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『とあっ!』

開幕は空中バックダッシュで間合いを離す。相手の2Sが空振りする。
カイ戦はゼイネストが消されやすい…とりあえずここはHITOMIを植えておきますか…。

『そこっ!』
『カウンタ!』

HITOMIを植えようとした所にスタンが当たった。一気に中距離まで詰められてしまう。
せめて一個だけでもHITOMIを植えておきたかったのですが……さて、どうすべきか。
この状況、非常に分が悪いと言わざるを得ない。罠は一つも無い。しかもあと少し後退すればそこは画面端。
飛んで逃げるべきか……いや、そんな事をしても大して状況は変わらない。
すぐに追いかけられて固められるのが関の山。下手をすれば逃げようとした所を落とされてしまう。
牽制…振るしかありませんね……。

『とあっ!』
『カウンタ!』

敵の遠Sが刺さる。

―――ズサァー……

『本気にさせたな!』

ディッパー2段目にバーストをあわせた。
テスタメントが一糸纏わぬ姿になる。全く……いつ見ても恥ずかしい人だ。

『エグゼビースト!』

ダッシュからエグゼ。持続の後半を起き上がりに重ねて有利な状況を作る。
差し合いで勝てない以上、起き攻めで倒すしかない。テスタメントならそれも十分可能。
見えない2択をループさせて一気に殺しきる。この爆発力もテスタメントの強みだ。

―――ガッ、ガッ

2P>6Pをガードされる。

(……見えているなんて事は…無いですよねぇ…?)

まさかとは思うが、6Pをガードされるといつもこんな考えが脳裏を過ぎる。
だが大抵は杞憂で終わる。6Pをガード出来る人なんてそうそういない。

―――キンッ、キンッ

そのままガトリングから足払いの先端をガードさせてHITOMIを植える。

『とあっ!』
『もっと攻めてみろ』

硬直に刺そうとした相手のダッシュ遠Sもなんとかガード。
なんとか罠を一つ仕掛ける事ができた。このHITOMIは大事にしないといけない。
これが消されてしまっては、またすぐに距離を詰められて刺し合いになってしまう。
ここは定石通りHITOMIを意識させて、飛ぼうとしたところを6K、6HSで落とす。

『とあっ!』

遠Sなどの牽制をチマチマ振ってくる。だがここで刺し合うわけにはいかない。
じっと耐えて突っ込んでくるのを待つんだ。
この「待ち」の戦闘スタイル……結構嫌う人もいるんですよねぇ。
でもこうしないと勝てませんし。

『そこっ!』

スタンエッジ。待てど暮らせど一向に突っ込んでこない。
このままでは最悪、ネガティブペナルティを貰ってしまう。何か行動を起こさなければ。
しかしエグゼビーストは間合いの外。
バクステで距離を空ければ届くが、それではHITOMIが消されてしまう。本末転倒だ。
ならウォレント…?だが失敗すれば牽制が刺さって終わる。
成功したとしてもディッパーで避けられる可能性がある。
なら牽制…?それはそれでリスクが…でもこのまま黙っているわけには……。

『もう終わりか?』
『とあっ!』
『ハハハ…』

ディッパーまで繋がれてダウン。

『斬ッ!』

6HSから起き攻め。

『斬ッ!』

こちらの切り返し能力が乏しいのをいい事に、豪快に6HSや6Kを振ってGBをガンガン上げてくる。
FDを張ってもなかなか抜け出せない。

『隙あり!』

そして固まった所を投げられる。

『本気を見せましょう』

まずい…相手のTGももうすぐ25%。早く抜け出さなくては。

―――ガッ、

2P…ここから2択。頼りになる暴れは無いし、無敵技も無い。
選択としてはジャンプで逃げるか、ガードするかしかない。テスタの辛いところだ。

『斬ッ!』

(う……しまった…!)

