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日曜日-AM 8:24-


「おぉ・・・」




「おぉぉ・・・」



朝、一二三は先週見忘れた仮面ライダーを見ていた。
なるほど、むこうで聞いたとおり面白い。
細かい設定などもあったりするが、一二三脳を持ってすれば理解することは容易い。


番組が終わり、アナウンスが流れる。

『この番組は、楽しい時を作る企業BANZAIと、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。』

テレビが次の番組の予告をする中、テレビの前で一二三が硬直していた。

「やばいよ、、これ面白い・・・。あぁ、、はまってしまいそうだぁ・・・。」



さっき見た戦闘シーンを頭に浮かべる。

「凄いなぁ、あれ・・・。まさに『血踊り、肉沸く・・・。』チップにも応用できないのかなぁ・・・
 やっぱり乱舞系コンボというと、前P>近S>前P>近S>前P>スシ>スキヤキRC>いろいろよねぇ・・。」


映像に影響を受けて自分のチップの方針を改めて考え直してみる。
つーか、『血踊り、肉沸く』ってなんだよ。
一度初心に戻って、立ち回りやコンボについて考えてみるのもいいだろう。

「いやいや、でもなぁ、やっぱり凄いコンボよりも立ち回りに重点を、そうね、特に最大の長所の速さを・・・。
 うん、やっぱり転移、手裏剣、迷彩を多用して速さでもって相手を翻弄、攪乱・・・。
 う、、でもなぁ、この間のソル使いさん・・・双琉さん・・・だったかな。らしくない立ち回りも重要なのよね。
 ん~?でもチップにとってらしくない立ち回りっていうのはどういったものなのかなぁ・・・。
 どっかり腰を据えて相手と殴り合い?無理よねぇ、事故した時のリスクが全てのリターンを跳ね返してくるし・・・。
 ましてや、スレイヤーやポチョ、メイとかが相手だと顕著にリスクが多くなるよねえ・・・。
 チップにとってはらしくない立ち回りをするときは時と場所と空気を読まないとダメってことだね。
 てことは、必然的に立ち回りは高速の出入りでこっちの世界に相手を引きずりこむことなるのかな、、
 いやいや、敢えて相手の世界に飛び込んで玉砕覚悟のカミカゼアタック??
 いや、だからそれはダメなんだってば、危険度が高すぎてとても今の私じゃ使いこなせないよ・・・。」


悶々と考えを廻らせる一二三。
やはりここは誰かに相談してみるのがいいのだろうか、、でも自分のスタイルは自分で考えた方がいいか・・・?

「うん、やっぱり基本となるのは速さよね、それが全キャラに勝っている点なわけだし。
 『この世の理はすなわち速さだと思いませんか?物事を速く成し遂げればその分時間が有効に使えます。
  遅いことなら誰でもできる、二十年かければ馬鹿でも傑作小説が書ける、有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家、
  週刊よりも日刊です。つまり速さこそ有能なのだ、文化の基本法則、そして俺の持論です。あぁ、二分二十秒・・・また二秒世界を縮めた・・・。』
 と、どこかの誰かも言ってたしね。うんうん。」



どっかの誰かの台詞を引用しつつ考えをまとめてみる一二三。
結論は「速さバンザイ!」といったところで一応の落ち着きを見せた。

さらに一二三の考えは止まることをしらない。

「それから、チプコンて呼ばれるチップのエリアルコンボだけど・・・
 先生が言ったとおり、相手のバーストゲージが増えるのが難点なわけだし・・・やっぱりサシミ落としで・・・
 となると、キャラ別に最大ダメージの叩き落としを覚える必要が出てくるね・・・
 別に覚えるのは全然苦じゃないんだけど、最大ダメージだとやっぱりバースト増える?う、考えが一周した・・・。
 削岩脚をキャンセルする度に一秒間テンション上昇量が20%になるとか授業で聞いたっけかな・・・。
 正確にはFDする度だったと思うけど、、となると、テンションをより多く回収できるコンボってのはどんなのかな・・・?
 やっぱりコンボ中にどんどん前に進めたほうが溜まるのかな・・・う~~???
 あ、空投げがあったなぁ、、、うん、ワザと復帰させて空投げってのも選択のうちよね・・・。
 コンボを入れつつ復帰投げってことは、2段ジャンプでエリアルを止めればいいよね、うん・・・出来るかな?」


