたのかもしれないが。
「ハ――だとしたら、いい趣味してる」
言葉と同時に、七夜は跳んだ。
壁を蹴り、天井を蜘蛛のように少しばかり走り――体を半回転させて着地。
静から動。一瞬でトップスピードに、あるいはゼロに。
最高速が売りなのではない。激しい速度変化で相手の裏をかき、視認させない。
それによって忽然と消えたかのように思わせる、七夜の体術の真骨頂。
ぶん、と自分の体を確かめるように七夜は腕を振った。
「ちょっと体が重いような気がしたが、ま、違和感のレベルか。
あの街を離れて異常が出来てないか少し不安だったが……
これならいつも通りの動きをしても問題なさそうだ」
そう呟くとともに、七夜は椅子に座わりこんで電気を消した。
この言葉は正しい。一応彼にも制限は掛かっているが、それは極めて微弱だ。
理由は単純、彼の戦闘能力は能力よりむしろ技術に依存するところが多いからである。
純粋な身体能力ならば、この場にいる中でも低くはないが最強でもない。
あくまで彼の身体能力は、普通の人間の限界ラインでしかない。
魔術や気、異能力で身体能力を高める相手に、身体能力だけでは七夜は勝てない。
彼が弱いのではない。これは七夜の一族全般に言えることである。
「志貴」ですら、能力――特にその眼――だけならば一族の中では優秀な部類だ。
だが――七夜という一族は、魔の血を引く混血共を容易く狩る。遥か上の身体能力を持つ鬼を。
それを成すのが一族が代々極限まで高めてきた、暗殺者としての技術である。
だからこそ、七夜は窓から入ってくる朝の光を見てぽつりと呟いていた。
「……しかし、朝はまずいねどうも。地形も悪い。
ここは基本的に平地や道路ばかりで、障害物も少ないと来た」
気だるげに首を振る七夜。
彼の技術は建物や森林などの障害物を最大限に活かし、夜に紛れて不意を突くことこそが本義。
壁や天井、木といった何かがあるだけで七夜という一族の行動範囲は広がる。
逆に言えば、太陽に照らされた平原は得意なフィールドではないのだ。
彼の父親、一族最強とされた七夜黄理がもっとも得意としたのも室内の仕事。
それも相手に視る隙さえ与えず絶殺する、文字通りの暗殺だった。
七夜志貴が望むことは強い相手と「戦う」ことではない。
殺しがいがある相手を斬殺すること――「殺す」ことである。
「ああ――その意味じゃ、咲夜さんは非常に俺好みの存在だった」
そう呟いて、七夜は思考の対象を最初に出会った彼女に移した。
どうせまだ休憩中だ、頭の中で解体のイメージトレーニングでもしておこうと思い立ったのだ。
何も考えなかったり律儀に作戦を立てているより、殺しについて考えているほうが愉しいに決まっている。
さて、七夜は咲夜が気に入っている。そうでなければわざわざ名前を聞いたりしない。
翡翠といい、案外メイドに縁があるのかもしれない。翡翠と咲夜はまったく違うが。
凛々しく毅然とした態度に、迷いのない殺意。間違いなく、翡翠と違って咲夜はこちら側の人間だ。
見栄えもいい。特に二の腕。適度に肉が付きながら太すぎるわけでもない、均整の取れた太さ。
格好からして表向きの彼女はメイドなのだろう。翡翠と違うのは、荒事にも対応することか。
しなやかで柔らかさを感じさせる筋肉は、ただのメイド以上の運動をしていることをよく示している。
丁寧に家事を行うイメージと、殺人という暴力のイメージ。
日常と非日常、一見背反する両者のイメージを彼女の二の腕は上手く持ち合わせていた。
だからこそ、それは芸術だ。その腕を解体すれば、どんな中身が見えるか想像するだけで愉しい。
首もいい。もしその頚動脈を切断し血を噴水のように流させれば。
もしその首を脊髄ごと引き抜けば。そんな想像をするだけで心が躍る。
外見も中身も整ったこれ以上ない素材だからこそ、解体しがいがあるというもの。
想像するだけでこれなのだから、実際に解体した時の快感は素晴らしいだろう。
胸は秋葉並みに足りなかったが何、そのくらいは愛嬌というものだと七夜は思う。
さすがに紅赤朱などをバラした時の快感には及ぶまいが、代わりのレシピとしては十分過ぎる。
また彼女と出会ったのならば、彼は手間と労力を尽くし丹精に愛情表現するに違いない。
コ ロ
斬刑に処す、という愛情表現を。
「――チ」
……そこまで考えたところで、七夜は舌打ちした。
魅力的な相手のことを考えたところで、思考にあるものが混じってしまったのだ。
――見ようによっては、今の自分は女にうつつを抜かしていると言えるな。
そう思った七夜の頭の中に、
『ちょ、ちょっと! いい、あなたは私のマスターなの! 分かる!?