ジャンプに2HSを引っ掛けられる。

『今だっ!とあっ!斬ッ!今だっ!とあっ!斬ッ!今だっ!』

VTループを食らって残り4割でダウン。画面端から抜け出せない。

『本気を見せましょう』
『ロマンティーック』

まずい…中下2択…。しかし僕だってテスタ使い。ガードには自信がある。

―――ガッ

チャージ青>ダッシュJからの着地Kをガード。
テスタを使っていれば誰もが自然とガードが上手くなる。さもなくば一方的に殺されてしまうだけだ。

『斬ッ!』

6HSからまた延々と固められる。
どうすればいいんだ……このカイ使い、左渡が強いというだけはある。読みが鋭すぎる。
立ち回りでの牽制の振り方はもちろん、先程のように逃げようとした所に2HSを的確に刺してくる。
暴れはおろか、迂闊にジャンプする事も出来ない。

『とあっ!』
『もっと攻めてみろ』

しかしテスタメントは余裕面で挑発している。一体何を考えているんだこいつは。
腹が立つ。必死にガードしてるのは僕なんだぞ……。

「なんかガードゲージがピカピカしてますが…」

火丸さんの実況を聞いて、反射的にガードゲージに目をやる。たしかに真っ白な光を放っている。
これは……そろそろマズい。
ガンガード1択で相手が固めをミスしたら逃げようと考えていたが、そんな悠長な事は言ってられない。
敵のTGは50%。もしかしたら投げからでも死ぬかもしれない。
バーストもないし……こっちのTGはようやく25%に達しようというところ。DAAも出来ない。

―――ガッ!

来た。2P。
ガードか?
…このカイ使いの投げの上手さは半端じゃない。投げられたらRCからのVTループで終わりだ。
ならジャンプか?だがそれも移行Fに打撃が当たれば間違い無く死ぬし……ファジーは効かないだろう。
それなら暴れ?
暴れ……テスタにとって「暴れ」という選択肢は無いに等しい。
逆に言えば、相手もテスタの暴れはあまり警戒しないはず。
……暴れが命中すれば一気にこちらのターンが回って来る。
今重視すべきは、リスクよりもむしろリターンか……

(ここは…勝負に出る……!)

『カウンタ!』

「あーっ!近Sカウンター!!」

『斬ッ!』

近SCH>6HS>ダッシュ近S>6K>近S>6K>2K>2S>ディッパ―RC>近S>2HS>VT。
GBが十分に溜まっている所にこのコンボ。カイらしからぬダメージだった。

『今だっ!!』
『SLASH』

『デュエルツー!レッツロック!』
『斬ッ!』

―――バシュウッ!

開幕足払いを空中バックダッシュでよけて一旦距離を置く。
立ち回りは不利。ただでさえ強い牽制にプレイヤー性能が相まって、まともに刺しあえばまず負ける。
そして固められて、さっきのように殺されてしまう。
……『待ち』はもうやめだ。

(このラウンドは打って出ますよ…!)

・・・

―――バシュウッ!

(え…!?)

いきなり低空ダッシュで突撃してくるテスタメント。
意表を突かれはしたけど、こっちは牽制を振っていたわけでもないし、テスタの飛び込みは弱い。

(6P安定…)

『はぁ!』

―――ビシュッ!

(ゼイネスト…!?)

テスタメントが空中で一瞬静止し、こちらの6Pが空振りする。

(…硬直が…!)

『躍れ、グレイヴディガー、グレイヴディガー…』

JHS>近S>HS>ディガーで画面端。
続けて昇りディガーからディガーループを入れられ、画面端に落とされる。

『エグゼビースト!』

起き上がりにエグゼ後半から2択…あたしに6Pは見えない。さっきみたいに読み切るしかない。
さっきは6Pをガードしたから……今度は2K?それとも裏をかいて再度6P…?
どっち…?2Kの方が基底補正が大きいから…リスクを考えた場合は立ちガードが安定だけど…。

『何故引く事ができない?』

投げを全く意識していなかった。画面端へ投げ捨てられる。

『躍れ、グレイヴディガー、躍れ、グレイヴディガー……』

また画面端。再びエグゼビーストから2択。

―――ガッ、ガッ

2P>ディレイ2Kをなんとかガードする。テスタの爆発力は脅威だ。
一旦転ばされてしまうと、見えない2択のループで瞬殺されてしまう。
ここはなんとしてでも切り返さないと…。

『エグゼビースト!』

ガトリングからエグゼ。

(…良し、見える)

『今しかない!』

エグゼに金バーストで割り込んだ。TGが100%まで溜まる。
一気に勝負を決める…!

『隙あり!』

金バで吹っ飛ばされ、起き上がったところをダッシュから直に投げられた。

『本気を見せましょう』

くっ……これでまた画面端か……果たして抜け出せるのだろうか。
さっきみたいに固め殺される事態だけはなんとしても避けなくては……。

『斬ッ!』

先程と同様にGBを上げてくる。もう投げなんかを気にしている余裕は無い。
とにかくガンFD1択で距離を空けて、ジャンプで逃げるしかない。

―――ギンッ、ギンッ!