家庭用を起動して早速空投げの練習を始める。
とりあえず投げられそうな、というか相手が空中判定になる物は一通り練習してみた。

ミリアのアイアンセイバー、カイのグリードセバー、梅喧のJHS、ジョニーのディバインブレイド。
更にブリジットのメンテナンス中の悲劇、終いにはナパームデスやディエルタエンドも練習してみた。


「・・・空投げは奥が深いわぁ・・・。うー、疲れた。」


そのまま床にベタンと張り付いて寝息を立て始める。
実際ここまで使えるのかどうかわからない物の練習は疲れるものだ・・・、面白いけど。


―次の日―

昨夜の血のにじみ出るような練習で身につけた
『血と汗と涙とキムチの結晶的チップ理論』もとい空投げを試すべくZEPPSへやって来た三人。

空投げの練習をしたのは一二三だけですが・・・。


「やっぱり、、ZEPPSが一番落ち着くわね。」
「今俺も同じこと考えてた・・・。」


やはり一般ゲーマーの中で対戦するのは息苦しい。
だが、ここに要るのはほとんどギル高生だ、気兼ねなく対戦できる。

なにより、自分と均衡した腕の持ち主と出会いやすい。
実力が近い者同士戦うのは、なによりも成長への近道だ。


「あ、あの子」


ふと樹が誰かを見つける。
どうやら向こうも樹に気づいたらしい。


「久しぶり、子澄ちゃん。」
「お久しぶりです、別に呼び捨てでも構いませんよ?」
「あ、そう?それじゃ遠慮なく、」

樹が見つけたのは一人の明るい女の子。
先日、偶然ZEPPSで遭遇した夜貞 子澄だ。

「あれ?連れは?」
「ケンジですか?向こうの筐体で頑張ってますよ。」

なるほど、それらしい人物が筐体に座っている。
やっぱり独り言は治っていないらしい、口元がモゴモゴ動いている。


「樹さん、知り合いですか?」
「ん?あぁ、ごめん。紹介するね、こちら夜貞 子澄さん。それであっちが剣 犬助くん。」
「よろしくね。」
「あぁ、よろしく、佐藤 愛。"男"だ」
「一二三・エア・プロヴォークです、えと、、よろしく。」

犬助だけ自己紹介が済んでいないが、今は手が離せないようだ。


「よかったら、ケンジの相手してあげて下さい。今日は乱入すくなくて」
「それなら私行ってきます。」



一二三が乱入しようと筐体に歩いていったその時、
そこには筐体の椅子に手をかける女性の姿があった。

「・・・?乱入するのか?」
「あ、いえ、お先にどうぞ。」


微妙におっかない人だが、悪そうには見えない。
勿論一二三の目と脳が勝手に判断した上での結論なので断言はできない。

「なんだ、先取られちゃったのか。」
「それなら、ケンジの後ろで見ようよ。」


と、言うわけで、そそくさと犬助の後ろ側へ行って試合を見る。
さっきの女性が選んだキャラはアクセル。

犬助のキャラはザッパだけに、かなり不利な組み合わせだ。


『楽しくやろうぜ』

HEAVEN or HELL Duel1 Let's Rock!!

まずはアクセルがバックジャンプSで距離を離し、Pで牽制を始める。
対するザッパはムカデ、憑依一発目は・・・幽霊だ。

「幽霊か、、じゃぁとりあえず距離とって・・・」ボソボソ

犬助が悪癖の独り言を呟きだす、後ろから子澄が突っ込んでいるが気にしない。


『あもあもあもあも』

アクセルの射程外まで距離をとり、まずはS長男を発射。
立て続け様にダッシュHS次男発射。

そこから一気にダッシュして距離を詰めに掛かる。

「そのまま固まっててくれよ・・・」ボソボソ

そしておもむろにJHSで三男爆発。
狙いは着地ダストらしい。呟いているから解る。

『隠し技だぜ。』

「あっ・・・!」ボソボソ

一瞬アクセルが白く光り、円を描いた。



「このアクセル強いなぁ、、」ボソボソ

犬助の独り言は止まらない、家庭用で対戦していたら手の内がばれてしまいそうだ。
先ほどから後ろで見ている愛の顔が少し引きつっている。

どうやら、独り言のせいでかなり怖い人間に見えているらしい。

画面の中ではアクセルの攻めが始まっている。
鎌閃青を当てる・・・と見せかけて当たる直前に青キャンをかける。


「投げ!?」ボソボソ

とっさにボタンを押す。

『注意一秒、怪我一生。』

投げ潰しの暴れを読んだ当て身。
画面には布を被されてもがいているザッパの姿。

※決して白い布を頭に被されているわけではありません。まだ生きています。


ザッパの残り体力は約半分。アクセルはほぼ無傷だ。
いまだアクセルの猛攻は続いている、犬助は先ほどの当て身の恐怖がまだ残っているらしく手を出さない。

『ノリノリだぜ。』ロマンティーック!!