私を守るのが義務でしょう! だから、私だけを見てなさい!』
などと夏の白雪のような少女がまくし立てている光景が連鎖的に現れていた。
だからこその舌打ち――愉しい殺しのイメージを浮かべていたところで、
こんな考えを混じらせるようになった自分に。
「やれやれ、紅赤朱ならともかく女相手だとご主人様に文句を言われそうだ。
ま、それはここで口うるさいご主人様と出会っちまった場合に考えればいい。
俺がこういったモノだってことは呼び出した当人がよく分かって……
いや、分かっていたらあんな言動はしないか?」
白いレンのことを思い出しつつ、今度は肩を竦める。このことも、無駄と言えば無駄な考えだろう。
未練というか義理というか、どうも厄介なモノを持たされてしまっているようだ。
自分は殺すだけのモノだってのに、と述懐しながら立ち上がる。
こういう時はなんでもいいからバラすに限る。それも生き物を。
素直にやりたいことをやっていれば、余分な考えも消えるだろう。
そう考えて歩き出す。休憩タイムは終わりだ。睡眠はまだ必要あるまい。
まるで自分の家にいるかのようにのんびりと玄関まで歩き、その扉を大仰に開ける。
夜は、とうの昔に終わっていた。もっとも、だからといって家に戻ったりしないが。
「朝だからといって引き篭っているのは勿体無さ過ぎる。
ご馳走が出回っているのに傍観するなんて、そんな馬鹿な真似をするほど気は長くない。
森にせよ住宅地にせよ、いろいろと邪魔なものが多い場所を動き回るか。
どこからか逃げ出した子羊が隠れようと逃げ込んでくる可能性もあるだろうさ。
ああ――そういう意味じゃ、ホテルや病院も悪くないか」
トオノシキ
殺人貴と殺人鬼は違う。
殺人貴が殺しを機械のように行うモノなら、殺人鬼は殺しを愉しむモノだ。
殺すことだけが七夜志貴というモノの存在意義なのだから、愉しくないはずがない。
そしていつ消える身か分からない以上、七夜は愉しくないことなどしたくはない。
だからこそ、殺し合いの場を歩き始めた七夜の表情には――笑みが張り付いている。
【B-2 西部 住宅街/一日目 早朝】
【七夜志貴@MUGEN】
[状態]:普通
[装備]:サバイバルナイフ@現実、果物ナイフ
[道具]:基本支給品(食料・水-1)、三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、葉団扇@東方project、包丁
[思考・状況]基本思考:殺し合いをする
1:障害物がある場所を優先的に探索。
2:『殺し合い』をする。
3:死んでも構わない。
4:白いの(ときちく)が気になるが後回し。
5:あの女(渚)はどうでもいいが鎧の男(ブロントさん)とは殺し合ってみたい。
【葉団扇@東方project】
射命丸文がいつも持っている団扇。振ると風を起こす。
緋想天では必殺技・スペルカードを問わず、風を起こす技では多用している。
|sm84:[[ツイントカマク搭載ゆとり]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm86:[[第一回定時放送]]|
|sm84:[[ツイントカマク搭載ゆとり]]|[[投下順>51~100]]|sm86:[[第一回定時放送]]|
|sm59:[[全ては愛しき貴方の為に]]|七夜志貴|sm103:[[嘘の歌姫]]|
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*一里四辻・一鹿六兎 ◆F.EmGSxYug
(登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアルβ]] [[ツンデレロリ]]