『本気を見せましょう』

(え…!?)

2K>HSからチャージ。若干反応が遅れてしまったが、ここは絶好の脱出ポイントだ。
ジャンプで…!

『ロマンティーック』

(あ!?)

『斬ッ!』

FRCからダッシュ2HS。見事に引っ掛かる。

『今だ!とあっ!斬ッ!今だ!とあっ!斬ッ!今だ!……本気を見せましょう』
『ロマンティーック』

VTループからチャージ青起き攻め。

―――バシュウッ!

『斬ッ!』

着地寸前の空中ダッシュからJHS。

『ハハハ…』

今度はくらう。しかし何故かテスタメントは余裕そうに笑う。本当に何を考えているんだこいつは。
そのままワンコンボくらい、足払いからチャージを重ねられる。
体力は残り3割。テスタメント……お前がもっと攻めてみろとか言うからいけないんだ…。

『本気を見せましょう』
『も、も、もっと攻めてみろ』

(この……いい加減に)

なんて馬鹿なことを考えていると、カイが封雷剣を大きく斬り上げた。

『行きますよ…!』

(…!ダスト…!良し、立てる!!)

―――キンッ!

「良く見ている!」

すかさず硬直にK>近S>足払いの反撃を入れる。
いつだったか、左渡が聞いてきたことがあった。
お前、なんでテスタメント使ってるんだ?
ミリアとかイノとか…お前が好きそうな女キャラなら一杯いるじゃねーか。
どうしてテスタなんだ?と。
たしかに貴方の言う通りですよ左渡。それどころか僕はテスタメントなんか大嫌いです。
すぐに全裸になるし、こっちが必死にガードしてるのに余裕面するし。
でも僕はテスタメントを使う。何故か。

(これが答えですよ左渡…)

『差し上げよう』

足払い>ファントムソウルでマーキングされてしまった。カラスがギャーギャー鳴き始める。

(パターンを…)

『エグゼビースト!』
『ロマンティーック』

カラスに気を取られすぎた。エグゼをガードしてしまう。
そこに立て続けに振り下ろされたサキュバス中段攻撃もガードする。

(最初に中段……)

ガード硬直にダッシュから2Pを当ててくる。

―――ガッ、ガッ

『エグゼビースト!』
『ロマンティーック』

そのままガトリング>エグゼ青で固められる。そうしている間に再びカラスが頭上に迫ってくる。

(このパターンは……)

テスタ使いと一口に言っても、その戦闘スタイルは様々なものだ。ガン攻めも入ればガン待ちもいる。
起き攻め重視もいればマーキング重視もいる。しかし、ほとんどのテスタ使いに共通する行動が一つある。
だから、それはテスタメント使いのサガと言っていいとあたしは思う。

―――ガッ

2P。普通ならここで通称ウンコ2択が来るのだが……
テスタ使いのサガを考えれば、次の攻撃は確実に読める。「テスタ使いのサガ」それは
"サキュバス中段攻撃のパターンが来た場合、是が非でも下段+サキュバス中段でガード不能を狙いたがる"
しかもこっちの体力は残り僅か。あと一撃当たれば確実に死ぬという状況。
つまり相手の次の攻撃は―――

(下段しかないッ!!)

『今だっ!!』『カウンタ!』

「昇竜!いい読みをしているッ!!」

SVTがカウンターで当たる。テスタメントが天高く舞い上がり、頭から落ちてくる。

『斬ッ!セイクリッドエッジ!』

HS>セイクリッドエッジから、さらに追撃を決める。
P>近S>HJS>JP>JS>JS>JHS>HSVT。

『はっ!とあっ!ふっ、とあっ!とあっ!斬ッ!今だ!!』

『SLASH』
『と…義父さん……』
『今回は私の勝利ですね』

・・・

「派手に殺られたな」
「あそこでSVTが来るとは思いませんでしたよ…せっかくサキュバスを出せたのに…」

とうとう瀬戸くんも負けてしまった。私の出番が来る。

「緊張してるのか?お前らしくないな」
「だって私が負けたら…」
「その時は気にすんな。いいんだよ別に。俺はもう楽しめたからさ」
「そうですよ。霧原さんは気にしなくていいんです。左渡が負けるのが悪いんです」
「てめぇだって1本も取れなかったじゃねぇか!」