「ケンジ、投げだよ。」
「うぇぇ!?」ボソボソ


突然子澄が「相手の次の手は投げ」と言い出した。
助言をムダには出来ないので、犬助もレバーを上に倒す。


なるほど、どうやら当たっていたらしい。
アクセルが一瞬FDを貼った、仕込み投げだ。

勢いでムカデまで繋いでダウンを奪う、憑いたのは犬。そして画面端

「キタ―――――――(。A。)――――――――!!」ボソボソ


犬助が寒気の声、じゃない、歓喜の声を上げる。

後ろで愛が「リアルザッパ怖いよ~」とか言っているが置いておこう。

まずは犬噛み付きから強制的にガードをこじ開けワンコンボ。
みるみるうちにアクセルの体力が無くなっていく。


アクセルのGBが点滅する。この状態でコンボを入れれば勝てるだろう。

「ここで投げですよ・・・」ボソボソ


言葉どおり、投げを狙いに行く。


『隠し技だぜ。』

「読まれてた・・・!」ボソボソ

犬助の投げを見透かしたようにS弁天で割り込み。

『ドッカーン!ドッカーン!』

威勢良くアクセルボンバーが決まる。
もう体力が残っていない、次何かを食らったらそのまま死ねる。


「S子の傍まで逝けそうだぁぁ・・・」ボソボソ
「あきらめちゃダメだよ、ケンジ。」

FDを貼って何とか攻めをしのぐ。
「産まれる」で割り込みたいが残念ながらテンションが無い。

『ノリノリだぜ』ロマンティーック!

鎌閃青の直後、アクセルの手から青白い何かが放たれる。

「あ、やばっ」ボソボソ

気づいたときにはもう遅い。
画面に映るのは宙吊りになった青年ザッパの姿

※決してS子の呪縛に耐えかねて首吊り自殺をしたわけではありません。


『気分はどうだい?』
「最悪です。」ボソボソ



ズギャーン!