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「――アンパンを食す」
家の中。七夜志貴はそう言って口の中のものを咀嚼した。
偉そうに言っているが何のことはない、支給されたコッペパンに餡子を塗って食べているだけだ。
台所に行った七夜が見つけたのは、包丁を数本に果物ナイフパンナイフ、それと調味料や添え物の類。
ジャムやマーガリン、胡麻塩などの類は大量にあったが、主食はない。
キッチンとしては不自然なほどに食料が欠けていた。まぁ当然か、と七夜は思う。
殺しあわずにいればやがて餓死するぞ、そう脅す意味でも置いてある食料は限られているだろう。
あるいは奪い合いに発展させるために、特定の場所にしかないか。
もっとも、七夜にはそんなことを考える気はないし、関係もない。
余計なことは考えずさっさと果物ナイフと包丁を一本ずつ頂戴し、
あとは餡子を取り出して食事を取ることにしたというわけだ。
七夜に食事を楽しむ趣味はない。ないが、食事を取らなくては動けなくなる。
のんびりと寛ぎながら食事を取っていた七夜は、ふとあることを思い出した。
#aa(){「……食事と言えば、我侭なご主人様が蟹を食べたいとか言っていたな」
何に触発されたのか分からないが、北海道の記憶を持っている人間を探しにいくとか。
七夜と同じく使われていない部分を具現化した割には、随分とまぁ余分な機能を持つご主人様だ。
元になった黒猫も、食事を楽しむ機能は使っているだろうに。
もっともあれ以後蟹のカの字も口に出さないので、UMAにでも奪われたんだろうと七夜は推測している。
「ま、どうでもいいさ」
そう呟いて、七夜はペットボトルの水を流し込んだ。
七夜に食事を楽しむ趣味はない。大切なことなので二回言いました。
果物をナイフを左のポケットに、サバイバルナイフを右のポケットに入れて立ち上がる。包丁はデイパック行きだ。
元々、七夜はあまりナイフを投擲しない。使うのは子供騙しな奥義を使う時くらいである。
投擲用のナイフは一本準備しておけば十分だろう。
支給品に風を起こす団扇とやらがあったが、大して興味はないし使う気もない。
風を起こしている暇があったらナイフを振るっているし、何より。
「団扇なんかじゃ、肉を解体する感覚は伝わらないよな。
あの剣といい大仰なものばかり入れるくらいなら、おとなしく七つ夜を入れればいいだろうに」
ナナヤシキ
殺人鬼は、ナイフさえあればすべて事足りる。
勝手に弱点を突くだの風を起こすだの、七夜にとってはふざけているとしか思えない武器だ。
自分の意思で自分の腕を振り、肉を解体するからこそ愉しいのだと言うのに。
期待して立派な武器を入れたのかもしれないが、彼には冗談もいいところにしか見えない。
……いや、それともそれを分かっているからこそわざとそんなものを入れたのかもしれないが。
「ハ――だとしたら、いい趣味してる」
言葉と同時に、七夜は跳んだ。
壁を蹴り、天井を蜘蛛のように少しばかり走り――体を半回転させて着地。
静から動。一瞬でトップスピードに、あるいはゼロに。
最高速が売りなのではない。激しい速度変化で相手の裏をかき、視認させない。
それによって忽然と消えたかのように思わせる、七夜の体術の真骨頂。
ぶん、と自分の体を確かめるように七夜は腕を振った。
「ちょっと体が重いような気がしたが、ま、違和感のレベルか。
あの街を離れて異常が出来てないか少し不安だったが……
これならいつも通りの動きをしても問題なさそうだ」
そう呟くとともに、七夜は椅子に座わりこんで電気を消した。
この言葉は正しい。一応彼にも制限は掛かっているが、それは極めて微弱だ。