右二と瀬戸くんの気持ちは嬉しいけど、負ける訳にはいかない。

「つばめつばめ」

後ろから声。見ると、咲由が控え室の扉から顔だけを出して手招きしていた。

「あ、咲由!勝手に控え室に入っちゃだめじゃないですか!」
「お前は黙ってろ」

妹に睨まれる瀬戸くん。泣きそうになっている。不憫だ。
瀬戸くんを尻目に咲由のもとまで行く。咲由が内緒話をするのはあの話題だけだ。

「いい?燕、あなたはあなたのために闘うのよ」

時々思う。「瀬戸 咲由はテレパシーが使えるんじゃないか」と。いつも私の心を見透かしたように言葉を投げてくる。

「でも」
「ええ、結局は燕が決める事よ。私は燕が納得すればいいと思ってる」
「うん」

咲由の言葉に少し決意が揺らぐ。でもやっぱり私は勝たなきゃいけないんだ。

「行ってくるよ」
「がんばってください霧原さん!!」
「悔いは残すなよ燕」

眠気でぼんやりした頭に喝を入れる。準備は出来た。

「さぁ後がないF組!大将の霧原 燕がここで踏ん張るか!それともこのまま江辻 聖が3タテか!」

『先に言っておくが、俺はパーフェクトだぜ?』
『……行きます』

ジョニーの真髄、それは中距離。
しかしそれはあくまでもミストがLV2の時の話であり、圧倒的なリターンの差を押し付けることで成立し得る話。
牽制能力自体は決して優秀とは言えない。
開幕はバクステかバックJが安定だけど…牽制に合わせて開幕からコインを投げるのも割と有効。
とにかくLV2にしないとまともに刺し合えない。

(やっぱりここは……)

―――ピーン

―――ズサァー…

(読まれてた……って事だよね…)

コインはディッパーで避けられ、こちらは早くもダウンを奪われてしまった。
中距離でのカイの強さはかなりのものだけど、起き攻めは大した事は無い。
中央ならFDで離してさっさと逃げられる。投げはくらっても安い。

―――パシッ

(え…)

ダウン追い討ち2K。ジョニーがいつもより早く起き上がってしまう。
展開の早さに一瞬頭が付いていけなくなる。

(とにかくFDを…!)

『失礼!…聖騎士団奥義!!』

すぐさまダッシュから投げられ、チャージの先端を重ねられた。画面端に押し込まれる。
だがまだ試合は始まったばかり。ダメージも低い。慌てちゃだめ。ここで冷静さを欠いては危険だ。

―――ギ、ギ…ギィン

チャージをガードし、敵の動きを良く見る。
投げか打撃か……やはりガードが安定だけど、投げも馬鹿には出来ない。

―――ギンッ、ギンッ、ギンッ

2P>2K>2SをFDで離す。

『見切った!』

続けて6HSをガードしてしまう。

(せっかく逃げられるポイントだったのに……)

でも今は後悔している暇は無い。ガードしてしまったものは仕方がない。
幸いFDが効いて間合いは開いている。逃げられるはずだ。

『とぁっ!』

6HSの1段目をFD、2段目を直ガして、直後の2Sをバクステで回避する。
なんとか固めを途切れさせた。ここは早く攻めに転じよう。なるべく五分状況で刺し合いたくない。

―――ピーン

すぐさまコインを投げるが、相手もバクステで間合いを離しにかかる。

(遠距離は不利…)

放ったコインを盾にしてステップで距離を詰める。状況は五分。
またもや中距離の読み合い。牽制からコインを当てるか、それとも直接当てるか。
コインはディッパーで潜られてしまうし……。

『はっ!』『カウンタ!』

遠Sが6Pで潰される。そのままディッパーまで繋がれ、またダウン。

『見切った!』

6HSからの起き攻め。続けて暴れ潰しのK>HSもFDでガードする。

『スタンエッジ!』
『おぉっとぉ』

スタンもしっかり直ガしてJで逃げる。
2段Jで攪乱しつつ、降り際にJSを出して牽制。相手はまたバクステで距離を空ける。
こちらも先ほどと同様にステップで間合いを詰める。
次はどうする。牽制か、コインか……さっきは牽制を潰されたから……

―――ピーン

『カウンタ!』

(やった…!)