― S L A S H ―


『アンタ、弱いねぇ。』


「無理ポ」ボソボソ

2ラウンド目はラオウが憑依するも、当て身に踊らされて負け。
何度か、子澄のアドバイスに救われたりもしたが、それでも負けてしまった。

「拝啓母上様、やはりギル高は凄いところでした。
 田舎のゲーセンとは格が違います。最近自信が無くなって来ましたが、頑張っています。」ボソボソ



その後、一二三がチップで乱入するも、
暴れを誘われては当て身を喰らい負ける。

ちなみに、昨晩血の滲むような練習をした空投げはまあまあ役にたったようで、
S雷影やら6HSはバシバシ投げ飛ばした、つかハラ切った。


さらにその後に愛が頑張ってみるが、
やはり足暴れ狙いの当て身が厄介だったようでかなり苦戦していた。

切迫した試合が続いたが、結局は2タテ喰らって負け。


「このアクセル、強いぞ・・・。」
「暴れ取り上手すぎるよなぁ」ボソボソ
「むしろ最後は動く気さえ失せませんか・・・?」

「「わかるよ、その気持ち。」」

戦った物が口をそろえて「動きたくなくなる」とさえ言っている。
このアクセル使い、只者ではない。

「それより一二三、ずいぶん空投げ上手くなったんじゃない?・・・て、あれ?一二三は?」


さっきまでそこで喋っていた一二三がいない。
ふと辺りを見渡すと、一二三は筐体に隠れるようにしてアクセル使いを見ていた。

「何やってるの?」

続けて樹も筐体の後ろから覗き込む。

「何してんだ、お前ら?」

さらに愛も覗き込む。

「どうしました?」

ついでに犬助も覗き込む。

「みんな、どうしたの?」

最後に子澄までもが覗き込む。






「そこ、・・・いつまで見ている?」

いい加減痺れを切らしたのか、アクセル使いの女性が口火を切る。


「え、いや、あのその~、、ただ・・・強いなぁと思って。」

「・・・さっきのチップか?」


アクセル使いの女性は長いブロンドの髪に長身。
丁度、樹と並ばせると対照的な感じだ。

樹が女テスタメントだとすると、アクセル使いは女アクセルといった具合


「ど、どうして私のキャラが解ったんですか!?」
「日本人じゃないからな。」


質問しても返ってくる答えは随分と簡潔なものばかり、
あまり物事を多く語りたがる性格ではないらしい。


「あ、そうだ。私、一二三・エア・プロヴォークです。」

「・・・鎖蜂 焔(さばち ほむら)だ、好きに呼べ。」

「じゃぁ『サッちゃん』!」

「却下する。」

「それなら『ほむっち』!」

「却下」

「好きに呼べって言ったじゃないですかぁ~。」

どうやら、一二三は「人間はちゃんをつけて呼べばいい」と思っているらしい
それが嫌な人間もいるってことを忘れちゃいけないんだが・・・。


「と、とりあえず・・・あたしは五所川原 樹。」
「随分とゴツイ苗字だな。」


「俺も言うのか・・・、佐藤 愛だ。うん」
「ザトー・・・?」
「ウガ、、、初対面の人間は殴りたくないんだがな・・・。」


「あ~、、剣 犬助です。」ボソボソ
「? すまない、聞き取れなかった。」


「剣 犬助っていって、あだ名はケンジです。私は夜貞 子澄、よろしく~。」
「・・・そうか、」


それぞれ自己紹介を終える。
自己紹介しつつも画面内のアクセルが相手の牽制を取っているのだから驚きだ。

その後、何度か対戦してその日は帰ることにした。


夏休みももうじき終わろうかというその日

担任の雁田に呼び出され一二三は学校へ来ていた。。

「おい、一二三、お前部活見学してないだろ?」
「はい、してませんよ。」
「せっかくだからパンフレットだけでも渡しておこうと思ってな」
「あ、わざわざありがとうございます。」

早速パラパラと冊子をめくってみる。

「むむむ…柔道、剣道、、意外と普通なものが揃ってるのね。。。
 てっきり刺激的絶命拳部とか危ない物があるんじゃないかと思ってたのに。」


「柔道部:48の必殺技を身につけろ。」

「剣道部:今日から聖騎士団。スタンエッジ!」

「美術部:萌えよギルヲタ達 ハァハァ」

「音楽部:ミギーの素晴らしき音楽を演奏しよう!」

「野球部:絶対ホームランバッター。」

「ヨーヨー部:おひとつどうですか?」

「斎藤流古武術部:テスタメントもイ・チ・コ・ロさ」

「居合の会:雲長師範直伝。」

「HAIKUの会:朝起きて すれ違い様 プチ旅行」

「ビリヤード部: や ら な い か 」

「心霊同好会:ザッパは実在するんだ!」

「隠語しりとりを愛する会:一歩大人の女性になろう」

「猫愛好会:追いかけっこに限界は無い。」

「日本舞踊部:GP付き、決して弱くない。」

「Z団:戦いは数だよ兄貴!」

「現代視覚文化研究会(現視研):ココニイル」etc...


(・・・いや、、全然普通じゃない・・・。
 特に、美術部、ビリヤード部、Z団、現視研は謎が多すぎるよ
 他はなんとなく想像が出来る。。ギルティのキャラに置き換えれば・・・
 あぁ、ビリヤードはヴェノムね、そっか。
 ・・・まぁ・・・部活はやめとこうかな。)