理由は単純、彼の戦闘能力は能力よりむしろ技術に依存するところが多いからである。
純粋な身体能力ならば、この場にいる中でも低くはないが最強でもない。
あくまで彼の身体能力は、普通の人間の限界ラインでしかない。
魔術や気、異能力で身体能力を高める相手に、身体能力だけでは七夜は勝てない。
彼が弱いのではない。これは七夜の一族全般に言えることである。
「志貴」ですら、能力――特にその眼――だけならば一族の中では優秀な部類だ。
だが――七夜という一族は、魔の血を引く混血共を容易く狩る。遥か上の身体能力を持つ鬼を。
それを成すのが一族が代々極限まで高めてきた、暗殺者としての技術である。
だからこそ、七夜は窓から入ってくる朝の光を見てぽつりと呟いていた。
「……しかし、朝はまずいねどうも。地形も悪い。
ここは基本的に平地や道路ばかりで、障害物も少ないと来た」
気だるげに首を振る七夜。
彼の技術は建物や森林などの障害物を最大限に活かし、夜に紛れて不意を突くことこそが本義。
壁や天井、木といった何かがあるだけで七夜という一族の行動範囲は広がる。
逆に言えば、太陽に照らされた平原は得意なフィールドではないのだ。
彼の父親、一族最強とされた七夜黄理がもっとも得意としたのも室内の仕事。
それも相手に視る隙さえ与えず絶殺する、文字通りの暗殺だった。
七夜志貴が望むことは強い相手と「戦う」ことではない。
殺しがいがある相手を斬殺すること――「殺す」ことである。
「ああ――その意味じゃ、咲夜さんは非常に俺好みの存在だった」
そう呟いて、七夜は思考の対象を最初に出会った彼女に移した。
どうせまだ休憩中だ、頭の中で解体のイメージトレーニングでもしておこうと思い立ったのだ。
何も考えなかったり律儀に作戦を立てているより、殺しについて考えているほうが愉しいに決まっている。
さて、七夜は咲夜が気に入っている。そうでなければわざわざ名前を聞いたりしない。
翡翠といい、案外メイドに縁があるのかもしれない。翡翠と咲夜はまったく違うが。
凛々しく毅然とした態度に、迷いのない殺意。間違いなく、翡翠と違って咲夜はこちら側の人間だ。
見栄えもいい。特に二の腕。適度に肉が付きながら太すぎるわけでもない、均整の取れた太さ。
格好からして表向きの彼女はメイドなのだろう。翡翠と違うのは、荒事にも対応することか。
しなやかで柔らかさを感じさせる筋肉は、ただのメイド以上の運動をしていることをよく示している。
丁寧に家事を行うイメージと、殺人という暴力のイメージ。
日常と非日常、一見背反する両者のイメージを彼女の二の腕は上手く持ち合わせていた。
だからこそ、それは芸術だ。その腕を解体すれば、どんな中身が見えるか想像するだけで愉しい。
首もいい。もしその頚動脈を切断し血を噴水のように流させれば。
もしその首を脊髄ごと引き抜けば。そんな想像をするだけで心が躍る。
外見も中身も整ったこれ以上ない素材だからこそ、解体しがいがあるというもの。
想像するだけでこれなのだから、実際に解体した時の快感は素晴らしいだろう。
胸は秋葉並みに足りなかったが何、そのくらいは愛嬌というものだと七夜は思う。
さすがに紅赤朱などをバラした時の快感には及ぶまいが、代わりのレシピとしては十分過ぎる。
また彼女と出会ったのならば、彼は手間と労力を尽くし丹精に愛情表現するに違いない。
コ ロ
斬刑に処す、という愛情表現を。
「――チ」
……そこまで考えたところで、七夜は舌打ちした。
魅力的な相手のことを考えたところで、思考にあるものが混じってしまったのだ。
――見ようによっては、今の自分は女にうつつを抜かしていると言えるな。
そう思った七夜の頭の中に、
『ちょ、ちょっと! いい、あなたは私のマスターなの! 分かる!?