相手が遠Sを振ったところにコインが当たった。ようやくLV2。ここからが勝負だ。

『ザ・ドリルデンジャー!!』

続けて6Kをガードさせる。これで一気に近距離。
一発当てればディバコンに移行できる。フレームもこちらが有利。
ここは逃がさない。コインで固めて画面端に追いやるんだ。

『シュッ!』

しかし固めの起点なるはずだった立ちKはバクステで回避されてしまった。

(また中距離……近づけない…)

―――ズサァー…

(えっ…!?)

バクステの直後にぶっぱディッパー。

(立ちKの硬直に!?)

『おぉっとぉ』

慌ててしゃがみガード。ちゃんと間に合っている……ただのぶっぱディッパー……?

『ロマンティーック』

(あ…!?)

『失礼!』

いきなりのディッパーに戸惑ってしまい、青に気をつけている暇はなかった。
ダッシュから綺麗に投げられる。気が付けば体力は残り半分。

『聖騎士団奥義!』

またチャージから固められて画面端へ。
このまま調子に乗らせてはいけない……次は割り込むんだ。防戦一方じゃ勝てない。

『スタンエッジ!』

固めからスタン。

(あれ…?スタンって硬直差どれくらいだったっけ…?)

密着で出せば相手が不利だってことは覚えている。たしか3F…。
この距離ならどれくらい不利?いや、それとも有利?
さっきはスタンをガードしてJで逃げた。なら今度は……割り込む。
ミストはLV2。この距離なら遠Sで…!!

『カウンタ!』

CHしたのは相手の遠Sの方だった。

―――ズサァー…

もうこれ以上やらせるわけにはいかない。

『シリアスにいくぜ!』

ディッパーで突っ込んできたカイをバーストで吹っ飛ばし、低空ダッシュで追いかける。

『もらった、ザ・ドリルデンジャー!!』

JHSを重ね、続けてK>HS>MC>6Kをガードさせて間合いを詰める。
さっきはここからバクステで回避された。

(ならバクステを刈る選択肢を…!)

『ザ・ドリルデンジャー!!』

6Kを連続で出し、バックステップで逃げたカイを上空へ蹴り上げた。

(やっと捕まえた……ワンコンボ入れるのにこんなに手間取るなんて……)

『燕穿牙!!』

JK>JS>JK>JS>JD>燕穿牙の基本コンボを当て、相手の体力は約6割。

『見切った!』

しかし相手もN受身からすぐに攻めに転じてくる。不意を突かれ、降り際のJHSに当たってしまう。

―――ズサァー…

続けてディッパー。でも繋がっていない。コンボミスだ。

『おぉっとぉ』

ちゃんとガードをする。次はさっきの様にはいかない。青に注意して……

『ロマンティーック』

(今だ…!)

『もらった』
『ロマンティーック』

敵のFRCのエフェクトを確認してからジョジョブレRC>遠S>LV2ミストを見舞う。
ステップからK>HS>コインまで繋いでLV2を維持。そのまま空投げを狙う。
が、受身のタイミングをずらされて失敗してしまう。

―――バシュウッ!

TGの無い状態でカイに飛び込む訳にもいかず、不本意だがバックダッシュで距離を離す。
また中距離。でもこっちだってLV2だ。しかも相手は画面端。
一発当てればミストループからの2霧で一気に倒す事だって可能。

『ふんッ!』
『やりますね…!』

遠Sをガードさせる。

(攻め込む…!)

―――ピーン

―――ズサァー……

(あっ…焦りすぎた…!)

遠S>コインにディッパーで思いっきり割り込まれてしまう。

『ロマンティーック』
『はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!』

RCから近S>2HS>VTで体力は残り2割。カイがダッシュで迫ってくる。
今度はダウン追い討ちにもちゃんと気を付けないと。

『油断しましたね』

立てなかった。私はしゃがみFDを張ったまま硬直してしまっていた。

『ヴェイパースラスト!!』
『ちょっと……手を抜き過ぎたか…』

『デュエルツー!レッツロック!!』

開幕は空中バックダッシュ……そこに

『スタンエッジ!』

着地際に迫ってきたスタンをガードする。カイがダッシュで一気に中距離まで間合いを詰めてくる。

『失礼!』

そのまま一片の迷いも無いダッシュで密着され、綺麗に投げられる。

(あそこから近距離まで突っ込んでくるなんて…)