意味不明な部活の数々に戸惑う一二三に雁田が声をかける。

「どうだ?入る気になったか?
 健全な精神は健全な身体に宿るからな、是非部活はやったほうがいいぞ。」

「ハァ、、考えておきます。」

そうは言ってみたが、とても入る気にはなれない。


その日の帰り、ついでがてらにZEPPSに寄っていくと、そこには樹がいた。

「一二三、その冊子どうしたの?
 ん?あぁ部活ね、可笑しいの揃ってるよね。」

「えぇ、樹さんは何か入ってるんですか?」

「いえ、何も入ってないわよ。
 というより、入れるものがないっていうのかな・・・w」

「そうですか、、愛ちゃんは?」

一瞬、樹の顔から笑みが消える。
なんとも言いがたい真面目な顔になった樹は重い口を開いた。



「・・・アイツはぁ・・・現視研さ行っただぁ。」


「・・・どこの訛りですか。」


鈍行の窓に人生が映りそうな、そんな午後のひとときなのでした。



さて、夏休み最後の月曜日。
今週が終わると、とうとう夏休みもお終いである。

今日は三人揃って愛の家に集まっていた。


『ナインボール、ゲットだ。』


「あ゙ー!F式なんぞ抜けられるわけねぇがや!!」

「いや、お前どこ出身だよ。それに今の劣化版だし・・・。」

最近わかったことだが、樹は狼狽すると訛りだすようだ。
以前はそんなことなかった気がするのだが・・・、現に今は訛っている・・・。

しかし、彼女の使う方言は多岐に渡っていて、日本の最北から最南まで網羅している。


「ところで愛ちゃん、このプリントはなんですか?」

「あ、いやそれは部活の・・・」

「えと、、学園祭・・・コスプレ・・・?こすぷれ、、って何ですか樹さん??」

「コスチュームプレイの略だと思うけど・・・。」


そう、ギル高現代視覚文化研究会では学園祭で
『GuiltyGear XX #Reload コスプレMATSURI!!』を開催する予定なのだ。

「・・・丁度いい、お前らコスプレしろ。」

「断固拒否!」
「なんだか面白そうな響きですねぇ~。」
「おう、面白いぞ。」

具体的にコスプレとは何か知らない少女一二三。
しっかりと愛に騙されて(?)あっさりとコスプレMATSURI!参加を承諾。

「なんだよ、樹もやれよ、釣れねぇなぁ。」
「コスプレなんかやらないからね。」

(無理!絶対に無理!コスプレなんか出来るかぁ!!
 何があっても断固として拒否の姿勢を崩しちゃダメよ、樹。)


「やれよ、テスタメントで我慢してやるからさ。」
「断固拒否」
「んだよ、、じゃぁイノか?」
「ばっ、断固拒否」
「文句多いな・・・、梅喧ならいけるか。」
「断固拒否ぃ~。」
「あぁ、ジャスティスなら出来そうだな!」
「だから断固拒否だってばぁ!」


頑なに断固拒否の姿勢を崩さない樹。
この調子で勧誘を続けたら宇宙から電波を受信してしまいそうだ。。


「しゃぁねぇなぁ、じゃあこうしよう。トランプで決めようぜ。」
「・・・ギルティじゃないの?」
「だってギルティだと俺の圧勝だもんねー」
「ガッ、ちょっとアンタ!前言撤回しなさい、トランプくらいあたしは負けないからね!」


・・・やられた。乗ってしまった。
敢えてギルティ以外の勝負を持ち掛けることで誘いに乗せてくるとは・・・。

でも、トランプならば顕著に実力は反映されない。
むしろ運に左右される、誰にでも公平に勝機が訪れるゲーム、ギルティとは違う。

これなら、、勝てる!


「ん?トランプで勝負するか?」
「・・・いいわ、トランプで勝負してあげる。勝ったらコスプレはしないわよ。」
「お、じゃぁポーカーで勝負。」

コスプレを掛けて2人に5枚ずつカードが配られる。

・・・あたしの手札は
・ハートの2
・ハートの8
・スペードの8
・クラブの10
・ハートのJ

(5枚のうち3枚がハートのカード・・・、
 どうしようかな、、スペードの8とのワンペアは捨てないほうがいいかな・・・
 リターンが一番大きいのは5枚捨てての完全な大穴狙い、
 でもリスクが、チップがスレイヤーに開幕幻朧斬をするくらい大きいし・・・。
 やっぱりリスクとリターンが一番かみ合うのはハート五枚のスラッシュもといフラッシュ・・・よし!)

いざ余計な2枚を捨てるべく手を掛ける。
しかし、視界には5枚全部を横へ放り投げてカードを引きなおす愛の姿があった。

(なっ、、まさかそんな・・・。
 いや、きっとアレはあたしへの心理的な揺さぶりよ。
 あんなリスクリターンが崩落した選択肢は普通選ばないでしょ・・・。
 あぁぁぁぁ、トランプは運で勝負が決まるゲームじゃなかったの!?
 思いっきり読み合ってるし、というかあたし一人でテンパッてるしぃ~!)


激しく困惑しつつも2枚のカードを捨てて、新しいカードを引く。
樹が手にしたカードは「ハートの7」そして「ハートのK」

(きたきたきたきたぁー!フラッシュ成立ぅ~!)