私を守るのが義務でしょう! だから、私だけを見てなさい!』
などと夏の白雪のような少女がまくし立てている光景が連鎖的に現れていた。
だからこその舌打ち――愉しい殺しのイメージを浮かべていたところで、
こんな考えを混じらせるようになった自分に。
「やれやれ、紅赤朱ならともかく女相手だとご主人様に文句を言われそうだ。
ま、それはここで口うるさいご主人様と出会っちまった場合に考えればいい。
俺がこういったモノだってことは呼び出した当人がよく分かって……
いや、分かっていたらあんな言動はしないか?」
}
白いレンのことを思い出しつつ、今度は肩を竦める。このことも、無駄と言えば無駄な考えだろう。
未練というか義理というか、どうも厄介なモノを持たされてしまっているようだ。
自分は殺すだけのモノだってのに、と述懐しながら立ち上がる。
こういう時はなんでもいいからバラすに限る。それも生き物を。
素直にやりたいことをやっていれば、余分な考えも消えるだろう。
そう考えて歩き出す。休憩タイムは終わりだ。睡眠はまだ必要あるまい。
まるで自分の家にいるかのようにのんびりと玄関まで歩き、その扉を大仰に開ける。
夜は、とうの昔に終わっていた。もっとも、だからといって家に戻ったりしないが。
「朝だからといって引き篭っているのは勿体無さ過ぎる。
ご馳走が出回っているのに傍観するなんて、そんな馬鹿な真似をするほど気は長くない。
森にせよ住宅地にせよ、いろいろと邪魔なものが多い場所を動き回るか。
どこからか逃げ出した子羊が隠れようと逃げ込んでくる可能性もあるだろうさ。
ああ――そういう意味じゃ、ホテルや病院も悪くないか」
トオノシキ
殺人貴と殺人鬼は違う。
殺人貴が殺しを機械のように行うモノなら、殺人鬼は殺しを愉しむモノだ。
殺すことだけが七夜志貴というモノの存在意義なのだから、愉しくないはずがない。
そしていつ消える身か分からない以上、七夜は愉しくないことなどしたくはない。
だからこそ、殺し合いの場を歩き始めた七夜の表情には――笑みが張り付いている。
【B-2 西部 住宅街/一日目 早朝】
【七夜志貴@MUGEN】
[状態]:普通
[装備]:サバイバルナイフ@現実、果物ナイフ
[道具]:基本支給品(食料・水-1)、三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、葉団扇@東方project、包丁
[思考・状況]基本思考:殺し合いをする
1:障害物がある場所を優先的に探索。
2:『殺し合い』をする。
3:死んでも構わない。
4:白いの(ときちく)が気になるが後回し。
5:あの女(渚)はどうでもいいが鎧の男(ブロントさん)とは殺し合ってみたい。
【葉団扇@東方project】
射命丸文がいつも持っている団扇。振ると風を起こす。
緋想天では必殺技・スペルカードを問わず、風を起こす技では多用している。
|sm84:[[ツイントカマク搭載ゆとり]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm86:[[第一回定時放送]]|
|sm84:[[ツイントカマク搭載ゆとり]]|[[投下順>51~100]]|sm86:[[第一回定時放送]]|
|sm59:[[全ては愛しき貴方の為に]]|七夜志貴|sm103:[[嘘の歌姫]]|
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