なんなんだこの人…強すぎる。右二や瀬戸君が1Rも取れずに負けたのも頷ける。でも負けるわけにはいかない。
大将の私が負ければF組は終わり。どんな手を使っても勝たなきゃいけないんだ。
ドス黒い、不快な考えが頭の中に湧いて来る。
あれを使うべきなのだろうか?
私はあれが嫌いだ。なんだか反則をしているような気分になる。
反則…?違う。あれはそんな軽いものじゃない。あれは罪。あれは禁忌。例えるなら麻薬のような物だ。
1度でもその味に魅了されれば終わり。やめられなくなる。引き返せなくなる。どんな犠牲を払う事も厭わなくなる。
毎日地道に積み上げてきた技術、努力――全てを捨てても構わない、そんな気分にさせる。
努力なんて無価値だ、そう思うようになる。私自身を全て否定してしまうような気になる。
だけどあれは私の力であり、不可分なもの。あれを否定することは私自身を否定する事と同じ。
肯定しても否定しても逃げられない。ならどうしたらいい?

「燕ぇぇぇ!がんばれぇー!!」
「霧原さぁぁぁん!!がんばってくださぁぁぁい!!」

あれは嫌い。私を壊す。
でも、私の下らない自己満足にみんなを巻き込んでしまうのはもっと嫌。

―――『SLASH』

「くそ…なんで勝てないんだよ!?」

『ユーウィン!パーフェクト!』

「3回連続パーフェクト負けなんて有り得ねぇよ!!イカサマでもしてんじゃねぇのか!?」

右二はそう言って私を睨んだ。怒りと悔しさが入り混じったような、紫色の炎が見えた。
でも私には分かる。その炎は他者に、私に向けられたものではない。己に向けた炎。
だから右二は

「あ!ち、違うんだ!そうじゃなくて!今のは俺が…」

すぐに自分を責める。負けたのは自分の実力が劣っているからだと思い込む。
本当は右二のほうが強いのに。私が勝てたのは実力でもなんでもない。
そう、右二の言う通り、私はイカサマを

―――『聖騎士団奥義!』

投げからチャージを重ねて2Pなどで固める。
緒土が気をつけろとか言うからどんな化け物かと思ったけど……まぁ、弱くはない。でも別に強くもない。

『油断したなぁ』

2Pからの当て投げを投げ返され、JK>JS>JK>JS>JD>燕穿牙を当てられる。

『なんて威力だ…』

受身を取って着地。中距離で向かい合う。
状況は五分だけど、こちらは画面端を背負っている。大人しく様子を見る?
でも今のところはかなり調子がいい。今は投げ返されてしまったけど、相手の攻撃が読める。
ここは強気に牽制を……

(あれ…?)

「どうした!2人とも動きません!」

お互いしゃがんだままで向かい合う。

(なに…?急に先が…先が読めない?)

違う。「読めない」んじゃない。
そりゃ、あたしにだって相手の動きが全部読めるわけじゃない。
時には靄がかかったように全然見通せない時だってある。でも、今はそれとも違う。

(この人、まるで最初から動く気が無いみたい…)

互いに一歩も動かない。こんな事は初めてだ。
かといって相手が「ガード」を選んでいるとも思えない。なんなの?この感覚…。
どうする?ディッパー?牽制?ダッシュ投げ?逃げ?それともガードをして様子見?

(あ―――)

「様子見」その考えが脳裏を過ぎったのと同時に、ジョニーが悠々と歩き出した。
どこからどう見ても完全な無防備。牽制を刺して下さいと言っているようなものだ。
でも、あたしは動けなかった。「動きがすべて読まれている」何故か、そんな事を思った。

(何考えてるのよ…)

馬鹿な考えを振り払い、牽制を振る事に決めた。

・・・

     ・ ・ ・
(―――2Sか)

―――ピーン

『カウンタ!』

"まずい…LV2…刺し合いで読み負けたら最低でも5割……ここはディッパー青から強引に攻め込む…!"

思考が聞こえる。心を感じる。敵の動きが手に取るように分かる。

―――ズサァー…

『おおっとぉ』
『ロマンティーック』
『油断したなぁ』

カイが青い光を放った瞬間に端に向かって投げた。

『いい的だぜ、いい的だぜ……』

ミストループから燕カスを決め、LV2を維持しつつ画面端に落として霧をかける。
本当はこんなややっこしいコンボを決める必要なんて無いのに。2度と彼女の攻撃が私に当たることは無いのに。
それでも私はなるべく高威力のコンボを決める。早く決着をつけたいから。なるべく精神感応を使いたくないから。
他人心を見る度に、私の心に傷が付く。いつだってそう。対戦をするときは相手の心には爛々と激しい炎が燃えている。
赤い炎。それはとても綺麗で、とても眩しくて、活力に満ち溢れている。
でも私にはそんなものは一切無い。相手が炎なら、私は水だ。

"仕方ない、イチかバチかリバサVTに賭けよう…!"