勝利を確信し、両手を天に掲げる。

「コスプレ免除ぉ~、フラッシュフラッシュ!」
「・・・フルハウス」

その言葉を聞いた途端に樹の動きが停止する。

「・・・ねえ、これはどっちがつよいの?ていうかー、ふるはうすってなんですかぁ~?」
「俺の 勝 ち 」
「え、なに?しくんだ??」
「君 コ ス プ レ 」



この瞬間、樹の学園祭コスプレが決定した。



夏休みも終了し、いよいよ本格的に修学旅行、学園祭の準備が始まる。

聞いたところによると、今年の修学旅行は海外へ行くらしい。
一体全体どこへ行く気なのだろうか、ギルティキャラの出身国巡りかもしれない。

そして学園祭、愛は未だ地道な草の根勧誘活動を続けている。
ただし、一二三と樹以外にまだ誰も捕まっていないようだ。


さて、楽しい行事はさておいて、今日はテストの日。

雁田曰く、

「この数字はお前らの『評定』だ。強さに応じて数値が違う。5が最高で1が最低だ。
 これからお前らには校舎に適当に散ってもらう。
 チャイムが鳴ったら校舎をうろついて戦いを挑め。
 誰と戦ってもいい。他クラスでも関係ないぞ。筐体は校舎のどれを使ってもいい。
 戦いを挑まれた場合、拒否権は無い。対戦は1R先取。
 勝ったら相手のカードを奪う。負ければ自分のカードを相手に渡す。
 最後に自分の持っているカードの数字の合計を最終的な評価とする。
 自分のカードが全てなくなった時点で失格だ。つまり3回負けたらゲームオーバーってわけだ。
 失格になっても相手のカードを奪っていれば得点はそのまま与えられる。
 つまり強い奴を倒せば一気に+5点。弱い奴だと倒しても+1点にしかならないというわけだ。
 が、強い奴と戦うと当然自分のカードを奪われるリスクも増える。
 あと、一度勝った生徒に再挑戦することは出来ない。でも相手からの再挑戦は受けることが出来る。
 以上、質問はあるか?」

だそうだ。

その後、順々に生徒にキャラが描かれたカードが配られていく

「次、五所川原。」
「はい」

樹のカードに書かれていた数字は『2』。
お世辞にも高い数字とは言えない。

そもそも、樹のメイの立ち回りは一点読み&事故狙い。
事故を狙うためにはテンションを惜しまない謎っぷり、
普段から安定した強さを発揮できる立ち回りとは言いがたい。

さらに一学期の筆記試験は勉強不足が祟って10点。
「右渡太輔」を「右渡大輔」と書いて見事に玉砕。
通信簿も結構ぼろくそ言われていた・・・、コンボ精度以外は。


「次、佐藤」
「は~い」

愛のカードに書かれていた数字は『4』。
上位陣の仲間入りである。

愛のヴェノムはボール硬直を利用した崩しが最大の売りだ。
他にも、表裏二択も得意としている。

読みも鋭い方だが、樹同様こちらも一点読みが多い。
やられるときはひたすらボコボコにされるというタイプだ。

攻めは申し分ないが、防御面で多少の不安がある。
特にダストをポコポコ喰らったりしてしまうのは頂けない。
それと、動きが速いキャラは苦手、特にミリア。

余談だが、愛は勝った時にPボタンを押しっぱなしにしてヴェノムのポーズを固定する癖がある。


「次、一二三」
「はい」

一二三のカードには『3』の数字。
消しゴムのような物で一度消された形跡がある。

一二三のチップは立ち回りに重点を置いている。
特に目立つのは事故率の低さ。ぶっパイルくらいにはそうそう当たらない。

最近空投げ連携を習得し、隙があれば狙っている。

弱点は『挑発』
意外にも、挑発されるとすぐにカッときてたちまち事故る。



そんなこんなで、テスト開始。



―樹―


(さて、と。どうしたものかしら・・・。)

教室を出てみたものの、どこに行けばいいか解らない。
ふらふらとほっつき歩いているうちに10分が経過する。


(そろそろ、、人が見つかってもいいと思うんだけど。。)


比較的人が集まりそうな場所を考えてみる。
だが、もともとこの学校で大量の人が押し寄せる場所などない。

入学式の時には気味悪いほど人が集まっていた場所もあるが・・・、今は違う。


(・・・部室棟のほうに行ってみようかしら。)


