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店内には筐体が並び、様々なゲームが設置されている。
中でも対戦格闘ゲームは盛り上がっており、1番人気はGGXX#Rだ。

そこにはいつも通りの面子が対戦を繰り広げていた。


キン、キキン、キン

『油断しましたね―――』

ザシュッ


落としダストからVTループでお手玉になっているのはロボカイだった。
どうやら、ほとんど直ガをしていたせいか、相当ダメージが高いようだ。


ザシュザシュッ!今だッ!ザシュッ!SLASH!

『シッテハイタノダー…』 『よく頑張りましたね。』


「――まただ・・・。」


そんな声を漏らしつつ、肩を落とす一人の男。席を立ち、自販機へ歩いていく。
硬貨を入れ、缶コーヒーを買って筐体へ戻る。まだ誰も乱入していないようだ。

彼は負ける度にこう思う。


「どうして、あそこで動けなかったんだ」と。


ロボカイを使い始めもう数年は経つのだろうか。コンボ精度、直ガ精度は相当高くなった。
が、肝心の割り込みや暴れが全然出来ない。ただTGとGBが上昇していくだけだった。
そして焦った挙句、下手な選択をしてしまい崩されて倒れる。これが彼の負けパターンだ。
「あと少しだったんだ。もう一度やればいけるはずだ」

ゆっくりと筐体に歩み寄った時、誰かのクレジットが既に表示されていた。


『夕飯はベジタボー!』


無表情で眺めていた画面には「CHIPP vs KY」。ここでは珍しい対戦だ。ゆっくり観戦させてもらおう。


『てめぇ、死相が出てるぜ』『いい試合にしましょう』

HEAVENorHELL,Let's rock!

開幕行動は互いに2Sを振ったが、チップの2Sが刺さり、そこから冽掌>麓砕と繋いでいく。
麓砕で止まったところで、カイは動きを封じる為に足払いを繰り出す。


『バンザーイ!』


見事にカウンターヒットし、叩き落としコンボまできっちり決め、追い討ちγ>P転移>空中投げ、と
相手をまるで手の平で転がしているかのごとく連続技を決めていく。



遅ぇ!スシ!スキヤキ!(ロマーンキャン)ズシャ!ハァッ!ズシャ!ハァッ!SLASH!


『ここまできて・・・っ』
『カミカゼ!』



怒涛のラッシュであっけなくパーフェクトで1本目が終わる。
カイ側のプレイヤーの表情には驚きが隠せていなかった。

「このチップは一体・・・?」

チップ側の筐体を見に行くと、そこには一人の綺麗な金髪をした少女が座っていた。
外国人にチップ使いが多いという話は本当だったのかと何故か感心してしまう。


「・・・ふぅ。次もこの調子でいくぞー」


彼女は手元に置いたコーラを一口飲んだ。直後、2本目が始まる。



『Let's rock!』



しかし、先程と同じような試合展開で対戦は幕を閉じる。
これほどのチップを使うのは誰だろう、と覗きに行ったカイ使いのプレイヤーも、
驚き、彼と同じく感心していた。

(いい試合が見れたし、腹も空いてきたから帰ろうかな)

と、そこへ彼に金髪の少女が話しかける。


「あ、さっきロボカイ使ってた人ですよね?対戦しませんか?」

「え、ああ、別にいいですけど」


突然のことだったので無愛想になってしまった。こんな風に対戦を申し込まれたのは始めてだ。
筐体へ座り、コインを投入する。ふと、スタートボタンを押す指が止まった。

(さっきみたいな試合になったら何て言えばいいんだ?正直、勝てる気がしない・・・)

そして、ゆっくりと指に力を入れてボタンを押す。



『夕飯はベジタボー!』



カーソルを頂上まで持っていくレバーの手にも、力が抜け落ちたような感触があった。

(チップ戦、か。とりあえず覚醒昇竜を2回当てれば勝てる、とは思うけど。)



『引導を、渡してやるぜ!』『負ケル理由ガナイシ』

HEAVENorHELL,Let's rock!

開幕、手に力が入っていなかったせいか、一瞬棒立ちになってしまう。
そこにすかさず足払いを振り回される。反応が遅れてしまいHIT、追い討ちγが入る。



『ハズレだ』

一瞬消えたチップがロボの裏側へ現れる。


(この後の受身を空中投げしまくってたな。ここは大人しくしておくか)


『ハズレだ』


更に毅式転移を繰り返す。今度はロボの上空に現れた。


(しまった、上から起き攻めにきたか!?それなら・・・)


『ウザッタイ!』ガキィン!



とっさの判断のリバーサル、だが簡単に見切られてしまった。
降下中のモーションに6HSを深く刺し込まれCH、もう一度浮いたところへγブレード
そこから更に空中コンボで上空まで上がり続けるロボカイ。

(落ち着け、まだ体力も十分ある。空中か・・・・誘ってみるか)


『ヒレ伏スガイイ!ヒレ伏スガイイ!ヒレ伏スガイイ!』



受身を取り、チップから逃げるように飛び回るロボカイ。なんだかとても情けない姿だ。


(あれ?なかなか落ちてこないなー。それじゃ転移してサシミで落としちゃえ!)