炎を容赦なく消す。でも簡単には消え去らない。また灯る。
再び点火されたその炎は、以前よりも激しさを増して美しく輝く。
無駄だから諦めて、そう言いたくなる。燃料だっていつかは尽きる。
どんなに足掻いても炎は水には勝てない。もう炎を消すのは嫌なのに。
でも

『ヴェイパースラスト!!』

全てはチームメイトのために。私はなんだってやる。悪魔にだって魂を売ってやる。

『その辺にしときな……』

VTをガードし、ディバコンで殺した。

『デュエルスリー!レッツロック!!』

テレパスだと自覚したのは小学校低学年くらいだったと思う。
その頃はテレパスなんて単語は知らなかったし、君はテレパスなんだよと言われても何のことだかサッパリ分からなかったと思う。
気付いたのは当時人気だった漫画を見ていた時だった。
主人公の女の子は他人の考えている事が分かるという能力、テレパシー能力を持っていた。同じだった。

(開幕ダッシュ6Pか…足払いでも当てよう)

―――バシッ!

『しまった!』

その漫画の女の子はテレパシーを利用してみんなの心を覗く。
困ってる人を助けたり、悲しんでいる人を慰めたり―――女の子は皆から愛され、女の子もまた皆を愛した。
私もこんな人になろう。そう思っていた。

―――ピーン

『なんて威力だ…』

でもなれなかった。現実と虚像は違う。私は愛されなかったし、愛する事も出来なかった。
精神感応は私から全てを根こそぎ奪い去っていった。

『もらった』
『カウンタ!』

「あーっ!前ハイカウンターー!!」

『ミストファイナー!』

精神感応が私に与えてくれたのは、たった一つの情報だけだった。
「私はみんなから嫌われている」という情報。

『…いい的だぜ、いい的だぜ……』

人間不信とか言うレベルでは無くなっていた。学校にも行かなくなった。
重度の対人恐怖症に陥り、鬱病になり、2ヶ月と経たない内に精神病院に通う事になった。
精神の安定を図るために向精神薬……SSRIやSNRIを服用するようになった。

『燕穿牙!!』

―――バシッ!

医師には精神感応の事は話さなかった。
話した所でどうにもならないと思ったし、信じてもらえるとも思えなかった。
大体、これは病気じゃない。私自身の問題なんだ。
それに、その頃には精神感応の抑制法も分かっていたから特に気にする事もなかった。

『真髄を見せてやる…』

精神感応は自然状態で無意識的に働いているので普段はどうやっても抑える事が出来ない。
私は精神感応によって受容する相手の精神を「声」と表現しているが、耳を塞いだって無意味。
頭の中でに相手の声が響いているような感じで、「声」から逃れる事は出来ない。
精神は聴覚と視覚で受容される。視覚的には色で表現され、揺らめく光がまるで炎のように見える。

『ミストファイナー!』

ハロキサゾラムを始めとする、副作用の無い軽い睡眠薬を飲むことで精神感応は抑制できた。
一つの薬を続けて使用していると免疫がついてしまうため何種類もの睡眠薬をローテーションで使った。
使い始めが一番辛かった。睡眠薬と向精神薬の薬漬け。情緒不安定になり、悪夢を見ることが多くなった。
でも睡眠薬を飲んでいる時は特に意識的に精神感応を使おうとしない限り「声」は聞こえなくなる。
授業中に眠ったり、日中に少しぼーっとしてしまうのが難儀ではあったが、それも仕方のない事だった。
「声」から開放されていくのに従って対人恐怖症も自然と回復していき、薬も使わなくなった。
でも本当に私を救ってくれたのは向精神薬でも睡眠薬でもない。
左渡 右二、瀬戸 咲由…あの人たちがいてくれたから、今の私がある。
だから私は闘う。右二のためなら私はなんだってやる。もう罪悪感云々なんて言ってられないんだ。

『燕穿牙!』

「慣性ディバコンから燕カ……おっと!?」

―――ドォン!!

カイが炎に包まれる。

(失敗した…!?)

その一瞬の思考が精神感応に影響した。「声」が聞こえなくなる。

"=受×=).;身#$を)|}取1}+4`|J{>S*める…!!"