ふらふらと歩き出す。
目指すは部室棟、日本舞踊部部室。


―――つまり闇慈使いの溜まり場。


早くも弱キャラばかりを相手にしようという卑下た考えである。




「そこのお前、止まれ。」

いきなり声を掛けられる。この声・・・どこかで聞いたことがある気がするが・・・。
声の主は意外と近い場所にいた。ブロンドの長髪、樹に負けないほどの長身。


「・・・ドッペルゲンガー!?」
「違う。」
「・・・って、なんだ鎖蜂さんか。」
「失礼な、、勝負を申し込みにきた。」


探す手間が省けた、助かる。
だが、焔はZEPPSで犬助、愛、一二三を倒したツワモノだ。

評定もかなり高そうな予感がする。
間違いなく樹のそれよりも高いことは容易に想像できる。


そんな考えを知ってか知らずか、焔がカードを取り出す。

書かれていた数字、、それは『4』。


「・・・ご、ご遠慮しますわ。」
「拒否権はないぞ。担任から聞かなかったか?」


そうだ、このテストには『拒否権』は存在しない。






HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!



―愛―


(さて、どうするかな・・・。
 もらったカードは『4』だしな、、その辺にいても相手から寄って来るか?)


・・・と、いうわけで教室のすぐ前の廊下で待つことにした。





一人、また一人と人が出て行く。
こちらを見る奴はいるが誰一人として勝負を挑んでこない。

(暇だ、、一二三が出てきたら勝負してみるか。)


とは言っても、一二三は転校生なので、現時点では出席順で一番最後だ。
ちょうど今出た人で最初からいる奴らは全員教室を出たことになる・・・。


転入生はたしか一二三を含めて3人だったはず。
そのうち1人は闘劇出場者とかいわれていた気がする・・・。

確かミリア使い、、実力は折り紙つき・・・。
出来る限り戦いたくない、負けるのが目に見えている。


そんなことを考えていると、丁度そのミリア使いが教室からでてきた。

(・・・こっち見てるし、、はやく向こうへ行ってくれ。)


「お前、、、ザトーとかいったか?」
「佐藤だよ!」

(って、なに反応してんだ俺の馬鹿ぁーーーー!!)


「ウォームアップがしたい、付き合ってくれるか?」

そう言ってカードを取り出す。
当たり前のように書かれた数字は『5』。


「拒否権、、ないんだよな、仕方ない・・・。」
「・・・感謝する。」






HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!


― 一二三 ―


教室を出てから時間にして約15分。
いまだに人っ子一人見つからない。

探す場所が悪いのだろうか、、体育館にも誰もいなかった。


・・・チョット待て、体育館には居ただろう。見逃したのか?

(困ったなぁ、、昇降口と、体育館と、職員室と、事務室と、それから屋上も誰もいなかったよ・・・。
 ほんとにみんなテスト受けてるのかなぁ。。う~~ん、次は食堂かなぁ・・・。)





―――たぶん食堂も人はいないと思うぞ。



―食堂―

(・・・やっぱり誰もいない。)


ここにも人はいない。

ジェリーフィッシュ海賊団の格好をしたウェイトレスならいるが・・・。


(次はぁ、、教室に戻ってみようかな。)


踵を返して食堂を後にする。

・・・その瞬間。


「おい、そこの小さい奴!」
「はい・・・?私ですか??」

振り向いて見てみると、そこに立っていたのは一二三より小さい女の子。
髪の毛はボサボサ、、というかツンツンしてる、、というか・・・そんな感じ。

見た目日本人ではない、だが外国人でもない。たぶんハーフだ。
板チョコをバリバリと頬張っている。


「テスト受けてるんだろ?勝負だ!」

元気いっぱいにカードを取り出す。
描かれいるのは紙袋の医者、ファウスト。裏には『1』の数字。

手についたチョコがさらにカードに付着している。


「いいですよ、やりましょう。」

一二三も同様にカードを取り出す。

「おぉ、お前『3』なのか!強いな!!」
「え、そんなことないですよぉ・・・普通です、普通。」
「それじゃ私が弱いみたいじゃないか、お前は強いんだ!」
「はぁ・・・?」





HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!