『ハズレだ』ズバババババババッ



ロボの真上に現れたチップは無残にプロペラに切り刻まれる。体力が一気に3割削り取られた。


(よし、狙い通り!受身に合わせてもう一回刻んでやる!)

(痛ったぁー!あれだけでさっき喰らわせた分取り返されちゃったよ~。でもまだまだ!)


わざと受身を取り、ロボへ近づくチップ。ロボカイがJDを繰り出す瞬間にチップが爆発する


『ペースを上げるぜ!』


金バーストが見事にCHし、ロボカイが画面端まで吹っ飛ぶ。
しっかりダウン追い討ちをされ、起き上がりずらしは発動せずに起き攻めに入るチップ。

(まずい、さっきのカイもこんな感じでやられてたな。ひとまず直ガしてゲージを貯めるか)


『ハズレだ』


チップが空から襲い掛かる。JHSが来るかと思いきや、チップが横に回転しながらドリルのように降下してきた
仕方なく普通にガードをせざるを得ず、着地に2Kを刻まれる。と、チップがまたもや画面から消えた



『幻朧斬』ブシッ(ロマンキャーン)『ハズレだ』

(げ、そういやそんな技あったっけ。でもなんで追撃にこないんだ?)

『ついて来れるか!?』



(暴発か?なら全部ガードして座談吸いから・・・!!!???)


画面には右へ左へと吹っ飛ぶロボカイの姿が映し出されている。何でだ?オレはガードしたはずじゃ―――


ピキーン『斬星狼牙』       ドサッ


(はじめて見た人は絶対当たるんだよね~。このまま勝っちゃうんだから!)



体力は残り2割、パニックになりそうだったが、落ち着いてPKを入力し、起き上がりをずらす。

『回線切レタッ』

リバーサルに金バーストを当てる。ロボカイのゲージが満タンになった。
そう、ここからがロボカイの強さの見せ所だ。

(ひえ~、やっちゃったよー。とにかく、崩されないように集中しなきゃ!)


『天誅!』


地上ミサイルを起き上がりに重ねる。ダッシュ慣性をつけたジャンプから、中下段投げの3択をかけに行く。
そして彼が選んだ選択は中段の低空ダッシュJS。少し高さがあったせいか、当然のようにガードされる。
いや、正しくはさせたと言うべきか。そこからJHSまで繋いで、着地2Kを出す。

(ここからだ・・・これで崩せなかったらそっちの勝ち、崩せたらオレの勝ちだ!)

『ゴマカスナ!』


ロボカイの膝からミサイルが発射される。

(危ないっ!暴れちゃうところだったぁ~。でも残念、私の読みk・・・)



ロマンキャーン『ゴマカスナ!』ロマンキャーン



(うわっ!もうちょっとで動いちゃうところだったよ・・・心臓に悪、ってまた走ってきたぁ~)


『バカッ』



軽い罵声を出しながら鋭いチョップを繰り出す。更にダッシュしてプレッシャーをかけ続ける。


(いつ崩しにくるのよぉ~!あ、また走ってきた、もうやめてー!)

既にチップのGBはMAX寸前、今崩されればどれだけ体力が残っていようと即死は必至だ。


(よし、そろそろ潮時だな・・・・・・・走って・・・・・・・投げる!)

投げ範囲に入り、投げ――――――――――――



『ゴマカスナ』プシュー



気合を入れすぎたおかげで、レバーをニュートラルに戻さずにHSを入力してしまった。

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わった_| ̄|○)


(っぷはぁ!!助かったぁ~。投げもらってたらシショってたよ。あ、反撃しないと!)

そしてしっかりとコンボを決められて、SLASH。


『ウーン、イマイチダ・・・』

『トロいんだよ!』


(1本目は取られてしまったか・・・・・終わったことだ、次こそ―)





ブツン。




「「あぁっ!!」」



突然画面が真っ暗になる。どうやら電源が落ちてしまったらしい。
メンテナンス不良のせいで電源が落ちることは、このゲーセンではよくある事だった。


「残念でしたね~。すごいいい勝負だったのに・・・最後の固め、冷や汗かきましたよ!」

「いや、俺の完敗でしたよ。でも、確かに残念だね。あそこで投げが入ってればなぁ・・・」

「再戦しますかーって、もうこんな時間!?早く帰らなきゃ昼休み終わっちゃうよ!」

「え、ああ、それじゃまた対戦よろし――――」


そう言おうとした時には彼女はゲーセンから姿が消えていた。
筐体の電源が点いて、誰かがクレジットを投入していた。カイ使いのプレイヤーだった。


「さっきの固め、惜しかったな。オレにも見せてくれよ。」

「今度は投げミスなんてしないぞ?」


彼は空腹感も忘れて、筐体にコインを投入していた。そして密かにに決意をした。



『あんなプレイヤーを倒せるまで、オレはいくらでも対戦してやる!』



その後、彼がギルティ専門高等学校に入学するのはまた別の話。

【END】