(ノイズがっ…)

『見切った!』

精神感応に頼りすぎていたのが仇となった。N受身からの空中ダッシュJS>JHSが刺さる。
しかしミストループ>燕カス>2霧からディバコンを叩き込んで相手の体力ゲージは早くも残り2割程度。
慌てる事なんて無い。私の勝ちはもう決まってるんだ。

『聖騎士団奥義!』
『ロマンティーック』

さらにコンボを繋げられて足払いからチャージ青起き攻め。

"この人は得体が知れない…なるべく読み合わずに、起き攻めで倒すしかない。ここは…"
 ・ ・
(中段……)

―――バシュウッ!

着地寸前低空ダッシュからJHS。

『その辺にしときな…』

無駄。私に攻撃は当たらない。
それこそ今みたいな「事故」でも発生しない限りあなたに勝ち目は無い。そう言いたい。
でも精神感応は相手の「声」を聞く事はできても、私の「声」を伝えることはできない。
もどかしい……こちらの「声」が伝えられれば今すぐにでも諦めてと言ってやれるのに。
本当は精神感応なんて使いたくない。
でも私が負ければF組は終わりなんだ。使うしかないんだ。右二を優勝まで導くのが私の役目なんだ。

(右二……これでいいんだよね?)

"ガード…ならここはイチかバチかダストで…!"

勝利は確定した。
ダストに割り込んでコンボを入れれば終わる。
でも私は全く別の事を考えていた。ふと、何の理由も無く思い出した言葉。
――お前自身が楽しいと感じていないんだったら、無理にやる必要は無いんだぞ?
いつの日か、右二はそんな事を言っていた。
――そんなに周りを気にする事なんて無いわ。あなたの好きにやればいいのよ
咲由はそう言っていた。私はどうしたいんだろう。霧原 燕は何がしたいんだろう。

(私は……)

――なぁ燕、お前なんでギルティやってるんだ?

『油断しましたね。はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!』

負けたと思った。ダストを振った時、相手は立っていた。
でもジョニーはガードをしなかった。立ちっぱなしでダストを食らい、上空へ飛んで行った。
どうしてガードしなかったんだろう。暴れていたわけでもないし…。
あたしには……わざと当たったようにしか見えなかった。

(そんなわけないわよね…)

考えを振り払うようにレバーを動かす。

『聖騎士団奥義!!』

―――ガッ、ガッ

『失礼!』

固めて投げる。いつものように相手の動きが何となく読めるようになってきた。
調子が戻ってきたのだろうか。
でもこっちの体力は残り僅か。敵はまだ7割ほど残っている。ミストがLV1なのがせめてもの救い。

『見切った!』

暴れを潰すように固める。

・・・

(楽しいから……)

ギルティをやるのにこれ以上の理由は無い。そう、楽しかったはずなんだ。
でも精神感応を使うようになってから、全く楽しいと感じなくなった。
もちろん私欲のために使った訳じゃない。右二に恩返しをしたかった。優勝させてあげたかった。
でもそれは間違っていた。
今になってようやく気付く。私にとってギルティは「目的」から「手段」に変わってしまっていたんだ。
でも、それも今日限り。

(私は…自分のために闘う。「ギルティをやることの楽しさ」を…取り戻すんだ…!)

『ロイヤルな夢を見せてやる』

固めに俺の名で割り込む。

―――ズバァン!

(6P…相殺…!?)

慣れない事に頭が反応できない。しかし指先だけは無意識に、反射的にボタンを押してしまっていた。

『ヴェイパースラスト!!』
『カウンタ!』

SVTのカウンター……瀬戸くんがやられた技だ。

『見切った!ヴェイパースラスト!!はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!』

VTループを3ループもらってダウンする。残り体力が2割になる。

『聖騎士団奥義!』

―――ガッ、ガッ

『失礼!』

小技で固められて投げられる。
この人……なんて言えばいいんだろう……思わず笑みが出てしまうくらい強い。
やっぱり強い人と闘うのは楽しい。ギルティをやるのは……楽しい。

『油断しましたね』

(…!…見える…!)

―――キンッ!

『ロマンティーック』
『油断しましたね』

ダストRC>ダスト……見事に食らって打ち上げられた。

『はっ!見切った!ヴェイパースラスト!!』

『SLASH』

『派手に…やられちまったぜ……』
『いい勝負でした』