―愛―


『ザトー様ァッ!』
『ボーっとしてるから・・・。』


(ふふふ、、負けた・・・完敗だな。
 ボーっとしてる暇すらなかった気がするが、、
 流石は評定『5』、、流石は闘劇出場経験者・・・、格が違う。たぶん『5』より上だな。)


肝心の試合内容:

開幕、意外性重視でダッシュからいきなりの足払い。
どういうわけかミリア6Kで避けられてそのままダウンを奪われる。

起き攻め、セオリー通りにHSタンデム。
低空ダッシュ>空中バックダッシュ>高速落下

ダッシュが2回出た時点で愛はもう混乱してる。

そのまま屈HSで空中に放り上げられて、バーストするも見事に読まれ、
そこから20ヒットは簡単に超えそうな、とっても長いわけわからんコンボを喰らって。

ガーデン起き攻めで硬直利用の高速中段喰らって・・・、SLASH



対戦後、筐体の後ろからミリア使いが顔を出す。

「まずまずだな。」
「言ってくれるよまったく、、ほらよ、俺のカード。」


そう言って自分のカードを差し出す。
・・・しかし、相手はそれを受け取ろうとしない。

「・・・?ほら、カード。」
「いや、今のはウォームアップだから・・・、いい。」
「でもルールだし、」
「気にするな、私はもう行く。」


それだけ言って青い瞳のミリア使いはサッサと向こうへ行ってしまった。


(なんだぁ?まぁ、、命一つ失わずに済んだからいいか。)


そんなこんなでミリア使いとは逆の方向へ歩き出す。


―樹―


それはいきなりの出来事だった。

ふと閃いた瞬間に前Pを振ったら見事にカウンターした。

これまたふと閃いた瞬間に山田さんを呼んだら相手はJSを振っていた。

きづいたら相手は気絶していた。

慣れた手つきでコンボを決めたら倒せてしまった。

いきなりの大金星だった。

正直、以前ZEPPSで見た時の焔の立ち回りとは似ても似つかなかった。



『野望に一歩前進!』

それは正に樹の今の状態を表したかのような一言。
犬助や愛、一二三を倒した評定『4』のアクセル使いを倒したのだから。


「・・・その『2』は何かの冗談か?」
「いや、あたしのだけど・・・。」
「そうか・・・私のカードだ、持って行け。」


かなり残念そうだ、そりゃ『2』に負ければ残念か・・・。
それ以上に何かもっと重たそうな失念を抱えているようにも見える。


「・・・ねぇ、何かあった?相談乗るよ?」
「む・・・。」

焔の様子を案じて『相談に乗る』と言ってみる。
最初は口をモゴモゴさせていたが、結局焔は理由を話してくれた。

「吸に完膚なきまでに倒された・・・。
 それで自分の実力の程度が知りたくて、そこにお前がいたんだ。」


なるほど、焔が持っているカードは2枚。
アクセルの『4』とテスタの『3』、、もう後がない。

「そっか、、でもねぇ、自分の戦い方を忘れたら『1』にだって負けるわよ?
 まず深呼吸しましょう。話はそれからよ。」
「・・・そうか。」

2人並んで深呼吸をする。焔も大分取り戻してきたようだ。


「それじゃ、あたしはもう行くね。」
「・・・部室棟の方か?」
「これから闇慈を狩ってくるわ。」


グッと親指を立ててみせる。


「この卑怯者。。。」
「なんとでもおっしゃい、一学期の名誉挽回よ。」



それだけ言って二人は別れる。
樹が目指すは闇慈使いが集まるであろう『日本舞踊部』の部室。



― 一二三 ―


『さっさと始めようぜ。』
『わったしが来ったからには、いろいろな保障はできませんよ♪』


HEAVEN or HELL FINAL Let's Rock!!


『あったーま!』
『ハラキリ!!』


開幕の大読みが的中した。
槍点を空投げ、そうそう狙って出来ることでもない。

そのまま着地>γまで繋ぐ

そこからP転移、相手の後ろに出現する。

『なにすんのさ。』
『ハラキリ!!』

復帰を空投げ

そのまま着地>γまで繋ぐ

そこからP転移、相手の後ろに出現する。

『なにすんのさ。』
『ハラキリ!!』

復帰を空投げ

そのまま着地>γまで繋ぐ

そこからP転移、相手の後ろに出現する。

『なにすんのさ。』
『ハラキリ!!』

復帰を空投g(略


(、、、このまま同じ連携でいいのかなぁ・・・。『ハラキリ!!』)

(受身を取らないでください、『ハラキリ!』、投げちゃうから・・・。『ハラキリ!!』)

(ごめんなさい、『ハラキリ!!』 ごめんなさい、『ハラキリ!!』)


(あぅぅ。。。)『ハラキリ!!』




― S L A S H ―

『みぎゃぴぃーーーー!!』

遂にファウストの断末魔がこだまする。
結局ダメージソースは全て空投げ。

「おぉ、チップは脱出不能の即死連携が使えるのか!」
「いや、、あれは・・・、そのぉ・・・。」




恐 る べ し 『 1 』 。